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『地図中心』に寄稿 −海沿い・離島市町村の海域の管理 [2023年06月12日(Mon)]
私が、わが国の島の数は6852島とされていた2010年に海洋政策ブログに掲載した「都道府県別の島の数」には皆さんの関心が高く、今でもこのブログを見に来る人は少なくない。
そこで今回国土地理院発表の14,125島についての都道府県別の島の数をこれまでの都道府県別の島の数と比較してみた。

我が国の島の数は14,125島! [2023年03月06日(Mon)]
https://blog.canpan.info/terashima/archive/2079

そしてその最後に‟「わが国の島の数14,125島」については海洋ガバナンスの観点からいろいろ述べたいこともあるがそれらについてはまた機会を改めて取り上げてみたい”と書いた。

すると間もなくして、まだ続きを書いてブログに掲載する前に、これを見た知り合いの野々村邦夫さん(日本地図センター顧問)から、日本地図センターが発行している月刊誌『地図中心』6月号で、国土地理院の協力を得て日本の島々について特集をすることとしたので、考えの一端を述べてほしいとの執筆依頼が飛び込んできた。

思わぬ展開に驚いたが、野々村さんとは海洋と地理の関係に関心を向けたときに知り合って(下のブログ参照)、それ以来お付き合いいただいている仲なので、喜んでお受けした。

領海基線内側の水域は、海か、湖沼か [2017年10月01日(Sun)]
https://blog.canpan.info/terashima/archive/1514

地図、写真入りで見開き2ページなのであまり突っ込んでは書けなかったが、「我が国の国土を形成する島について考える」というテーマで、島々とその周りの海を含む沿岸域の総合的管理に重要な役割を担う市町村の区域は陸域が原則で海域が含まれていないことを、沖縄の竹富町の取組を例に挙げて取り上げ、海沿い・離島市町村の住民が生活の場としている身近な海域を市町村も管理できるようにするよう提言する文章を取りまとめて寄稿した。

これが『地図中心』6月号「特集 日本の万余の島々」(52ページ)に収録されて6月10日発行されたので皆様にもお知らせしたい。これを見ると、私の寄稿は「特集」の最後部に、文中で取り上げた沖縄の16の島々とその間の石西礁湖等の海からなる竹富町のカラーの地勢図とともに掲載されていて大変読み易い。さらに、それだけでなく、『地図中心』自体がカラーで、掲載している記事も様々なテーマで日本の島々のことを地図・写真付きで取り上げていて全体としても面白く、かつ参考になる。日本の島々に関心のある方々にも一度手に取ってご覧頂きたいと思った。
雑誌『地図中心』には定価880円と表示されており書店でも販売されていると思われるが、関心のある方は(一財)日本地図センターに照会してみるのも一案かと思った。
Posted by 寺島紘士 at 17:38
「IOI設立50周年」と「世界海の日」の記念企画 [2022年06月20日(Mon)]
6月8日「世界海の日(World Ocean Day)」にIOI(International Ocean Institute/国際海洋研究所)「設立50周年」の記念企画として『海を活かしたまちづくり・その後』がZoomで開催された。

これは、20世紀後半の海洋・沿岸域ガバナンスの構築の取組を国際的にリードした「海洋の母」エリザベス・マン・ボルゲーゼ女史が1972年にIOIを設立してから50周年を迎えるのを記念して開催されたイベントである

主催者はIOIの加々美康彦現日本支部長/中部大学教授と大塚万紗子前日本支部長で、加々美さん、大塚さんとは海洋政策研究財団(現笹川平和財団海洋政策研究所)で一緒に海洋・沿岸域の政策研究に取り組み、それ以来の長いお付き合いである。

海洋政策研究財団は、海洋ガバナンスの構築・普及を目指して海洋基本法を制定してこれに取り組んできたが、その一環として2010年に「沿岸域の総合的管理モデルに関する調査研究委員会」を立ち上げ、『海を活かしたまちづくり』の調査研究を開始した。そして各地で自らの地域の活気あるまちづくりに強い意欲を持って取り組む沿岸域の自治体を訪問して調査を行い、最終的に7つの自治体の皆さんと協力して『海を活かしたまちづくり』のモデルサイト事業に取り組んだ。

本企画では、この思い出深い『海を活かしたまちづくり』の取組に焦点を当てて、これを目指して互いに連携協力しあって積極的に沿岸域の総合的管理に取り組んだ7つのモデルサイトで当時一緒に協働して取り組んだ7人の方々に各地から参加してもらって、それぞれが取り組んだ『海を活かしたまちづくり』のその後について語っていただき、意見交換をした。

この『海を活かしたまちづくり』には当時私も先頭に立って取り組んだので、そのご縁で今回の企画に参加して挨拶をし、全体討論・意見交換にも参加した。

なお、「世界海の日」は、IOIの創始者ボルゲーゼさんがその開催に尽力した1992年の国連環境開発会議(通称「リオ地球サミット」)で、国際社会が直面している海洋に関する課題について世界的な認識を高める機会とするために定められた日(注)なので、ボルゲーゼさんを偲んで「IOI設立50周年」記念企画を開催するのにふさわしい日だった。
 
