S20の共同声明 [2019年03月09日(Sat)]
S20(サイエンス20 Japan 2019)は、G20各国の科学アカデミーが共同でG20サミットに対して科学的な提言を行うことを目的とする会議で、日本学術会議が議長アカデミーとして3月6日にS20を開催した。S20は2017年から開催されており、今回が3回目とのこと。
3月6日のブログで紹介した世界海洋フォーラム会長のビリアナ・シシン‐セイン教授は、このG20会議で「Addressing the Ocean and Climate Nexus: The Time to Act is Now」(海洋と気候の関係に焦点を当てて取り組む:行動するときは今)というタイトルで基調講演を行うとともに、そのあとのパネルディスカッションにもパネリストとして参加したようである。 そして6日午後には、日本学術会議会長の山極壽一氏(京都大学総長)が議長となり、各国のアカデミーによるサイエンス20共同声明の討議が行われ、共同声明が採択された。 今回のS20共同声明は「海洋生態系への脅威と海洋環境の保全」と題し、特に気候変動及び海洋プラスチックごみに焦点を当てて問題を掘り下げ、持続可能な開発目標等を達成し生態系を守るためには国家や各分野の協力が必要であり、それらに参画する科学の役割は重要であるとし、「基礎研究の促進、科学と政策における協力の必要性」というタイトルの下に科学面から見た必要な取組みを提言している。 この共同声明は、「G20大阪サミット2019」(6月28日〜29日)及び「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」(6月15日〜16日に長野県で開催)に向けて取りまとめられ、6日夕方に各国アカデミーの代表が首相官邸を訪れ、6月に行われるG20サミットの議長である安倍首相に山極議長から共同声明が手交された。 共同声明の内容に関心のある方は、下記の日本学術会議ホームページで共同声明をご覧いただきたい。 http://www.scj.go.jp/ 今回のS20が、地球温暖化・海洋酸性化・海洋貧酸素化や海洋プラスチックごみなど海洋と地球の脅威に焦点を当てて共同声明をとりまとめ、G20に提出したのは、なかなかの卓見だと思う。これをリードした日本学術会議、特にそのS20組織委員会の皆さんに敬意を表したい。 |
Posted by
寺島紘士
at 00:52