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ICUS懇談会、「深層海洋大循環と気候変動」について [2019年04月17日(Wed)]
4月11日(木)、第7回ICUS懇談会が開催され、参加した。

ICUSは、「科学技術の統一に関する国際会議(International Conference on the Unity of the Sciences)の略称で、科学技術文明の未来と科学者の責任、科学の価値、諸科学の統一などをテーマに、政策提言を通じて諸問題の解決に寄与することを目指している世界のノーベル賞受賞者を含む科学者・専門家による政策研究懇談会であり、米国を中心としてこれまで25回にわたって開催されてきている。

ICUS懇談会は、それを受けて設けられた日本国内における科学者・専門家による政策研究懇談会(ICUS日本委員会・(一社)平和政策研究所主催)であり、政策提言を通じて諸問題の解決に寄与することを目指している。

第7回ICUS懇談会は、東京大学大学院理学系研究科教授の日比谷紀之氏が発題者となって、「深層海洋大循環と気候変動−未だ解明されていない深海の謎−」というテーマで行われた。

日比谷さんは、まず見慣れた深海をめぐる海流の大循環の模式図から話を始めて、海洋深層循環が停止した場合の気温変化、過去12万年の気温変化は深層海洋大循環のON-OFFと対応、深層循環の停止が海洋生物生産へ及ぼす影響、と話を進めた上で、大気における乱流混合が強風によって起こるのに対して深海における乱流混合は月による潮の満ち引き(潮汐)により起こるとして、問題の核心に話を進めた。そして、70枚ほどのスライドを用いて乱流混合の観測結果、研究でわかってきたことなどを説明した。

日比谷さんは、詳しい説明の後で研究から分かったことをまとめてくれたので、私のような文系の人間にもこの研究の重要性が理解できた。そのポイントは概略次の通り。

@深海の乱流は海表面からの熱を下方に伝える役目を果たす。深層水は、これによって暖められ、浮力を得て表層に上昇し、やがて元の深層水形成域である極域に戻っていく。これにより1500年で一周する深層海洋循環が形成される。
A深海乱流は、12時間周期の潮汐流と海嶺・海山との相互作用によって励起された24時間周期で1回転する平坦な円盤状の流れの周りに生じる。
Bこの24時間周期の円盤状の流れは、海底地形凹凸の激しい西太平洋で励起されるが、実際、深海乱流計を用いた観測から強い深海乱流は西太平洋の緯度30度より赤道側の海嶺・海山の近傍に限られることが示された。
Cこれらの乱流ホットスポットを全部足し合わせても、毎秒2千万トンと推察される深層水を表層に上昇させるには乱流の強さがまだ不足している。
Dまだ、どこかに強い深海乱流が発見されずに存在しているかもしれない。現在、このような乱流ホットスポットを見つけるため、投下式乱流計を用いて海面から海底直上までの深海乱流観測を行っている。

そして、日比谷さんは、将来は、こうして得られた乱流強度の情報を数値モデルに組み込むことによって、ミクロな情報からグローバルな深層海洋循環を解明していくと抱負を述べて、発表を締めくくった。

聞き終わって、これは地球を生存基盤とする我々人類にとって大変重要な科学研究だと思った。

そして、国連持続可能な開発のための海洋科学の10年が2021年からスタートする中で、このような研究をその取組みの重要テーマとして取り上げて、国際的にも国内でも積極的に研究を進める必要があるのではないかと思った。
Posted by 寺島紘士 at 23:19
4月上旬の海洋政策関係会議等 [2019年04月14日(Sun)]
4月上旬は、天気および気温の変化が激しかったが、街路樹はこの10日ほどの間にオフィスの食堂から見下ろす桂の葉が急速に緑色を増し、季節が確実に進行していることを知らせてくれた。海に関する活動も新年度に入って活発に動き出している。

<4月1日>
190401mehukiIMG_1625 (2).jpg

<4月8日>
190408KatsuraIMG_1634 (2).jpg

なお、桂の葉が示す季節の変化については本ブログ2018年12月2日等もご覧ください。

4月上旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

4月1日(月)
〇海洋政策研究所全体会議

4月2日(火)
〇海洋政策研究所の酒井英次企画部長と打ち合わせ、これまでの総合的な海洋政策の取組みについて本にまとめて出版する件について
〇ハンセン病に係る記録映像の映写会「”The Last Mile” on the road to elimination leprosy」 出席

