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7月下旬の海洋政策関係会議等 [2017年07月31日(Mon)]
7月も下旬になって、外は猛暑だが、仕事・行事の方は適度となり、少し落ち着いて書類整理に取り組む時間的余裕が出てきた。

そこで、段ボール箱から本・冊子や書類を取り出して整理を進めていくと、20世紀末から今日までの海洋政策の取組に関する貴重な資料が次々と出てきた。

マラッカ海峡等における海賊対処・安全のための国際協力体制構築、世界の海洋関係者とともに設立したGlobal Ocean Forum(GOF)の国際会議での諸活動、我が国で海洋基本法の制定に導いた海洋政策提言及び海洋基本法研究会における審議状況と成果、UNFCCC COP 21及び22、海洋酸性化に関する国際会議、国連BBNJ準備委員会、国連海洋会議…などがその例である。

それらをある程度分類して書棚等に並べていくうちに、今後それらをどう整理し、どのようにとりまとめていくかのイメージが段々具体化してきている。

7月下旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。 

7月21日(金)
○国土交通省の田端浩 国土交通審議官訪問
○国土交通省の蒲生篤実 海事局長訪問

7月24日(月)
水交会と共催の海洋安全保障シンポジウムについて所内打合せ

7月25日(火)
○内閣府総合海洋政策推進事務局の甲斐正彰局長、藤原威一郎参事官来訪
○Mike Mochizuki氏の来訪について所内打合せ

7月26日(水)
○平成29年「海の日」海事関係功労者祝賀会出席
(本ブログ7月26日参照)
○海洋研究開発機構の菊池一成経営戦略課長来訪

7月27日(木)
第4回海洋安全保障シンポジウム(笹川平和財団・水交会共催)

7月28日(金)
笹川平和財団プレミアム・フライデー懇談会出席
Posted by 寺島紘士 at 23:18
「海のトリビア」を見つけた。 [2017年07月30日(Sun)]
このたびの財団ビル3階への部屋の引っ越しで本や書類を整理していて、その時々の思い出がつまった懐かしい成果物をいろいろ見つけた。

そのひとつが、「海のトリビア」である。

「海のトリビア」は、2005年3月にシップ・アンド・オーシャン財団海洋政策研究所(現笹川平和財団海洋政策研究所)と日本海洋学会が共同で作成し、日本教育新聞社から発行した教育参考書である。

現在研究所で海洋教育パイオニアスクール事業に取り組んでいる酒井英次海洋事業企画部長が、当時研究員として「海のトリビア」作成の中心になって取り組んでいたのを思い出した。

本書は、海洋と教育に関する様々な分野の有識者・専門家が、「楽しい学びの宝庫である海」に対する子供たちの知的好奇心を刺激し興味を掘り起こすキッカケとなる様々なトリビアを持ち寄り、最終的に50個のトリビアについて原稿を分担執筆して出来上がった。

「鳥のウンチでできた国がある」「おぼれる魚がいる」「空を飛ぶイカがいる」「沖縄より南に東京都がある」「海水には金が溶けている」「マグロは泳いでいないと呼吸ができない」「海底下には火をつけると燃える氷が存在する」…、…、…

興味深い海の雑知識が「3分でわかる海のネタ本!!」としてトリビアごとに見開き2ページで簡潔にまとめられている。

表紙に「小学校の先生の授業のネタに!!」、「お父さん、お母さんの自慢話に!!」と謳っており、先生と保護者に向けた海のネタ本という狙いでまとめられている。

さらに、各トリビアには、「教室に海を!」欄を設けて、トリビアの関連教科とその関連度、学年、単元名・教材、コメントを記し、さらにそこで示された関連を学年ごとの一覧表にまとめた単元配列表が巻末に付けられていて、学校で活用しやすいように工夫されている。

このような、子どもたち、さらには先生たちの知的好奇心を刺激しようという本書の狙いは、かなり当たり、発行半年後の9月には第2版が発行されたことが記憶によみがえってきた。