(注)「世界海の日」は当初は各国が個々に日を決めて祝っていたが、2008年の国連総会において、2009年からは「世界海の日」を毎年6月8日とすることが決定された。

記念企画は、まずこれを企画したIOI日本支部長の加々美康彦さんがボルゲーゼ女史が設立したInternational Ocean Institute(IOI)国際海洋研究所がどんな国際組織・ネットワークであるかなど今回の設立50周年記念企画の開催趣旨を述べた。続いて当時海洋政策研究財団で『海を活かしたまちづくり』の取り組みをリードした私と古川恵太さん(現NPO法人海辺つくり研究会理事長)が挨拶をした。

そして、本番のモデルサイト報告「海を活かしたまちづくり・その後」 が始まり、Zoom画面に懐かしい顔が並んで報告が行われた。

その顔ぶれと報告テーマは次のとおり。(敬称略)

@ 沖縄県竹富町:小濱啓由・竹富町役場
   第2次竹富町海洋基本計画その後
A 福井県小浜市:西野ひかる・アノミアーナ代表
   海ゴミ・サーキュラーエコノミー
B 岡山県備前市:天倉辰己・日生町漁業協同組合専務理事
   約40年にわたるアマモ場再生活動と成果
C 高知県宿毛市・大月町:神田優・黒潮実感センター長
   海洋教育・海と日本プロジェクト
D 岩手県宮古市:橋本久夫・宮古市市議会議員
   こども海体験・シーカヤックを使った海ゴミ清掃
E 三重県志摩市:米奥宏規・志摩市政策推進部総合政策課係長
   SDGs の進捗状況
F 長崎県大村湾(オブザーバー参加):城幸太郎・大村市市議会議員

登場した皆さんはモデルサイト事業で交流のあった方々なので、報告を聞いていると、その当時のこととそれが現在の取組にどうつながってきているかなどが活き活きとして伝わってきて大変良かった。

報告の後、30分ほど全体討論・意見交換を行い、さらにみんなでZoomを通じて記念写真を撮った。

最後に前IOI日本支部長の大塚万紗子さんが閉会挨拶を述べて記念企画は成功裏に幕を閉じた。

この記念企画では、『海を活かしたまちづくり』に一緒に取り組んだ方々がそれぞれの状況のなかで各自の考えや取組を発展させていてそれらについてなかなかいい情報共有、意見交換ができたので、最後に私からもこういう企画は50年に1度ではなく毎年開催したらよいのではないかと提言した。本当に今後を期待したくなるいい企画だった。
Posted by 寺島紘士 at 00:01
持続可能な開発目標と海を活かしたまちづくりによる地方創生 [2021年10月21日(Thu)]
8月の初めに(一社)平和政策研究所からIPP政策研究会でSDGsと海洋と地方創生について講演する機会をいただいた。

私は、国連海洋法条約、及び地球サミットの「アジェンダ21」第17章から始まった海洋の総合的管理と持続可能な開発に関する国際的な行動計画に基づいて、20世紀末から現在までの20数年間、内外で「海洋ガバナンス」の構築に取り組んできた。2007年には海洋基本法を政学産官民の協働で制定した。

そこでこの機会に、海洋ガバナンスの構築が進んでいる世界の状況を概観し、その中でも基盤的な取り組みである「沿岸域の総合的管理」に対する日本の取組みの遅れを取り上げて、それにどう取り組めばいいか小生の意見をあらためて訴えた。

講演のタイトルは、「持続可能な開発目標(SDGS)と海洋 ―海を活かしたまちづくりによる地方創生―」とし、講演は「T持続可能な開発目標と海洋」と「U海を活かしたまちづくりによる地方創生」の2部構成で行った。

「T 持続可能な開発目標(SDGs)と海洋」では、海洋法の原則を「海洋の自由」から「海洋の管理」へ転換した国連海洋法条約の採択(1982)と発効(1994)、および、この新海洋秩序を政策面から支える海洋の総合的管理と持続可能な開発に関する国際的な行動計画の形成・発展に焦点を当て、これまで50余年間の国際社会における海洋ガバナンスの取り組みの進展をたどった。

そして、「U 海を活かしたまちづくりによる地方創生」では、世界各国では海洋ガバナンスの取り組みの中核となっているが、わが国ではその取り組みがうまくいっていない「沿岸域の総合的管理」について取り上げ、わが国でもこの施策を本格的に採択・推進して「海を活かしたまちづくりによる地方創生」を実現することを提案した。

海洋ガバナンスの中でも「沿岸域の総合的管理」と「排他的経済水域等の開発、利用、保全等」の推進は、私がその実現をずーっと胸に抱いて取り組んできた基本的施策であるが、残念ながらわが国ではまだ十分に実現できていないので、今回の講演で「沿岸域の総合的管理」に焦点を当てて「海を活かしたまちづくりによる地方創生」の実現を訴えることができて嬉しかった。

