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真鍋淑郎博士・特別講演会「地球温暖化と海洋」に参加 [2017年10月31日(Tue)]
10月31日(火)、真鍋淑郎博士・特別講演会「地球温暖化と海洋」が開催され、参加した。

この講演会は、笹川平和財団海洋政策研究所が主催し、国立研究開発法人海洋研究開発機構と東京大学大学院理学系研究科・理学部が後援して、笹川平和財団ビルの国際会議場で開催された。

地球温暖化モデル予測の世界第一人者である米国プリンストン大学の真鍋淑郎博士が来日されたので、この機会を捉えて開催されたものである。
171031真鍋博士IMG_0687 (2).jpg

講演は、Role of Ocean in Global Warming というタイトルの下で真鍋博士が現在最も力を注いでおられるという地球温暖化と海洋の関係に焦点を当てて行われた。

大気・海洋結合モデルと聞いて、文系の私には難しくてわかるかなと思ったが、博士の話を聞いているとなんとなくわかったような気になるから不思議である。

講演の中で、博士は、海について話を始めるときには‛海洋は面白い’と先ず朗らかに宣言し、また、水循環について話を始めるときにも‛水循環は面白い’切り出して話を進めた。その楽しそうなお顔を見ているとこちらの気持ちが話の中に素直に入っていく。

話を聞いていて、

'温暖化により北極の氷は融けて薄くなっているが、南極の氷は減っていない、これは南極の周りには南極周回流があるからである/放出されるCO2の半分は海に吸収されるが今世紀の後半になるとCO2を吸収できなくなる、炭酸イオンの問題がこれから大問題になる/世界レベルでの海洋観測がますます重要になってくる、Decade of ocean Explorationだ。…'

などの言葉が耳に残った。

とても86歳とは思えない情熱を感じさせる元気な声だった。

休憩をはさんで後半は、「海の未来に向けた特別対談:真鍋淑郎×山形俊男」が行われた。
171031真鍋・山形対談IMG_0688 (2).jpg

真鍋博士と対談した山形俊男博士は、東京大学教授・理学部長/理学系研究科長などを歴任して、現在海洋研究開発機構特任上席研究員。エルニーニョ現象の発生機構の解明やインド洋のダイポールモード現象の発見、予測など、海洋と気象の研究において世界の指導的立場にある。

海洋政策研究所との関係も深く、現在も海洋政策研究所特別研究員として研究事業に関する指導助言をいただいているほか、この3月までOcean Newsletterの編集代表者を長い間務めていただいた。

山形博士のリードでお二人の対談が進行し、250名ほどの参加者が熱心に耳を傾けているうちにあっという間に時間が過ぎて、特別講演会は閉会となったが、なかなか得難いいい講演会だった。
Posted by 寺島紘士 at 22:50
神戸大学海事科学部創基100周年記念祝賀会で交流 [2017年10月30日(Mon)]
神戸大学海事科学部創基100周年記念式典(本ブログ10月29日参照)の終了後、引き続き隣接の体育館で記念祝賀会が行われた。

内田誠海事科学部長の挨拶、来賓祝辞に続いて鏡開きが行われた。私も海神会の法被を着せてもらって壇上に上がり、槌をふるって鏡開きを行い、そのまま壇上で乾杯をした。

祝賀会は300人近い人々が参加して盛会だった。前から存じ上げている人、顔見知りの人、始めて挨拶する人、いろいろな方々に会った。

神戸大学海事科学部とは付き合いも長いので、旧知の人々と再会を楽しむとともに、初めて会う人たちと名刺交換をした。また、各地からから駆けつけた海洋関係の人たちとも挨拶し、言葉を交わした。

嬉しかったのは、神戸市企画調整局の谷口真澄局長、同局の瀬合達也政策調査課長等が私の講演に関心を持ち声をかけてきてくれたことである。神戸市とは、かつていろいろお付き合いをしたこともあり、現在の神戸市の幹部の方々が海洋都市としての神戸の発展と私の講演とを結び付けて聴いてくれたのは嬉しい。神戸市の今後の海洋関係を活かした取り組みにお役に立てれば幸いである。