4月3日(水)
〇東京財団政策研究所上席研究員の小松正之氏来訪、国連海洋法課(UNDOALOS)との打合せについて

4月5日(金)
○(一社)志摩市観光協会シニア・アドバイザーの大塚万紗子さん来訪
(本ブログ4月6日参照)

4月8日(月)
〇放送大学岡山学習センターの磯部作客員教授来訪、海洋ごみの源となる河川ごみの研究について(本ブログ4月13日参照)

4月9日(火)
○黒潮会春季例会出席
Posted by 寺島紘士 at 17:41
磯部さん来訪と海洋ごみの源となる河川ごみの問題 [2019年04月13日(Sat)]
今週の月曜日(4月8日)、旧知の放送大学岡山学習センター客員教授の磯部作さんが、海洋ごみの源となる河川ごみの問題に取り組んでいる海洋政策研究所の塩入同研究員とともに来訪した。

今国際的に大きな問題として取り上げられている海洋プラスチックごみについては、国政レベルはもちろんであるが、それだけでなく産業界、自治体、市民など社会の様々な立場、セクターが、協働して取り組む必要がある。

そこで、海洋政策研究所では塩入さんが中心になって、私たちの身の回りにあるプラスチックが適切に回収・処分されないで、ごみとなって雨水側溝、川などを通じて海へ流出するのを防ぐため、東京都および神奈川県を流れ相模湾に注ぐ境川の流域をモデルサイトに選んで頻繁に足を運び、陸上のプラごみがどこでどのように発生し海へ流出しているかというメカニズムを明らかにし、効果的な対策を実行可能なものとする研究に取り組んでいるが、沿岸域の総合的管理の研究に長年ともに取り組んできた磯部さんにこれについてもご協力いただいている。

実際に現地に何度も足を運んでの調査研究はもう若くない磯部さんには結構きついところもあるのではないかと思うが、現場の調査について語る磯部さんのお顔は笑顔であふれている。ありがたいことであり、わたしからも引き続きのご協力をお願いした。

なお、海洋プラスチック対策については、本ブログでもたびたび取り上げてきた。(本ブログ2018年8月27日、2018年10月23日、2019年2月3日ほか参照) 

その中で環境大臣が中央環境審議会にプラスチック資源循環戦略のあり方について2018年7月13日に諮問したことを取り上げたが、本年3月26日に中央環境審議会が環境大臣に「プラスチック資源循環戦略のあり方について〜プラスチック資源循環戦略(案)〜」を答申した。それをみると答申の構成は、2018年10月19日のプラスチック資源循環戦略小委員会で議論された「プラスチック資源循環戦略(素案)」から変わっていない。(本ブログ2018年10月23日参照)

そして、「4.おわりに−今後の戦略的展開」で、“本戦略の展開に当たっては、以下のとおり世界トップレベルの野心的な「マイルストーン」を目指すべき方向性を設定し、国民各界各層との連携協働を通じて、その達成を目指すことで、必要な投資やイノベーションの促進を図ります。”として、(リデュース)、(リユース・リサイクル)、(再生利用・バイオマスプラスチック)について実現目標とその達成年次を掲げている。

これをみると、昨年のG7サミットの際に話題となった 「海洋プラスチック憲章」の内容を意識して定めていることが窺える。
 
それはそれとして評価されるが、今年日本が議長国となって開催されるG20で海洋プラスチック問題を大きく取り上げる際には、SDG14をはじめとして目下世界中が海洋プラスチックの問題を重要課題として取組んでいること考えると、もう少し具体的に社会的行動を促す提案も欲しいような気がする。