この日の講演は、私の20数年間の海洋ガバナンスの取り組みのうち、まだ十分実現できていない課題の実現方策を取り上げたものなので、海洋・沿岸域の総合的管理の政策に関心を持つ多くの皆さんにもその内容をお伝えできるといいなと思っていたところ、先月、この日の研究会の事務局を務めた平和政策研究所の飯岡さんからいいご連絡をいただいた。

私の講演内容を「政策オピニオン」として平和政策研究所のウェブサイトおよび、季刊学術誌『世界平和研究』に掲載したいので内容の校正をお願いしたいというのである。ありがたいお話なので、喜んで校正に取り組み、修正原稿を提出した。

今や私の講演内容が平和政策研究所の下記のウェブサイトに「政策オピニオン」として掲載されているので皆さんにお知らせしたい。この問題に関心のある方はどうぞ覗いてみてください。
https://ippjapan.org/archives/6678
Posted by 寺島紘士 at 16:46
「沿岸域総合的管理」について研究会で発表(3) [2021年03月07日(Sun)]
この海洋政策ブログで3月3日、3月6日と続けて、私が「北太平洋海洋生態系と海洋秩序・外交安全保障体制に関する研究会」において発表した「沿岸域の総合的管理」のポイントを紹介してきた。今回はそのとりまとめとして語った「7.大きな視点から見た沿岸域総合的管理の重要性」を紹介したい。

<海洋基本法の第25条「沿岸域の総合的管理」の実施の現状と今後の課題>(3)
1.「沿岸域総合的管理」政策の登場、世界的普及の経緯
2.「沿岸域総合的管理」は世界が共有する海洋の国際的行動計画に
(1.及び2.についてはhttps://blog.canpan.info/terashima/archive/1995 参照)

3.各国の沿岸域総合的管理の法制、政策
4.わが国の沿岸域管理の取組み
@ 海洋基本法制定以前
A 海洋基本法制定へ
B「沿岸域の総合的管理」が海洋基本法で基本的施策として定められたにもかかわらず、わが国ではあまり進展していない理由を考える  
5.沿岸域総合的管理とは
6.沿岸域の総合的管理に期待される効果
(3.〜6.についてはhttps://blog.canpan.info/terashima/archive/1996 参照)

7. 大きな視点から見た沿岸域総合的管理の重要性
(1)国際的視点から
沿岸域総合的管理(ICM:Integrated Coastal Management)は海洋ガバナンスのうち沿岸域の管理の方策として国際的に確立しており、国際社会ではそれを前提にして途上国の取組みへの支援も行われてきている。わが国でも沿岸域でその環境回復を目指す住民運動や森・川・里・海の取り組みなどこれと類似した取り組みがあちこちで行われてきてはいる。しかし、国が法制度として沿岸域の総合的管理を定め、これに取り組む地方自治体を、国が指導、助言、支援することを定めた沿岸域管理法はなく、国際的に確立している「沿岸域総合的管理」の取組みが制度的に確立しているとは言い難い。わが国も沿岸域管理法を制定して国際的にICMとして通用する沿岸域総合的管理を実施していかないと、世界、そしてSDGs等の国際的な取組から取り残されることが危惧される。

<参照>リオ+20の『リオ海洋宣言』(2012)
1.総合的海洋管理 
成功している生態系に基づく管理(EBM)/統合的海洋沿岸域管理(IOCM)の取り組みを拡大(scale up)する。
-- 国家レベルでは、国家の管轄下にある海洋と沿岸を対象にして、海洋・沿岸に関する法律の制定を含む統合的海洋沿岸域管理のための制度と意思決定プロセスの強化を通じて、
-- 地域レベルでは、大規模海洋生態系プログラム(Large Marine Ecosystem Programs)、地域海プログラム(Regional Seas Programs)などを通じて、地域および国レベルでのアクションを導くためにEBM/IOCMに関する地域議定書の採択を促進して、
-- 国家管轄権を超える海域では、権限を持つ組織やプロセスを通じて、利用競合による紛争に対処し、新たな利用を管理し、脆弱な生態系と海洋生物多様性を保護して、
2.海洋と気候(以下略)

(2)わが国の沿岸域の管理と国の安全の確保の視点から
わが国の市町村区域には、原則として海域は含まれていない(沿岸の埋立などに際して予め海域を市町村区域に編入することは行われているが)。しかし、これでは、地元の市町村や住民が目の前の海のことに常日頃関心を持って関わっていくことは難しい。各国が実施しているように、内湾、島と島の間の海域をはじめ目の前の身近な沿岸海域を市町村区域に編入し、住民その他の関係者も参加してこれを沿岸域総合的管理で計画的に管理していくようにすべきである。
目の前の海が自分たち市町村の海であれば住民の眼が海域にも行き届き、沿岸域の持続可能な開発利用、海洋環境・生態系の保全をきちんと行なうことができるとともに、海からの不審船・不審物等の侵入などにも目が行き届き海洋の安全にもきちんとした対応が可能となる。わが国の長い海岸線での沿岸市町村による海域の保全、開発、利用、管理が国の制度として行われるようになれば、沿岸市町村だけでなく、わが国の社会の健全な発展、さらにはわが国の安全の確保にも貢献する。
Posted by 寺島紘士 at 00:33
「沿岸域総合的管理」について研究会で発表(2) [2021年03月06日(Sat)]
3月3日のブログに続いて、私の「北太平洋海洋生態系と海洋秩序・外交安全保障体制に関する研究会」における「沿岸域の総合的管理」についての発表のポイントの続きを紹介したい。