さらに、この好評を受けて2006年9月には、さらに50個のトリビアを掲載した「続・海のトリビア」が発行されている。

今回書物の山の中から出てきた「海のトリビア」と「続・海のトリビア」の表紙を眺めていて、当時のことをあらためて思い出すとともに、私たちが推進してきた学校教育における海洋教育の取組はその後進展してきてはいるが、この「海のトリビア」のようなアプローチは今でもまだまだ有効であり、それらの再活用を現在の視点で改めて検討してもいいのではないかと思った。

<注>
「海のトリビア」の中古本は、今でもアマゾンなどで入手可能である。
Posted by 寺島紘士 at 23:42
笹川平和財団海洋政策研究所長退任、その後 [2017年07月29日(Sat)]
今日は7月29日、笹川平和財団理事及び海洋政策研究所長を退任してから1月が経過した。

この間、私の退任を聞いて、わざわざ訪ねてきた人、メール・電話で連絡してきた人、海洋政策ブログにコメントを寄せた人…、この20年余の間に様々な海洋の取組を通じて知り合った多くの方々から過分なねぎらいのお言葉をいただき恐縮するとともに、海洋が有している「人々をつなげる力」の大きさを実感した。

そして、地球の表面の7割を占め世界をつなぐ母なる海の「オーシャン・ガバナンス」の実現に向かって国際社会・各国が取り組みを始めたこの時期に、海洋政策の研究・実践に取り組み、内外で多くの皆さんと知り合い、交流を深めてきたことの幸せに感謝した。

皆さんどうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

7月からは、笹川平和財団参与として、少し時間的余裕をいただいて勤務している。

海洋政策研究に関する情報収集・分析、支援・助言とこれまでの海洋政策研究の取組に関するとりまとめが新業務であるが、3階への引っ越し、挨拶、書類整理、そして「海の日」関係行事等への出席や新しい環境への適応などに追われているうちに1月が過ぎてしまった。
170726笹川平和財団ビル3FからIMG_0550 (2).jpg

  <笹川平和財団ビル3階からの眺め>

目下、なるべく早く新しい環境の下での日常業務の実施スタイルを組み上げて新業務に取り組んでいこうと努めているところである。
Posted by 寺島紘士 at 23:28
特別展「深海2017〜最深研究でせまる“生命”と“地球”〜」開催中 [2017年07月28日(Fri)]
7月28日、特別展「深海2017〜最深研究でせまる“生命”と“地球”〜」の入場者が10万人を突破した、と讀賣新聞が報じていた。

実は、先日、海洋研究開発機構の菊池一成経営戦略課長が見えて、上野の国立科学博物館で開催されている、この特別展「深海2017」について案内をいただいたばかりである。

2013年夏に特別展「深海」が開催されて、大きなダイオウイカの生きている映像とともに、ダイオウイカの標本が展示されて話題を呼んだことは記憶に新しい。

あれから4年、今回は、深海を星空のように彩る発光生物、深海に生息している巨大な生物、超深海等を見どころにしており、特別展「深海」がパワーアップして戻ってきたと言われている。

菊池さんと話していて、この特別展の魅力は、生命が生まれた海洋の深海に棲む生物に焦点を当てて展示・紹介している点にある、と意見が一致した。

紹介パンフレットに登場するクロカムリクラゲ、デメニギス、ダイオウイカ、オンデンザメ等の生物は、私たちが日ごろ見慣れている海の生物とはちょっと異なる姿形をしている。

しかし、ちょっと奇妙に見えてもそれが生物であることは間違いなく、深海に棲むそれらの生物が同じ生きものである私たちに深海の魅力を伝え、私たちの深海に対する関心を惹き起こしてくる。これらの生物を通じて、私たちの深海に対する関心が一層高まり、理解が深まっていくといいねと菊池さんと語り合った。

この特別展「深海2017」は、国立科学博物館、海洋研究開発機構、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社が主催しており、10月1日まで開催されている。

