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2018年度第3回「北極の未来に関する研究会」出席 [2019年03月14日(Thu)]
3月13日(水)、北極域の諸問題にオールジャパンで取り組む「北極の未来に関する研究会」の2018年度第3回会合が開催され、出席した。(北極の未来に関する研究会については、本ブログ2018年12月6日等参照)

今回の研究会でも最近の北極に関する動向について出席メンバーからの情報共有が活発に行われた。

まず、北海道大学北極域研究センターの大塚夏彦教授が、1月にノルウェーのトロムソで北極の持続的利用のために政策決定者、経済界、科学研究を連携することを目的として開催された「2019 Arctic Frontiers」と2月に紋別市で開催された「第34回北方圏国際シンポジウム」を取り上げて情報共有を行った。

続いて、国立極地研究所の兒玉裕二特任教授と海洋政策研究所の酒井英次部長が日米間で行われた「Japan-US Arctic Science Collaboration Meeting」について情報共有した。また、海洋政策研究所の田中元研究員が「Arctic Value Tree Workshop」について報告を行った。

その後、2020年に日本で開催される北極関係のイベント、@「第3回北極科学大臣会合(3rd Arctic Science Ministerial(ASM))」について海洋政策研究所の角南篤所長が、A「北極サークル地域会合」について海洋政策研究所事務局が、B神戸大学で11月に開催する「第13回極域法国際シンポジウム(PLC)」について神戸大学極域協力研究センター長の柴田明穂教授がそれぞれ情報共有を行った。

さらに、極地研の兒玉さんから「Sustainable Arctic Observing Network(SAON)」について情報共有があったほか、上記の発表に関してもいつものように他の出席者からの適宜補足・追加の情報提供が活発に行われた。

いつも感じることではあるが、官学産民の関係者が参加してオールジャパンで北極関係の諸問題に取り組むというこの「北極の未来に関する研究会」が、他にあまり類を見ないなかなかいい場であることを感じた。
Posted by 寺島紘士 at 22:15
2018年度第2回「北極の未来に関する研究会」に出席 [2018年12月06日(Thu)]
12月4日(火)、2018年度第2回「北極の未来に関する研究会」が開催され、出席した。

「北極の未来に関する研究会」は、近年、厚い氷で閉ざされていた北極海の氷が減少して、海上交通路としての利用が現実化するとともに、世界の気候、地球の環境や生態系に大きな影響を及ぼす可能性が出てきてた北極域の諸問題にオールジャパンで取り組むため、日本財団、笹川平和財団海洋政策研究所及び政策研究大学院大学が2016年9月に立ち上げた研究会である。

定例の研究会開催、そこでの議論に基づく「我が国が重点的に取り組むべき北極に関する課題と施策」に関する提言に加えて、北極ガバナンスに関する国際ワークショップの開催も行ってきた。(本ブログ2017年2月4日、5月30日、9月13日、2018年2月11日等参照)

今回の研究会でも情報共有としてメンバーから最近の北極に関する動向に関して活発に発表が行われた。

まず、文部科学省の阿蘇隆之海洋地球課長から、10月26日にドイツのベルリンで開催され柴山昌彦文部科学大臣が出席した第2回北極科学大臣会合について概要報告があり、併せて、第3回北極科学大臣会合をアイスランドと共催で2020年に我が国で開催(アジアで初)することが了承されたとの発表があった。

続いて、外務省の山地秀樹海上安全保障政策室長から、10月19日にアイスランドのレイキャビックで開催された国際会議「北極サークル」に日本の外務大臣として初めて河野外務大臣が出席し、日本の北極政策に関する基調講演を行ったこと、その中で、国際社会にとって「望ましい北極」とは、@環境変化のメカニズムが解明され、A先住民に配慮し持続可能な経済利用が探求され、B「法の支配」に基づき平和で秩序ある国際協力がなされることであるとして、その実現に向けて日本はすべてのステークホルダーとの協力を推進する、と述べたことが紹介された。