<海洋基本法の第25条「沿岸域の総合的管理」の実施の現状と今後の課題>(2)
1.「沿岸域総合管理」政策の登場、世界的普及の経緯
2.「沿岸域総合管理」は世界が共有する海洋の国際的行動計画に
(以上についてはhttps://blog.canpan.info/terashima/archive/1995 参照)

3.各国の沿岸域総合管理の法制、政策
アメリカ:沿岸域管理法(1972/1990)、カナダ:沿岸地域管理法(1972)・Canada's Ocean Strategy(2002)、オーストラリア:沿岸水域法(1980)、Commonwealth Coastal Policy(1995)、ニュージーランド:The Resource Management Act (1991)、フランス:Seashore Act(1986)、イギリス:環境法(1995)、海洋・沿岸アクセス法(2009)、中国:海域使用管理法(2001)、韓国:沿岸管理法(2001)・沿岸統合管理計画 etc 

各国の海洋管理の取組みは、沿岸域の管理からスタートして排他的経済水域、公海へと伸びて行った。拙著『海洋ガバナンスの構築へ』(西日本出版社)表6等参照

4.わが国の沿岸域管理の取組み
@ 海洋基本法制定以前
・港湾法(1950)→港湾法改正「環境保全に配慮」を目的に追加(2000)
・海岸法(1956)、海岸防護、国土保全を目的。海岸保全区域の指定(水際線から50m以内の陸地、水面)→海岸法改正「海岸環境の整備と保全」「公衆の海岸の適正な利用」を目的に追加(1999)、(→海岸法改正「緑の堤防」追加(2014))
・河川法(1964)、→河川法改正「河川環境の整備と保全」を目的に追加(1997)、
・公害対策基本法(1967)、水質汚濁防止法(1970)、自然環境保全法(1972)、瀬戸内海環境保全特別措置法(1973)(→同法改正「知事は、湾灘等を単位として府県計画を定める」(2015))、環境基本法(1993)
◉ 第5次全国総合開発計画『21世紀の国土のグランドデザイン』(1998年)
 「沿岸域圏を自然の系として適切に捉え、地方公共団体が主体となり、沿岸域圏の総合的な管理計画を策定し、各種事業、施策、利用等を総合的、計画的に推進する「沿岸域圏管理」に取り組む。」
 「沿岸域圏総合管理計画策定のための指針」(2000)
・東京湾再生プロジェクト(2001)東京湾再生のための行動計画(2003、2013)
・有明海・八代海再生特別措置法、自然再生推進法(以上2002)等

A 海洋基本法制定へ
なかなか進まない海洋ガバナンス(沿岸域総合管理を含む)の推進を求める提言
経団連意見書「21世紀の海洋のグランドデザイン」(2000)
日本沿岸域学会「沿岸域の持続的利用と環境保全のための提言」(2000)
日本財団「21世紀におけるわが国の海洋政策に関する提言」(2002)

2005年の海洋政策研究財団の「21世紀の海洋政策への提言」をもとに海洋ガバナンスを議論する政学産民の関係者、有識者等による海洋基本法研究会(関係府省もオブザーバー参加)を2006年に開催し、10回にわたってわが国の海洋政策のあり方、海洋基本法(案)について検討し、これに基づき海洋基本法を議員立法で制定(2007年4月)、施行(同年7月)

海洋基本法は「沿岸域の総合的管理」を基本的施策のひとつとして取り上げた。
海洋基本法第25条(沿岸域の総合的管理)
 国は、沿岸の海域の諸問題がその陸域の諸活動等に起因し、沿岸の海域について施策を講ずることのみでは、沿岸の海域の資源、自然環境等がもたらす恵沢を将来にわたり享受できるようにすることが困難であることにかんがみ、自然的社会的条件からみて一体的に施策が講ぜられることが相当と認められる沿岸の海域及び陸域について、その諸活動に対する規制その他の措置が総合的に講ぜられることにより適切に管理されるよう必要な措置を講ずるものとする。
2 (略)

第3期海洋基本計画(2018年閣議決定)の沿岸域の総合的管理
第2部 政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策 3.海洋環境の維持・保全 
(2)沿岸域の総合的管理
ア 沿岸域の総合的管理の推進
○沿岸域の総合的管理に当たっては、森・里・川・海のつながり、流域全体の水循環や生態系管理を意識し、問題解決に必要な一定の広がりにおいて、人が関わって、よりよい海をつくって豊かな海の恵みを得るという「里海」づくりの考え方を積極的に取り入れつつ、自然災害への対応、生物多様性の保全や海洋ゴミ対策等を含めて総合的に取組む。こうした取組の推進において中心的な役割を果たすことが期待される協議会活動の普及拡大に向けて、関係府省が連携して、自治体や協議会組織に対する支援のあり方について検討を行い、具体化を図る。(内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省)
イ〜エ (略)

