助成先78:福島乳幼児・妊産婦ニーズ対応プロジェクト (FnnnP)新潟チーム
下記の通り、助成を決定いたしました。
□団体名:福島乳幼児・妊産婦ニーズ対応プロジェクト (FnnnP)新潟チーム
□代表者:高橋 若菜
□所在地:栃木県宇都宮市
□事業名:福島乳児・妊産婦ニーズ対応プロジェクト(FnnnP)新潟チーム
□事業の目的と概要:<本会の概要>
本会は東北関東大震災ボランティア活動基金第2回、第3回助成対象として選考いただいた、現在進行中のプロジェクトである。
本会の母体は「福島乳幼児・妊産婦ニーズ対応プロジェクト」(代表:舩田クラーセンさやか 東京外国語大学准教授、副代表:阪本公美子 宇都宮大学国際学部附属多文化公共圏センター准教授、赤い羽根「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」助成事業)である。このプロジェクトは、東日本大震災に伴う福島第一原発事故の後、避難を余儀なくされるにいたった乳幼児・妊産婦のニーズに対し、迅速かつきめ細かく対応することを目的として2011年4月に設立され、大学教員(東京外国語大学、宇都宮大学国際学部多文化公共圏センター、福島大学、茨城大学、群馬大学他)をはじめとする10名のスタッフのほか、総勢数十名のボランティアによる協力を得て、半年以上に及ぶ支援活動を展開してきている。
このうち本会は、新潟県を対象として、福島から避難し(自主避難も含む)、現在新潟県内で生活されている(または今後避難を希望されている)乳幼児・妊産婦を含む家族を、「民間団体ならではの、一人ひとりに寄り添った、丁寧できめ細かく迅速な対応」という理念に基づいて、サポートすることを目的としている。
<これまでの活動内容>
新潟県内では、官民の支援組織が福島県の乳幼児・妊産婦が直面した苦難に深い理解と同情を示している。新潟県防災局広域支援対策課からは、本プロジェクトで得た生の声を施策に反映させるための意見交換の機会をいただいた。社団法人中越防災安全推進機構の担当者からも、本会代表者の高橋若菜に対し、「対象者の生の声を是非できるだけすいあげてほしい」、「互いに密な連携を取りながら、共によりよい支援を模索していきたい」との意志表明まで頂いた。このような連携が可能になれば、対象家庭の生の声に適合する支援を実現できる公算が高いばかりでなく、いまだに着地点が不明な原発事故の避難者支援の在り方について、ひとつのモデルケースを提供することにもつながると期待される。そこで本会では、これら支援組織との連携を重要視しながら、次のような活動を行ってきた;
@ ヒアリングに基づくニーズの把握、相談、情報提供
- 避難家庭の心のケアに十分留意しながら、対面、あるいは電話インタビューを通じて親身に話を聞き、各対象者のニーズを正確に把握する。
- これまでのコンタクト数は、40世帯以上である。
- これまでの主なニーズは、当初は借上げ住宅入居までの仮避難先、家具生活物資、引っ越し先のローカル情報、住民票などの手続き相談、就職情報である。現在は自主避難者への支援情報や生活支援情報、放射線情報、交流機会のニーズが高い。
- 避難先での放射線量を測りたいという要望からガイガーカウンターを購入した。
A 官民の支援組織とのネットワーク形成とニーズ対応
- 新潟県や新潟市区・五泉市などの行政機関、中越防災安全推進機構、子育て支援センターや各種子育て支援組織、新潟NPO協会、社会福祉協議会等に対し、避難状況等について情報収集をし、本会の活動趣旨や内容について助言をあおいだ。
- 家具、生活物資のサポート:社会福祉協議会、リサイクルセンター等とのつなぎや、救援物資つなぎのインターネットサイトなどを紹介した。
- 情報提供;保健所、子育て支援組織など支援団体から、避難者に有用な救急医療や心のケア等の各種パンフレットなどをいただき、対象者たちにお渡しした。
- 新潟市等が発行している子育て情報誌等の対象者たちへの手渡しをした。
B ふくしまママ茶会(第1回シリーズ)開催(2012.10.19〜12.7、計8回)
- 震災後半年経ち、借上げ住宅入居者も増え、避難が中長期化する中で、避難先で孤立することによる不安を抱える対象者のニーズが高いことから、避難生活を送られているご家族のための交流会を開催することとした。
- 開催場所は新潟市秋葉区(4回:10/19、11/1、11/15、12/7)、西区(2回、10/24、12/5)、東区(1回、11/25)、五泉市(1回、11/1)である。各回の参加人数は親子10-15組で、計8回の開催でのべ100組ほどの親子参加を予定している。
- 開催に際しては、新潟市、五泉市から後援をいただき、ママ茶会広報等にご協力頂いた。また育ちの森(秋葉区)、ドリームハウス(西区)、新潟県立大学家族サポート研究会(東区)、すてきネット五泉(五泉市)に、共催頂いた。
- ママ茶会では子供と大人を分け、専門の保育者たちによる乳幼児の保育サービスを提供する一方、ママたちがくつろぎながら本音で話せるよう茶菓や昼食を交えた会とし、対象者間での交流を促進した。
- 費用は、本助成金第二次助成で得られた助成金などを活用した。
<本助成金第4次助成申請での活動予定内容>
@ ふくしまママ茶会 キャンセル待ち対象者限定会(12/14(水)):
- これまでのママ茶会は応募が殺到し、東区を中心に、キャンセル待ちをお願いせざるを得なかった。そこで、キャンセル待ちの方限定の茶会を開催する。
- 新潟NPO協会の交流拠点(猿ケ馬場)を使わせていただく方向で協議中。
A ふくしまママ茶会第2シリーズ(2013年1-2月、計6回開催予定)
- 先行的にママ茶会を行なった秋葉区、西区では、それぞれ育ちの森、ドリームハウスが区役所や見守り相談員と連携をとりながら、対象者をあたたかく受け入れる態勢を整備してきている。このような先行モデルを参考としつつ、新潟市内の他区でも、類似のママ茶会を行い対象者間の交流を促進する。
- 現在のところ、中央区(2回)、東区、江南区、北区、南区を予定している。
- 実施に際しては、新潟市から後援をいただきたいこと、また見守り相談員と連携させていただきたいことを依頼しており、現在協議中である。また新潟NPO協会交流拠点の方々とも連携を模索中である。地域の保育ヘルパーグループに、専門的に保育を依頼する。
本会のこれまでの活動から、対象者たちの何重にもわたる苦難が明らかになってきた。配偶者たちと別居し24時間子供と向き合うこと、見知らぬ土地で不便も多く孤立しがちであること、二重生活や限定的な行政サポート・自主避難者への無補償等に伴う経済負担増(生活困窮)、放射線への不安、先行き不安などである。とりわけ自主避難者は、放射能リスクへの認識の相違から、両親や親戚の理解を得られず、断絶状態にあるケースも少なくなく、文字通り家族、親戚、コミュニティから分断されている。本会の活動が、このような困難を少しでも和らげるとともに、対象者たちのニーズを連携する官民の支援組織におつなぎする契機になればと願う。
□事業実施期間:平成23年6月1日〜平成24年3月31日
□助成金額:100,000円