これに続いて、海洋研究開発機構の深沢理郎ArCSプロジェクトディレクター(第6回北極サークルについて)、国立極地研究所の末吉哲雄URA(China-Iceland Joint Aurora Observatory視察について)、東京海洋大学の森下丈二教授(北極公海漁業に関する協定について)、ジャパン マリンユナイテッド(株)の山内豊氷海研究グループ長(JMUの氷海関連技術について)、北海道大学の大塚夏彦教授(北極協議会PAME(北極の海洋環境保護)ワーキンググループの活動)、GEBCO指導委員会の谷伸委員長(北極の海底地形図作成に関する情報共有)がそれぞれ発表を行った。

10月初めに署名され、ニュースでも取り上げられた「中央北極海における無規制公海漁業を防止するための協定」については、実際にその交渉にあたった東京海洋大学の森下教授から、北極海沿岸国5か国とそれ以外の国等(アイスランド、中国、日本、韓国、EU)が立場の違いを乗り越えて合意したこの条約のポイントとそれぞれの思惑などについて解説いただき今回の中央北極海に関する無規制公海漁業防止協定の意義がよく理解できた。

これを含めていずれもの発表も最近各方面で活発に行われている北極に関する取組みについてそれぞれの専門分野を踏まえた有意義な情報提供だったので、大変参考になった。

今回の研究会ではこれらの発表に加えて、「北極域研究協働推進拠点」(J-ARC Net)から第6回北極域オープンセミナー(12月12日開催)等の事業のパンフレットが配られた。

北極域の諸問題にオールジャパンで取り組むために設立された「北極の未来に関する研究会」の趣旨が参加者の皆さんに浸透して、このように自発的な協働(collaboration )の場として発展してきているのを実際に見ることができて嬉しかった。

かなりたくさんの情報共有が行われたので、予定の時間を30分ほどオーバーして閉会となったが、有意義な研究会だった。
Posted by 寺島紘士 at 15:39
「産業界からの意見集約のための北極域技術研究フォーラム」講演会に参加 [2018年11月29日(Thu)]
笹川平和財団海洋政策研究所が、日本財団、政策研究大学院大学とともに開催している「北極の未来に関する研究会」のルートを通じて、「産業界からの意見集約のための北極域技術研究フォーラム」(北極域研究共同推進拠点 産学官連携推進事業)主催の第3回講演会の案内をいただいたので、「産業界からの意見集約のための…」という言葉に惹かれて、11月27日(火)に開催された講演会に参加した。

(なお、氷が急速に減少している北極域の諸問題に対してわが国がどのように取り組むべきかについて学産官民の関係者が集まってオールジャパンで議論している「北極の未来に関する研究会」については本ブログ2018年2月11日、2017年9月13日等参照)

講演会は、北海道大学の斎藤誠一 北極域研究センター長の開会挨拶、海洋研究開発機構の菊地隆 北極環境変動総合研究センター長代理の趣旨説明で始まった。

続いて次の5人がそれぞれ専門の取組について講演を行った。
・「韓国の北極研究コンソシアムと韓国船舶海洋工学研究所(KRISO) における北極研究の紹介」Dr.Kuk-Jin Kang 韓国船舶海洋工学研究所主幹研究員
・「ノルウェーにおける北極海航路と北極域の産業開発に関する動向、及び日本への期待」Dr.Svein Grundum ノルウェー王国大使館参事官

・「ロシア北極域の石油・ガス開発の展望」本村真澄 石油天然ガス・金属鉱物資源機構主席研究員
・「北極域におけるINPEXの活動」三輪正弘 国際石油開発帝石株式会社シニアコーディネーター
・「北極海からのLNG輸送〜ヤマルLNGプロジェクト〜」折戸悠太 株式会社商船三井LNG船プロジェクトグループ

何れも興味深い講演だったが、特にロシア北極域の石油・ガス開発を展望した本村さんと北極海からのLNG輸送の取組みを取り上げた折戸さんの講演は、私の関心分野だったので大いに参考になった。