B「沿岸域の総合的管理」は、海洋基本法で基本的施策として定められにもかかわらず、残念ながらわが国ではあまり進展していない。
<その理由を考えると>→ 
・国際的に共有されている「沿岸域総合的管理(ICM)」を正面から取り上げてこれを実施する法律が制定されていない(「3.各国の沿岸域総合管理の法制、政策」参照)
・沿岸域総合管理を所管してこれを中心となって推進する府省がない(cf.アメリカ海洋大気庁、中国国家海洋局、韓国海洋水産部)
・都道府県の海域は必ずしも明確に定められておらず、市町村区域には原則として海域が含まれていない
・市町村が海域を管理しようとしてもそのための財源が確保されていない(→竹富町が石西礁湖などの海域を地方交付税の算定面積に編入することを申請したが、総務省却下。)等
下記の海洋政策ブログ等参照
https://blog.canpan.info/terashima/archive/426
https://blog.canpan.info/terashima/archive/831 

5.沿岸域総合的管理とは
・わが国沿岸の陸域・海域を沿岸域として一体的にとらえて、その開発・利用、環境・生態系等の問題に国−都道府県−市町村が重層的に取組むシステム
・国は、わが国の沿岸域の環境・生態系の保全と持続可能な開発利用を目的とする「沿岸域の総合的管理」を海洋の総合的管理の一環として国の制度として定め、これに取り組む地方を指導・助言・支援し、実際の取組みは地方が中心となって、自らの沿岸域の開発・利用、環境・生態系等の問題に総合的・計画的・順応的に取組む
・地方公共団体が中心となって協議会等を設置して市民を含めて広く地域の関係者が参加して沿岸域総合的管理に計画的・順応的に取組む
・「Plan(計画)―Do(実行)―Check(評価)―Action(改善)―」のPDCAの連続的サイクルプロセスで順応的に取り組む

6.沿岸域の総合的管理に期待される効果
・沿岸域の陸域、海域に関する様々な機能別縦割りの管理制度に横串を通して、関係者が総合的な地域計画を共有することができる
・様々な利害関係者が共通のテーブルについて議論することにより、個々に取り組むよりもより大きな利益(=共益)を連携協力して実現できる
・地方公共団体の海域に対する管轄、権能、財源等の検討・見直しの材料として活用できる
・合併等により市町村が広域化する中で、これまで地域・集落が培ってきた生活共同体としての良さを維持し、地域を活性化する手段として活用できる
・過疎化、高齢化の進行が著しい沿岸域・離島の問題への対策としてその活用が期待できる
(続く)
Posted by 寺島紘士 at 01:01
「沿岸域総合的管理」について研究会で発表 [2021年03月03日(Wed)]
私は、縁あって、小松正之さんが主査を務める「北太平洋海洋生態系と海洋秩序・外交安全保障体制に関する研究会」(鹿島平和研究所)に参加している。

その小松さんから、2月10日に本海洋政策ブログに掲載した「「市町村区域に海域を含める方策」に関する質問」(注)に関してコメントいただいてやりとりをしているうちに、日本で取組みが遅れている「沿岸域の総合的管理」について同研究会第9回会合〈2月26日〉で発表することになった。(注)https://blog.canpan.info/terashima/archive/1992

小松さんは、この研究会では国土交通省海岸室長の田中敬也氏の講演(タイトル「海岸保全の現状と課題」)を予定しているので、これに合わせて「沿岸域の総合管理」についてしっかりと考えたい、@海洋基本法第25条(沿岸域の総合的管理)、リオ地球サミットの『アジェンダ21』等の趣旨と背景、A諸外国の沿岸域総合管理政策の調査結果などを紹介して、如何に日本が遅れているのか、今後どうしていけばよいのかについて話してほしい、という。

「沿岸域の総合的管理」は私が力を入れて取り組んできた海洋ガバナンスの基本的な施策のひとつであるが、残念ながら、海洋基本法が定める基本的施策の中でも取り組みが十分進んでいない施策である。いい機会をいただいたので、喜んで引き受けた。

オンラインで開催された26日の研究会では用意した説明ペーパーを用いて発表した。時間が限られていたので若干早口の説明になってしまい申し訳なかったが、終了後メンバーの皆さんからいろいろ質問をいただいてありがたかった。