子供たちも含めて、広く国民の皆さんに見ていただきたい特別展であり、お奨めしたい。
詳しくはhttp://shinkai2017.jp/ をご覧ください。
Posted by 寺島紘士 at 23:20
各地からの夏のイベント情報 [2017年07月27日(Thu)]
7月も残り少なくなったが、夏はこれからが盛り。各地で夏のイベントがたくさん企画されている。そのうちの気になるいくつかを紹介してみたい。

先ずは、東京湾。
7月21日の海上保安庁のニューズリリースは「東京湾の環境一斉調査を実施します!〜みんなで知ろう!東京湾!〜」というタイトルで、次のように呼びかけている。

「東京湾環境一斉調査(後援:一般社団法人日本経済団体連合会)は、東京湾の全域及び陸域を対象とした調査を通じて、東京湾の汚濁メカニズムを解明することを目的としており、今年で10回目を迎えます。

今回は132機関(共通資料別紙1参照)が本調査に参加し、水質調査・生物調査・環境啓発活動等を行います。今年度は、より多くの方に東京湾とその再生に向けた取組に関心を持っていただくため、一斉調査の中でも「生物調査」に焦点を当て、市民の方にもご参加いただける「干潟調査」を新たに設けて実施します。」

市民参加の「干潟調査」に心惹かれるが、関心のある方は、http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2017/20170721-2.pdfをご覧ください。

次は、富山湾。
美しい富山湾クラブの7月26日配信のメルマガは、次の2つのイベントを案内している。

○第1回NOWPAP地域における 海草藻場分布評価国際ワークショップ
日時:平成29年8月3日(木) 13:00〜17:00(12:30受付開始)
場所:富山県氷見市海浜植物園(富山県氷見市柳田3583)
参加費:無料
定員: 50名
言語:英語
詳細内容・申込み方法は、こちらをご覧下さい。
http://www.npec.or.jp/pdf/HimiSeagarssWS2017.pdf

○世界で最も美しい湾ウオーク 第5回魚津海岸
日時:平成29年9月30日(土)9:40〜14:00
(受付は9:00、終了時間はAコース11:40、Bコース13:40を予定しています。
集合場所:魚津市役所正面玄関前(魚津駅から約200m)
コース内容:
・Aコース(7km)
魚津市役所 → 海の駅蜃気楼 → ミラージュランド → 西魚津駅
・Bコース(13km)
魚津市役所 → 海の駅蜃気楼 → ミラージュランド → 吉浦公園 → 滑川海浜公園 → 滑川駅
※Bコースは昼食を ミラージュランドで予定しています。お弁当をご持参下さい。
申込方法:
当日、直接集合場所までお越し下さい。参加費は300円です。(小学生以下は無料)
※協会員(TWA加盟団体)は所属団体へ事前申込してください。参加費無料です。
詳細内容は、こちらをご覧下さい。
http://www.toyamabay.club/wp/wp-content/uploads/2017/07/9b6dc689c2192ae9355175ca8e2f1d73-1.pdf
Posted by 寺島紘士 at 23:53
平成29年「海の日」海事関係功労者祝賀会に出席 [2017年07月26日(Wed)]
7月26日(水)、平成29年「海の日」に当たり海事関係功労により国土交通大臣表彰を受賞された方々を招いて祝賀会が開催され、出席した。
170726海事関係功労者祝賀会IMG_0548 (2).jpg

<開会前の会場風景、開会時には出席者で会場はいっぱいだった>

この祝賀会は、日本海事広報協会、日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本造船工業会、日本財団、日本港運協会、日本港湾協会、日本旅客船協会、日本倉庫協会、海上保安協会、日本冷蔵倉庫協会、日本観光振興協会が発起人となり、「海の日」に関する恒例の行事として毎年行われてきており、私にとっても長きにわたって出席してきたなじみ深いものである。

祝賀会は、日本海事広報協会の朝倉会長の挨拶で始まり、20人ほどの今年の海事関係功労者が、壇上に上がって、会場に集まった出席者の熱い拍手を受けていた。

セレモニーが終わると、懇談の場となる。

祝賀会に集まった産・官・民の海事に関する様々な分野からの出席者が、表彰を受けた方々を祝福し、また出席者同士がおめでたい雰囲気の中で日ごろの付き合いを発展させ、さらには久しぶりに顔を合わせた人たちが思い思いに旧交を温め直すという、一年に一度の楽しい機会として会場が和やかな雰囲気に包まれていく。