最後に今後の北極域拠点活動予定を北海道大学北極域研究センターの田中雅人特任教授が紹介して閉会となった。

この講演会にはかなりの数の人たちが参加して熱心に聞いていて、産学官連携推進事業としてなかなかいい講演会だった。
Posted by 寺島紘士 at 00:03
この夏の北極海北航路の通航量が記録的に増加 [2018年10月05日(Fri)]
日本海難防止協会ロンドン研究室から送られてくるLRO ニュース(日本財団支援)が、世界の海事・海洋関係の重要な動きを伝えてくれることは、本ブログでもたびたびお伝えしてきた。(本ブログ2010年6月14日、…、2018年3月3日、3月19日、3月29日、6月8日、7月24日、8月23日等参照)

LROニュースでは北極海に関するニュースもよく取り上げられるが、10月3日のLROニュースには「この夏の北極海北航路の通航量が記録的に増加」というタイトルで、2018年1月から8月までの北極海北航路の船舶運航実績は対前年比80%と急増しているというニュースが報じられていて目を惹きつけられた。

これには北極海沿岸の石油ガス資源の運送量の増加ばかりでなく、特に夏季における一般貨物船・クルーズ船の運航の増加に加えて、今年から史上初めてコンテナ船の運航が開始されたことも貢献している、とのこと。ヤマルLNG事業では、5隻の新造LNG運搬船を利用して欧州市場との間を34回シャトル輸送して2018年上半期に250万トン以上のLNGを輸送した、という。

9月27日のLROニュースは、「北極海で最も堅固とされていた海氷が史上初めて消滅」というタイトルで、北極の温暖化が進んでも最後まで海が氷結しているとみなされてきたグリーンランド北部海域の氷が風に流されて海岸から沖に流され、崩壊を始めた、と伝えており、船舶運航実績の増加の背景にはこのような自然環境の変化がある。

北極海の温暖化による氷の減少が、北極海を普通の海として利用することの可能性を広げているが、北極海の利用は、その増加が地球環境にどのような影響を与えるかを慎重に見定めながら進める必要があるということもこの際併せて確認しておきたい。
Posted by 寺島紘士 at 23:47
各国の北極政策 [2018年02月17日(Sat)]
近年、氷の減少した北極圏に対する国際社会の関心が高まり、様々な取り組みが活発化していることは、2月11日の本ブログ「「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018」参加」でも伝えたが、今回は、各国の北極政策についてふれてみたい。

そう思ったきっかけは、中国が去る1月26日に中国初の北極に関する政策文書「中国の北極政策 China’s Arctic Policy」を策定、発表したことである。

日本も2015年10月年に「我が国の北極政策」を総合海洋政策本部で決定しているが、これまでに北極政策(又は戦略)を定めて発表しているのは、次の4カ国で、中国が5番目だという。

2009 カナダ、ロシア
2013 米国
2015 日本
2018 中国

「中国の海洋政策」では、中国は、北極圏の外にあるが北極の問題に密接にかかわっている国で、中国は北極問題の重要な利害関係者(Stakeholder)である、と位置付けて、国際的な協力への積極的な取り組みを強調している。

わが国では、目下第3期海洋基本計画の策定作業が大詰めを迎えているが、このような中国の北極問題に対する積極的な取組姿勢を見ると、第3期海洋基本計画には、わが国も、各国及び国際社会の北極問題への取り組みの進展を踏まえて、より前向きの積極的に北極政策に取り組むことを盛り込むことが求められていると思った。
Posted by 寺島紘士 at 23:43
「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018」参加 [2018年02月11日(Sun)]
2月8日及び9日、「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018 (Workshop on Arctic Governance in Tokyo 2018)」が、日本財団、政策研究大学院大学、笹川平和財団海洋政策研究所主催により東京で開催され、参加した。

近年、北極海の氷が急速に減少しており、これに伴い、北極海航路の実用化や北極域の資源開発・観光など北極域の新た利活用の可能性が広がる一方で、北極圏のみならず全球規模での気候変動・水循環・海の生態系への影響、安全保障環境の変化などが懸念されるようになって来ている。

このような状況の中で、わが国が「北極問題」に対してどのように取り組むべきかについて学産官民の関係者がオールジャパンで議論する「北極の未来に関する研究会」が日本財団、政策研究大学院大学、笹川平和財団海洋政策研究所により2016年9月に設置されて活発な活動を行っている。

