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6月21日は世界水路の日・夏至 [2023年06月22日(Thu)]
今年も6月21日が「世界水路の日」、そして「夏至」だった。

夏至は24節気の第十で一年の中で一番昼間の時間が長く、また、太陽が一番高い日である。東京晴海の日の出の時刻は午前4時25分、日没は午後7時。
子供のころから「冬至」「春分」「夏至」「秋分」などの日は特別の思いをもって迎えてきたが、特に「夏至」は本格的な夏の到来を自覚する日として思い出深い。

さて、その6月21日は「世界水路の日」である。
水路測量・海洋調査、海図の作成等を通じて船舶交通の安全の確保・強化や海洋環境の保全ひいては海洋ガバナンスにも不可欠な沿岸・海洋の情報提供に取り組む水路業務や水路技術の重要性を広く一般に啓発するために、国際水路機関(IHO)はこの日を「世界水路の日」としてきた。そして、さらに国連総会が、その意義を全世界に浸透させるために2005年にこの日を「世界水路の日」として決議した。

このように「世界水路の日」は国際的に祝われている記念日であるが、日本では9月12日を「水路記念日」として、長年海洋に関する官民の関係者が集まって祝賀会を開いてきている(下のブログ等参照)ので、「世界水路の日」は、残念ながら、ほとんど注目されていない。
第148回水路記念日祝賀会に出席 [2019年09月14日(Sat)]
https://blog.canpan.info/terashima/archive/1903

しかし、今やグローバル化が着々と進展している地球上に暮らす私たちにとって私たちの経済や生活を支える物資や人々の輸送、そして海の利用等の発展を支えてきた水路業務=海洋調査/情報収集・提供は、国際社会が一致して取り組む重要な取組としてますます重要度を増している。「水路記念日」を祝うのはもちろんであるが、「世界水路の日」にも視野を開いて世界の人々とともに水路業務に感謝しその発展を願うことにも、もう少し前向きに取り組んではどうだろうか。 

昨日は、(一財)日本水路協会の評議員会がKKRホテル東京であり、その後続いて開催された令和4年度水路業務功績者表彰式及び懇親会にも出席した。功績者の表彰をともにお祝いし、これまでの水路業務との長いお付き合いの中の様々な場面で知り合った旧知の人たちとも席上楽しく語りあう中で、これも「世界海の日」の余恵かとふと思った。

「6月21日は、私たちが大きな心をもって太陽と地球と海と私たちの関係などに思いを馳せるのにふさわしい日ではないか」と2020年6月の海洋政策ブログ「夏至と世界水路の日」に書いたことを思い出した。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/1949 参照
Posted by 寺島紘士 at 16:23
福徳岡ノ場の新島海没 [2022年09月01日(Thu)]
東京から南に約 1,300 qの太平洋上、南硫黄島から北北東約 5 qに位置する海底火山「福徳岡ノ場」では昨年8月15日の観測により直径約1qの馬蹄形の新島の出現が確認されて社会の注目を集めた。

同海域は海底での火山活動が活発で変色水がしばしば認められ、1904 年、1914 年及び 1986 年には一時新島が形成されたが、残念ながらそれらは長続きせずいずれもその後海没しているので、今回は新島が少しでも長く存続することが期待されていた…。

私も、新島が長く海面上に存続することを願って海上保安庁海洋情報部のプレスリリースや「海域火山データベース」で新島の状況を眺めていたが、残念ながらその後新島は波浪に削られて縮小し続け、昨年12月末には波浪の間に見え隠れしている状況となった。そして、今年に入ってからは「海域火山データベース」の掲載写真では新島の姿を確認することは難しくなっていた。
☆福徳岡ノ場の新島については本ブログ「海洋調査の推進」の項も参照

それらを見ながら福徳岡ノ場の新島はどうなったのか…、海没してしまったのかなと思いながら決定的な情報がないまますごしていたところ、先般届いた海上保安新聞8月25日号で「福徳岡ノ場 新島が海没」という海上保安庁の8月3日の発表に基づく記事を見つけた。

8月はこちらも信州八重原でお盆をすごしたりしていてその発表に気が付かなかったが、海上保安庁が、「福徳岡ノ場の噴火から間もなく1年〜航空機による観測結果をまとめました〜」というまさにこちらの関心にぴったりのプレスリリースを8月3日に行っていたのである。