私も、顔なじみだが、日常頻繁に顔を合わせるほどではない様々な旧知の人たちとの会話を楽しみながら、会場を巡って楽しいひと時を過ごした。

17日の「海の日」行事“海と日本プロジェクト” の総合開会式、20日の同記念祝賀会、そして本日(26日)の「海の日」海事関係功労者祝賀会と、今年も一連の「海の日」の記念行事に出席し、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことが出来たことを慶びたい。
Posted by 寺島紘士 at 22:32
西之島の再噴火のその後 [2017年07月25日(Tue)]
西之島の再噴火については、本ブログでもたびたび取り上げてきた(5月1日、5月11日、28日等)が、その後公私ともに多忙になり、しばらくフォローしていなかった。

国民の祝日「海の日」が過ぎたころからようやく少し余裕ができてきたので、久しぶりにその後の西之島の状況を海上保安庁のウェブサイトで覗いてみた。

そして、西之島が、引き続き活発に活動していることを知った。

6月29日の航空機による観測の結果は次のとおり。

1. 火山活動の状況
・火砕丘中央の噴火口より数秒から約30秒間隔で小規模な噴火が発生、灰色の噴煙が火口縁から高さ200mまで放出されていた。
・溶岩流が西側から海に流入し、先端からの白色蒸気を確認した。
・火災丘南山腹に新たな溶岩流出口を確認した。

火山活動が続いているので、海上保安庁では引き続き航行警報により付近航行船舶に注意を呼びかけている。

2. 4月20日の新たな噴火以降に形成された陸地の状況
6月発行した西之島の海図(本ブログ7月8日参照)記載の海岸線(平成28年12月測量)に対して、溶岩流の先端が2か所で海上に張り出し、西へ約330m、南西へ約310m拡大していた。

<参考>
6月29日時点での⻄之島の形状(暫定値)
・東⻄:約2,100m(5月2日時点約2,000m)
・南北:約1,900m(5月2日時点約1,900m)
・面積:約2.9平方km(5月2日時点約2.8平方km)

下記のプレスリリースにより現地の写真等を見ると、その状況がよくわかる。
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2017/20170705.pdf

さらに、7月11日の観測でも、火砕丘中央の噴火口から約70秒間隔で小規模な噴火が発生し、灰白色の噴煙と噴石を放出していて、溶岩流が西岸から海に流入し、先端からの白色蒸気を確認したという。

このように西之島は活発な火山活動を続けているので、その状況をこれからも注目していきたい。
Posted by 寺島紘士 at 23:26
「海の日」と3連休について考える [2017年07月24日(Mon)]
7月17日と20日の「海洋政策は今」ブログで、国民の祝日「海の日」は、本来は7月20日であるが、ハッピーマンデー制度によって2003年から7月の第3日曜日に変更されていることを取り上げた。

そして、祝日にはその日を国民がこぞって祝うそれなりの由来と意義があり、毎年祝う日が変わるようでは祝日の意義が薄れ、単なる休日に近くなってしまう、として、「海の日」を本来の7月20日に固定化すべきという世論が巻き起こっているのは海の恩恵を真剣に考えて感謝している人たちにとっては当然の動きである、持論を述べた。

すると、美しい富山湾クラブの活動などで日頃親しくお付き合いしている高桑さんから、先日、次のようなメールをいただいた。

‛海の日が7月20日であるのは意義付けからしてきちんと認識していくべきかと思いますが、タモリカップ富山大会は3連休のおかげで土曜日に新潟、石川、福井、愛知から回航してきていただき、日曜日にパレード&レースを楽しみ、月曜日に回航&レースをしながら帰って頂いています。
タモリカップでなくても海の日をゆっくりと楽しむためには、3連休はありがたいと思います。そんな考えの者もいるという事をご承知のうえ、取り組んで頂けたら幸いです。’

