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ワークショップ「日本の海洋空間計画に向けた課題」参加 [2018年02月19日(Mon)]
2月16日(金)、東京大学海洋アライアンスのワークショップ「日本の海洋空間計画に向けた課題」が本郷キャンパスの理学部1号館で開催され、「海洋空間計画」というタイトルに惹かれて参加した。

「海洋空間計画」は、広大なEEZの管理などに用いられる区域型管理ツールであり、国連海洋法条約が発効すると各国がEEZなどの管理ツールとして注目し、ユネスコ−IOC(政府間海洋学委員会)がガイドライン文書を出している。

昨年のSDG14の実施を推進するためのハイレベル「国連海洋会議」が採択した「Call for Action(行動の要請)」でも「海洋空間計画」は海洋保護区などとともに区域型管理ツールとして明記されている。(本ブログ2017年10月24日参照)

しかし、海洋国日本では何故か海洋空間計画に対する関心はこれまであまり高いとは言えなかったので、このワークショップのテーマに惹きつけられて関心を持って参加した次第である。

ワークショップは、先ず東京大学大気海洋研究所の道田豊教授の開会挨拶を兼ねた趣旨説明で始まった。道田さんは、海上保安庁水路部に在籍したこともあって海洋情報にも詳しく、また2011年からIOCの副議長を務めて海洋利用に関する科学と合意形成にも深い識見をお持ちである。

趣旨説明を聞いていて、道田さんが以前から海洋空間計画に関心を持って取り組んでおられたことを改めて思い出し、道田さんがあってこそこのようなワークショップが開催されたのだということが胸に落ちた。

道田さんたちの話では、2017年には65カ国が海洋空間計画を導入しているという。

ワークショップは、3部構成で行われたが、そのプログラムは次のとおり。

第1部 海洋空間計画整備の現状
○報告
海洋利用に関する合意形成のガイドラインについて
東京大学海洋アライアンス特任准教授 諏訪達郎
○話題提供
新たな海洋基本計画の策定に向けて 内閣府総合海洋政策推進事務局参事官 熊谷徹
MSPの基盤となる情報整備の現状 海上保安庁海洋情報部海洋情報課長 矢吹哲一朗
MSPの内外比較 東京大学海洋アライアンス特任研究員 徳永佳奈恵

第2部 日本版海洋空間計画の課題
○話題提供
岩手県における海洋利用施策と本ガイドラインの利用 岩手県政策地域部科学ILC推進室科学担当課長 松本哲
三重県における漁業に関する海洋利用と漁業に関する合意形成 三重県農林水産部次長 永M享
野生動物との共存のための合意形成について−えりも地域におけるゼニガタアザラシ保護管理を例に− 環境省自然環境局自然環境計画課生物多様性戦略推進室国際連携係長 蔵本洋介
生態系ベースの海洋空間計画 横浜国立大学教授 松田裕之

第3部 パネルディスカッション 今後の方向性
モデレータ:道田豊
パネリスト:熊谷徹、松本哲、永M享、松田裕之、諏訪達郎、徳永佳奈恵

第1部では海洋空間計画にかかわる政府・海洋アライアンスの関係者が発表し、第2部では、最初に岩手県・三重県と環境省関係者がそれぞれの取組みを発表し、最後に横浜国大の松田教授が生態系ベースの海洋空間計画について簡にして要を得た発表をして話題提供を締めくくった

第3部のパネルディスカッションが一番魅力的で、道田さんが今後の方向に関する議論をどう導いていくかを聞きたかったが、残念ながら、次の予定が詰まっていたため、それが始まる前に会場を後にした。
Posted by 寺島紘士 at 23:25
各国の北極政策 [2018年02月17日(Sat)]
近年、氷の減少した北極圏に対する国際社会の関心が高まり、様々な取り組みが活発化していることは、2月11日の本ブログ「「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018」参加」でも伝えたが、今回は、各国の北極政策についてふれてみたい。

そう思ったきっかけは、中国が去る1月26日に中国初の北極に関する政策文書「中国の北極政策 China’s Arctic Policy」を策定、発表したことである。