そういう点では、冒頭に紹介した塩入さんや磯部さんたちが研究している、境川流域のプラごみに対する自治体、産業界、市民など社会の様々な立場・セクターによる協働の取組みは、モデルとして提示しそのような取組に対する支援を提案すれば、結構インパクトがあるのではないかと思った。
Posted by 寺島紘士 at 00:52
志摩市の海を活かしたまちづくり [2019年04月06日(Sat)]
4月5日(金)、志摩市観光協会の大塚万紗子さんが来訪した。大塚さんは、ご自身作成の「志摩 グルメマップ」をはじめ、「志摩 観光ガイドブック」「志摩体験 GUIDE BOOK」「しましまっプ」などを持参し、それを開いて横山天空カフェテラス(横山展望台)やともやま公園の志摩自然学校など志摩の魅力を紹介しつつさらなる観光サービス向上のアイデアを語ってくれた。

聞いていて大塚さんが志摩市観光協会の活動になじんで、これまでの海洋政策研究所、IOI(国際海洋研究所)などにおける海に関する知識・経験も活かして、積極的に取り組んでいるのを感じて嬉しかった。

話は、海洋基本法が基本的施策のひとつとして定めた沿岸域の総合管理を推進するために海洋政策研究財団が海を活かしたまちづくりモデルサイト事業を立ち上げたときに里海推進室を設置して全国で7つのモデルサイトの先頭を切って取り組んできた志摩市が、3月31日で里海推進室を発展的に解消し、4月1日からSDGs未来都市推進室を設置してこれまでの里海創生によるまちづくりを包含して業務を開始したことにも及んだ。

これについては、沿岸域の総合的管理を導入して新たな里海創生によるまちづくりに最初から取り組んできた里海推進室最後の室長の浦中秀人さんから「お世話になった皆様へ」として里海推進室の3月31日廃止のお知らせが送られてきたので承知していたが、2009年から海を活かしたまちづくりで志摩に通い、2011年4月に市役所に里海推進室が全国で初めて設置された時のことを思い出すと感慨深い。

浦中さんは、4月1日から産業振興部の参事として、主に農林水産の業務を担当することになったとのこと。浦中さん、どうぞこれまでの経験を活かして益々ご活躍ください。期待しています。

大塚さんとは久しぶりに昼食をともにしながらゆっくりと話をすることができた。そして、時間的に余裕ができる7月以降になったらまた志摩を訪問すること楽しみにしてお別れした。
Posted by 寺島紘士 at 01:26
3月末の八重原 [2019年04月02日(Tue)]
3月29日(金)夜、八重原にやってきた。前日に息子が先に来ていて家の中が既に十分暖まっていたので助かった。

明けて30日(土)の朝、ゆっくり起きると外は既に明るく陽が射していた。家の外はまだ枯葉色に覆われていたが、前栽では梅の花がきれいに咲いていた。
190330UmenohanaIMG_1610.JPG

家の東側の窓の下ではフキノトウが白い花をつけていた。
190330FukinotohIMG_1612.JPG

北側の烏帽子岳や三方が峰は雲に隠れていて見えず、そのうちに雨が降り出した。

31日(日)の朝、北側の山々を見ると頂上付近は雲に隠れていて山腹が雪で白くなっているのに驚いた。昨夜こちらが雨のときに北側の山々は雪が降ったようだ。

青空が広がっていたが、北側の山々の山頂付近は中々雲が取れない。ようやく午後早い時間に烏帽子岳の山頂が白く輝いているところを携帯で捉えることに成功した。
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この時期の天気の変化は速い。
Posted by 寺島紘士 at 00:04
スイス海洋航海局長、IMLIで講義 [2019年03月31日(Sun)]
先日IMOの国際海事法研究所(IMLI)から送られてきたIMLI e-Newsを開くと「スイス海洋航海局長がIMLIで講義した」という見出しが目に飛び込んできた。

IMLI理事(Governor)でスイス海洋航海局長(Head of the Swiss Maritime Navigation Office )のDr. Reto Durlerが3月8日に’海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関するプロトコール’The New SUA Protocols: Developments, Contents and Scope’についてIMLI Class of 2018- 2019で講義したという。