去る1 月25 日には、研究会の「我が国が重点的に取り組むべき北極に関する課題と施策」に関する提言書が、日本財団の笹川陽平会長から江ア鐵磨内閣府特命担当大臣(海洋政策)に手交された。
https://www.spf.org/opri-j/news/article_24478.html参照

今回の国際ワークショップの開催も、この「北極の未来に関する研究会」の活動の一環であり、北極圏諸国を中心に各国から要人・専門家を招いて、北極域の保全・保護と利用、持続可能な開発の観点から北極域の将来像について議論するとともに、日本を含むアジア地域の協力のあり方について議論し、わが国が優先的に取り組むべき施策を明らかにしていくことを目的に開催された。なお、1年前に開催された「北極ガバナンスに関するワークショップ2017(Workshop on Arctic Governance in Tokyo 2017)」については、本ブログ2017年2月4日https://blog.canpan.info/terashima/archive/1357参照)

第1日は、オープニング・セレモニーで日本財団の笹川陽平会長が開会挨拶、内閣府の江崎鐵磨特命担当大臣・海洋政策が基調講演を行った。その後、北極サークル会長、前アイスランド大統領のオーラヴル・ラグナル・グリムソン氏が特別講演を行った。

続いて、午前に、第1セッション:環境問題(北極環境問題における科学技術と政策の統合)、午後に、第2セッション:ビジネス(北極におけるビジネスと資源開発の可能性)が行われた。

第2日は、午前に、セッション3:国際協力(北極協力におけるアジアの役割と期待)が行われ、最後にグリムソン氏と角南篤海洋政策研究所長による対話形式の総括セッションが行われて、国際ワークショップは閉会となった。

振り返って見て今回のワークショップは、昨今の北極に関する国際情勢の進展を反映して、これまでになく内容が充実したものになったと感じた。

いくつか具体的な例を挙げれば、北極問題で国際的に著名なグリムソン前アイスランド大統領が参加して北極問題に対する国際的取組のあり方について積極的、かつ率直に発言したこと、日本および米国・ロシア・中国・EU等の政府からかなりのレベルの人たちが参加して北極の問題について前向きに議論をしたこと、北極問題がグローバルな問題であり、北極圏諸国だけでなく域外のオブザーバー国も積極的に協力して取り組む必要があることについて北極圏諸国の参加者も前向き・積極的に発言していたこと、北極域に関するビジネスの可能性についてテロ・ヴァウラステ北極経済評議会議長も参加して、アジアと北極圏の国々のビジネス関係者により積極的に議論がなされたこと、科学技術と政策の統合の必要性について前向きに議論されたこと、などである。

今回の国際ワークショップの成果をもとにわが国の北極に関する取組がさらに進展することを期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 18:08
中国が北極海の中央航路開発に乗り出す [2017年10月22日(Sun)]
10月13日の日本海難防止協会ロンドン研究室から送られてきたLRO Newsの「本日のトピック」の中に「中国が北極海第3の「中央航路」を模索」とあるのが目に留まった。

中国は、北極海航路の利用により、中国と欧州の間の海上輸送に必要な所要日数を15日間短縮できるため、過去1年間で、6隻の中国船がロシア沿岸の北極海北航路(Northern Sea Route)を運航したという。

しかし、中国は、北極海北航路だけでは中国と欧州との間の増大する輸送需要を満たすのに十分でないこと、また、ロシアが北極海北航路の安定的な利用に必要な信頼できるガイダンスや事故発生時の連絡体制を整備できていないことなどから、ロシア北方のより北極点に近い「中央航路Central seaway」の開発にも乗り出し、この夏、砕氷船Snow Dragonを北極海に送り調査しているという。

中国が北極海航路に積極的に関わろうとしていることは前から感じていたが、ロシアやカナダの沿岸の航路ではなくて北極海の中央部にある公海に着目して、そこを通る中央航路の開発にも乗り出しているというのを聞いて、中国の北極海航路に対する関心が並々ならぬものであることを強く感じた。

