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本格的な宇宙利用とSociety5.0が切り開く海洋の未来 [2019年02月13日(Wed)]
2月8日(金)、「「宇宙を用いたグローバルな海洋監視の最新技術動向と将来」に関するシンポジウム 〜本格的な宇宙利用とSociety5.0 が切り開く海洋の未来〜」が(公財)笹川平和財団 海洋政策研究所と(一財)日本宇宙フォーラム 宇宙政策調査研究センターの主催により笹川平和財団国際会議場で開催された。


「宇宙を用いたグローバルな海洋監視の最新技術動向と将来」というかなり専門的なタイトルのシンポジウムだったが、それにも拘らず参加者が300人を超えるという盛況だったのには驚いた。海洋、宇宙双方からの参加があったことに加えて、海洋に関しては第3期海洋基本計画が「海洋に関する施策についての基本的な方針」において「海洋状況の把握(MDA)体制の確立」や「海洋と宇宙の連携及びSociety 5.0の実現に向けた研究開発等」を掲げていることも参加者が多いことに影響しているのだろうか。

冒頭のオープニングセッションで先ず (公財)笹川平和財団海洋政策研究所の角南篤所長と(一財)日本宇宙フォーラムの坂田東一理事長がオープニング挨拶をした。坂田理事長が、世界どこでも宇宙データが使える本格的な宇宙利用が始まろうとしており、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会の次に来る未来社会Society5.0が海洋の未来をどのように切り開くのかを議論してもらうシンポジウムであると述べるのを聞いてイメージが具体化し興味が増してきた。

続いての招待講演は、内閣府総合海洋政策推進事務局の重田雅史局長が「第3期海洋基本計画 –新たな海洋立国への挑戦-」というタイトルですることになっていたが、あいにく体調を崩して欠席となり、内閣府総合海洋政策推進事務局の森下泰成参事官が代読した。

オープニングセッションに続いてセッション1、セッション2と充実したプログラムが続いた。セッション2では米英からの講演者も参加してパネルディスカッションが行われた。それらのプログラムは、次のとおり。

<セッション1 > Global Maritime Monitoring Activities: Today and Future
・キーノートスピーチ:Global Monitoring Activities: Today and Future
John Mittleman, Naval Research Laboratory
・講演1:Deep Sea to Deep Space
Lucas Kuo, Analyst, Center for Advanced Defence System (C4ADS)
・講演2:Skylight: Shining a Light on Illicit Maritime Activity
Patrick Dunagan, Director of the Skylight Product, Vulcan Inc
・講演3:Modern Satellite Capabilities to Detect Global Fishing Activities
Nick Wise, CEO and Founder, OceanMind

<セッション2> Future Maritime and Japan’s Role in International Collaboration
・キーノートスピーチ:「日本の宇宙技術をアジアの公共財化するルール形成」
國分俊史、多摩大学大学院教授、ルール形成戦略研究所所長
・モデレータ講演:「海洋ブロードバンドと地球ビッグデータが新たな海洋立国への道を開く」
木内英一、(一社)日本宇宙安全保障研究所 主席研究員
・パネルディスカッション
モデレータ:木内英一
パネリスト:
松浦直人、宇宙航空研究開発機構(JAXA)第一宇宙技術部門宇宙利用統括
Nick Wise, CEO and Founder, OceanMind
桑原悟、(株)日本海洋科学 運航技術グループグループ長/コンサルタントグループ部長
宮澤泰正、海洋研究開発機構(JAMSTEC)アプリケーションラボ 所長代理
コメンテータ:
John Mittleman, Naval Research Laboratory
森下泰成、内閣府総合海洋政策推進事務局参事官

プレゼン1:「宇宙から見る海洋・船舶情報」松浦直人
プレゼン2:「The Future of Maritime Domain Awareness is Global, Collaborative, and Human-Centered」Nick Wise
プレゼン3:「宇宙が広げる自動運航船の可能性」桑原悟
プレゼン4:「海況の観測と予測のためのビッグデータ活用」宮澤泰正

いつも海から宇宙を見上げてはいたが、今回のシンポジウムでは宇宙から海洋を見て、広大な海洋で展開されているひとつひとつの動き(例:石油の瀬取り、IUU漁船の動き等も)までが手に取るようにわかる時代が来ていること、その中で宇宙からの視点を組み込んで社会と海洋の未来を築いていくことが重要であることに気づかされた。宇宙が社会の重要な一部となる未来社会が目の前に迫っていることに気づかせてくれたいいシンポジウムだった。このシンポジウムの企画者、登壇者の皆さんに感謝申し上げしたい。
Posted by 寺島紘士 at 14:55
2月上旬の海洋政策関係会議等 [2019年02月10日(Sun)]
2月上旬は、節分、立春と季節が進み、東京でも気温が20度近くまで上った日もあったが、9日(土)になって一転季節は逆戻りしては雪が降った。これから1週間は最高気温が10℃以下の寒い日が続くようである。 
そのような変化の激しい天候のなかで、2月上旬には「日本発の世界に認められる水産エコラベル(MEL)」づくりに関するワークショップ、「宇宙を用いたグローバルな海洋監視の最新技術動向と将来」に関するシンポジウムなど、グローバルな視野で海洋ガバナンスをとりまく状況の変化を捉えて、新しい視点を提供する会議等が開催されて有意義だった。