日本も2015年10月年に「我が国の北極政策」を総合海洋政策本部で決定しているが、これまでに北極政策(又は戦略)を定めて発表しているのは、次の4カ国で、中国が5番目だという。

2009 カナダ、ロシア
2013 米国
2015 日本
2018 中国

「中国の海洋政策」では、中国は、北極圏の外にあるが北極の問題に密接にかかわっている国で、中国は北極問題の重要な利害関係者(Stakeholder)である、と位置付けて、国際的な協力への積極的な取り組みを強調している。

わが国では、目下第3期海洋基本計画の策定作業が大詰めを迎えているが、このような中国の北極問題に対する積極的な取組姿勢を見ると、第3期海洋基本計画には、わが国も、各国及び国際社会の北極問題への取り組みの進展を踏まえて、より前向きの積極的に北極政策に取り組むことを盛り込むことが求められていると思った。
Posted by 寺島紘士 at 23:43
海岸漂着油クリーンアップ・ネットワーク [2018年02月15日(Thu)]
東シナ海のタンカー事故について2月5日の本ブログで取り上げたところ大きな反響があって、今週に入ってもそのブログに対するアクセスが毎日50件前後あり、皆さんの関心は依然として高い。

そんな中で、今日、オーシャンファミリーの海野義明さんから、奄美大島の漂着油が気がかりで、2月9日より11日まで現地に清掃除去活動支援策とその連携構築、ならびに海岸の漂着状況調査に行ってきた、というメールをいただいた。

知らせていただいた「災害支援 海の仲間たち」ブログ
http://blog.canpan.info/uminonakama/
をみると、海野さんが実際に奄美大島で行ってきた漂着重油回収の活動などの現地報告などが掲載されていて、海野さんの迅速な活動が紹介されている。

しかし、感心したのはそれだけではない。海野さんの眼は、さらにその先に向けられていて、上記ブログの2月13日は、

「現時点で漂着した地域に加え、これらの重油類は、今後日本沿岸各地に漂着するものと考えられる。大勢の手によって継続的な除去活動が必要とされ、情報共有、支援・協働体制のネットワークが望まれる。」

として、「海岸漂着油クリーンアップ・ネットワーク(略称DOCnet)」を立ち上げたことを伝え、その設立趣旨書を掲載してそれへの参加を呼びかけているのである。

私は、不覚にも、漂着油がさらにその先の日本沿岸各地に流れていくことにまで頭が回らなかったが、研究者に聞くとそのような予測がなされているようである。海野さんの先見の明に敬服した。

油流出による海洋・沿岸域の汚染対策には、国・地方公共団体だけでなく、NPO、ボランティア、地域住民、さらに研究者・大学・研究機関、CSRを重視する企業・経済団体、そして社会貢献団体など、様々な関係者の連携・協力・協働が求められている。

海野さんの提唱する全国的な「海岸漂着油クリーンアップ・ネットワーク」がこの機会に立ち上がれば、今後の油流出事故において大きな役割を果たすことが期待出来る。

本件に賛同、協働、協力いただける皆さんにはネットワークへの積極的参加を呼びかけたい。

海岸漂着油クリーンアップ・ネットワーク事務局のメール連絡先は、次のとおり。
2018docn@gmail.com
Posted by 寺島紘士 at 23:06
春を呼ぶ紅梅・白梅 [2018年02月13日(Tue)]
立春を過ぎても最低気温が零度を下回り、最高気温が10度に届かない寒い日が続いている。

朝、出勤のため身支度をして玄関のドアを開けると、綺麗な青空が広がっているが、空気は冷たく手袋をしないと手が冷たい。

マスクをしていると吐く息で時々メガネが曇るので、そのたびにマスクを手で押さえながらいつもの道を駅に向かって歩いているとき、青空の下で団地の庭先に紅梅と白梅が並んで咲いているのにぶつかった。
180213紅白梅IMG_0825 (2).jpg