それによると、「この噴火により形成された新島はその後の浸食により徐々に縮小し、12月に波浪により見え隠れしていたのを最後に、陸地は確認出来なくなりました。本年6月の観測では、島が浸食を受けてできた浅海部が確認されるとともに、付近に薄い黄緑色の変色水が見られました。」とある。

同プレスリリースはこれに続いて、新島が確認されてから次第に縮小していってついに海没し、かつての新島付近において波浪礁、浅海部が確認されるまでの経緯を時系列で記し、さらに<参考>として、福徳岡ノ場についての説明や位置図、および福徳岡ノ場の噴火直後の様子や新島の変遷の様子の写真を添付している。

この「福徳岡ノ場の噴火から間もなく1年〜航空機による観測結果をまとめました〜」という発表は、既にご存知の方も多いとは思うが、この1年の観測結果が写真付きでなかなかよくまとめられているので、未読の方には下記発表を覗いてみることをお奨めしたい。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/r4/k220803_1/k220803_1.pdf
Posted by 寺島紘士 at 02:24
トンガの海底火山の噴火と福徳岡ノ場の新島等のその後(4) [2022年01月21日(Fri)]
日本から8,000q南の南太平洋の島国トンガで15日に海底火山が大規模噴火し、それに起因するとみられる津波が16-17日に太平洋沿岸の国々に到達した。日本の太平洋沿岸にも最大では1mを超える津波が到達し、奄美や岩手に津波警報、太平洋沿岸の広範な地域に津波注意報が出された。

国連衛星センター(UNOSAT)によると、噴火した海底火山の海域には海面上に285ヘクタールの陸地があったが、現地時間17日午前10時53分(日本時間同6時53分)に撮影された写真では、陸地がほぼ全て消滅しているという。その噴火の大きさに驚かされる。

太平洋での海底火山の噴火と言えば、8月15日に確認された小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火と新島の出現とその後の状況については本ブログでもたびたび取り上げてきた。

「福徳岡ノ場」に新島出現 」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2014
「福徳岡ノ場」の新島のその後 」 https://blog.canpan.info/terashima/archive/2017
「福徳岡ノ場」の新島のその後(2)」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2019
「福徳岡ノ場」の新島のその後(3)」https://blog.canpan.info/terashima/archive/2027
参照

この福徳岡ノ場では過去3回にわたって噴火により新島が出現したが、残念ながらいずれもしばらくして海没している。そこで今回出現した新島がはたして島として存続できるかどうかに関心をもって状況の推移を眺めてきた。

すると10月になって福徳岡ノ場の噴火で流出したと思われる軽石が沖縄の島々に大量に漂着して海上交通、漁業、観光に甚大な影響を及ぼす事態が発生した。それらの軽石は黒潮に乗って反転北上し伊豆諸島の島々の一部にも流れ着いている。

福徳岡ノ場の噴火で噴出された大量の軽石がこのように太平洋上を漂って広範囲にわが国の各地に影響を及ぼすことまでは想定していなかったので驚き、あらためて地球内部から噴き出す噴火のすごさを実感した。

そこに今度のトンガにおける海底火山の巨大噴火である。地球内部のマグマの活動がまだまだ活発であることを目の当たりにして改めて陸上だけでなく海底の火山活動にも関心を持っていくことの重要性を認識した。

さて、福徳岡ノ場のその後の状況であるが、年末12月27日の海上保安庁の観測によると新島は残念ながらかなり縮小しているようである。

少し時間が経ってしまったが、海上保安庁は2021年12月28日に次のようなプレスリリースを発表しているのでご覧ください。

福徳岡ノ場の火山活動について(12 月 27 日観測)
1. 状況
12 月 27 日、第三管区海上保安本部羽田航空基地所属航空機により観測を 実施しました。主な観測結果は以下のとおりです。
[観測結果]
・新 島:12 月 14 日の観測結果と比較し、新島は縮小しており、波浪 により陸地が見え隠れしている状況であった。
・活 動:観測中の噴火は認められなかった。
・変 色 水:新島の東側から茶褐色の変色水の湧出を認め、同位置から東側約5qにかけて黄緑色の変色水の分布を認めた。 福徳岡ノ場の東約5q付近に長さ約 400m 弱の軽石と思われる筋状の浮遊物を認めた。
2.東京工業大学理学院火山流体研究センター 野上健治教授(航空機同乗) のコメントは以下のとおりです。
福徳岡ノ場の8月の噴火で形成された陸地は波浪によって消滅しつつある。一方、噴火地点から変色水域が現在も比較的に広範囲に広がってお り、熱活動は活発に継続している。南硫黄島の海岸のほぼ全周にも変色水域があり、福徳岡ノ場を含めた海域の活動を注視する必要がある。