また、席上、日本船長協会の葛西弘樹会長に会って挨拶をした。日本船長協会とはこれまでもいろいろご縁があったが、現会長の葛西さんとは会うのが初めてだったので、二人でゆっくり話すことができて良かった。

そんな中で、会場でカメラをもって動き回っている人がどうも見た顔だと思ったら、海事プレス関西支局長の坪井聖学さんだった。海事関係の記者としてお付き合いしていたが、ある時から関西勤務となって、それ以後は中々会う機会がなかったので久しぶりに会って言葉を交わした。元気で活躍している様子何よりである。

今回は東京から日帰りの神戸行きだったので、朝から夜遅くまで動き回って少し疲れたが、神戸大学海事科学部創基100周年記念式典及び祝賀会というめったにない有意義なイベントに参加することができて心が満たされた1日だった。。
Posted by 寺島紘士 at 21:35
神戸大学海事科学部創基100周年記念式典で講演 [2017年10月29日(Sun)]
10月28日(土)、神戸大学海事科学部創基100周年記念式典に出席して基調講演をした。

神戸大学海事科学部の歴史をひも解くと、1917年(大正6年)に私立川崎商船学校が設立され、それがその後神戸高等商船学校、神戸商船大学へと発展して、2003年(平成15年)10月に神戸大学と統合して現在の神戸大学海事科学部となった。

私は神戸大学海事科学部とは神戸商船大学の時代から何かとご縁があり、世界海事大学(WMU)や国際海事大学連合(IAMU)など海事に関する国際活動でも協力してきた。

そんなこともあったからだろうか、神戸大学大学院の内田誠海事科学研究科長から今回神戸大学海事科学部が創基100周年を迎えて開催する記念式典において基調講演をしてほしいとの依頼をいただいた。大変光栄なことであり、お引き受けした。

記念式典は、海事科学部が所在する100年前の創設時からの伝統の地、神戸大学深江キャンパスの講堂で行われた。

記念式典は、福岡俊道教授の開式の辞で始まり、まず神戸大学の武田廣学長が式辞を述べ、
神戸大学海事科学部100周年IMG_0684 (2).jpg

続いて内田誠海事科学部長が挨拶し、文部科学省高等教育局長の来賓祝辞(代読)があった。

それに続いて、私が「海洋ガバナンスにおける神戸大学の役割」について基調講演を行った。

折から、地球表面の7割を占める海洋に関しては、そのガバナンスの取組みが2015年から国際的に大きく盛り上がってきている。

そこで、私の講演では、
@海洋の管理に向けた新しい法秩序を構築した国連海洋法条約の採択(1982)・発効(1994)、海洋の総合的管理と持続可能な開発のための国際的な行動計画の策定(1992〜)を受けて、20世紀末から海洋ガバナンスの取組みが始まったこと、

A2015年に、a. 国連総会が「国家管轄権外区域の海洋生物多様性の保全と持続可能な利用に関して国連海洋法条約の下での法的文書作成」を決議(9月)し、b. 国連持続可能な開発サミット2015が、17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択したことから、海洋をめぐる取り組みが再び国際的に大きく動き出したこと、

Bさらに、2017年6月には、SDG14 実施のためのハイレベル「国連海洋会議」が開催され、「Call for Action(行動要請)」が採択されたこと、このような中で、国際社会では、政府・国際機関、学界、NGOだけでなく産業界の取り組みも活発化してきていること

Cそのような国際的な動きを背景にわが国でも海洋基本法にもとづいて、目下、来年春の第3期海洋基本計画の策定に向けて検討が進められていること、

等を述べて、最後に海洋ガバナンスにおける神戸大学の役割として、

21世紀は、海洋の保全と持続可能な開発利用に向けた「海洋ガバナンス」の世紀であり、そのために必要な政策、科学的知見と技術の供給が求められていることから、創基100年の海事科学部を擁する神戸大学には、海洋ガバナンスの実現に向けて、海洋に関する総合的・学際的な研究・政策提言・人材育成の分野で国際社会をリードする大学を目指すことへの期待を表明した。

その上で、総合大学であることの利点を活かした学部間連携等による学際的取組みとして、

a. 理工学分野の知識に政策・経済・社会分野の知見を加え、人類の持続可能な発展に不可欠な地球・海洋環境の保全、海洋の開発利用に関する教育研究を推進
b. 海洋ガバナンスの秩序、政策、行動計画等の策定・実施への積極的参画、人材の育成・供給
など提案して講演を終えた。

