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ノルウェー外務大臣が海洋政策とSDGsについて特別講演 [2018年05月12日(Sat)]
5月10日(木)、来日中のノルウェーのイーネ・エーリクセン・スールアイデ外務大臣が海洋政策について特別講演をすると聞いて参加した。

講演タイトルの「私たちの海、私たち未来―ノルウェーの海洋政策とSDGs」は、まさに海洋の保全と持続可能な開発利用に取り組んでいる国際社会の問題意識そのものであり、それについてノルウェーの外務大臣が政府間での話し合いだけでなく、一般向けに特別講演するという。

最近は、SDGs(持続可能な開発目標)や気候変動枠組条約の「パリ協定」などの取組みでは、SIDS(小島嶼開発途上国)とともにスウェーデン、ノルウェーなどのスカンディナビア諸国の積極的な取り組みが目立つ。ノルウェーの外務大臣の立場にある方がこの問題についてどのような講演をするのか大いに関心を持って会場の政策研究大学院大学の想海樓ホールに出かけた。

なお、今回の特別講演は、「GRIPS特別講演」ということで、政策研究大学院大学(GRIPS)とノルウェー大使館、日本財団、笹川平和財団海洋政策研究所が共催した。

スールアイデ大臣は、講演の冒頭に概ね次のように述べて、話の流れを作った。

「海は世界を流れており、一か所で起きた汚染は地球の反対側にまで深刻な影響を与えかねない。海洋ほど世界の相互依存を示す例は考え付かない。海洋に関する緊密な国際協力が、気候変動の影響を軽減し、増大する世界人口を養い、持続可能なブルーエコノミーを発展させることができる。日本とノルウェーはともに海洋国家であり、海洋に関する世界の行動計画(the Global agenda on oceans)を前進させる責任を共有している。」

そしておよそ25分間、わかり易い語り口でポイントをついて、ノルウェーの海洋に関する取組について、および海洋の保全と持続可能な利用に関する世界共有のガイドラインであるSDGs、特にSDG 14を達成するための取組を直ちに始める必要性について、熱を込めて語った。

その中に出てきた、ノルウェーの具体的な取組みをいくつか挙げると次のとおり。

○ノルウェー政府は、2017年に@我々の海洋産業の持続可能な成長確保戦略、Aノルウェーの対外発展戦略White paper、の2つの海洋に関する重要文書を提出した。White paperは初めて作成され、a.海洋資源の持続可能な利用の促進、b.クリーンで健康的な海洋の確保、c.開発協力におけるブルーエコノミーの役割の強化、の3分野に特別配慮している。

○昨年12月の第3回国連環境総会(UN Environment Assembly)は、ノルウェーの提案を受けて、プラスチックの海洋への流入を止める決議を採択した。ノルウェー政府は、最近1500万ドルの予算で、開発途上国において海洋の廃棄物・プラスチックと戦うプログラムを開始した。

○Solberg首相は、持続可能な海洋経済の建設に関する国際ハイレベルパネルの設立を首唱した。パネルは、多くの海洋国のリーダーで構成され、国連および他の国際イニシアチブと密接に協力する。海洋産業と市民社会の代表は助言とインプットを提供し、専門家グループは科学的バックグラウンド情報資料を供給する。ハイレベルパネルの最終レポートは2020年に提出される。

○「Our Ocean」会議が来年10月にオスロで開催される。

講演に続いてフロアーとのQ & Aセッションがあり、参加者との間で活発なやりとりが行われた。

私も、海洋の保全と持続可能な利用に取り組むには、総合的なアプローチが必要であり、関係各省が連携協働して取り組む必要がある、日本でも海洋基本法の下でその取組は進んできてはいるがまだまだ十分ではない、それについてノルウェーではどうしているか、と質問してみた。

これに対しては、ノルウェーも同様の問題があったが、最近は、民間企業やNGOなどがSDGs達成の取組みに積極的に参加するようになって状況が変わってきている。民間企業、NGOなど様々な人々がこの問題を自らの問題として取組むようになることによって問題が解決する、と熱のこもった回答をいただいた。

全体で1時間の特別講演会だったが、なかなか聞き応えのあるいい講演で、その後のフロアーとのやり取りも率直かつ丁寧でいい感じだった。

一国の外務大臣が、このように豊かな識見と情熱をもってSDGs達成の問題などについて他国の一般人に対して講演し、率直に意見交換をするというのは素晴らしいことだと思った。
Posted by 寺島紘士 at 01:11
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