これを見て「内陸国のスイスに海洋航海局?」「と疑問に思う人もいるかもしれないと思ったので、取り上げてみた。

ご承知の通り、国連海洋法条約は、陸に囲まれていて海岸をもたない内陸国にも海洋に対する出入りの権利および通過の自由を認め,海洋資源に関しても内陸国が排他的経済水域の生物資源の余剰分の開発に参加する権利を規定し,また深海底制度においても特別な考慮を払っている。

実際、世界に48ある内陸国で海運に関わっている国は結構ある。国際海事機関(IMO)の加盟国を見て見ると、スイスは、国際海事機関に1955年に加盟しており(日本は1958年加盟)、国際海運に早くからかかわってきたものと思われる。

ちなみにアジアでは内陸国モンゴルもモンゴル籍の船舶があり、IMOにも1996年に加盟している。

これらの背景には人間社会が古くから海洋をヒト・モノ・そして文化の流通のルートとして利用してきたことがあるのだと思う。

かつてSUA条約についてすこし関わったことがあるので、スイスの海洋航海局長がIMLIで講義したという海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する新しいプロトコールについて私も聞いてみたいと思った。
Posted by 寺島紘士 at 19:20
海洋をめぐる‘せめぎあい’と日本の「新たな海洋立国の実現」 [2019年03月26日(Tue)]
笹川平和財団勤務の最後に20余年にわたる海洋ガバナンスの取組みを本にまとめて出版しようと取り組んでいることは本ブログでも紹介してきた(本ブログ1月16日、3月2日参照)…が、書いているといろいろな出来事がよみがえってきて時間がかかっている。

そのひとつに、200カイリを超えるわが国の大陸棚についてその限界に関する情報を「大陸棚限界委員会」に2009年5月までに提出しなければならないのに誰が責任を持って対処すべきか明らかでないまま調査が進まなかった時に、日本財団が2002年に発表した「海洋と日本 21世紀におけるわが国の海洋政策に関する提言」がきっかけとなって内閣官房に「大陸棚調査対策室」が設置されて調査が進み、無事「大陸棚限界委員会」に情報を提出できたことがあった。

この関係で「大陸棚限界委員会」について書いた海洋政策ブログを探していたら2009年8月7日のブログ「テレビ東京の「海の日」番組で言いたかったこと」にぶつかった。

思い返すと、2009年7月20日の「海の日」に、テレビ東京が「ワールドビジネスサテライト」で、海の日にまつわる話題として海をめぐる国際協調や国同士のせめぎあいについて取り上げたいということで、1時間ほどのインタビューを受け、海底資源開発の戦略、アメリカの国連海洋法条約批准の動きとその影響、今後、世界で日本が果たすべき役割などの質問に日頃思っていることを述べたが、番組ではその一部しか放映されなかった。

そこで、あらためて、「海をめぐる’せめぎあい’と日本の新たな海洋立国の実現」に焦点を当てて、思いの一端を述べたのがこのブログである。10年も前のブログだが、それらは、私が常々考えてきたことで、現在でも十分に通用すると思うのでその一部を改めて紹介してみたい。

「最近の海をめぐる‘せめぎあい’の実体は、海洋管理をめぐる新しい国際ルールの下での‘競争’と‘協調’であると考える。

1994年に、広大な海洋に関する法秩序の枠組みとルールを包括的に定める国連海洋法条約が発効した。これによって、領海幅が12カイリに統一され、距岸200カイリに沿岸国の管轄権が及ぶ排他的経済水域(EEZ)・大陸棚が設定され、地球の表面の70%を占める広大な海洋の4割がいずれかの国の管轄下に入った。

しかし、国連海洋法条約による新たな海洋の法秩序が確立するためには、まだまだいろいろな取組みが必要である。中でも、海洋の線引き、即ち各国の管轄海域の画定(=確定)はその大前提となる。

問題は、日本の200カイリ水域は中国大陸沿岸にまで伸び、中国大陸の大陸棚は南西諸島の一部を越えて太平洋側に伸びるというように、各国のEEZ・大陸棚が大きく重複しているケースが多いことである。重複する海域の境界の画定は、当事国間で、衡平な解決を達成するために、国際法に基づいて合意により行う、と条約は定めている。このため協議が必要となるが、これには資源等の問題も絡んでおり、各国間の‘せめぎあい’が起こる。