先週紅梅だけが咲き始めているのに気が付いたが、紅白そろって咲いているとまさに一幅の絵だ。<画面をクリックして拡大してみてください。>

私たちは、今年の冬はいつもより寒いと感じて身を縮めているが、梅は、冬至を境にして日照時間が伸びてきているのを敏感に感じ取って花を咲かせる時を選んでいるのだろう。そう思って周囲を見ると、あちらこちらで花やつぼみをつけている梅の木があるのに気が付いた。

私たち人間も寒さの中で梅の花が咲き始めるのを見つけると、季節が早春へと動き出したのを感じて、元気が出てくる。

折からこの時期は、大学入試のシーズンである。真剣に入試に取り組んでいる受験生諸君も梅の花をみれば元気付けられるのではないだろうか。
Posted by 寺島紘士 at 22:19
海洋フォーラム「浮体式洋上風力発電に関する最新動向」開催 [2018年02月12日(Mon)]
既にご存知の方も多いと思うが、2月22日(木)に海洋政策研究所の第149回「海洋フォーラム」が「浮体式洋上風力発電に関する最新動向」をテーマに開催されるのでお知らせしたい。

世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを掲げたパリ協定が2016年11月に発効してから早くも1年余が過ぎた。

世界各国は、パリ協定の下で世界の平均気温上昇を抑える努力を追求するために、自国の国情に合わせて温室効果ガス削減・抑制目標(NDC:Nationally Determined Contribution)を策定してその削減に取り組んでいる。

その取組の中では、人為的CO2の最大排出源が火力発電(特に石炭)なので、石油・石炭から再生可能エネルギーへの転換が温暖化防止の有力な対策であり、人々の関心が高い。

再生可能エネルギーの中では、風力発電は、大規模化と経済性に優れているため、世界では、大規模水力発電に次いで広く普及している。

その風力発電は、陸上での設置が進むにしたがって陸上の好風況地が少なくなり、その立地を海域に拡大しつつある。現在は海底から海面まで基礎を伸ばした着床式が主流だが、近年、50mを超える大水深の海域においても浮体式洋上風力発電の設置が試みられ、実証試験が各国で試行されるようになってきた。わが国は、長崎県五島列島や福島沖に浮体式洋上風力発電を設置してこの分野で世界をリードしているが、課題は経済性であり、目下コストの低減に取り組んでいる。

そこで、今回の海洋フォーラムでは、この問題に詳しい上田悦紀氏((一社)日本風力発電協会国際・広報部長)を講師にお迎えして、今後拡大が期待される浮体式を中心に、洋上風力発電の国際的な動向を踏まえ、わが国としての指針についてお話いただく。

日時:2月22日(木)17:00~18:30
場所:東京都港区虎ノ門1−15−16笹川平和財団ビル 11階国際会議場
(東京メトロ銀座線虎ノ門駅下車 出口4 徒歩1分)
詳しくはhttps://www.spf.org/opri-j/news/article_24476.htmlを参照ください。

地球温暖化対策として再生可能エネルギーの活用は重要な問題であるので、関心のある皆さんのご参加をお待ちしています。


Posted by 寺島紘士 at 23:13
「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018」参加 [2018年02月11日(Sun)]
2月8日及び9日、「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ2018 (Workshop on Arctic Governance in Tokyo 2018)」が、日本財団、政策研究大学院大学、笹川平和財団海洋政策研究所主催により東京で開催され、参加した。

近年、北極海の氷が急速に減少しており、これに伴い、北極海航路の実用化や北極域の資源開発・観光など北極域の新た利活用の可能性が広がる一方で、北極圏のみならず全球規模での気候変動・水循環・海の生態系への影響、安全保障環境の変化などが懸念されるようになって来ている。

このような状況の中で、わが国が「北極問題」に対してどのように取り組むべきかについて学産官民の関係者がオールジャパンで議論する「北極の未来に関する研究会」が日本財団、政策研究大学院大学、笹川平和財団海洋政策研究所により2016年9月に設置されて活発な活動を行っている。

