2018年はボルゲーゼ教授生誕100周年 [2018年02月22日(Thu)]
国際海洋研究所(IOI)日本支部長でもある大塚万紗子さんが、『The Oceanic Circle』を日本語に翻訳して『海洋の環』として出版したことをIOI関係者に知らせたところ、IOIカナダのマイケル・バトラー所長から、「よくやったね!ボルゲーゼ教授生誕100周年記念への偉大な貢献ですよ。」と返事が来た。
そして、IOIカナダでは、ボルゲーゼ教授が力を入れていた海洋ガバナンスの国際トレーニング・プログラムに基づく小論文を掲載した本の出版を準備しているほか、公開講義を3つとボルゲーゼ教授追憶の小展示会を計画している、という。 「ボルゲーゼ教授生誕100周年」と聞いて、一瞬、ハッとした。確かに、彼女は1918年4月24日にトーマス・マンの娘として生まれた。したがって、今年の4月24日で100年である。 しかし、「生誕100周年」ということが、この本の出版にあたって私の頭の中に大きく浮かんでこなかったのは、『海洋の環』を2017年中には是非とも出版しようと思ってずっと頑張ってきたからだと思う。結果として出版は2018年にずれ込み、最終的には彼女の命日の2月8日を発行日としたのだった。 でも、考えてみれば、彼女の生誕100年目の2018年(しかも誕生日より前)に、そして命日の2月8日に『海洋の環』を発行したのだから、この出版は私たちとしては上出来だったのではないか。 『海洋の環』の内扉を開くと、エリザベスの写真が「そうね。」と言ってくれているような気がする。 あわせて、マイケルさんは、IOIが毎年カナダのダルハウジー大学のキャンパスで開催している8週間の国際トレーニング・プログラム「海洋ガバナンス:政策・法・管理」に日本からの参加が少ない、もっと多くの人々に参加を奨めたい、と言ってきた。 このト−レーニング・プログラムは、ボルゲーゼ教授が、海洋ガバナンスを進めるためには各国でこれに取り組む人材の育成が必須だと考えて各国からの研修生を招いて1981年に開始し、以来今日まで毎年実施されているもので、アジアからも中国をはじめ多くの国の人々が参加している。(本ブログ2010年6月9日等も参照) このトレーニング・プログラムに参加すると、国際的に共有されて取り組まれている海洋ガバナンスについて学べるだけでなく、同じ問題意識を有する各国の人々との国際的なヒューマン・ネットワークが作れるので、我が国の海洋人材の育成のためにも確かにこれはお奨めである。海洋政策研究所関係でも4人のプログラム受講経験者がいるが、日本からも多くの人々に参加してもらいたいと思う。 |
Posted by
寺島紘士
at 16:12