わが国は、管轄海域が周辺の7つの国・地域(ロシア、北朝鮮、韓国、中国、台湾、フィリピン、アメリカ)と重複しており、これらと境界を画定する必要があるが、その交渉は、進んでいない。

わが国は、目下、大陸棚限界委員会にわが国の200カイリを越える大陸棚の延長審査を申請しており、その対応に注力しているが、それとともにEEZ・大陸棚の周辺国との境界画定についても、当事国間での粘り強い交渉、条約が定める紛争解決手続き(国際司法裁判所等への付託等)の活用、さらには、多国間での境界画定基準の協議の提案などにより、積極的にこれに取り組んでいくことが重要である。

一方、広大な海洋空間は水に覆われていて一体性が強く、海洋の問題は、相互に密接な関連を有している。例えば、各国が海洋上に境界線を引いても環境汚染や生物資源はそれにお構いなく移動し、また、海賊は各国の境界線を警察の追及を逃れる手段として利用する。したがって、海洋の管理には各国間あるいは国際社会の協調・協力が不可欠である。

わが国は、2007年に海洋基本法を制定し、内閣に総合海洋政策本部(本部長:内閣総理大臣)を設置し、海洋基本計画を策定して、新たな海洋秩序の下で総合的に海洋の問題に取り組む体制を整備した。その目指すところは、国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発・利用と海洋環境の保全との調和を図る「新たな海洋立国の実現」である。

わが国は、この海洋基本法の枠組み・取組み体制を最大限に活用して、世界で6番目に広大なわが国の海域の開発・利用・保全・管理に鋭意取り組むとともに、そこで培った科学技術、ノウハウを活用して国際的協調をリードし、国際協力を推進する海洋外交を積極的に展開して、「新たな海洋立国の実現」に努めるべきである。」

なお、我が国大陸棚の延長に関する情報の委員会への提出については本ブログ2008年12月3日、それに対する委員会の勧告については本ブログ2012年5月2日で取り上げているので、関心のある方はそちらも合わせて参照ください。


Posted by 寺島紘士 at 22:09
海上保安庁の次期主力大型船が2隻進水 [2019年03月23日(Sat)]
先日届いた『海上保安新聞』(3月14日号)を開くと、1面トップで海上保安庁の次期主力となる大型船2隻が3月上旬に相次いで進水したことを報じていた。

4000トン級の測量船「平洋」が三菱造船江浦工場で7日に、6500トン級のヘリ搭載型巡視船「れいめい」が三菱重工業長崎造船所で8日に相次いで進水、両船ともに2016年12月の関係閣僚会議決定「海上保安体制強化に関する方針」に基づき整備されているもので、2020年度中に就役するとのこと。

海上保安庁は、わが国の広大な管轄海域において領海警備、治安の確保、海難救助、海洋環境の保全、自然災害への対応、海洋調査、海洋情報の収集・管理・提供、船舶交通の安全確保等の業務を行っており、近年の内外における海洋の開発、利用、保全及び管理の進展によりその重要性が増大している。今回の大型船の建造もそれに関する体制強化の一環である。

「れいめい」は、現在の海保最大級の巡視船「あきつしま」「しきしま」と大きさは同じだが、さらに設計に改良が加えられた最大級の巡視船で次世代の「フラッグシップ」だという。

測量船「平洋」も海保海洋情報部の測量船としては最大である。かつて水路部(現海洋情報部)で勤務した私にとってこれは嬉しい。私が水路部監理課長当時の1983年に就役した「拓洋」が2400トン、1998年に就役した「昭洋」が3000トンなのに対して「平洋」は4000トン級で、以前に「拓洋」を撮影したことのある海上保安新聞の岩尾記者が「それより一回りも二回りも大きく見え、その大きさに圧倒された」と書いている。

「平洋」は、全長約103m、幅約16mで、海潮流の中でも船体の位置を同じ場所に保持して海洋観測するためスクリューの軸を360度旋回できる電動推進装置「アジマス・スラスタ」、及び自律型潜水調査機(AUV)、自律型高機能観測装置(ASV)、マルチビーム測深器(3基)等を装備している。