3連休を増やして人々にどんどん旅行をしてもらおうというねらいで(祝日の意義とは関係なく)ハッピーマンデー制度ができたと思っていたので、このメールを見てちょっと虚を突かれたような感じがした。

タモリカップ富山大会は、申し分のない「海の日」にふさわしいイベントである。高桑さんが海を愛し、海のことを真剣に考えてタモリカップ富山大会に取り組んでいることは私もよく承知している。高桑さんから率直な感想を聞いて、すこし心が動いた。

2日ほど考えた末にたどり着いたのは、要は、人々が海のことに心をとめないで「海の日」を単なる休日として過ごすのではなく、国民の皆さんが海に感謝し、海と私たちの関わりを真摯に考える日として「海の日」を過ごすことが重要であり、これが本件を考えるキーポイントだという点である。

こう考えると、「海の日」の有意義な過ごし方としてタモリカップ富山大会がもっと多くの人に知られてもいいのではないかと思った。

しかし、では「海の日」は今のまま7月の第3月曜日でいいのかと問われると、永年に渡って7月20日を海の日として祝ってきており、さらにこの日には、「海の記念日」からの本来の意義に加えて、国連海洋法条約がわが国について発効した日(1996年)、海洋基本法が施行された日(2007年)など、近年も様々な海の関する意義が積み重なってきている。正直のところ毎年「海の日」の日付が替わるのには抵抗がある。

国民の祝日「海の日」を7月20日としたうえで、タモリカップのような「海の日」イベントも3日間(又はそれ以上)かけて開催できるようないい仕組みが考えられないだろうか。目下、そのことが私の頭の中でうごめいている。

例えば、有給休暇の確実な消化が叫ばれている今日、次のような考え方もあると思ってはいる。

「海の日」を本来の7月20日に戻しても、その日が、月曜日か金曜日となる場合はもちろん、日曜日となる場合も祝日法第3条第2項により、ハッピーマンデー制度がなくても3連休となる。さらに、海の日が火曜日〜木曜日の場合は、週末との間に有給休暇を取れば4連休以上となる。現在の国民のライフスタイル、生活意識の変化を考えれば、有給休暇の活用によりこの問題に対応できるではないか。’(小生のブログ2014年10月25日等より)

しかし、この問題についてはこれまでもいろいろ議論してきたことなので、この際、もっと多くの皆さんの自由・率直なお考えを聞いてみたいという思いが強くなってきた。どうぞ皆さんのお考えも聞かせてください。
Posted by 寺島紘士 at 23:13
海洋基本法制定から10年 [2017年07月23日(Sun)]
海洋基本法が2007年4月に成立し、「海の日」の7月20日に施行されてから10年が経過した。

海洋の諸問題に総合的・計画的に取り組む我が国の海洋ガバナンスの取組はこの10年間にどれくらい進展しただろうか。海洋基本法制定時に掲げた目標はどれくらい達成されただろうか。

この問いに対する海洋基本法の制定、実施に取り組んできた関係者の評価は、残念ながら、必ずしも高いとは言えない。

目下、来年春の第3期の海洋基本計画策定を目指してそれに盛り込むべき海洋政策についての検討が進められ、またそれに関する議論が盛んに行われているのは皆さんご承知のとおりである。

これに関して、このたび、武見敬三参議院議員(海洋基本法戦略研究会代表世話人代行)に「海洋基本法制定から10年の総括」を執筆していただき、7月20日(本来の「海の日」)発行の「Ocean Newsletter No. 407」に掲載したので、お知らせしたい。

超党派による海洋基本法の制定を推進し、基本法制定後も海洋基本計画の策定・推進に熱心に取組んできた武見さんが、超党派による海洋基本法の制定に至る経緯、そして、総理をトップとする本部(+有識者からなる参与会議)のリーダーシップと各省庁が持ち上げる政策を組み合わせて総合的に実施する海洋基本法の「ガバナンス」の考え方を述べた上で、第3期海洋基本計画では、「何を政治的求心力にするか」、「第3期海洋基本計画の課題」は何か、を論じている。