最近は「沿岸域の総合的管理」について海洋政策関係者の間で関心が高まっているようで、私の海洋政策ブログでもこれに関するページへの訪問者がかなり多くなっている。

そこで、上記研究会での説明のポイントをここでも紹介してみることとしたい。関心のある方に沿岸域の総合的管理について考える参考にしていただければ幸いである。

<海洋基本法の第25条「沿岸域の総合的管理」の実施の現状と今後の課題>(1)
1.「沿岸域総合管理」政策の登場、世界的普及の経緯
20世紀後半の人口の増加、産業の発達、科学技術の発展→ 人口・産業の沿岸都市部への集中→ 浅海域の埋め立て、大量の廃棄物・排水の発生→ 沿岸域の環境・生態系の悪化、生物資源の減少、利用の競合
これらに対応するため、沿岸の陸域と海域を沿岸域として一体的に捉え、地域として沿岸域の環境保全と開発利用の問題を総合的・計画的に管理する取り組みの出現
          ↓
アメリカのサンフランシスコ湾地域で急速な埋め立てが進み、これに反対する住民運動が発端となって環境と調和した沿岸域利用を推進する沿岸域管理法(州法)が制定され、「Plan(計画)―Do(実行)―Check(評価)―Action(改善)―」の順応的プロセスにより総合的に管理するサンフランシスコ湾計画が1969年に策定された。
          ↓
アメリカは1969年に海洋政策文書「Our Nation and the Sea」を策定し、海洋に関する総合的・計画的取組み開始。連邦政府組織を再編成して海洋大気庁 NOAA(沿岸域管理も所管)設置(1970)、沿岸域の社会と生態系の持続可能性を目指す「Coastal Zone Management Act 沿岸域管理法」制定(1972)、連邦政府が認可した沿岸州の沿岸域管理計画には連邦政府の行為も適合していなければならないとする「Federal Consistency 連邦一貫制」採択
          ↓
アメリカで始まった沿岸域総合管理(ICM)の取組みは、世界的な経済発展の流れの中で同様に環境劣化、生物資源の減少、沿岸域の利用の競合などの問題への対応を迫られたカナダ、ヨーロッパ諸国、オーストラリア、そして中国、韓国、東南ジア諸国など世界の国々に広まっていった。

2.「沿岸域総合管理」は世界が共有する海洋の国際的行動計画に
1992年の国連環境開発会議(地球サミット)は、「持続可能な開発」原則とそのための行動計画『アジェンダ21』を採択し、その第17章で「沿岸国は、自国の管轄下にある沿岸域及び海洋環境の総合管理と持続可能な開発を自らの義務」とし、沿岸域の行動計画を定めた。これを契機に世界各国の沿岸域総合管理の取組みは急速に進んだ。(参照:1982年に採択された海洋の総合的管理を目指す国連海洋法条約が1994年に発効)

この沿岸域総合管理(ICM)の取組みは、その後の持続可能な開発の行動計画(→WSSD実施計画(2002)、→リオ+20のThe Future We Want(2012)、→『持続可能な開発のための2030アジェンダ』のSDGs(2015)にも引き継がれて、世界的に、そして世界各国で取組みが行われている。

東アジアでは、1993年からGEF/UNDP/IMOプロジェクト「東アジア海域環境管理パートナーシップPEMSEA」に東アジア各国が参加して沿岸域総合管理に取り組んできた。その活動の蓄積を基盤として、PEMSEAは2009年に東アジア各国の支持を受けて国際的法人格取得、地域国際機関となった(在マニラ)。(続く)
Posted by 寺島紘士 at 13:07
「市町村区域に海域を含める方策」に関連する質問 [2021年02月10日(Wed)]
昨年10月1日の本ブログ「「市町村区域に海域を含める方策」に対する関心」(註1)で、10年前に掲載したブログ「市町村区域に海域を含める方策」(註2)に対して依然としてかなり多くのアクセスがあることを取り上げて、沿岸域の「海を活かしたまちづくり」に取り組む施策の推進を提言したことを皆さんは覚えているだろうか。
註1:https://blog.canpan.info/terashima/archive/1969
註2:https://blog.canpan.info/terashima/archive/426

この「市町村区域に海域を含める方策」は、海洋環境の保全と持続可能な開発、沿岸地域社会の発展のために各国が国際的行動計画の下で取り組みを進めている「沿岸域の総合的管理」を具体的に推進するために必要な方策である。
わが国でも海洋基本法が「沿岸域の総合的管理」を基本的施策として定めている(第25条)…が、残念ながらその取組がはかばかしく進んでいないので、海洋政策ブログでも市町村区域に海域を含めて「沿岸域の総合的管理」(=「海を活かしたまちづくり」)を推進することをたびたび取り上げてきた。したがって、皆さんが依然としてこの「市町村区域に海域を含める方策」ブログに関心を持ってアクセスしていただいているのは大変うれしい

そんな折、昨年10月1日のブログを見た旧知の伊藤さんから昨年末押し迫って次のような問合せをいただいた。その概要は次のとおり。

“(前略)地元でいかばかりかの貢献できる活動をしたいと思っております中で、相模湾の海についてまとめております。とりわけ海に関しては、オーシャンの中でも、地方政府のコースタル・ガバナンス、近隣自治体同士の連携が大事だと思っています。
その基礎になる海の「市町村区域」での境の考え方を調べていて、貴ブログの本記事と引用されている記事の2つだけが、インターネット上では、本件を取り上げている遅々たる状況…に改めて驚きました。
(そして、)なにもない中でも、貴ブログ以外では、wikipediaの都道府県市町村のそれぞれの項目に必ず、右欄最後に記載されている「地図」に陸から海に延びるそれらしい赤線での区域が描かれていることに気づきました。
試しに、相模灘以北の相模湾市町村の赤線を手作業で合成したところ、それぞれがマッチする区域図が出来上がりました。
かように、極めて、精確に赤線が引かれているようですが、OpenStreetMap財団にコピーライトマーク があり、日本では、 lawsonやyahooか協力し、国土地理院の「数値地図 25000(空間データ基盤)」が基礎的な典拠になっていることしか私には判別できませんでした。
関係者の協力なしには、沿岸市町村の海の「区域」は作成できないものと思います。
公に開示された情報(作成基準、原図、等々)があれば、是非ともご教授願えればと思っています。”