この「平洋」が、面積で世界第6番目、体積で世界第4番目に広くて深い我が国の管轄海域の測量・調査に活躍してくれることを今から期待している。
Posted by 寺島紘士 at 18:40
3月中旬の海洋政策関係会議等 [2019年03月21日(Thu)]
3月中旬は、平成30年度の大詰めを迎えて、SIP2「革新的深海資源調査技術 報告会」をはじめいろいろな会議が開催され、また義兄が急逝して忙しかった。

3月中旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

3月11日(月)
〇「平成30年度第2回海洋・宇宙連携委員会」出席
・利用実証ツール開発等の今年度の活動、今後の取組みの方向性について

3月12日(火)
〇笹川平和財団安全保障事業主催第12回サイバーセキュリティ月例セミナー「5G/IoT時代のサイバーセキュリティ政策」参加

3月13日(水)
〇(国研)海洋研究開発機構 革新的深海資源調査技術管理調整PTの森本浩一プロジェクト長(特任参事)、同企画調整ユニットリーダー後藤 真也氏来訪、SIP第2期「革新的深海資源調査技術」報告会のパネルディスカッションについて打合せ

〇2018年度第3回「北極の未来に関する研究会」出席
(本ブログ3月14日参照)

3月18日(月)
○戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的深海資源調査技術 報告会〜深海に眠る「海の恵み」の探索と新た場可能性への挑戦〜」 (内閣府/国立研究開発法人海洋研究開発機構共催)参加
(本ブログ3月20日参照)

3月19日(火)
○「海に流出する陸域ごみの分布把握調査に向けた準備研究会」(海洋政策研究所)参加
○「虎ノ門OB会」出席
○第413回海洋産業定例研究会(一般社団法人 海洋産業研究会主催)参加
「最近の海洋政策について−第3期海洋基本計画における技術開発と人材育成及び2019年度海洋関連予算案について−」
講師:重田雅史氏(内閣府総合海洋政策推進事務局長)

3月20日(水)
○海洋政策研究所「ブラウン・バック・ランチ」第2回 参加
・前川美湖主任研究員
「気候変動と海洋におけるリスクに関する共同研究について」
・藤井巌研究員
「サンゴ礁保全に影響し得る環境的・社会的要因」

○笹川平和財団海洋政策研究所「第160回海洋フォーラム」参加
講演:「新防衛大綱・新中期防と海上自衛隊」
講師:中大路 真氏(海上幕僚監部防衛部防衛課防衛班長)
Posted by 寺島紘士 at 19:14
革新的深海資源調査技術 報告会 [2019年03月20日(Wed)]
「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期の「革新的深海資源調査技術」プログラムが2018年からスタートしたことは、本ブログ2月7日で紹介した。

その「革新的深海資源調査技術 報告会」(内閣府/国立研究開発法人海洋研究開発機構共催)が3月18日(月)に「〜深海に眠る「海の恵み」の探索と新たな可能性への挑戦〜」というタイトルを掲げて開催されたので紹介したい。

イイノホールで開催された報告会は、このテーマに関心を有する人々が約250名参加して盛況だった。参加者の大部分は産業界からとのこと、研究成果の社会実装に向けて民間企業の積極的参画が求められているところなので、これは喜ばしい。

内閣府の須藤亮政策参与の開会挨拶に続いて、石井プログラムディレクター(石油資源開発株式会社顧問)が「革新的深海資源調査技術」2018年度成果報告を「日本の未来は深海にある」という題名のビデオを用いて行った。なかなかいいタイトルなので共感した。

続いて、各テーマリーダーが成果報告を行った。
テーマ1:レアアース泥を含む海洋鉱物賦存量の調査・分析
成果報告 荒井晃作 テーマリーダー(産業技術総合研究所)
テーマ2-1:深海資源調査技術の開発
成果報告 大澤弘敬 テーマリーダー(海洋研究開発機構)
テーマ2-2:深海資源生産技術の開発
成果報告 川村善久 テーマリーダー(海洋研究開発機構)
テーマ3:深海資源調査・開発システムの実証
成果報告 松川良夫 テーマリーダー(伊藤忠商事株式会社)