この後、「海事科学部100年の歩み」として、福岡教授が100年の歩みを写真で紹介した。写真で見ていくとその変遷がよくわかるなかなかいいプレゼンテーションだった。
続いて神戸大学との統合当時の神戸商船大学学長だった原潔氏が「神戸商船大学の21世紀の戦略と神戸大学との統合」について語った。原さんとは様々な海事関係の取組みで互いに協力し、お世話になった仲なので、聞いていてその発表に引き込まれた。(続く)
Posted by 寺島紘士 at 21:05
運輸省海運会に出席 [2017年10月27日(Fri)]
10月26日(木)夕方、運輸省海運会が開催され、出席した。

この会は、旧運輸省海運局で共に働いた人たちの集まりである。

運輸省は、2001年1月に中央省庁等改革の一環として建設省、国土庁、北海道開発庁と合体して国土交通省となった。

運輸省海運会は、今回が第31回。
運輸省時代に会がスタート(と記憶している)し、国土交通省になってからも「運輸省海運会」という名前を大事にしてキープして会が運営されてきた。

私は、昭和40年に運輸省に入省した時に海運局総務課に配属され、昭和49年には海運局定期船課(補佐官)、平成元年に貨物流通局政策課(課長)、平成4年に大臣官房審議官(海事3局、港湾局担当)と4回にわたって海運局関係の仕事をしたので、「海運局」は古巣である。

夕方少し早めに会場に着くと、定期船課時代の課長の熊木藤吉さんがもう見えていたので、早速隣に腰かけて話した。人々が集まってくると、親しい顔、懐かしい顔、見覚えのある顔、いろいろな顔で回りがいっぱいになった。

互いに年を取ったせいか最初は誰だかわからなかったりすることもあったが、話しているうちに昔に戻って話が盛り上がったりするのもこの会の良さであり、だから今日に至るまで海運会が継続しているのだと改めて思った。今回も、OBが60余名、現役40余名と100人以上の人たちが出席して盛会だった。

会は、最初に総会を行って平成29年度の海運会役員を選任し、その後懇親会を開催した。

懇親会の冒頭に、今回出席できなかった岩村敬会長に代わって高橋朋敬副会長が挨拶し、続いて国土交通省の蒲生篤実海事局長が挨拶と乾杯をして、あとは参加者による懇談となった。

参加者は、未だ現役の人、退職後も働いている人、高齢(80歳を超えている人たちも出席)で悠々自適?の人といろいろだが、懇談の席では昔の付き合いに戻って話が弾み、顔つきや表情までが昔に戻っていくように感じるは不思議である。

私は、家に帰ってやることもあったので、会の最後まで残っていないで程々のところで失礼して帰ろうかと最初は思っていたが、人々の間を、挨拶したり、されたりして回っているうちに時が経ち閉会の時間が来てしまった。最後に皆さんとともに、春成誠副会長による中締め、と吉田貴司副会長による恒例の万歳三唱に参加して心楽しく家路に着いた。
Posted by 寺島紘士 at 22:43
海洋ガバナンスについて講演 [2017年10月26日(Thu)]
10月25日(水)、三井グループの三井業際研究所の依頼を受けて、その海洋未来都市構想調査研究委員会で21世紀における海洋ガバナンスについて講演した。

講演の依頼は、@2018年策定予定の海洋基本計画の動向、A世界的にみた海洋政策の動向、方向性、B我が国の海洋政策等から見た海上未来都市の位置づけ、期待される役割・技術の3点についてだった。
 
しかし、20世紀後半からの、地球表面の7割を占める海洋の問題への対応は、まず国際社会における海洋の総合管理に関する法秩序の構築、持続可能な開発利用に関する海洋政策・行動計画の策定が先行し、それを受けて各国が国レベルでそれらに取り組むという順序で進行した。