2月上旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

2月4日(月)
〇海洋政策研究所「全体会議」出席

2月5日(火)
〇「太平洋島嶼国事業(旧太平洋島嶼国基金)事業説明 (事業形成過程を含む)」(笹川平和財団 安全保障事業グループ・太平洋島嶼国事業 塩沢英之主任研究員)参加

2月6日(水)
〇第1回「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)ワークショップ―日本発世界に認められる水産エコラベルの課題と挑戦―」((一社)大日本水産会主催)参加

2月8日(金)
〇「「宇宙を用いたグローバルな海洋監視の最新技術動向と将来」に関するシンポジウム 〜本格的な宇宙利用とSociety5.0 が切り開く海洋の未来〜」((公財)笹川平和財団 海洋政策研究所・(一財)日本宇宙フォーラム 宇宙政策調査研究センター主催)参加
Posted by 寺島紘士 at 23:05
SIP第2期「革新的深海資源調査技術」 [2019年02月07日(Thu)]
平成30年度からスタートした「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期の12課題の一つに「革新的深海資源調査技術」がある、ということはご存知の方も多いと思う

私もSIPという言葉は時々耳にしていた。しかし、研究開発をしてその成果の実用化によるイノベーションの創出を促進するプログラムという程度で、必ずしもその仕組みを十分に承知していたわけではなかった。

ところが最近ふとしたきっかけで、SIP第2期の「革新的深海資源調査技術」の取組みに若干関わりができたので、少し関心を持って調べてみた。その結果を「革新的深海資源調査技術」に関心のある皆さんとも共有してみたい。

内閣府には、内閣府設置法に基づき、「重要政策に関する会議」のひとつとして「総合科学技術・イノベーション会議」が設置されており、わが国全体の科学技術を俯瞰し、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行っている。「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」は、この「総合科学技術・イノベーション会議」が、府省・分野の枠を超えて自ら予算配分して、基礎研究から出口(実用化・事業化)まで見据えた取組みを推進しているプログラムである。

2014年度からSIP第1期の5ヵ年計画が始まり、「次世代海洋資源調査技術」を含む11課題が取り上げられていたが、これを1年前倒しにして2018年度からSIP第2期(SIP2)がスタートした。この第2期は12の課題を取り上げており、海洋に関しては「革新的深海資源調査技術」がある。


「革新的深海資源調査技術」は、SIP第1期「次世代海洋資源調査技術」における水深2,000m以浅の海底熱水鉱床を主な対象とした成果を活用し、これらの技術を段階的に発展・応用させ、基礎・基盤研究から事業化・実用化までを見据え、2,000ⅿ以深での深海資源調査技術、回収技術を世界に先駆けて確立・実証するとともに社会実装の明確な見通しを得ることを目指している。

そのため、深海資源の調査能力を飛躍的に向上させ、水深6,000ⅿ以浅の海域(我が国のEEZの94%を占める)の調査を可能とする世界最先端調査システムを開発し、民間への技術移転を行うこと、現行の技術では不可能な深海鉱物資源の採泥、揚泥を可能とする技術を世界に先駆けて確立することを「目標」とし、開発した要素技術のシステム統合を図り、最終年度までに実証を行って民間企業に戦略的に移転することにより、「深海資源の産業化モデルの構築」に道筋をつけ、SIP終了後に国内外から様々な海洋調査等を受託することを「出口戦略」として掲げている。

研究開発の内容は、次の通り。

テーマ1:レアアース泥を含む海洋鉱物資源の賦存量の調査・分析
テーマ2:水深2.000ⅿ以深の深海資源調査技術・生産技術の開発
2-(1):深海資源調査技術の開発(深海AUV、深海底ターミナル技術)
2-(2):深海資源生産技術の開発(レアアース泥の採泥、揚泥技術)
テーマ3:深海資源調査・開発システムの実証

これによる「社会経済インパクト」としては、我が国のEEZにおいて、初めての深海資源開発の目途がつくこと、海洋資源の権益確保に貢献すること、スピンオフの創出により、幅広い分野への応用が可能になることが挙げられている。

ここに掲げられた社会経済インパクトは直接的なものであり、その通りであるが、この調査技術開発の社会経済インパクトはこれにとどまらないと思う。

わが国は、面積で世界第6位、体積では世界第4位の排他的経済水域(EEZ)を保有しており、その広大な海域の開発、利用、保全及び管理を適切に行うことが日本の新たな海洋立国実現への道を開く。しかし、そのためにはまずこの広大な海域の科学的知見を得るための海洋調査や生産等の技術開発から始める必要がある。しかし、水圧が高く、光も届かない深海についてはなかなか調査等が難しく、それらの海域の保全や資源の開発利用になかなか手が届かないまま今日に至っている。

