世界海事大学第59回執行評議会 [2009年04月06日(Mon)]
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世界海事大学(WMU)の第59回執行理事会が3月17日にスウェーデン・マルメ市にあるWMUで開かれ、出席した。年度末の多忙な時期だったので、1泊3日というかなりの強行日程の出張となった。
今回の執行評議会は、今「変革」期を迎えているWMUのあり方を論じるという意味ではかなり重要な会議であった。 WMUは、1983年に発展途上国の海事関係の人材育成を目的に国際海事機関(IMO)によって設立されたが、今や海事教育訓練だけでなく海事に関する学術的研究の博士課程まで持つ国際水準の大学に発展しており、2008年には創立25周年を祝った。 しかし、ここ一、二年は、その発展とは裏腹に、財政基盤や経営システムの脆弱さが浮き彫りとなる事態が起こった。 財政面では、2008年にはホスト国スウェーデン政府から拠出金の減額が一方的に通知され、大騒ぎとなり(これは後にほぼ回復した)、またノルウェー政府が2007年に遡って奨学金を撤回するなど、少数かつ大口の財政支援に頼る財政基盤の脆弱性が露呈した。ちなみに設立者であるIMOは当初から財政支援はしていない。 経営機構の弱さも指摘されている。発展した大学に対する新たな経営ニーズも加わり、理事会等の役割・構成の見直しを求める意見がここにきて強く出ている。例えば、経営の最高機関である理事会は、理事定数70名以内とWMU憲章で定められており、現在理事がおよそ40名いる。その多くはIMOへの各国代表である。人数が多すぎる上に、もっと海事教育研究を行う大学の経営に責任を持って当たれる人を選任すべきという意見が強い。以前にWMUを評価した欧州大学協会などもそのような指摘を行っている。 今回の執行評議会では、これらの点について、ワ−キング・グループの報告案をもとに議論をした。その中で、理事会については、理事は20名程度とする、WMUで毎年1回以上会合を開く、理事には、海運産業、船員、大口拠出者、海事大学、マルメ市等からの代表を選出する等の意見が有力だった。 このほか、執行評議会(Executive Council)の執行会議(Executive Board)への改組、必要なWMU憲章の改正などが議論された。 理事会や執行会議のメンバー選出に際しては、財政支援の可能性も念頭に置くという意見も出された。私も同感で、経営責任には財政的なことも当然含まれるべきであると発言しておいた。 今回の執行評議会では、2009年2月にスウェーデン政府とWMUとの間で財政支援に関して新たに結ばれた運営協定が報告された。この中でスウェーデン政府の担当部局が、途上国向けの援助を行うSIDAからスェーデン海事庁に変更されたことが報告された。これは、まさにWMUの海事教育機関としての発展を象徴するものといえよう。 今回の会議の直前にWMUの次期学長として、Dr. Bjorn Kjerfve氏が正式に決定した。来る5月に着任するとのことである。会議出席者の間の会話では、同氏の名前の発音がひとしきり話題になった。私には‘ビョルン・シェルブ’と聞こえた。 シェルブ博士は、海洋学および地理学の教授で、テキサス A & M大学地球科学学部長である。 新しい経営体制、新しい学長など、WMUが新たな発展に向かって進む方向がだんだん見えてきた。WMUの今後の活躍を期待しながら、あわただしくマルメを後にした。 帰路、コペンハーゲンからフランクフルトに向かう機窓から見えた、青い海に四角形に展開する72基の白い水上風力発電の風車が記憶に残る旅であった。(了) |
Posted by
寺島紘士
at 17:10