プレスリリースには現場の写真が説明付きで掲載されているので下記をクリックしてみてください。
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2021/20211228.pdf 
Posted by 寺島紘士 at 20:42
「福徳岡ノ場」の新島等のその後(3) [2021年12月01日(Wed)]
小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火して新島の出現が35年ぶりに確認されたのは8月15日だった。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/2014 参照

福徳岡ノ場では過去3回にわたって噴火により新島が出現したが、残念ながらいずれもしばらくして海没しており、今回出現した新島が太平洋上に島として存続できるかどうかに社会の関心が集まっている。

私も今回の「福徳岡ノ場」の新島出現以後、これがどうなっていくのかに関心をもって海上保安庁等のその後の観測結果をフォローしてこれまで2回ほど本ブログでも取り上げた。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/2017
https://blog.canpan.info/terashima/archive/2019 参照

今回出現した新島もその大部分は軽石や火山灰が堆積したものと考えられており、現に波浪で削られて縮小してきているが、まだ島として存続している。

今回は、このところバタバタしていて取り上げるのが少し遅れてしまったが、海上保安庁海洋情報部が11月11日の第三管区海上保安本部羽田航空基地所属航空機による観測結果を次のように発表しているので、その内容を未読の皆さんと共有したい。

[観測結果]
・新島:11月1日の観測結果と比較し、新島の台地はやや縮小して いるものの、島の大きさに大きな変化は認められなかった。
・活動:新島の北端から立ち上がる白色噴気を確認した。また、新島 北側の海面で、円形の白い泡状の小規模な湧出を認めた。
・変色水:福徳岡ノ場を中心とした直径約3qの範囲に濃い黄緑色の変色水を認めた。 福徳岡ノ場の南東約20q付近に直径約2qの黄緑色の変色水及び軽石と思われる浮遊物を認めた。
[東京工業大学理学院火山流体研究センター 野上健治教授(航空機同乗) のコメント]
今回の観測結果から、福徳岡ノ場における海底火山活動は沈静化したとは言えず、熱活動も未だに活発な状態である。

海上保安庁は上記発表において観測結果のポイントがよくわかるように写真を掲載しているので関心のある皆さんには下のウェブサイトを覗いてみることをお奨めしたい。
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2021/20211112.pdf

このように福徳岡ノ場の新島はまだ洋上で頑張っているので、引き続き注目していきたい。。

なお、他方では、10月になると福徳岡ノ場の噴火で流出したとみられる軽石が沖縄の島々に大量に漂着して海上交通、漁業、観光に甚大な影響を及ぼしてこちらにも世間の目が注がれるようになった。それらの軽石は今や黒潮に乗って反転北上し伊豆諸島の島々の一部にも流れ着いている。

私も福徳岡ノ場の噴火で大量の軽石が周辺海域に漂っていたことは承知していたが、その一部と思われる大量の軽石がこのように太平洋上を漂って広範囲にわが国の各地に影響を及ぼすことまでは想定していなかったので驚いた。あらためて地球内部から噴き出す福徳岡ノ場の噴火のすごさを実感している。
Posted by 寺島紘士 at 17:04
「福徳岡ノ場」の新島のその後(2) [2021年09月23日(Thu)]
8月18日及び28日の本ブログで取り上げた小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の火山活動については皆さんの関心も高いので、少し時間が経ってしまったが、海上保安庁海洋情報部が9月13日に発表した「福徳岡ノ場の火山活動について(9月12日観測)」によりその後の状況を眺めてみたい。

