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年末の八重原 [2017年12月31日(Sun)]
29日夜遅く東京を出て、日付が30日に替わってから八重原に着いた。小雪がチラチラしていてかなり寒い。室内も冷え切っていて、急いで石油ストーブをつけ、薪ストーブを焚いたが中々すぐには暖かくならない。荷物の片づけもほどほどにして風呂で暖まってから布団にもぐりこんだ。夜中には外の気温はマイナス7度まで下がったようだ。

明けて30日の朝ゆっくり起きてみると、夜中に雪が舞ったらしく北側のベランダはうっすらと雪で白くなっていた。空は青く晴れ上がり、その下に見慣れた山々が横たわっているのが見えた。
171231yaehara1IMG_0760.JPG

昼近くに家の外に出ると空気は冷たく、頬が冷える。家の前の白樺池は、大半が氷っていて、日陰の部分は雪で白くなっていた。どこからか鴨が3羽舞ってきてわずかに残された水面を泳いでいるのが見えた。こちらは寒くて身を縮めているのに、嬉しそうに水の中を泳いでいるのには、感心した。
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見渡せば、北方には頂上が雪で白くなった浅間、黒斑、高峰、三方、烏帽子などの浅間連山が青空のもとに連なっている。その姿を眺めながら過ごした故郷の懐かしい山々である。しかし、朝は顔を覗かせた浅間山は、前衛のギッパを残して雲に隠れてしまい見えなくなっていたのは残念。
171231asamarenzanIMG_0767.JPG

家の周りの木立には、いろいろな鳥たちが沢山姿を見せている。林の上をトンビが大きく舞っているのが見えた。
Posted by 寺島紘士 at 13:27
12月下旬の海洋政策関係会議等 [2017年12月28日(Thu)]
本年最後の旬間も、ボルゲーゼ教授の「The Oceanic Circle(海洋の環)」日本語版出版の最終校正や総合海洋政策本部参与会議、海洋白書2018の編集委員会等があって、結構忙しかった。

12月下旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

12月21日(木)−12月31日(水)
○エリザベス・マン・ボルゲーゼ教授の著書「The Oceanic Circle 」の日本語版「海洋の環」出版の最終校正に取り組む

12月21日(木)
〇第2回 海洋白書2018編集委員会 出席
議事
1. 海洋白書2018刊行に向けた実施状況について
2. 海洋白書2018の報道発表について
3. 海洋白書2019に向けて
4. その他
○第208回オーシャン・ニューズレター編集会議

12月22日(金)
〇第2次水産業改革委員会第4回会合 オブザーバー参加
○笹川平和財団プレミアム・フライデー

12月25日(月)
○小池勲夫東京大学名誉教授及び島田克也いであ株式会社業務執行役員・国土環境研究所所長代理来訪、太平洋地域の海洋環境管理の調査について意見交換
○総合海洋政策本部参与会議(第37回)傍聴参加(本ブログ12月26日参照)

12月27日(水)
○笹川平和財団ビル納会
Posted by 寺島紘士 at 23:29
総合海洋政策本部参与会議の第3期海洋基本計画案作成の審議を傍聴 [2017年12月26日(Tue)]
暮れも押しつまった12月25日(月)、第37回総合海洋政策本部参与会議が開催され、傍聴した。

最初に、12月18日に、「第3期海洋基本計画策定に向けた総合海洋政策本部参与会議意見書」が、参与会議の宮原耕治座長から、安倍内閣総理大臣及び江ア内閣府特命担当大臣(海洋政策)に提出されたことが報告された.

