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第2期「島と海に関する国際セミナー」開催(2) [2013年09月07日(Sat)]
少し間隔が空いてしまったが、本稿は、8月24日掲載のブログ「第2期「島と海に関する国際セミナー」開催」の続編である。

今日、島は、その保全・管理をめぐって様々な問題に直面している。
即ち、島は、人口増加・特定地域への人口集中などにより非計画的・不適切な空間利用が進行し、台風、高潮等の災害、洪水・浸水や国土の浸食等の脅威にさらされている。また、生活排水、廃棄物の不適切な処理による海洋環境の悪化などが問題になっている。

同時に、島嶼国は、国連海洋法条約が、海域の管理を沿岸国に大きく委ねたことに伴い、その周辺200海里の広大な海域において天然資源を開発、利用、保全、管理する権利を有すると同時に、それらの海域で生物資源の保全を含め、海洋環境の保護・保全の責務を有するようになったが、独力でこれらを適切に管理していくことはなかなか容易ではない。

さらに、島嶼国は、土地面積が狭小で自然の脅威に対して脆弱であることから、地球規模の気候変化・気候変動により大きな影響を受け、地球温暖化とそれに伴う海面上昇や海水温上昇等に直面している。今後海面上昇が進展した場合には島の水没さえ心配されている。

そこで、セッション2からセッション4までは、第1期の国際セミナーで取り組んだ3つの課題、即ち、1.島の保全・管理、2.島の周辺海域の管理、3.気候変化・気候変動への対応について取り上げ、提言のレビューと今後さらに詰めるべき事項について議論した。

先ず、セッション2「島の保全・管理」では、冒頭にシドニー工科大学のレアリー教授より「島嶼国における再生可能エネルギーの未来」について発表があり、その後、第1期の提言をもとに、島の管理戦略、安全と回復力、廃棄物管理、再生可能エネルギーなどについて議論した。

セッション3「島の周辺海域の管理」では、水産庁の宮原次長が、「南太平洋における漁業資源の持続可能な開発に向けて」と題して発表し、その後これを受けて、持続可能な漁業、管理技術、消費サイドからの管理など、漁業を中心にして活発な議論が行われた。

セッション4「気候変化・気候変動への対応」では、早稲田大学の林司宣名誉教授が「気候変化・変動による領海等の基線の移動と島嶼への悪影響を緩和する国際法上の対策の必要性」について、また、海洋研究開発機構の山形俊男アプリケーションラボ所長が「小島嶼国における気候変動の脅威について」それぞれ発表し、その後これを受けて、海面上昇による基線の後退や島の水没などの問題への法的対応や太平洋中部海域で起こる「エル・ニーニョもどき」現象への対応などについて議論した。

最後に、これまでの議論を受けて、セッション5で「今後の行動目標とロードマップ」について議論した。

本稿の前編(本ブログ8月24日)で述べたように、第2期「島と海に関する国際セミナー」は、「リオ+20」の成果文書に盛り込まれた「第3回小島嶼発展途上国(SIDS)に関する国際会議」の開催(2014)、「持続可能な開発目標」の策定(2015)などの機会に、島と周辺海域の保全、管理及び持続可能な開発に関する必要な施策がさらに具体的に盛り込まれるように働きかけることを今後の行動目標としている。

そのうち、「第3回小島嶼発展途上国(SIDS)に関する国際会議」は、来年9月初めにサモアで開始されることがきまり、既に地域会合・地域間会合などが始まっている。そこで、まずは、第3回SIDS国際会議への対応を念頭に取り組みを進めることになった。

その第3回SIDS国際会議の第1回準備委員会が、本年末か2014年初頭に開催される見込みであることを考えると、こちらもあまりのんびりはしていられない。先ずは、準備段階の議論にインプットするこちらの提言内容をなるべく早く(概案は遅くとも年内に)に固める必要があるということで参加者の意見は一致した。そして、来年度に開催する第2回国際セミナーの開催時期を早めて5月ごろに開催し、そこで提言内容の最終化と第3回SIDS国際会議へのインプット戦略を議論することとなった。

会議は、最後に、各セッションにおける議論の概要をスクリーンに映して確認し、今後の引き続きの協力を約して閉会した。

IMG_3701.JPG


2日間にわたる今回の国際セミナーは、第1期の成果を基盤として、参加者が目標を共有していい議論をすることができたと思う。南太平洋からの参加者のほとんどは、会議の前夜または当日早朝に来日し、会議終了の翌日には帰国の途に就くというハードスケジュールであったが、皆さん熱心に、かつ前向きに議論していただいた。そして、日本側の参加者もこれに応えて議論が大いに盛り上がった。

会議に参加して積極的に議論していただいた内外の皆さんの熱意に厚く感謝申し上げたい。
Posted by 寺島紘士 at 08:13
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