海上保安庁の9月12日の航空機による観測の主な観測結果は次のとおり。

・新島:西側はほぼ変化なし。東側は海没していることを確認した。
・活動:観測中の噴火は認められなかった。
・変色水:
福徳岡ノ場周辺に黄緑〜黄褐色の変色水の分布が広く認められた。
福徳岡ノ場の東北東約2qの位置には新たに直径約2qの独立した黄緑〜黄褐色の変色水域の分布が認められた。
南硫黄島の西岸〜南岸の広範囲に変色水域の分布が認められた。

fuku210912-3.jpg
<海上保安庁海洋情報部HP「海域火山データベース:福徳岡ノ場」より>

このように、新たな変色水が確認されたことから海上保安庁では航行警報を発出し付近航行船舶に注意を呼びかけている。

この航空機観測に同乗した東京工業大学の野上健治教授のコメントは次のとおり。

・火口の中心からは、黄緑〜茶褐色の変色水域が広がっており、現在も活動が継続している。
・福徳岡ノ場の東北東に新たに変色水域が発生している点に注意すべきである。
・また、南硫黄島の西岸〜南岸の広範囲にも変色水が発生していた。南硫黄島の西岸には今回の噴火の5年以上前から変色水が見られていたが、新島の噴火直後(8月16日)と前回の観測(8月26日)では変色水は発生していなかった。
・今回の観測結果は、現在も活発な活動が継続していることを示しており、再噴火の可能性も否定できない。

今回の観測により、新島の西側はほぼ変化なく存在していることが確認された。これは朗報である。

加えて、今回の観測では、福徳岡ノ場の火口からだけでなく、その東北東2qの水域にも独立した変色水の分布が認められ、また、南硫黄島の西岸〜南岸の広範囲にも変色水が発生しているのが認められた。
このことは、この海域一帯で火山活動が活発化していることを示すものと思われ、今後の展開を期待して引き続き眺めていきたい。
Posted by 寺島紘士 at 18:24
「福徳岡ノ場」の新島のその後 [2021年08月28日(Sat)]
8月18日の本ブログでお伝えした小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火により出現した新島がその後どうなったか知りたくて、海上保安庁海洋情報部のホームページを昨日(8月27日)覗いてみた。

すると、丁度お知らせのトップに同日発表された「福徳岡ノ場の火山活動について(8月26日観測)」が載っているのを見つけた。

それによると、航空機により観測を実施したところ、観測中に噴火は認められず、新島は、形状が一部変化していた、として次のような観測結果が発表されていた。

・新島:西側はほぼ変化なし。東側は一部を残して海没していた。(下図参照)
fuku210826-2.jpg

「海上保安庁海洋情報部海域火山データベース福徳岡ノ場」掲載写真より
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo24-2.htm

・活動:観測中の噴火は認められなかった。一方で2つの島に挟まれた火口では、海面上に灰色の物質が間欠的に湧出していた。
・変色水:茶褐色の変色水の分布が広く認められ、西方に延びていた。

今回も航空機観測に同乗した東京工業大学の野上健治教授は、次のようにコメントしている。
・西側の新島は大きく変化しておらず、まだしばらくの間は陸地として残るだろうと考えられる。
・火口の中心部からは、火山灰と思われる灰色の物質が湧出し、茶褐色の変色水域も大規模に分布しており、活発な火山活動は現在も継続している。

福徳岡ノ場では過去3回にわたって噴火により新島が出現したが、残念ながらいずれもしばらくして海没している。野上教授も、新島の大部分は、軽石や火山灰が堆積したものであると考えられ、波浪で縮小する可能性が高いと前回コメントしており、新島が存続できるかどうか楽観は許されないが、新島が波浪で削られて縮小はしてもその一部が海面上に存続することを願っている。
Posted by 寺島紘士 at 16:07
「福徳岡ノ場」に新島出現 [2021年08月18日(Wed)]
8月17日の読売新聞が小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が噴火して新島が確認されたと報じているのを見て急いで海上保安庁海洋情報部のプレスリリースを覗いてみた。

すると、8月15日に航空機により観測を実施したところ、「福徳岡ノ場」に新島(直径約1qの馬蹄形)の存在を確認した、噴火は継続しており、付近には噴出した軽石等の浮遊物の存在も確認された、新島の出現は1986年以来35年ぶり、とある。(8月16日発表)

私も太平洋上の火山活動には関心を持ってフォローしてきており、南硫黄島の北北東約5qにある福徳岡ノ場の活動についても本ブログで取り上げているので、新島出現の確認は嬉しいニュースである。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/217 参照