そこで私の講演は、「21世紀における海洋ガバナンスを考える」というタイトルの下で、A→@の順序で行った。

まず、海洋秩序の原則を「海洋の自由」から「海洋の管理」に転換した海洋に関する包括的な法的枠組み・ルール「国連海洋法条約」の採択(1982)・発効(1994)と、地球サミットにおける「環境と開発」リオ宣言と持続可能な開発のための行動計画「アジェンダ21」の採択(1992)とが相互に連携して、海洋ガバナンスの取り組みが20世紀の末に本格的に始まったことから話をスタートした。

そして、それから20年後の2015年から海洋をめぐる国際的取組が再び大きく動き出したことに話を進めた。

具体的には、「国家管轄権外区域の生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国連海洋法条約の下での法的文書作成」を決めた国連総会決議(2015.6)と、国連持続可能な開発サミットにおける持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択(2015.9)が、新しい取り組みの始まりである。

そして、今年の6月には、持続可能な開発目標(SDG)14実施のためのハイレベル国連会議として「国連海洋会議」が開催され、SDG14の実施を推進するための具体的行動を示したCall for Action(行動要請)が採択されたことに話を進め、これらの取組みを、「すべてのレベルにおける協議・調整を強化し、官民連携を含む有効で透明なマルチ・ステークホルダーのパートナーシップを構築して推進」することとなったことを説明した。

そして、国際社会で活発化してきた産業界の動きの具体例として、次の2つのイベントを紹介した。
・World Ocean CouncilによるSustainable Ocean Conference (SOS)の開催(2017.11.29-12.1 於カナダ・ハリファックス)、
・Lloyd’s Register, MAN Diesel & Turbo, Danish Shipping等の海運業界の有志代表と気候変動枠組条約COP23参加者による「野心的な目標1.5度C:世界海運行動計画サミット」の開催(11. 13 於ドイツ・ボン、COP23の並行イベント)

これらのことを特に取り上げて強調したのは、国連海洋会議をはじめ最近の海洋ガバナンスに関する取組には産業界の積極的参加が目覚ましいので、三井グループにおける異業種間の業際分野における知識集団としての役割を果たすことを目的として活動している方々に、そのような国際的流れに目を向け、それらに参画してもらいたいと思ったからである。

次にわが国の取組みについては、海洋基本法制定の経緯や海洋基本法の内容、同法制定後の成果、さらに第2期海洋基本計画の内容を概観したうえで、第3期海洋基本計画策定に向けた総合海洋政策本部参与会議の現在までの検討状況と参与会議意見書の提出時期などについて説明した。

依頼事項Bの海上未来都市については、時間等の制約もあり、講演ではあまり取り上げず、講演後の懇談の席で、海洋の総合的管理と持続可能な開発利用の政策的視点からみたその可能性について私見を述べた。

講演後の懇談会では、10余人の研究会メンバーとテーブルを囲んで直接いろいろと話し合うことが出来て面白かった。現役バリバリの人たちに、今や海洋ガバナンスの取組みが実施段階に入っていて産業的視点から積極的に取り組みに参加してくる人たちが多くなっていることを伝えたい、と日頃思っていたので、懇談の場でそういう話も出来てなかなかいいひとときだった。
Posted by 寺島紘士 at 23:53
海洋空間計画・沿岸域総合管理が国連海洋会議で取り上げられた [2017年10月24日(Tue)]
持続可能な開発目標(SDG)14を実施するためのハイレベル国連会議として、6月に開催された国連海洋会議については、すでに本ブログで何回も取り上げた(本ブログ6月8日、11日、14日、15日等参照。)が、今回は、同会議で採択されたCall for Actionについてみてみたい。

国連海洋会議は、SDG14 のターゲット実施について全体会議と7つのパートナーシップ・ダイアローグを開催して、「Call for Action(行動要請)」を採択し、「パートナーシップ・ダイアローグ」概要報告をまとめた。

Call for Action は、国連海洋会議の主たる成果であり、最終日に全体会議でこれを採択し、第71回国連総会での承認を勧告している。

Call for Actionは、次の18のパラグラフからなり、中々良くできている、と思う。残念ながらまだ日本語訳が見つからないが、関心のある方は下記の国連のThe Ocean Conferenceウェブサイトで一読をお薦めしたい。
https://oceanconference.un.org/callforaction

