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就労継続支援事業についてA [2008年03月13日(Thu)]
 鳥羽市社協では、就労継続支援B型を平成20年度から開始することが既に決まっています。これは現在の小規模授産施設海の子作業所を社協へ統合し、就労継続支援B型として新たに運営していくものです。これに伴い、今まで事業計画や収支のシュミレーションなどの業務を行なってきましたが、今回は,就労継続支援B型における収入としての各種報酬単価と利用者数の関係と、支出として人件費、その他諸費用としてどの程度必要なのかを計算することによって、就労継続支援B型の経営実態を考えてみたいと思います。


                 現在増築中の施設


1.就労継続支援B型とは
 障害者自立支援法第5条では、就労継続支援を「この法律において『就労継続支援』とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者につき、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう」と規定している。

 さらに「厚生労働省告示第五百二十三号」によると就労継続支援は「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」の2種類に分類されている。同告示によると前者は「専ら通常の事業所に雇用されることが困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能である者」を対象とし、後者は「年齢、心身の状態その他の事情により通常の事業所に雇用されることが困難である者のうち適切な支援によっても雇用契約に基づく就労が困難である者」としている。つまり事業所と利用者の間で雇用契約を結ぶサービスが「就労継続支援A型」で結ばないのが「就労継続支援B型」となっている。



2.就労支援B型の職種と最低設置職員数
 就労継続支援B型の職員の人数や職種の基準は「障害者自立支援法に基づく指定障害者福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日付障発第1206001号)」(以下「同基準」)に詳しく規定されている。その内容は、「管理者」、「サービス管理責任者」、「職業指導員」、「生活支援員」の4職種が規定されている。

 順にみていくと、まず「管理者」であるが、業務内容として「事業所の管理業務に従事するもの」とし、専従者を求めているが支障が無いときは他の職種が兼務できるものとしている。就労継続支援B型以外に複数の事業所を運営している事業所(例えば社協など)においては「管理者」は兼務しているのが一般的である。

 次に「サービス管理責任者」は、「就労継続支援B型計画の作成及び提供した指定就労継続支援B型の客観的な評価を行なうもの」とされている。実質的には利用者の個別支援計画の作成、事業所と利用者や家族間の連絡調整、相談業務などの業務内容であるといえるだろう。「管理者」のように兼務できる職種である。

 最後に「職業指導員」と「生活支援員」であるがこの職種に対する業務内容は同基準には規定されていない。しかし、その同基準が示す業務内容は就労継続支援B型のサービス内容である「就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を適切かつ効果的に行なう(障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準)」ことが業務内容であるといえる。この職種の設置人員数は、同基準によると、少なくともそれぞれ1人以上であり、なおかつ「利用者の数を10で除した数以上」の人数の設置が必要とされている。
 鳥羽市社協で立ち上げ予定の事業所を具体例として考えてみると、定員25名を予定しているので必要な職員設置人数は以下のように合計4.5人以上となる。

人員基準 管理者           1人(兼務可)
サービス管理責任者         1人(兼務可)
生活支援員と職業指導員      2.5人以上
    (鳥羽市社協での規模で考えた場合の必要職員数)

 さらに上記人員を鳥羽市社協給与規定に当てはめ,必要年間人件費を試算すると以下のようになる。

正規職員4.5人の場合             18,061,349円
正規職員2人、臨時職員2.5人の場合    14,040,351円
(鳥羽市社協で想定した人件費。1人あたり正規職員4,013,633円、臨時職員2,405,234円)



3.就労継続支援B型の収入
 「厚生労働省告示第五百二十三号」によると就労継続支援B型の基本単位は、利用者の半数以上が障害基礎年金1級受給者の場合適応となる「就労継続支援B型サービス費(T)」とそれに満たない場合適応となる「就労継続支援B型サービス費(U)」の2種類があり、利用者一人の一日あたりの利用によって得られる報酬単価が異なる。

利用定員     40以下  40以上60以下  61以上80以下   81以上
サービス費(T) 504単位   473単位      464単位     450単位
サービス費(U) 460単位   429単位      420単位     406単位
(就労継続支援B型の1日あたりの報酬単価,平成20年2月現在)

この2種類の就労継続支援B型それぞれにおいて、鳥羽市社協を具体例に月20日開所した場合で計算すると、事業所の予想収入は以下のようになる。

利用者数  サービス費(T)の収入   サービス費(U)の収入
12名      14,515,200円        13,248,000円
15名      18,144,000円        16,560,000円
20名      24,192,000円        22,080,000円
25名      30,240,000円        27,600,000円


4.就労支援B型の予想収支
 今までに、人件費の支出の予想と収入の予想をみてきた。あと人件費以外の支出を計算し、それと予想収入を比べて、予想収支を計算していく。

 鳥羽市社協が想定している人件費以外の予想支出は介護保険事業など他の事業の支出を参考に試算すると燃料費600,000円、送迎車・システムなどの賃借料1,148,180円、損害保険料(自動車任意保険)250,000円、光熱水費400,000円、器具什器費800,000円、その他事務費・事業費838,606円の合計4,036,786円となる。

 これに人件費を加味してサービス費(T)考えると正規職員4.5人の場合は22,098,135円の支出で20名の利用者が月20日間以上の利用で黒字となる。正規職員2人、臨時職員2.5人の場合は18,077,137の支出で15名の利用者が月20日間以上の利用で黒字となる。


5.まとめ
 以上のように就労継続支援B型の経営実態を鳥羽市社協を具体例として、利用者1人あたりのサービス費収入と鳥羽社協の給与体系によって大まかに計算してみました。その結果、就労継続支援事業所経営の困難さが浮き彫りになったように思います。

今回は利用者20名以上で黒字と計算していますが、実際にその数値まで達成するためには相当の努力が必要でしょう。あと予想収入では目標工賃達成加算など各種加算が存在しますが、今回の記事ではそれを省略して計算しています。

いずれにしても今後職員が正規職員としての雇用など、満足のいく雇用形態と収入を考えた場合、それに見合うだけの報酬単価の見直しが求められることは確実です。
                                       (福祉推進係 I )