通常は、沿岸海域は市町村区域に含まれていないことは既にお伝えしている通りであり、wikipediaにそのような地図が掲載されていることは初耳だったので、早速、沿岸域の総合的管理のモデルサイトとしてその海のことも知っている備前市の項をwikipediaで調べてみると、確かに陸域の備前市の市域を示す赤線が海域まで伸びてあたかも備前市域が海域までカバーしているかのごとく表示されている。

そこで念のため、備前市に勤務していて海のことをよく知っている旧知の濱山さんにこの海域の境界線のことを聞いてみた。
濱山さんの答えは、予想していた通りで、wikipediaで自分も確認したが、赤線で囲まれた海域は備前市域ではありません、というか、海に境界はないので、…根拠はないと思います、とのこと。

このようにwikipediaが示す海域の赤線は市町村区域の境界でないことは明らかである。しかし、伊藤さんも指摘しているように赤線はかなり精確にひかれているので、その根拠が何かは気になるところではある。市町村区域と漁業の共同漁業権区域などがごっちゃにされているというようなことはないのだろうか。

しかし、これ以上のことは私にもよくわからないので、いつものように皆さんのお知恵を拝借することとし、読者の皆さんの中でこの辺りのことをご存知の方がいたらどうぞ教えていただきたい。本ブログへのコメントという形でも結構ですのでお便りをお待ちしています。どうぞよろしくお願いします。
Posted by 寺島紘士 at 00:57
「市町村区域に海域を含める方策」に対する関心 [2020年10月01日(Thu)]
2007年7月から書き始めた『海洋政策ブログ』の執筆はおおむね順調に継続していて掲載ページ数が1970に迫っている。お蔭様で毎日多くの皆さんにこのブログを見にきていただいていて張り合いがある。(本ブログ7月24日『海洋政策ブログのページビュー、280万pvを突破』https://blog.canpan.info/terashima/archive/1957等参照)

多くの読者の皆さんが最近掲載したブログのページだけでなくその時々の関心に応じて以前に掲載したブログのページを見るためにこの海洋政策ブログにアクセスしていただいているのも嬉しい。

そこで私は、毎日読者の皆さんがどんなブログに関心を持ってアクセスしていただいたかを眺めているが、このところ継続して10年前の2010年11月19日に掲載した「市町村区域に海域を含める方策」https://blog.canpan.info/terashima/archive/426に対するアクセスがかなり多くなっているのが目に付く。9月中も多い日は7件ほど、月合計で延べ70回余のページビューがあった。

この「市町村区域に海域を含める方策」は、海洋環境の保全と持続可能な開発、沿岸地域社会の発展のための海洋政策ツールとして各国が国際的行動計画の下で取り組みを進めていて、わが国も海洋基本法で基本的施策として定めている「沿岸域の総合的管理」(第25条)を具体的に推進するための方策である。

しかし、沿岸域の総合的管理は、海洋基本法制定から10数年経ち、国交省、環境省ほかの省庁がそれぞれの所掌の範囲内で沿岸域の取り組みを進めてはいるが、各省庁そして地方自治体が互いに連携協力・協働して総合的に取組むことを要するこの施策は、残念ながら未だその実施が十分に進展しているとは言い難い。

海洋政策研究所において「海を活かしたまちづくり」モデル事業などを各地で実施して沿岸域総合管理の推進に取り組んできた私としては、そのことが社会の第一線から退いた今も心残りであるので、この施策に関心を持ってこの「市町村区域に海域を含める方策」ブログにアクセスしてくれる人たちがかなりいるのは大変うれしい。 

折から9月16日に就任した菅義偉新総理は、就任会見で地方を元気にしたい、自助・共助・公助が重要と述べ、コロナ対策、デジタル化、行政改革等々を重点事項として打ち出している。

そしてこれを受けて、このところ新聞紙上には河野行政・規制改革相の強気の行革案が大きく取り上げられ、押印、書面、ファックスの廃止、行政手続きのオンライン化などが報じられている。

これらはそれなりに一つの方向と思うが、これを見て、これらに加えて「市町村区域に海域を含める方策」などの従来の縦割り行政では難しかった地方活性化の施策の推進を行政改革の一環に加えて進めてはどうかと思った。

各省が縦割りの壁を超えて連携協力し、都道府県、市町村と協働して、沿岸域の「海を活かしたまちづくり」に取り組む施策の推進を菅内閣の目玉の新施策の一つに据えてもらいたいと思った。
Posted by 寺島紘士 at 19:23
黒潮実感センター、第22回日本水大賞「環境大臣賞」受賞 [2020年08月30日(Sun)]
先日、高知県大月町柏島のNPO法人黒潮実感センターが本年度の「第22回日本水大賞」の「環境大臣賞」を受賞したというグッドニュースが入ってきた。黒潮実感センターは、海を活かしたまちづくりの取り組みで長年親しくお付き合いしてきた神田優さんが取り組んでいるNPO法人である。http://www.orquesta.org/kuroshio/ 参照