その構成は次のとおり。
1〜3: 国連海洋会議、海洋の現状
4: 気候変動、パリ協定
5: 海洋生態系の劣化
6〜7:SIDS,LDCs、アフリカ諸国
8〜10: 取り組み方(政策の協調、国ごとの計画・戦略、科学)
11: 既存の枠組の尊重(RIO+20「我々が望む未来」)
12: 科学的調査・研究、人材育成・技術移転
13: 具体的行動の要請(22項目)
14: 実施に向けた努力(国連事務総長、UN-Oceansなど)
,
このうち、パラ13は、海洋・海洋資源の保全と持続可能な利用のために、全ての関係者(Stakeholders)に次の行動を緊急にとるよう要請している。

そこに掲げられている22の具体的行動を見ていくうちに、中ごろの(j)項に目が留まった。

それは海域(又は海洋空間)の管理について次のように行動することを要請している。

「海洋の回復力を強化し、海洋生物多様性をより良く保全しかつ持続可能な利用をするために、海洋保護区や海洋空間計画・沿岸域総合管理といった統合的・分野横断的アプローチを含む区域型管理ツールの効果的かつ適切な利用を、最善の科学的情報に基づき、ステークホルダーの関与や予防原則・生態系アプローチを適用し、国際法や各国法令に従って、支援する。」

わが国では、目下、第3期海洋基本計画の策定作業が佳境に入っているが、その検討プロセスでも排他的経済水域(EEZ)、沿岸域などの海域の管理が一つの論点になっている。

その際に「Call for Action(行動要請)」にも取り上げられた「海洋保護区」「海洋空間計画」「沿岸域総合管理」などについても議論されているが、まだまだその重要性については十分に浸透していないように思う。

しかし、これらは、SDG14の「Call for Action(行動要請)」にも取り上げられたことからもわかるように、海洋の総合的管理と持続可能な開発利用に向けて今世界が一致協力して取り組もうとしている海洋ガバナンスに不可欠な海域管理ツールである。

国際的には、これらが海域(又は海洋空間)の管理ツールとして既に確立し、共有されていることをこの機会に皆さんにも認識していただきたい、と思いここに取り上げた。
Posted by 寺島紘士 at 23:49
中国が北極海の中央航路開発に乗り出す [2017年10月22日(Sun)]
10月13日の日本海難防止協会ロンドン研究室から送られてきたLRO Newsの「本日のトピック」の中に「中国が北極海第3の「中央航路」を模索」とあるのが目に留まった。

中国は、北極海航路の利用により、中国と欧州の間の海上輸送に必要な所要日数を15日間短縮できるため、過去1年間で、6隻の中国船がロシア沿岸の北極海北航路(Northern Sea Route)を運航したという。

しかし、中国は、北極海北航路だけでは中国と欧州との間の増大する輸送需要を満たすのに十分でないこと、また、ロシアが北極海北航路の安定的な利用に必要な信頼できるガイダンスや事故発生時の連絡体制を整備できていないことなどから、ロシア北方のより北極点に近い「中央航路Central seaway」の開発にも乗り出し、この夏、砕氷船Snow Dragonを北極海に送り調査しているという。

中国が北極海航路に積極的に関わろうとしていることは前から感じていたが、ロシアやカナダの沿岸の航路ではなくて北極海の中央部にある公海に着目して、そこを通る中央航路の開発にも乗り出しているというのを聞いて、中国の北極海航路に対する関心が並々ならぬものであることを強く感じた。

現在中国は「一帯一路」政策を推進している。その目線の先には欧州がある。

そう考えると、欧州との経済関係の強化の一環として欧州との間を結ぶ輸送路の開発に乗り出し、北極海でも北航路の利用だけにとどまらず中央航路の開発に積極的に取り組む、という中国の戦略の一端が垣間見えるような気がしてきた。
Posted by 寺島紘士 at 01:10
10月中旬の海洋政策関係会議等 [2017年10月20日(Fri)]
10月中旬は、押し詰まってから、第145回海洋フォーラム、「海の未来に向けたネットワーク会議」、総合海洋政策本部参与会議「第5回基本計画委員会」などが集中的に開催され、忙しかった。