聞いていて、テーマ1では「AUV-SBP(海底面高解像度調査)、2020年に採泥候補サイトを絞り込んで選定等」、
テーマ2-1では「複数AUV運用技術、深海底ターミナル、探査システム大深度化等」、
テーマ2-2では「放射性・有害物質フリーのレアアース生産、レアアース泥の解泥・採泥・揚泥の方針決定、SIPの技術目標‐揚泥量3500トン/日、2019年中に概念設計完成等」、
テーマ3では「出口戦略:海洋調査産業の事業化・深海資源開発の産業化モデル構築、環境対策:現状把握・調査開始、社会実装:技術移転・異分野への展開・早期の制度化等」
の言葉が頭に残った。

そのあと休憩をはさんで「パネルディスカッション〜深海に眠る「海の恵み」の探索と新たな可能性への挑戦に向けて〜」が行われた。

このパネルディスカッションの登壇者は次の通り。
<モデレーター>
寺島 紘士(公益社団法人笹川平和財団参与)
<パネリスト>
朝日 弘(住友金属鉱山株式会社 取締役常務執行役員・資源事業本部長)
湯浅 鉄二(川崎重工業株式会社 船舶海洋カンパニー フェロー)
河合 展夫(次世代海洋資源調査技術研究組合 理事長)
東 垣((JAMSTEC) 理事)

私は海洋研究開発機構の依頼を受けてパネルディスカッションのモデレーターを務めたが、これは先日このプログラムの管理法人におけるピアレビューの主査を務めたご縁からと思われる。

冒頭に、私から、
「海洋の管理」を目指す国連海洋法条約の発効(1994)、リオ地球サミットから持続可能な開発目標(SDGs)採択(2015)に至る海洋の総合的管理と持続可能な開発の取組みの進展、そして近年の科学技術の進歩を受けて、今ようやく深海が私たちの前に姿を現しつつある、
本日のパネルディスカッションでは、AUVによる深海の自在な探査・生産技術の開発、将来の産業化を目指したビジョンなど、特に深海資源をめぐる国内外の情勢を俯瞰しつつ、我が国の強みを生かし国際競争力を有する技術システムを確立することを目指し、我が国として重視すべき戦略と解決すべき課題について議論いただく、
とパネルの趣旨を紹介してディスカッションを始めた。

まず各パネリストが、論点になりそうな国外の技術動向や将来展望等について紹介した。
旭さんは、電気自動車の普及や新興国のインフラ整備需要が伸び続ける中で陸上の優良な鉱山の開発は既に進んでいて残るは高難度案件ばかりという資源事業を取り巻く環境の変化や鉱山へのデジタルテクノロジーの導入について紹介し、湯浅さんは、長い間潜水艦関連業務に携わってきた経験に基づいてAUVの将来性と川崎重工の取組みについて紹介し、SIP1のときからこのプログラムに関わってきた河合さんは、SIP1「次世代海洋資源調査技術」とSIP2「革新的深海資源調査技術」の関係について紹介し、本プログラムの副PDでもある東さんは、本プログラムの意義と課題にもふれつつオールジャパンでの深海の恵みの探索と可能性への挑戦について紹介した。

続いて、環境と開発の取組みへの企業の参画、産官学の連携、海洋産業の活性化等について各パネリストが意見を述べ、会場との質疑応答を行った。そのあと各パネリストがそれぞれまとめの発言をし、総合海洋政策本部参与会議の座長代理の高島正之参与にも会場から発言いただいた。

最後に、「革新的深海資源調査技術」が産業界の積極的な参画を得て海洋調査産業の事業化・深海資源開発の産業化モデル構築などが前進し、それにより世界第4番目に広大なわが国の海洋空間の開発利用・保全が進展して、「日本の未来を深海が開く」日が早く来ることに期待を表明してパネルディスカッションを終了した。

そのあと海洋研究開発機構の平朝彦理事長が閉会挨拶をのべて、革新的深海資源調査技術 報告会は盛会裡に幕を閉じた。
Posted by 寺島紘士 at 23:15
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