さらに、本日(8月17日)は、8月16日の航空機による観測結果として、新島の形状が直径約1qの( )型(かっこ型)に変化したこと、浮遊物は蛇行しながら西北西方向に断続的に約100q(最大幅約13km)まで達していたことを報じている。

福徳岡ノ場では過去3回にわたって噴火により新島が出現したが、残念ながらいずれもしばらくして海没している。航空機観測に同乗している東京工業大学の野上健治教授も「新島の大部分は、軽石や火山灰が堆積したものであると考えられ、波浪で縮小する可能性が高い。」とコメントしているので新島が存続できるかどうか楽観は許されない。

しかし、野上教授は、同時に、「噴気活動のある新島の中心部は海面上に達している可能性がある。」ともコメントしている。この新島が波浪で削られて縮小はしてもその一部が海面上に存続する可能性に期待したい。

海上保安庁の実施する調査の結果は、随時、同庁海洋情報部HPの「海域火山データベース:福徳岡ノ場」で公開されるので、「福徳岡ノ場」の新島の今後の動向に関心のある皆さんには新島のその時々の写真が載る次のWeb をときどき覗いてみることをお奨めします。
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/GIJUTSUKOKUSAI/kaiikiDB/kaiyo24-2.htm
Posted by 寺島紘士 at 00:40
節目の第150回水路記念日について想う [2021年04月18日(Sun)]
家内の葬儀のときには満開だった桜の花も散り、木々の緑が色濃くなってきた。季節は着実に進んでいる。
このところいろいろなことに追われていて海洋政策ブログの執筆にまでなかなか手が回らないまま日々が過ぎてしまった。新しい海洋政策の記事を心待ちにしていた皆さんにはご期待に沿えなくてすみませんでした。

しかしそのような中でも、多くの海洋に関心のある皆さんが『海洋政策ブログ』にアクセスしていて、これまでに掲載したそれぞれの関心のブログ記事を見ていただいていたことに感謝したい。皆さんからはこの間にも海洋政策ブログのいろいろな記事に毎日600〜1000余のページビューがあったのである。

中国の最近の東シナ海、南シナ海における一方的な領域の主張とその実現に向けた実力の行使を反映して、これまで掲載したそれに関連する海洋政策ブログへのアクセスが多かったのはその一例である。尖閣諸島問題に関するブログについては下記参照。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/381 (2010.9.25)から
https://blog.canpan.info/terashima/archive/1993 (2021.2.15)まで多数

そんな中で2018年の9月12日に開催された水路記念日について同年9月14日に海洋政策ブログに掲載した「第147回水路記念日祝賀会に出席」(下記参照)に対するアクセスが時々2-3件/日あるのが目についた。
https://blog.canpan.info/terashima/archive/1761

9月12日は、明治の時代を迎えて開国し近代国家として歩み始めたわが国にとって開国にあたっての緊急課題であった日本沿岸の航海の安全を図るための海図作りを使命として明治4年に兵部省海軍部に水路局が設置された日である。

水路局はその後、海軍水路部となり、戦後も引き続き海上保安庁水路部として存続し、2002年には名称を海上保安庁海洋情報部に変更して発展してきた。そして、9月12日は「水路記念日」として、毎年海洋に関する官民の関係者が集まって祝賀会が開かれている。

今や海洋情報部は、海洋の総合的管理と持続可能な利用というグローバルな新たな時代のニーズをバックに、海洋調査、海洋情報の収集・提供の業務を拡大・強化して海洋ガバナンスを支える海洋データ・情報を整備・提供する機関として活躍している。詳しくは、下記海上保安庁海洋情報部のホームページ参照
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/torikumi.html

私は、1982年から約2年間、まだその庁舎が築地にあったころに水路部の監理課長を務め、水路部の組織を時代のニーズに合せて業務目的別の組織に再編成する大組織改正に取り組み、また、国連海洋法条約採択に対応して大陸棚限界画定調査を開始し、そのための最新鋭の測量船「拓洋」の建造(竣工1983年)などに取り組んだ。

この水路部時代に海について学び、経験したことは、その後の私の海洋ガバナンスの取組みに大変役立っており、当時のことは私にとって貴重かつ懐かしい思い出である。

そんな思いに浸っているうちにふと気が付いた。

2018年が第147回水路記念日なら、本年9月12日の水路記念日は第150回目となる記念すべき水路記念日ではないか!!