10月中旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

10月12日(水)
〇海洋政策研究所の吉田哲朗副所長とともに日本財団の海野光行常務理事訪問、オーシャン・ニューズレターの新年1月5日号掲載記事等について打合せ

10月16日(月)
〇総合海洋政策本部参与会議の古庄幸一参与及び浦環参与とともに内閣府総合海洋政策推進事務局訪問、羽尾一郎局長等と意見交換

10月18日(水)
○第145回海洋フォーラム参加
講演:これからの沿岸域管理 ー次期海洋基本計画策定に向けた動きと現場の声ー
講師:
松田治氏(広島大学名誉教授/総合海洋政策本部参与会議海洋環境の維持・保全PT委員)
西尾新氏(志摩市里海創生推進協議会副会長/志摩市観光協会長)
富永修氏(小浜市海のまちづくり協議会長/福井県立大学海洋生物資源学部教授)
(本ブログ10月18日参照)

10月19日(木)
○笹川平和財団海洋政策研究所・日本財団共催「2017年度 海の未来に向けたネットワーク会議」出席
○総合海洋政策本部参与会議の「第5回基本計画委員会」傍聴
○第207回オーシャン・ニューズレター編集会議(上記会議と重複してやむを得ず欠席)
(以上、本ブログ10月19日参照)

10月20日(金)
○笹川平和財団海洋政策研究所・日本財団共催「2017年度 海の未来に向けたネットワーク会議」(第2日)出席
Posted by 寺島紘士 at 23:51
海洋関係の会議が10月19日に集中 [2017年10月19日(Thu)]
10月19日は、海洋関係の会議が集中していて朝から忙しかった。

先ず、朝早くから笹川平和財団海洋政策研究所・日本財団共催の「2017年度 海の未来に向けたネットワーク会議」が開催され、出席した。この会議は、昨年まで行われていた沿岸域総合管理ネットワーク会議を発展させたもので、海洋・沿岸域に関する国・地方自治体関係者、有識者、専門家等が一堂に会して19日・20日の2日間笹川平和財団ビルの国際会議場で行われている。

午後には、総合海洋政策本部の参与会議基本計画委員会が開催された。第3期海洋基本計画に関する参与会議の意見書取りまとめが近いので、ネットワーク会議を中抜けしてこちらを傍聴参加した。委員会は、張り詰めた空気の中で活発な議論が行われていた。

このほか午後には、オーシャン・ニューズレターの編集会議があったが、上記2つの会議とかち合ってしまったので、やむを得ず欠席した。
Posted by 寺島紘士 at 23:52
これからの沿岸域総合管理を考える [2017年10月18日(Wed)]
10月18日(水)、海洋政策研究所の第145回海洋フォーラムが開催された。

まず、広島大学名誉教授で総合海洋政策本部参与会議海洋環境の維持・保全PT委員の松田治氏が「これからの沿岸域総合管理〜海洋基本計画策定に向けた動き〜」というテーマで、次期海洋基本計画の策定に向けた参与会議PTの検討やわが国における沿岸域総合管理関係の取組み、さらに2015年9月に採択された持続可能な開発目標(SDGs)のSDG14などについて講演した。

続いて志摩市里海創生推進協議会副会長・志摩市観光協会長の西尾新氏が、志摩市里海推進協議会の取組みについて、また、小浜市海のまちづくり協議会長・福井県立大学海洋生物資源学部教授の富永修氏が小浜市の海のまちづくり協議会のこれまでとこれからについて講演した。

さらに、海洋政策研究所海洋研究調査部の古川恵太部長が、日生町地先のアマモ場再生努力からスタートして「備前市里海・里山ブランド推進協議会 with ICM」に結実した、備前市の沿岸域総合管理の取組みを備前市に替わって紹介し、沿岸域総合管理の取組みによる地域振興について発表した。

私は、6月末に海洋政策研究所長を退任し、その後の海洋フォーラムの運営には携わっていないので、気楽な立場で聞いていた。

講演した皆さんはこれまで沿岸域総合管理のモデル事業で親しくお付き合いしてきた方々だ。皆さんが沿岸域総合管理にかける熱意とそれぞれ持ち味を生かして発表していて、これからの沿岸域総合管理を考えるのにふさわしいなかなかいい海洋フォーラムだった。
Posted by 寺島紘士 at 23:33
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