現在中国は「一帯一路」政策を推進している。その目線の先には欧州がある。

そう考えると、欧州との経済関係の強化の一環として欧州との間を結ぶ輸送路の開発に乗り出し、北極海でも北航路の利用だけにとどまらず中央航路の開発に積極的に取り組む、という中国の戦略の一端が垣間見えるような気がしてきた。
Posted by 寺島紘士 at 01:10
第3回「北極の未来に関する研究会」に出席 [2017年09月13日(Wed)]
9月13日(水)、2017年度第3回「北極の未来に関する研究会」が開催された。
(北極の未来に関する研究会については、本ブログ2017年5月30日、2016年9月20日等参照)

先ず、今回が初めての出席となる内閣府総合海洋政策推進事務局の羽尾一郎事務局長と外務省の井出敬二北極担当大使が紹介され、それぞれ短い挨拶があった。

続いて議事に入り、先ず、第3期海洋基本計画の見直し作業に対する提言について審議した。

これまで第3期海洋基本計画の策定に向けてそこで考慮すべき施策の要素を議論してきたが、今回はそれに基づいて取りまとめたわが国が重点的に取り組むべき北極に関する課題と施策について事務局が説明し、それを基に審議を行った。

かなりまとまったドラフトが提示されたので、これについてメンバーからの意見の有無を最終的に確認した上で提言とすることとなった。

次に、恒例になっているメンバーからの北極に関する情報の共有が行われ、まず、「平成30年度北極に関する予算概算要求について」内閣府総合海洋政策本部及び関係各省庁から説明があった。

続いて、8月に北極担当大使となった井出大使が、第7回北極評議会メンバー・オブザーバー会合への参加報告を行った。

そのほか、神戸大学大学院極域協力センターの柴田明穂センター長、北海道大学北極域研究センターの大西富士夫准教授など研究会有識者メンバーから最近開催した、又は今後開催予定の北極に関するシンポジウム、セミナー等について報告・情報提供があった。

最後に、政策研究大学院大学副学長として研究会をリードしてきた角南さんが、このたび海洋政策研究所長に就任したので、海洋政策研究所としての北極問題についての取組の今後の方針や会議開催予定を披露して研究会を締めくくった。

私は今回の会議に財団参与として出席したが、この研究会が、有識者メンバー、産業界・研究機関、関係省庁等の皆さんの情報共有と建設的な意見の交換・共有・形成の場としていい形に成熟してきているのを感じて嬉しかった。
Posted by 寺島紘士 at 23:52
2017年度第1回「北極の未来に関する研究会」開催 [2017年05月30日(Tue)]
5月30日(火)、2017年度第1回「北極の未来に関する研究会」を開催した。この研究会は、日本財団、政策研究大学院大学、笹川平和財団共催、北極に関心を有する政官産学民の皆さんが集まって議論するオールジャパンの研究会である。

今年度の第1回の研究会は、最初に、外務省の白石和子北極担当大使から「第10回北極協議会(AC)閣僚会合の概要」(議長国:米国→フィンランド)についての報告があり、続いて「安全保障の概念整理」について、海洋政策研究所の秋元一峰特別研究員の発表と出席者による議論を行った。

その後、本日のメインの議題である、次期海洋基本計画に盛り込むべき「北極」に関する施策について議論を行った。

北極政策の柱をどう立てるか、また、安全保障をはじめ、環境、海洋産業、海洋観測、海洋科学技術、国際協力、人材育成など様々な分野についての施策について会議出席者から発言があったが、次期海洋基本計画に盛り込むべき政策・施策としては、まだ議論が十分に深まり、施策が具体化されたとは言えないので、引き続き次回において議論することとなった。

最後に事務局より、次回に向けた準備の一環として出席者から次期海洋基本計画に盛り込むべき施策案について来週金曜日(6月9日)までに提案を出してほしいこと、次回は、6月中に開催する予定であることなどを伝えて、第1回研究会は閉会となった。
Posted by 寺島紘士 at 23:50
「北極ガバナンスに関するワークショップ」開催 [2017年02月04日(Sat)]
2月2日(木)、3日(金)の両日、北極圏7カ国及び日本を含むアジア5カ国から北極問題に関わる研究者・専門家が参加して、北極ガバナンスに関するワークショップ「Workshop on Arctic Governance in Tokyo 2017」を開催した。

近年、厚い氷で閉ざされていた北極海の氷が減少して、海上交通路としての利用が現実化するとともに、世界の気候、地球の環境や生態系に大きな影響を及ぼす可能性が出てきて、北極域に対する世界の関心が高まってきている。