来る9月12日は、今や「人類の共同財産」として、国連海洋法条約や持続可能な開発に関する行動計画の国際的枠組みの下で管理されるようになった海洋に対して、その管理に不可欠な海洋のデータ・情報の調査・整備・提供に全力を挙げて取り組んでいる海洋情報部と、それと連携協力し、協働して取り組んでいる官民の関係者の皆さんの役割と貢献に焦点を当てて祝うべき第150回目の節目の水路記念日なのである!

すでに海洋情報関係の皆さんは、このことをとっくに承知していて、第150回水路記念日の準備を進めていることと推察するが、広く一般の皆さんにも海洋調査・情報提供の重要性を知ってもらい考えてもらう良い機会でとなると思うので、ここにこのことを話題として皆さんに提供したい。
Posted by 寺島紘士 at 01:43
大型測量船「光洋」就役 [2021年03月20日(Sat)]
海上保安庁は、海洋調査体制の強化に向けて最新鋭の観測機器を搭載した大型測量船の整備に取り組んできており、昨年3月には大型測量船「平洋」が就役した。
本ブログhttps://blog.canpan.info/terashima/archive/1929 等参照

そして、このたび三菱造船株式会社で建造していた「平洋」と同型の最新鋭の大型測量船「光洋」が就役したことを海上保安庁からお知らせいただいた。

海上保安庁の発表によると、「光洋」は、長さ103m、幅16m、総トン数4,000トン。マルチビーム測深機に加え、海底下の地層を探査する音波探査装置や海底の泥等を採取する2種類の採泥器等を搭載している。推進器には360度どの方向にでも推進力を向けることが可能な「アジマススラスター」を採用しており、船位の定点保持能力が増し、精密かつ効率的な海洋調査の実施が可能となる。

「光洋」は、光り輝く海、まだ十分に解明されていないその海に光を当てて、 海洋調査を進め明らかにしていくという思いを込めて命名されたとのことで、なかなかいい名前である。

わが国のまわりにはまだまだ解明を必要とする広大な海域が広がっており、それらの海底の地形及び地質に関する情報の取得に、「光洋」は、「平洋」とともにこれから取り組んでいく。

「光洋」は、今後、日本海や東シナ海等において、我が国の海洋権益の確保に必要な海底地形や地質に関する調査等に従事するとのこと、その活躍を期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 19:53
西之島、火口から大量の火山ガス放出 [2020年08月22日(Sat)]
7月に活発な噴火活動が続いてネット、テレビ、新聞等で大きく取り上げられた西之島の最近の火山活動の状況について8月20日に海上保安庁から発表があったので、既にご存知の方も多いと思うが取り上げてみたい。

同庁海洋情報部が、8月19日午後、第三管区海上保安本部所属航空機により西之島の火山活動の観測を実施した結果は概略次のとおり。

・火口から大量の火山ガスが放出され、白色の噴煙が高度3000mに達しており、西之島周辺が火山ガスに覆われていた。大量の火山灰や噴石を含む噴煙の放出は確認できなかった。
・火口から溶岩の流出は認められなかったが、中央火口丘の内壁が高温の状態であった。
・西之島全体が火山灰に覆われていた。

このため海上保安庁は、引き続き西之島の半径1.4カイリ以内を噴火による影響が及ぶ警戒範囲として、付近航行船舶に注意を呼びかけるとともに、新たに火山ガスに対しても注意を呼びかけている。

観測機に同乗した東京工業大学理学院の野上健治教授は、次のようにコメントしている。

・これまで観測されていたような大量の火山灰を含む噴煙を放出する噴火は、今回確認されなかったが、引き続いてきわめて莫大な量の火山ガスの放出が継続している。特に、二酸化硫黄の放出は、2000年の三宅島噴火の際に起きた大量放出の最盛期よりも多いと考えられる。

・この結果は、マグマが地下浅所にまだ大量に止まっていることを示唆しており、これまでと同程度の噴火が再開する可能性はけっして低くない。

同時に公開された西之島の写真をみると大きくなった火口から白色の噴煙がもくもくと立ち昇っている。その巨大なエネルギーに脱帽である。
200819西之島photo2_20200819m (1).jpg

<出典:海上保安庁海洋情報部 海域火山データベース 西之島 海上保安庁2020年8月19日撮影>
Posted by 寺島紘士 at 15:44
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