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守江湾を知らんで委員会 [2009年03月29日(Sun)]
2009年3月7日(日)、早朝の便で羽田を発ち、大分に向かった。大分県杵築市で開催された「守江湾を知らんで委員会」主催のシンポジウム「宝の海 守江湾」に出席するためである。

海洋政策研究財団は、陸域・海域を一体的に捉えた「沿岸域の総合的管理」を推進するため、平成19〜20年度の2ヵ年計画で「沿岸域圏総合管理計画策定に資する情報整備に関する研究」を行なっている。2年度目の本年度は、別府湾の一角にある守江湾をモデル地域に選んで研究を行なった。

この研究を担当している日野明日香研究員は、カブトガニの調査などで以前から守江湾に通っており、地元の皆さんと交流が深い。おかげで調査研究は地元の協力を得て順調に進めることができた。今回のシンポジウムの会場となった住吉浜リゾートパークの釘宮浩三さんも協力者の一人である。私も釘宮さんとは1998年のリスボン海洋博覧会でご一緒して以来のお付き合いである。
今回の調査研究には、地元杵築市の八坂恭介市長にも関心を寄せていただき、「守江湾沿岸域に関する市民アンケート調査」は杵築市の協力を得て行うことができた。今回地元の方々が中心となって企画したシンポジウム「宝の海 守江湾」に主催者の一員として参加したのもそのような積み重ねから生まれた成果といえる。

シンポジウムは、「守江湾を知らんで委員会」会長の西原繁朝さんの開催趣旨説明を兼ねた開会挨拶と八坂恭介杵築市長の挨拶で始まり、私と東大大学院総合文化研究科助教の清野聡子さんが基調講演を行なった。

私は、「ふるさとの沿岸域の管理と情報の整備・共有」と題して、2007年制定の海洋基本法が基本的施策の一つとして掲げた「沿岸域の総合的管理」について、地方が自らの問題として主体的かつ積極的に取組むことの重要性およびそのために必要な情報の整備・共有について講演した。講演では、概略次のような話をした。

“「沿岸域の総合的管理」を具体的に実施するためには、今後二つの方向からの取組みが必要である。
ひとつは、国レベルにおいて、地方を主体とする「沿岸域の総合的管理」のスムーズな展開のために国と地方公共団体との関係を整理して、その法制度化を図ることである。それには、1998年に閣議決定された「21世紀のグランドデザイン」が「沿岸域を自然の系として適切に捉え、地方公共団体が主体となり、沿岸域圏の総合的な管理計画を策定し、各種事業、施策、利用等を総合的、計画的に推進する「沿岸域圏管理」に取組む」としているのを参考にすべきである。

もうひとつは、地方レベルにおいて、「沿岸域の総合的管理」の法制度化をただ待つのでなくそれを先取りして取組むこと、それも行政だけでなく事業者、住民をはじめとする地域社会の関係者が、沿岸域の総合的管理の重要性を認識し、自ら進んで沿岸域の管理の取組みに参加することである。

沿岸域管理のキーワードは、「地方主体」「総合的・計画的な管理」「住民をはじめとする多様な関係者の参加」であるが、これを具体化させるためには、先ず関係者の間で沿岸域の現状や問題について十分な情報共有が必要である。どのような情報が必要かは地域社会が沿岸域管理により何を達成しようとするかとも大きく関係するので、先ずは地域社会の人々が沿岸域に何を求め、どうしたいと考えているかを把握するところからはじめる必要がある。その点では今回杵築市と協力して実施した「守江湾沿岸域に関する市民アンケート調査」のような調査が重要である。
「沿岸域の総合的管理」が地方から盛り上がることを期待している。“

シンポジウムでは、基調講演に続いて、海洋政策研究財団から2年間の調査研究結果および守江湾市民アンケート調査の概要説明を行い、その後パネルディスカッション等が行われた。
清野さんがコーディネーターとなって行われたパネルディスカッションには、杵築市長をはじめNPO、漁協、教育関係者等の地元の方々とともに私と日野研究員等が参加して、守江湾の現状と課題について活発な議論を行い、、各自が今後の沿岸域管理の進展への期待を表明してシンポジウムを締めくくった。



会場1階のホールでは、シンポジウムと並行して、80点にも上る守江湾の昔の写真を集めた「守江湾の今昔写真展」が開催され、そこには古きよき時代の守江湾とそこに住む人々の生活が映し出されていて興味深かった。



翌日の午前中は、西原さんほかの地元の皆さんのご好意で守江湾を案内していただき、あちこち見て歩いた。守江湾は大分県の国東半島にあり、西側から砂嘴が突き出て独特の地形を形成している。守江湾には背後の山に源を発した大小8つの河川が流入し、河口に干潟が広がっており、豊かな生態系があり、カブトガニも生息している。
高いところから展望し、海辺に出て眺め、あちこち移動しながら見ていていくと人と自然とのつながりの深さとその多様さに驚かされる。杵築城や武家屋敷も趣き深かったが、とある高台からはるか豊後水道を望んだときにはこの地の歴史を垣間見た心地がした。



丁寧にご案内いただいた西原さんたちに感謝し、沿岸域管理の取り組みが地元の皆さんの理解と支持を得て守江湾で進展していくことを期待しながら大分を後にして帰途についた。(了)
Posted by 寺島紘士 at 17:53
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