続いて第3期海洋基本計画の検討状況について審議が行われた。

参与会議意見書が海洋政策本部長である安倍総理に提出されたのが12月18日、それを基にして、総合海洋政策本部事務局が各省と第3期海洋基本計画の構成、内容について調整をはじめたばかりなので、今回は、第3期海洋基本計画の構成及びその最初の部分である「はじめに」「第1部」について事務局よりイメージが提示・説明され、それらについて各参与がそれぞれ質問し、コメントを述べる形で審議が進行した。

今回の説明資料は非公表とされているので、その内容はここでは差し控えるが、事務局が、参与会議の意見書を踏まえて、これまでの基本計画の単なる延長ではなくて必要な海洋施策を新たな視点を持って確実に推進することを目指して、第3期海洋基本計画の構成・内容に様々な工夫をしていることが窺えた。

第3期海洋基本計画は、年明けの2018年1~2月に総合海洋政策本部事務局を中心に関係各省等の間で調整されて計画案の作成が行われ、パブリックコメントを経て、総合海洋政策本部会合がこれを了承した上で、閣議決定が行われる。その時期は、3~4月と見込まれている。

2016年から取り組んできた第3期海洋基本計画の策定作業がいよいよ大詰めの段階に入ってきた。これまでの検討の成果を活かして内容の充実した、実効性のある海洋基本計画が策定されることを期待している。
Posted by 寺島紘士 at 23:02
「海洋白書2018」の編集作業進む [2017年12月24日(Sun)]
12月21日(木)、「海洋白書2018」の編集委員会が開催され、出席した。

私は、「海洋白書2017」までは海洋白書の発行責任者の立場で編集に取り組んできたが、6月末で海洋政策研究所長を退任したので、このところ海洋白書の日々の編集作業からは遠ざかっていた。今回は、海洋白書編集について助言・支援をするアドバイザーとして出席した。

最初に、「海洋白書2018」刊行に向けた実施状況について審議したが、前回の編集委員会(8月23日)以降、編集作業が着々と進められていて、スケルトンに沿って執筆者が選定され、原稿も早いものは提出されてきている状況が事務局より報告された。編集作業がかなり進んできていることがその後の編集委員等とのやり取りからも伝わってきた。

私は、創刊号の「海洋白書2004」から海洋白書の編集に取り組んできたので、白書編集の大変さを身をもって経験してきている。「海洋白書2018」の編集に実際に取り組んでここまで積み上げてきた担当の諸君の熱心な取り組みを実感して嬉しく思った。

「海洋白書2018」の章立ては、動き出した海洋をめぐる世界の取り組み/海洋の総合管理と海洋基本法の10年/海洋の安全の確保/海洋産業/海洋環境の保全と持続可能な開発/海洋の人材育成、となっており、そこに内外における海洋に関する最近の具体的な動き・取組みが盛り込まれていくこととなる。

私自身も、10年目を迎えた海洋基本法に焦点を当て、海洋基本法の意義や最近の動きを取り上げ、さらに次の10年を展望する原稿の執筆を担当しており、年末年始の休みを活用して原稿を仕上げることとしている。

このところ国際的にも国内でも海洋をめぐる取り組みが大きく動き出している。「海洋白書2018」でそれらの動きを取り上げ、皆さんに「海洋白書2018」でそれらをきちんと把握して今後の取組みに活かしていただきたいと思っている。

「海洋白書2018」の刊行は、3月末が予定されているのでどうぞよろしくお願いします。
Posted by 寺島紘士 at 23:45
「海洋の環」1月に出版 [2017年12月23日(Sat)]
20世紀後半の、「海洋の管理」を目指す国連海洋法条約の形成や、持続可能な開発のための行動計画「アジェンダ21」第17章(海洋)の起草をリードして、「海洋の母」といわれたエリザベス・マン・ボルゲーゼ教授(1918−2002)が、その晩年に海洋のガバナンスに関して書き下ろした名著「The Oceanic Circle」(1998年国連大学UNU Press)の日本語版「海洋の環」の出版については、11月24日の本ブログで12月のクリスマスの頃に出版の見込みと書いた。が、内容の整理・整備に若干時間がかかったため出版がちょっと遅れて1月にずれ込むのでお知らせしたい。

即ち、本文の整理・整備を入念に行うとともに、解説、対談、年表、索引などを加えて、海洋ガバナンスの取組みに本書の内容がどのように役に立つのかが理解しやすいようにできるだけ工夫をしてみたのである。