去る1 月25 日には、研究会の「我が国が重点的に取り組むべき北極に関する課題と施策」に関する提言書が、日本財団の笹川陽平会長から江ア鐵磨内閣府特命担当大臣(海洋政策)に手交された。
https://www.spf.org/opri-j/news/article_24478.html参照

今回の国際ワークショップの開催も、この「北極の未来に関する研究会」の活動の一環であり、北極圏諸国を中心に各国から要人・専門家を招いて、北極域の保全・保護と利用、持続可能な開発の観点から北極域の将来像について議論するとともに、日本を含むアジア地域の協力のあり方について議論し、わが国が優先的に取り組むべき施策を明らかにしていくことを目的に開催された。なお、1年前に開催された「北極ガバナンスに関するワークショップ2017(Workshop on Arctic Governance in Tokyo 2017)」については、本ブログ2017年2月4日http://blog.canpan.info/terashima/archive/1357参照)

第1日は、オープニング・セレモニーで日本財団の笹川陽平会長が開会挨拶、内閣府の江崎鐵磨特命担当大臣・海洋政策が基調講演を行った。その後、北極サークル会長、前アイスランド大統領のオーラヴル・ラグナル・グリムソン氏が特別講演を行った。

続いて、午前に、第1セッション:環境問題(北極環境問題における科学技術と政策の統合)、午後に、第2セッション:ビジネス(北極におけるビジネスと資源開発の可能性)が行われた。

第2日は、午前に、セッション3:国際協力(北極協力におけるアジアの役割と期待)が行われ、最後にグリムソン氏と角南篤海洋政策研究所長による対話形式の総括セッションが行われて、国際ワークショップは閉会となった。

振り返って見て今回のワークショップは、昨今の北極に関する国際情勢の進展を反映して、これまでになく内容が充実したものになったと感じた。

いくつか具体的な例を挙げれば、北極問題で国際的に著名なグリムソン前アイスランド大統領が参加して北極問題に対する国際的取組のあり方について積極的、かつ率直に発言したこと、日本および米国・ロシア・中国・EU等の政府からかなりのレベルの人たちが参加して北極の問題について前向きに議論をしたこと、北極問題がグローバルな問題であり、北極圏諸国だけでなく域外のオブザーバー国も積極的に協力して取り組む必要があることについて北極圏諸国の参加者も前向き・積極的に発言していたこと、北極域に関するビジネスの可能性についてテロ・ヴァウラステ北極経済評議会議長も参加して、アジアと北極圏の国々のビジネス関係者により積極的に議論がなされたこと、科学技術と政策の統合の必要性について前向きに議論されたこと、などである。

今回の国際ワークショップの成果をもとにわが国の北極に関する取組がさらに進展することを期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 18:08
2月上旬の海洋政策関係会議等 [2018年02月10日(Sat)]
2月上旬は、北極関係の国際会議が2つ続けてあり、さながら北極の旬間だった。ひとつは海洋政策研究所主催の国際会議「ユーラシアブルーベルトの安全保障とシーパワー」で、3回目となる今回は北極海から北太平洋を俯瞰して議論した。もう一つは、「北極の未来に関する研究会」の活動の一環として開催された「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ」で、北極圏諸国を中心に各国から専門家が参加して議論した。北極問題がグローバルな問題として議論される時代が来たことを実感した。

2月上旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

2月1日(木)
〇総合海洋政策本部参与会議(第38回)傍聴
〇『海洋白書2018』の第1章の原稿の査読
〇前総合海洋政策推進事務局長の甲斐正彰氏来訪 

2月2日(金)
○NPO法人 黒潮実感センターの神田優センター長来訪

2月3日(土)
〇『The Oceanic Circle』の翻訳に献身的に取り組んでくれた瀬戸井厚子さんと幸井由紀子さんに『海洋の環』初版本完成を報告、感謝するお茶の会を、大塚万紗子さんとともに開催(本ブログ2月7日参照)

