国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」に参加 [2017年05月17日(Wed)]
5月17日の午後、国際シンポジウム「水産物の透明性と持続可能性」(第2日)に参加した。
このシンポジウムは、今や世界的な課題となっているIUU(違法・無報告・無規制)漁業を取り上げて、水産物の透明性と持続可能性をいかに確保するか論じるという意欲的な企画であり、それに惹かれて参加した。
国立研究開発法人の水産研究・教育機構、早稲田大学の地域・地域間研究機構、The Nature Conservancy(THC)という立場の異なる3者の共同開催というのもユニークである。
早稲田大学の井深大記念ホールで開催されたシンポジウムは、TNCのマリア・ダマナキ海洋部長(元欧州委員(海事・漁業担当大臣))、早稲田大学の鎌田薫総長によるウェルカム・スピーチで始まった。
続いて石破茂(衆議院議員・自民党水産基本政策委員長)、長谷成人(水産庁次長)、カルメヌ・ヴェッラ(欧州委員(海事・漁業担当大臣))(ビデオ参加)、三宅香(イオン(株)執行役員)の各氏の基調講演があり、さらにモナコ公国のアルベール2世のビデオメッセージが流れた。
その後、実質的な議論に入り、まず、水産研究・教育機構の宮原正典理事長が第1日目に行った「セッション1 日本を取り巻くIUU漁業の現状と水産物の透明性促進に向けたテクノロジー」及び「セッション2 IUU漁業対策に向けた国際協力の強化」についてサマリーレポートを行なった。
続いて本日のセッションに入り、「セッション3 水産物の透明性と持続可能性の実現に向けた政策・取組み」、「セッション4 水産物認証制度の活用による水産物の透明性と持続可能性」が行われた。
早稲田大学地域・地域間研究機構国際学術院の太田宏教授がファシリテーターを務めて、多様な報告者がそれぞれ自らの取組みを発表した。
発表者には、日ごろ親しく交流している人や以前に会ったことのある人も交じっていたが、皆さんの想いのこもった発表を聞いていていろいろ参考になるところがあった。
最後の「セッション5 まとめ」では、水産研究・教育機構の宮原正典理事長、ファシリテーターを務めた太田宏早稲田大学教授、TNCのチャールス・ベッドフォード アジア太平洋地域管理部長がそれぞれの立場からまとめを行った。
宮原さんが、今回のように国立の水産研究・教育機構、私学の早稲田大学、そして国際環境NGOのTNCという3者が水産問題について国際シンポジウムを共催したのは初めてでそれなりの成果があったと思うと切り出して、まとめとして、概略、@ポート・ステート・メジャーズ協定を日本も締結したことに対する期待とこれにどう対応するかが課題、A国際的協力は、政府レベルだけでなく、民間・個人レベルでの協力も大切、BIUUの取り締まりは、公海だけでなくEEZでも重要、C2020年のオリンピック・パラリンピックは水産物の透明性と持続可能性を高めるのにいい機会、パブリック・アウェアネスを高め、サステイナブルな水産物を食べよう、と述べたのが、特に印象に残った。
IUU漁業を正面から取り上げて多様な関係者が議論する今回のようなシンポジウムが、日本で開催されたことに時の流れを感じた。
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