そのため、出版が新年にずれ込んで、クリスマスのプレゼントのつもりが新年のお年玉になってしまったことをご了解いただければ幸いである。

「海洋の環」の内容については日本語訳の監修の時から目を通してきだが、出版のための校正で何度も目を通していると、原著「The Oceanic Circle」が出版されたのが1998年というのが信じられないくらいその内容は新鮮で、現在私たちが懸命に取り組もうとしている海洋ガバナンスの問題を総合的に、かつ、深く掘り下げて考察し、どう取り組むべきかを具体的に述べているのに驚き、感服する。

例えば、目下策定中の第3期海洋基本計画では、海洋安全保障について幅広く取り上げようとしているが、ボルゲーゼ教授も「海洋の環」の中で安全保障の問題を重視して取り上げている。

その1例を示すと次のとおり。
「地域の安全保障
今年、1998 年は「国際海洋年」である。今こそ、次のようにはっきりと述べる時である。
・ 持続可能な開発には、統合されるべき3 つの構成要素がある。それは「社会経済開発」と、そのなかで社会経済開発が行われる「環境の保全」、そしてそれらがなければ社会経済開発も環境の保全も不可能となる「平和と安全保障」である。
・ 安全保障には、統合されるべき3 つの構成要素がある。政治的・軍事的な安全保障、すなわち伝統的な意味での安全保障、そして、経済安全保障、さらには環境安全保障である。経済安全保障と環境安全保障を抜きにしては、政治的・軍事的な安全保障は成し遂げられない。」

原著ではこのあとさらに論考が続くが、詳しくは「海洋の環」でご覧いただきたい。

皆さん、「The Oceanic Circle」の日本語版「海洋の環」は間もなく出版されるので、もう少々お待ちください。
Posted by 寺島紘士 at 23:56
今日は冬至 [2017年12月22日(Fri)]
今日(12月22日)は冬至、北半球では1年で一番昼が短くて夜が一番長い日である。

東京芝浦の日の出の時刻は午前6時47分、日没は午後4時32分で、昼の時間は9時間45分。夏至の14時間35分(本ブログ2017年6月24日参照)と比べると4時間50分も短い。

夏至から冬至までは、日に日に昼の時間は縮小してきた。そして、秋の稔りの季節が過ぎ、12月も中旬になると、街路を明るく彩っていた銀杏の黄葉も散り、陽が早く落ちて帰宅時には外はもう暗い。

これに寒さも加わり、気持ちが落ち込んできても不思議ではないこの時期の自然環境であるが、人間社会は12月(師走)に入ると1年の締めくくりの年末商戦なども始まりかえって活気が出て来る。

そして、冬至(22日)を転換点として、これからは昼の時間が日々長くなっていく。そう思うと気分が明るくなって前向きな気持ちになる。年末に向けてもうひと頑張りしよう。
Posted by 寺島紘士 at 23:39
12月中旬の海洋政策関係会議等 [2017年12月20日(Wed)]
明日からは12月も下旬に入る。鮮やかだった街路の銀杏の黄葉も散り、今年も本当に残りわずかとなった。その中で18日には、「第3期海洋基本計画策定に向けた総合海洋政策本部参与会議意見書」が、参与会議の宮原耕治座長から安倍内閣総理大臣及び江ア内閣府特命担当大臣(海洋政策)に提出された(本ブログ12月18日参照)。ボルゲーゼ教授の「The Oceanic Circle(海洋の環)」日本語版出版作業も大詰めで最後の校正に追われている。

12月中旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

12月11日(火)−12月20日(水)
○エリザベス・マン・ボルゲーゼ教授の著書「The Oceanic Circle 」の日本語版「海洋の環」出版の校正に取り組む

12月12日(火)
〇「第147回海洋フォーラム」出席
講演:地政学から見た海洋安全保障―北朝鮮問題を事例として―
講師:奥山 真司氏(国際地政学研究所 上級研究員)

12月14日(木)
〇海洋建設(株)片山敬一会長来訪
〇国土交通省総合政策局海洋政策課の山本英貴課長、井上清登海洋政策渉外官、伊藤渉海洋政策調査官来訪、地域国際機関PEMSEA(東アジア海域環境管理パートナーシップ)の活動について情報・意見交換