2月5日(月)
○第3回国際会議「ユーラシアブルーベルトの安全保障とシーパワー〜北極海から北太平洋を俯瞰して〜」(笹川平和財団海洋政策研究所主催)参加

2月6日(火)
○第3回国際会議「ユーラシアブルーベルトの安全保障とシーパワー〜北極海から北太平洋を俯瞰して〜」(笹川平和財団海洋政策研究所主催)参加
〇『海洋白書2018』の第1章及び第2章の原稿の打合せ

2月8日(木)
〇「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ」(日本財団・政策研究大学院大学・笹川平和財団海洋政策研究所主催)参加
○美しい富山湾クラブ理事・事務局長の高桑幸一氏と(一社)グローバル人材育成推進機構帆船みらいへ事業部理事の小原朋尚氏来訪

2月9日(金)
〇「北極ガバナンスに関する国際ワークショップ」(日本財団・政策研究大学院大学・笹川平和財団海洋政策研究所主催)参加
○『海洋白書2018』の第1章の原稿の査読
Posted by 寺島紘士 at 22:39
東シナ海のタンカー事故と漂着油  [2018年02月09日(Fri)]
2月5日の海洋政策ブログに「東シナ海のタンカー事故について考える」を掲載したところ、大きな反響があった。

海洋政策ブログの毎日の訪問者数は、日によって違うが、大体100〜200人/日、アクセス数は1000〜1100PV/日が普通なのに、2月6日は訪問者数が5倍以上の659人、アクセス数が2倍の2086 PVと急増した。

しかも、その日だけでなく、2月7日も361人、1203PV、2月8日も347人、1409PVと高水準の閲覧が続いた。

4日目になると流石に元の水準に戻るかなと思っていたところ、2月9日も427人、1822PVの閲覧があった。海洋政策ブログには2月7日に別のテーマで新規ブログを掲載してはいるが、アクセスの内訳をみると増加の要因が「東シナ海のタンカー事故」ブログであることが明らかであり、この事故に対する社会の関心は依然として健在である。

また、ブログへの訪問だけでなく、何人かの研究者の方からは、早速、日本の報道の少なさや日本政府の対応の遅さなどに関する問題意識を共有するメールを直接もらい、皆さんの本件に対する関心の大きさを実感した。

1月28日に鹿児島県十島村の宝島で先ず見つかり、2月1日に奄美大島で見つかった油の漂着は、その後も、北は屋久島から、南は沖縄本島までの間の島々で次々と見つかっている。もっともその漂着物がSANCHI号から流出したものとは未だに確認されてはいない。

SANCHI号は日本のEEZ内に沈没した。そこから積み荷のコンデンセートや燃料の重油が南西諸島の方に流れてくることは素人でも想像できる。漂流予測をしてそれらに備えるということをなぜしなかったのか、それとも、漂流予測はしたけれどもそれをオープンにはしなかったのかわからないが、いずれにせよ今回のタンカー事故に関するわが国発の情報の少なさを異様に感じた人は多い。それが、私のブログの閲覧を増加させていると思われる。

ようやく、海上保安庁からプレスリリースが出始めているという情報を研究者の方からいただいたので、ホームページを覘いたところ「奄美大島等における油状物関連情報については、以下をごらんください。」として4つの広報文書が掲載されていたので、皆さんとも共有したい。http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/post-432.html参照

このうち「東シナ海で沈没したタンカーSANCHI号からの流出油等に関する調査について」は、内閣官房副長官補室、海上保安庁、水産庁、環境省が連携して作成した文書のようである。本件に関する政府の対応体制が整ってきたのであれば、うれしい。

また、本日(2月9日)の産経新聞28面に、「アオウミガメ漂着油で死ぬ 奄美大島の海岸」という記事が出ていたので併せてお知らせする。
Posted by 寺島紘士 at 23:54
『海洋の環』出版、感謝の会 [2018年02月07日(Wed)]
明日は2月8日、エリザベス・マン・ボルゲーゼ教授の海洋ガバナンスに関する指導書『The Oceanic Circle』 の日本語版『海洋の環』が店頭に並ぶ日である。

