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「海洋基本法施行10周年記念シンポジウム」に出席 [2017年07月18日(Tue)]
7月17日(月)、国民の祝日「海の日」を祝う行事“海と日本プロジェクト”の一環として、総合開会式が行われ(本ブログ7月17日参照)、それに続いて「海洋基本法施行10周年記念シンポジウム」が開催された。

「海洋基本法施行10周年記念シンポジウム」の開催趣旨は次のとおりで、今年の海の日にピッタリである。

「海洋基本法の制定は、わが国の海洋政策の歴史上大きな転換点となりました。基本法に基づき、政府に総合海洋政策本部が設置され、海洋基本計画が策定されるなど、新たに海洋立国の実現に向けて、総合的な海洋政策の推進が図られてきました。制定から10年が経過する中で、政府は、次期海洋基本計画の検討に着手しています。本シンポジウムは、海洋基本法制定後10年間の総括とともに、次期計画検討への有益な示唆を得ることを目的に、重要なテーマである、海洋の安全保障及び海洋人材の育成について議論を深めることを目指します。」

シンポジウムは、武見敬三参議院議員(海洋基本法戦略研究会代表世話人代行)の「海洋基本法10年を振り返る〜歴史的意味と課題〜」というタイトルの基調講演で始まった。
170717海の日シンポジウムIMG_0544 (2).jpg

武見さんは、自由民主党が、海洋政策研究財団の「21世紀の海洋政策への提言」(2005年11月)受けて検討を始めたときの海洋政策小委員会の委員長であり、さらに自民・民主・公明の3党の国会議員と海洋各分野の有識者で構成する「海洋基本法研究会」が、海洋政策大綱及び海洋基本法案を検討してとりまとめた時(2006年4月〜12月)の代表世話人である。

その後も、海洋基本法の実施を通じて我が国の海洋政策の推進に取り組んできた武見さんの基調講演は、これまでの取組みを振り返り、今私たちが何をしなければならないかを明確に示す傾聴すべき講演だった。

即ち、その講演は、海洋国家日本の系譜の概観から始まり、海洋基本法制定へと進んでいくメインストリームとして、@国連海洋法条約の発効・我が国の批准、A2000年前後からの東シナ海における中国の海洋調査船等の問題の顕在化、B日本財団・海洋政策研究財団からの総合的な海洋政策策定や海洋基本法制定などの提言の3つを取り上げて述べた。

その上で、海洋基本法施行10年を振り返って、第1期及び第2期海洋基本計画の評価を行い、総合海洋政策本部のリーダーシップの下でトップダウンとボトムアップの政策を組み合わせて海洋基本法のガバナンスを確立することの重要性を強調した。

そして、第3期海洋基本計画(2018年〜)への展望として、各省庁が確実に実行していく実行可能な計画とする必要性と、分野横断型の政策概念として広義の安全保障を打ち出し各省庁の連携を強化することの重要性などを強調した。

基調講演に続いて、次期計画検討における重要テーマである、「海洋の安全保障」と「海洋人材の育成」をテーマに2つのトークセッションが行われた。

セッション@「海洋の安全保障」は、兼原敦子 上智大学法学部教授がリード役となって、古庄幸一 元海上幕僚長、佐藤雄二 前海上保安庁長官の3人で対談した。

兼原さんと古庄さんは、総合海洋政策本部参与会議参与、また、兼原さんは、参与会議の「海洋の安全保障小委員会」委員長、佐藤さんは、同小委員会の有識者委員であり、皆さんが安全保障に関する識見豊かな方々である。

兼原さんの明晰な情勢分析・課題整理と、古庄さん、佐藤さんのそれぞれの知見と持ち味を生かした見解表明を聴いていて、昨今の安全保障環境の変化とそれにどのように対応していうべきかについてのイメージがはっきりしてきた、ような気がした。

今後の「海洋の安全保障小委員会」における検討と提言の取りまとめが楽しみである。

セッションA「海洋人材の育成」は、大和裕幸 海上・港湾・航空技術研究所理事長がリード役となって尾上陽一 日本海洋掘削(株)常務執行役員、窪川かおる 東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター特任教授の3人で対談した。

大和さんは、総合海洋政策本部参与会議参与で同会議「海洋の人材育成に関するPT」主査、窪川さんは、同PTの有識者委員である。

海洋開発分野をはじめ海洋の将来を担う人材の育成のあり方や、海洋教育の促進、国民の海洋に対する理解の増進を図る方策についての3人の意見表明と対談を聞いていて、この問題の広がりと奥の深さ、そして総合的・計画的な取組の必要性を改めて感じた。

いずれのセッションでもフロアーとのやり取りが行われ、対談に厚みと広がりが加わって中々良かった。

最後に日本郵船(株)相談役の宮原耕治 総合海洋政策本部参与会議座長が閉会挨拶を述べてシンポジウムは終了した。

このように「海の日」にふさわしい内容の海洋基本法施行10周年記念シンポジウムに出席することができて、満ち足りた気持ちで晴海埠頭を後にして家路に着いた。
Posted by 寺島紘士 at 17:56
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