「日本水大賞」は、日本水大賞委員会と国土交通省が主催し、環境省、厚生労働省、農林水産省、文部科学省、経済産業省等の各省や多くの公益法人、学会、団体が後援している表彰で、今回神田さんの黒潮実感センターは、「森川里海の人と自然の好循環がもたらす海の中の森づくり」で「環境大臣賞」を見事受賞した。
http://www.japanriver.or.jp/taisyo/jyusyoushiki/no22/index.htm

黒潮実感センターは、これまでも「第5回海洋立国推進功労者表彰」(2012年) をはじめ、様々な賞を受けている(黒潮実感センターのホームページ参照)が、秋篠宮皇嗣殿下を名誉総裁に戴く日本水大賞委員会が主催する今回の日本水大賞の「環境大臣賞」も立派な賞である。

神田さん、おめでとうございます。黒潮実感センターの今後益々のご発展をお祈りします。

黒潮実感センターは、海洋生物の豊かな高知県大月町柏島の素晴らしさをより多くの人に知っていただき共に育んでいただくために、島全体をまるごと博物館にして、@自然を実感する取り組み,A自然を活かすくらしづくり、B自然とくらしを守る取り組み、を行ってきている。

柏島周辺の海はアオリイカなどが獲れる豊かな海域であるとともに、透明度が高くダイビングの人気スポットである。

かつてこの海域の名産アオリイカ(モイカ)が不漁となり、ダイビングが原因ではないかと疑われて対立が起こった時に、神田さんはダイバーや林業者等の協力を得て地域の森の間伐材を海に沈めてアオリイカの産卵床づくりを行い、海の中の森づくりを成功させて地域の漁業者、ダイビング事業者、林業者などによる協力・協働の地域づくりに貢献した。
またその中で地域の小学校生の森川海のつながり学習にも取り組んだ。

以来、黒潮実感センターは、活発な活動を展開して今日に至っており、その中には産卵床を購入した人に漁師さんの釣ったアオリイカと海中写真を届けるアオリイカ(モイカ)のオーナー制度などユニークな取組もある。関心のある方はどうぞ覗いてみてください。
http://www.orquesta.org/kuroshio/Article/ArticleView.jsp?article_id=911
Posted by 寺島紘士 at 15:35
志摩市の海を活かしたまちづくり(2) [2019年05月10日(Fri)]
昨日(5月9日)、この4月1日に志摩市産業振興部参事に就任した前里海推進室長の浦中秀人さんが新設されたSDGs未来都市推進室の森田美紀室長と一緒に来訪した。

志摩市は、海洋基本法が基本的施策のひとつとして定めた「沿岸域の総合管理」を推進するために海洋政策研究財団(現笹川平和財団海洋政策研究所)が海を活かしたまちづくりモデルサイト事業を立ち上げたときに全国で7つのモデルサイトの先頭を切って里海推進室を設置して新しい里海のまちづくりに取り組んできた。その志摩市が、3月31日で里海推進室を発展的に解消し、4月1日からSDGs未来都市推進室を設置したことは本ブログ4月6日で紹介した。

私は2009年から海を活かしたまちづくりで志摩に通ったので、浦中さんとはそのころからの長いお付き合いでである。

浦中さんは、その当初から今日までずっと海を活かしたまちづくりに取り組んできており、4月からの新しいポストでも農林水産の担当として引き続き海を活かしたまちづくりに関わりを持つとのこと。

そういえば、昨年2月に政府が、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」を地方にも広めようと、「SDGs未来都市」を公募し、応募があった55自治体を審査して優れた取り組みを提案した29自治体を6月に「SDGs未来都市」に選んだ。その中に志摩市も見事選ばれたが、その志摩市の「SDGs未来都市」の取組みを立案したのも当時里海推進室長だった浦中さんである。

志摩市の「SDGs未来都市」に向けた今後の取組みの中でこれまで積み重ねてきた海を活かしたまちづくりの取り組みがどのように活かされて発展していくか楽しみである。

SDGs未来都市推進室長の森田さんは、私と浦中さんのやりとりをにこやかに聞いていて、ものごとに明るく接し、前向きに考えるお人柄とお見受けした。SDGs推進、そして海を活かしたまちづくりに向いておられるのではないか。志摩市はその大半が伊勢志摩国立公園に含まれる一方、漁業や真珠養殖なども盛んであり、SDGs推進の取組みのやりがいのある土地柄だと思う。どうぞ新しいポストで頑張ってください。

会談の途中から海洋政策研究所の塩入同研究員も話に加わって浦中さんたちとの間で海洋プラスチックごみなどに対してどう取り組むかで話が盛り上がっていった。現地の状況と問題意識を共有し、解決に向けたアイデアを交換していくやりとりは傍で聞いていても頼もしい。

志摩市の海を活かしたまちづくりが、SDGs未来都市推進の取組みの中に引き継がれて発展していくことを期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 13:58
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