これまでのこと、これからのことをポイントをついて簡潔にまとめ、最後に第3期海洋基本計画の重要な課題を挙げていて、大変参考になる。

わが国の海洋政策に関心のある方には是非下記のホームページでお目通しをお奨めしたい。
https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/latest/index.html

なお、「祝 海洋基本法制定10周年」と銘打ったこの7月20日の「Ocean Newsletter No.407」には、このほか、このたび笹川平和財団海洋政策研究所長に就任した角南篤氏の「SDGs達成のための科学技術イノベーションへの期待」、(株)NTTデータ特別参与の古庄幸一氏の「海洋立国としての海洋状況把握(MDA)について」、内閣府・SIP「海のジパング計画」プログラム・ディレクターの浦辺徹郎氏の「真の日本の重心はどこか?」の3つの注目すべきオピニオンが掲載されている。

「海の日」にふさわしいこちらのオピニオンもどうぞご一読ください。
Posted by 寺島紘士 at 23:08
「海の日」論文表彰式に出席 [2017年07月22日(Sat)]
7月20日(木)に、第9回(2017)「海の日」論文の表彰式が開催され、出席した。

日本海洋政策学会は、日本海事新聞社および教育新聞社と三者共同で、毎年7月20日の本来の「海の日」(この日は、国連海洋法条約がわが国について発効した日、海洋基本法の施行日でもある。)に向け、大学生・大学院生(高等専門学校4,5年生を含む)を対象に海洋政策に関する論文を募集し、優秀論文を表彰している。(本ブログ2011年7月24日等参照)

平河町の海運倶楽部で開催された表彰式には、日本海洋政策学会から副会長の私と「海の日」論文を主管している学術委員会の坂元茂樹委員長(同志社大学教授)及び事務局の城所敏郎氏が出席した。

本年は、「新たな海洋立国に向けて −海洋基本法に定める12施策の実現のための提言−」をテーマに募集し、7編の応募があった。

応募論文の審査は、日本海洋政策学会が審査委員会を設けて審査を担当し、坂元委員長の下で、予備審査及び本審査の2段階で所属、氏名を伏せた厳正な選考が行われた。

その結果、次の3編が優秀賞に選ばれた。

東京海洋大学大学院 神田英宣 「有人国境離島の排他的経済水域における海洋保護区選定」

東海大学大学院 町田卓也 「無人機の利用による海洋調査の拡充と離島の保全」

北九州市立大学大学院 濱口一雄 「海洋インフラ輸出のために海外進出が予想される非自航作業船の、海洋環境の保全および海洋の安全の確保のための国家の管轄権行使に関する提言」

表彰式の冒頭に坂元さんから概略つぎのような「講評」があった。

「…。本企画は、多様な分野から海洋政策に関する自由なアイデア、意見、提言を得ることを目指しているが、応募の7編はまさしくその狙い通りに、多岐にわたる課題を扱っており、若い人における海洋政策に関する関心の高さと広がりを示す内容となっている。

(中略)昨年4月に「有人国境離島法」が制定されたことも手伝ってか、離島に関する2つの論文が選出されたのは時代の反映であろう。選に漏れたいずれの論文も日本の海洋政策にとって重要な課題を扱っており、極めて質が高いとの印象を持った。海洋立国を目指す日本は、海洋政策に関する多くの課題を抱えている、来年も、多くの人が応募することを期待したい。」

講評に続いて、日本海事新聞社の畠 雅仁社長から神田さんに、私から町田さんに、教育新聞社の齊藤 英行社長から濱口さんに表彰状と賞金の授与が行われた。

表彰式の終了後、受賞した3人の方々としばし懇談の機会を持ったが、皆さんそれぞれ、取り上げたテーマに知識と経験を踏まえた熱い思いをもっているのを感じた。海洋政策に対する学問的関心が社会に広がっているのを実感して嬉しく思った。
Posted by 寺島紘士 at 23:21
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