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瀬戸内協の特別講演会で海洋政策について講演(2) [2019年01月27日(Sun)]
(公社)瀬戸内海環境保全協会から賛助会員研修会での海洋基本法と海洋基本計画についての基調講演の打診があったのは昨年10月ごろだった。

依頼された「海洋基本法と海洋基本計画の変遷(仮)」という基調講演のテーマを見て、海洋基本法制定時に期待を込めて定めた12の海洋に関する基本的施策の中のいくつかはこれまでは思うように進んでこなかったが、昨年5月に策定された第3期海洋基本計画でようやくそれらも含めて期待していた海洋施策が具体化しようとしていると感じていたところだったので、講演テーマを「海洋基本法と海洋基本計画の進展」と微修正して喜んで講演をお引き受けした。

その後、この賛助会員向けの研修会の企画は、兵庫県が平成30年に成立150周年を迎えることからそれを記念する特別講演会に発展し、特別講演会「瀬戸内海を取り巻く海洋政策の動向〜海洋基本計画と里海づくり〜」として協会の賛助会員、正会員、さらに一般の人たちをも対象として開催された。

このような講演会で海洋基本法と海洋基本計画の進展について講演することは願ってもないことだったので、喜んで神戸に出かけた。
190122富士山IMG_1585.JPG

   <新幹線の車窓から見た富士山>

神戸市のラッセホールで開催された特別講演会には瀬戸内海の環境保全に関係する行政機関、団体、漁協、企業、NPOその他70名ほどの人々が集まっていて一般の人が多い講演会とは一味違う雰囲気だった。

当日のプログラムは、次の通り(敬称略)で、基調講演の後には、瀬戸内海環境保全協会の活動と関係の深い海洋産業、海洋環境、海洋人材育成と国民の理解の3つの海洋基本計画の項目について、さらに3人の専門家により講演が行われたが、皆さん互いによく知っている人たちだったので、講演相互のコンビネーションもよくいい講演会になった、と思う。

○開会あいさつ (公社)瀬戸内海環境保全協会 常務理事 神田泰浩
○基調講演 
「海洋基本法と海洋基本計画の進展」(公社)笹川平和財団参与 寺島紘士
○講演1
「海洋基本計画と海洋産業について」
(一社)海洋産業研究会 常務理事 中原裕幸
○講演2
「海洋環境の維持・保全と具体的施策について」
広島大学名誉教授(海洋環境PT有識者)松田治
○講演3
「海洋人材の育成と国民の理解 〜学校教育を中心に〜」
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所事業企画部長 酒井英次
○閉会あいさつ
(公社)瀬戸内海環境保全協会 賛助会員部会長 泉伸司(いであ(株)大阪支社執行役員)

このように私の基調講演の後にはそれぞれそれの施策項目に的を絞った講演が組まれていたので、私の基調講演では、海洋基本法がなぜ制定されたのか、海洋基本法は何を定めているか、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために概ね5年ごとに定められる海洋基本計画の第3期計画には何が定められているかに重点を置いて講演した。

その冒頭では、
人間社会は海洋への依存を強めており、地球表面の7割を占める国際的な空間である海洋において、新たな秩序形成と持続可能な開発利用の取組みが、グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルなスケールで相互に密接に連携しつつ進行していること、

そして、海洋の問題は沿岸から大洋の真ん中まで相互に密接に関係しているから、世界的な視野を持って沿岸域の問題に取り組む必要があり、いまThink Global, Act Localという言葉が海洋政策に取り組むときのモットーとして広く世界で共有されるようになっていること、を強調した。

瀬戸内海では、1970年代にきれいな海を目指して制定された瀬戸内海環境保全特別措置法が2015年に改正されて、湾・灘ごとや季節ごとの課題に対応し、多面的価値・機能が最大限に発揮された「豊かな瀬戸内海」を目指している。

一方、第3期海洋基本計画でもこのような瀬戸内海の取組みに資する施策があちこちに定められており、特に第2部具体的施策、3.海洋環境の維持保全(2)沿岸域の総合的管理では、ずばり「瀬戸内海の更なる環境保全・再生のため、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正及び瀬戸内海環境保全基本計画の変更に基づき、…「きれいで豊かな海」の観点から、…、藻場・干潟の保全・再生や底質改善等を組み合わせ、地域の多様な主体が連携した総合的な取組みとなるよう必要な検討・施策の推進を図る。…。(農林水産省、国土交通省、環境省)」と定めている。

「豊かな瀬戸内海」を実現するためにはこのように、海洋基本法・海洋基本計画の枠組みや施策、さらには持続可能な開発目標などの国際的な枠組みや取り組みを視野に入れてこれを活用して取り組んでいくとより大きな成果が期待できる。即ち、Think Global, Act Localである。

特別講演会が終わった後、数人の参加者の方とお話をした。その中で兵庫県漁連の方が水産資源の最近の状況を心配していたのがちょっと気になった。まさに「豊かな瀬戸内海」をどうしたら実現できるかの問題である。

瀬戸内海環境保全協会及び関係者の皆さんの今後のご健闘を祈りつつ神戸を後にした。
Posted by 寺島紘士 at 01:00
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