そこで、日本財団、笹川平和財団海洋政策研究所及び政策研究大学院大学が共同で、北極の諸問題に取り組むオールジャパンの研究会として「北極の未来に関する研究会」を昨年9月に立ち上げた。

そして、今回、3者共催で、北極に関する問題に対して、アジア諸国が具体的にどのような役割を果たせるのかを北極圏諸国と議論していく場づくりを目指して上記の国際ワークショップを開催したものである。

今回は、参加者同士お互い初めての顔合わせがほとんどである。そこで第1回ワークショップの目的として、@北極に関する様々な情報の共有、A北極圏諸国のアジア諸国に対する期待についての相互理解やアジア諸国の関心分野の確認、B様々な分野の日本と参加諸国の研究者・専門家間の将来の北極に関する協力に向けた土台作り、の3点を掲げた。

会議は、冒頭に開会式があり、共催3団体から海野光行日本財団常務理事、田中伸男笹川平和財団会長、角南篤政策研究大学院大学副学長が挨拶をした。
その後、出席者全員による記念写真の撮影を行った。

続いて、次の5つテーマごとにセッションを開催し、意見発表とこれに関する議論を行った。

セッション1: Security in the Arctic Commons(北極コモンズにおけるセキュリティ)
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セッション2: Environmental and Social Management Challenges(環境・社会の管理の課題)
セッション3: Information Technology and Infrastructure Investment(情報技術とインフラ投資)
セッション4:Navigation and Law of the Sea(航行と海洋法)
セッション5:Cooperation in Resource Management(資源管理における協力)
セッション6:まとめ

また、第1日目の昼には、「北極のフロンティアについて考える議員連盟)事務局長の上川陽子衆議院議員が基調講演を行い、2日目の冒頭には、外務省の白石和子北極担当大使が、特別講演を行った。北極に関する日本の取組について会議参加者にアッピールする内容で好評だった。両先生に御礼申し上げたい。

2日目の最後に私が閉会挨拶をして、ワークショップは成功裡に終了した。

2日間にわたって行われた会議では、参加者がそれぞれの専門分野について専門的知見に基づいて情報と意見を率直に発表し、そられに基づいて活発に意見交換を行ったので、第1回ワークショップとしての当初の期待通りの成果を上げ、北極評議会参加諸国とアジアの同評議会オブザーバー諸国からの参加者の間で今後の交流と関係強化の基盤を築くことが出来たのではないかと思う。

今回の会議には、顔見知りのカナダ・ダルハウジー大学のDavid Vanderzwaag教授、フィンランド・Arctia Ltd社のTero Vauraste社長・北極経済評議会(AEC)会長、世界海事大学(WMU)のOlof Linden 教授、国際北極海航路開発計画(INSROP)を共同で実施したノルウェー・フリチョフ-ナンセン研究所のArild Moe先任研究員なども参加して再会を喜ぶとともに、初めて会う各国の方々ともそれぞれの取組みや互いの関心事項について語り合い、交流を深めて大変有意義だった。

特に、Vanderzwaag教授とは互いに海洋法・海洋政策について議論したりしてきた旧知の仲で、久しぶりに再会して互いに久闊を叙した。彼とは北極海問題についても以前に意見交換していた(本ブログ2010年 7月19日、同9月22日参照)。

そして、2011年には、アラスカ大学フェアバンクスとダルハウジー大学が共催する「国家管轄権外の北極海(The Arctic Ocean Beyond National Jurisdiction)」という国際会議に招待を受けた。しかし、このときは、これを受けて喜んで会議に参加するため出かけたのに、成田空港で航空会社の不可解な対応に妨げられて予約した航空機に乗れなくて、結局会議に参加できなかったという苦い経験をした(本ブログ2011年4月24日、8月9日参照)。

したがって、Vanderzwaag教授と顔を突き合わせて北極問題その他について親しく話すのは2010年以来だから7年ぶりだろうか。お互いに齢を重ねてきたが、彼の滔々たる発表を聞いているとこちらまで元気になる。
Posted by 寺島紘士 at 23:42
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