12月19日(火)
〇「自民党政務調査会の宇宙・海洋開発特別委員会 海洋総合戦略小委員会」出席
<議事>
1.次期SIP予算の検討状況について
2.次期(第3期)海洋基本計画策定に向けた検討状況について

〇神戸大学水谷文俊副学長、志茂弘明総務課長来訪
〇2017年度 第2回総合的海洋政策研究委員会 出席
<議事>
1.総合的海洋政策に関連する動向について
2.総合的海洋政策の推進に関する論点について

12月20日(水)
○2017年度 第4回「北極の未来に関する研究会」出席
北極に関する会議等、第3期海洋基本計画の策定に向けて考慮すべき施策に関する提言、国際ワークショップの開催について検討、情報・意見交換
Posted by 寺島紘士 at 23:47
「第3期海洋基本計画策定に向けた総合海洋政策本部参与会議意見書」総理に提出 [2017年12月18日(Mon)]
来年春に予定されている第3期海洋基本計画の策定に向けて有識者からなる総合海洋政策本部参与会議が昨年から検討を積み上げてきていることは本ブログでも折に触れて取り上げてきた。(本ブログ2017年11月19日等参照)

そして本年度に入って、基本計画委員会、海洋の安全保障小委員会、海洋の産業利用の促進PT、海洋環境の維持・保全PT、海洋人材の育成等PTでの検討を経て、参与会議の意見書が取りまとめられ、本日(12月18日)、参与会議の宮原耕治座長から、安倍内閣総理大臣及び江ア内閣府特命担当大臣(海洋政策)に、「第3期海洋基本計画策定に向けた総合海洋政策本部参与会議意見書」が提出された。

意見書の目次をみると、議論の集約として、
海洋に関する施策についての基本方針に関する事項については、<主要テーマとして取り上げる事項>として、海洋の安全保障、海洋の産業利用の促進、海洋環境の維持・保全、海洋人材の育成等、<施策の推進に当たっての横断的・基礎的な主要テーマとして取り上げる事項>として、科学的知見の充実(海洋科学技術、海洋調査・観測)、国際連携・国際協力、<時宜を得た主要テーマ及び継続的に重要性を持つテーマとして取り上げる事項>として、北極政策、水産業、海上輸送、離島の振興、排他的経済水域等の開発等、が挙げられている。

本年4月の総合海洋政策本部会合で最重要課題とされた「海洋の安全保障」については、幅広くとらえて、法執行による治安の確保、海上交通における安全対策、海洋由来の自然災害への対応という「海洋の安全保障の施策」に加えて、「海洋の安全保障の実現のための基層となる施策」として、海洋状況把握(MDA)体制の確立をはじめとする「海洋の安全保障の実現のための基盤となる施策」および経済安全保障、海洋環境の保全・保護などの「海洋の安全保障の補強となる施策」を掲げている点が、大きな特徴である。

意見書の詳しい内容については、下記により直接ご覧いただきたい。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kaiyou/sanyo/2017/sanyo_iken.html

今回の意見書の提出により、第3期海洋基本計画の枠組み・構成が固まり、今後はこれを基にして各項目に具体的な施策をどう盛り込んでいくかに議論の焦点が移っていくことになる。

また、意見書は、次期基本計画の策定に当たっての方針に関する事項として、次期計画の記載の基本的考え方、計画を着実に推進するために留意すべき事項についてもかなり踏み込んで具体的に書いており、これに基づいて計画が策定されれば、実効性のある基本計画が策定されるのではないかという期待が湧いてくる。
Posted by 寺島紘士 at 23:41
国際海運集会所の国際海事関係条約の批准促進キャンペーン [2017年12月15日(Fri)]
前回のブログ(12月13日)で紹介した、国際海運集会所(ICS)と国際海法会(CMI)が優先的に批准を促進すべきとして取り上げられた3つの国際海事関係条約は、いずれも私も記憶している重要な国際条約である。

特に、「1992年の油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約の2003年の議定書(追加基金議定書)」に関しては、私も運輸省在任中の1990年に「1969年油による汚染損害についての民事責任条約」及び「1971年油による汚染損害の補償のための国際基金設立に関する国際条約」の改正国際会議に日本政府代表として出席したことがあるので、なぜ2018/2019年度に優先的に批准を促進すべき条約に取り上げられているのか関心が湧いてきた。