今日は、『The Oceanic Circle』の翻訳等に手弁当で取り組み、『海洋の環』の発行に貢献した方々を紹介したい。それは、日本語版作成言い出しっぺの大塚万紗子さんと、大塚さんと協力して翻訳に献身的に取り組んでくれた瀬戸井厚子さんと幸井由紀子さんの3人である。

そこで2月3日(土)には、『海洋の環』の完成までの長い道のりを共に歩んできた皆さんに『海洋の環』の初版本がついに出来上がったことを報告し、感謝するお茶の会を、大塚万紗子さんとともに開催した。それにはボルゲーゼ教授と私たちとを結びつける役割を担った原不二子さんも参加した。

皆さん、これまでの道のりを振り返り、出来上がった『海洋の環』を手に取って喜んでいただいた。『海洋の環』の出版の陰にこれらの皆さんのご尽力があったことを記しておきたい。
Posted by 寺島紘士 at 23:16
東シナ海のタンカー事故について考える [2018年02月05日(Mon)]
1月6日の中国上海の沖合約300qの東シナ海で、パナマ船籍のタンカーSANCHI号が香港船籍のばら積み船CF CRISTAL号と衝突・炎上、南東方向に漂流し、1月14日に奄美大島の西約315qの海域、日本のEEZ内で沈没した。

SANCHI号は、軽質油(コンデンセート)136,000トンを積載してイランから韓国の港に向かっていた。衝突後、中国の国家海洋局及び交通部を中心に韓国の海洋警察庁海警船や日本の海上保安庁巡視船などが連携して船舶・航空機を用いた救助・消火・油防除活動に当たったが、SANCHI号の乗組員32名が犠牲となった。

この事故は、国際的には、ロイター、BBC、AFP、CNNなどで大きく報じられた。例えば、1月15日ロイターは、「上海沖の東シナ海で貨物船と衝突し、日本の排他的経済水域(EEZ)内で14日沈没した石油タンカーから、大量の原油が流出しており、海洋生態系に与える悪影響への懸念が高まっている。」と報じている。

しかし、日本国内では毎日新聞が、1月17日に「EEZ内 沈没タンカーから油 日中海洋当局が対応」という記事を掲載したぐらいで、あまり大きなニュースにはならなかった。

ようやく、1月28日に鹿児島県十島村の宝島で油のようなものの漂着物が見つかり、2月1日には奄美大島で黒い油状の物体が確認されて、これらが沈没タンカーから流出したものである可能性があるということで新聞等が取り上げ、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室が設置された。

2月3日の産経新聞は、社会面で「奄美の海岸に「油」 沈没タンカーから?漂着」とかなり大きく取り上げている。そこには、1月6日の衝突地点、1月14日の沈没地点、1月28日に漂着物が確認された宝島、2月1日に漂着物が確認された奄美大島を地図上に示した図が掲載されており、これをみるとそれらの位置関係がよくわかる。タンカーの沈没地点は、東シナ海の日中中間線より日本側に寄っており、日本のEEZ内である。

そうだとすると、この事故は、「油」が漂着して初めて取り上げるというのではなく、もっと早くから日本の中でも情報提供を含めてきちんとした対応がなされ、それを受けてメディアもこの事故をもっと取り上げて報道してもよかったのではないかと思った。

なぜならば、海洋環境に関しては、国連海洋法条約が、「いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有する。」(192条)と定め、さらに、沿岸国は、排他的経済水域において、天然資源等の主権的権利とともに、海洋環境の保護及び保全等の管轄権、さらにこの条約に定める義務を有する(56条)、と定めているからである。

この事故を契機として、わが国もEEZの開発・利用・保全・管理の問題にもっと総合的に取り組むことを検討してはどうか、と思った。。

海洋政策研究所では、今回の衝突海難に関し、各国政府・国際機関が公表した内容を基に整理し時系列に取りまとめた調査レポートを作成したので、今回の問題を考える際の参考にしていただければ幸いである。
https://www.spf.org/opri-j/news/article_24487.html
Posted by 寺島紘士 at 23:58
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