そこで、「Promoting Maritime Treaty Ratification(海事条約批准を促進する)−The ICS and CMI Campaign」というタイトルのついた国際海運集会所(ICS)のパンフレットを覗いてみた。(関心のある方は、下記サイトをご覧ください。)
http://www.ics-shipping.org/docs/default-source/resources/treaty-ratification-campaign-2017.pdf?sfvrsn=2

表紙をめくると、「A global industry requires global rules(グローバルな産業はグローバルなルールを必要とする)」という見出しが眼に飛び込んできた。

‛海運は本来的にグローバルな産業であり、その効率的な運営はグローバルな規制システムに依存している。安全、環境保護、船主責任、船員の訓練・雇用に関して同一の規制がすべての国際貿易に従事する船舶に等しく適用され、全ての航海に同じルールが適用されることが重要である。’
と書かれていて、なるほどと思う。

「1992年の油による汚染損害補償のための国際基金(IOPC Fund)の設立に関する国際条約の2003年の議定書(追加基金議定書)」についてさらにみると、油による汚染の損害の賠償・補償の仕組みについて概略次のように説明している。

タンカーによる油の流失事故が起こった場合には、先ず船主が一定限度までは賠償責任を負う。それを超える損害については石油産業からの拠出金を原資とする国際油濁補償基金が補償する。たいていの油濁損害事故の場合は、その損害はこの2段階の補償で十分カバーされるが、まれにこれを超える損害が生じる場合がある。それに備えて採択されたのが2003年の追加基金議定書で、それは2005年に発効している。しかし、その追加補償は、これを批准している国においてのみ供与され、現在この追加基金議定書の批准国数は、1992年IOPC Fund条約の加盟国の3分の1未満であり、もっと多くの国が追加基金議定書を批准してよりハイレベルの補償を受けられるようにする必要がある。

1997年正月早々に日本海で起こったナホトカ号重油流出事故のことなどを思い起こせば、追加議定書の批准促進が優先課題であることはよく理解できる。

国際海運集会所(ICS)と国際海法会(CMI)の国際海事関係条約の批准促進キャンペーンが成果を上げることを期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 23:29
国際海事関係条約の批准促進の動き [2017年12月13日(Wed)]
国際海運集会所(ICS)と国際海法会(CMI)が、2018/2019年度に加盟国が優先して批准すべき条約として、次の3つを選定し、パンフレットを作成・公表して批准を促しているとLRO Newsが伝えている。

@ 2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再利用のための香港国際条約(シップリサイクル条約)−未発効
A 1992年の油による汚染損害補償のための国際基金の設立に関する国際条約の2003年の議定書(追加基金議定書)−発効
B 2010年の危険物質及び有害物質の海上輸送に関する損害についての責任並びに損害賠償及び補償に関する条約(HNS条約)−未発効

シップリサイクル、油濁汚染損害の国際補償基金、HNSは、いずれも海事関係の重要なテーマであり、IMOで議論して作成されたこれらの条約の発効に向けて、国際海運集会所(ICS)・国際海法会(CMI)が各国に批准を促すのは時宜に適した活動だと思う。

では、これらの条約に日本はどのように対処しているのだろうか。LRO Newsのよると、日本は、Aには加入済みであるが、@とBには未だ加入していないという。未加入の理由はわからないが、@とBはまだ未発効であり、海運先進国として前向きな対応を期待したい。

なお、国際海運集会所(ICS)と国際海法会(CMI)は、このほかにも批准を促進すべき条約として、バラスト水管理条約、MARPOL条約付属書Y、1996年の船主責任条約議定書など6つの条約を掲げているが、日本は海難残骸物の除去に関するナイロビ条約以外は加入済みとのこと。

世界の物流を支える国際海運の円滑な運営に必要な条約をIMOで議論して採択しても、それが発効しなければ意味がないので、私たちも、それらの条約の採択だけでなくその速やかな発効と円滑な施行まで関心を持って見守っていくことが大切である。
Posted by 寺島紘士 at 23:11
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