海洋基本法は、「海洋の開発及び利用と海洋環境との調和」「海洋の安全の確保」「海洋に関する科学的知見の充実」「海洋産業の健全な発展」「海洋の総合的管理」などを基本理念に掲げているが、それらの基本理念も深海は素通りしているような状況が続いてきた。

とくに、海洋基本法制定の時に、海洋の開発、利用、保全等には、その担い手となる海洋産業の発展が不可欠という考え方の下に「海洋産業の健全な発展」を基本理念に取り上げたが、深海の開発、利用、保全等と海洋産業の発展を結びつけるのはなかなか難しく、厳しい道のりが続いてきた。

そうみてくると、今回の「革新的深海資源調査技術」は、「出口戦略」として、最終的には開発した要素技術のシステム統合を図り民間企業に戦略的に移転することを掲げており、海洋基本法制定から10年かかってようやくここまで来たかという感慨がわいてくる。
また、本課題が前面に掲げる深海資源の調査技術はもちろん重要であるが、それに止まらず、この調査技術はそれ以外の我が国の深海の開発、利用、保全及び管理にも広く役立つ革新的調査技術である。そしてさらに、海洋が国際的な空間であることから、我が国で開発されたこれらの技術が国際的な場で使われ、海洋のガバナンスにも広く貢献していくことになる。

SIP2「革新的深海資源調査技術」はその辺まで視野に入れて組み立てられており、頼もしい。

SIPの実施体制をみると、課題ごとにPD(プログラムディレクター)が選定され(内閣総理大臣任命)、関係府省庁等が緊密に連携して取り組む推進員会が設置されている。「革新的深海資源調査技術」のPDは、深海資源の調査開発に経験豊かで構想力に優れた石井正一氏(石油資源開発(株)顧問)である。
関係府省としては、内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省が参画している。管理法人は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)である。

本技術開発は相当に難易度が高いとされているが、石井PDのリードの下で課題目標を着実にクリアして、研究開発の成果を挙げ、わが国の新たな海洋立国に貢献することを期待したい。
Posted by 寺島紘士 at 22:48
海洋プラスチックごみ問題にみんなで取り組もう [2019年02月03日(Sun)]
「持続可能な開発目標14: 海洋・海洋資源の保全、持続可能な利用」が、その具体的ターゲットの冒頭に「2025年までに、…、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」ことを掲げ、その中でも海洋プラスチック問題が内外で最近注目されていることはご承知のとおりであり、本ブログでも、カナダのシャルルボワで開催されたG7サミットでこの問題が取り上げられて以降、この問題について積極的にフォローしてきた。
(本ブログ「G7サミット「ブループリント」と海洋プラスチック問題」2018.7.14等参照)

さて、2月2日の読売新聞を開いたら2月1日の参議院本会議の代表質問の主な質問と答弁の中に海洋プラごみに関するものがあるのが眼に入った。(11面「国会論戦の詳報 1日の参院代表質問から」欄)」

公明党の山口那津男氏の「海洋プラスチックごみの問題は、生態系や漁業、観光への影響が懸念され、地球規模での取り組みが欠かせない。資源を最大限活用する循環型社会に向けた取組を急ぐべきだ。」という質問に対し、安倍首相は「海洋プラスチックごみによる汚染は生態系への大きな脅威となっている。解決のためには先進国だけでなく、プラスチックごみを多く排出する新興国も含めた世界全体での取り組みが不可欠だ。ゴミの適切な回収、処分、新素材の開発など、世界の国々と対策に取り組んでいく。」と答弁している。

参議院代表質問のような重要な場で、海洋プラスチックごみの問題が取り上げられて、首相がこのように積極的な答弁をしたことを歓迎したい。

なお、海洋プラスチックごみについては、国政レベルはもちろんであるが、それだけでなく産業界、自治体、市民など社会の様々な立場、セクターが、協働して取り組む必要がある。

笹川平和財団海洋政策研究所でも、私たちの身の回りにあるプラスチックが、適切に回収・処分されないで、ごみとなって雨水側溝、川などを通じて海へ流出するのを防ぐため、神奈川県藤沢市や神奈川海岸美化財団、(株)セブン‐イレブン・ジャパンなどの協力を得て、陸上のプラごみがどこでどのように発生し、海へ流出しているかというメカニズムを明らかにし、効果的な対策を実行可能なものとする研究に着手している。

これに中心となって取り組んでいるのは海洋政策研究所の塩入同研究員であるが、先日、海洋プラスチックごみに関する塩入研究員のインタビュー記事が笹川平和財団のホームページの「SPF NOW」に掲載されたので、海洋プラスチックごみの問題に関心のある方はどうぞこちらも覗いてみてください。
https://www.spf.org/publications/spfnow/
Posted by 寺島紘士 at 01:14
1月下旬の海洋政策関係会議等 [2019年01月31日(Thu)]
1月も下旬になると「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期「革新的深海資源調査技術」のピアレビューをはじめとしていろいろなことが動き出してきて、寒さ厳しい中で結構忙しかった。

1月下旬の私が直接関係した海洋政策関係の会議、意見交換等は次の通り。

1月21日(月)
〇(国研)海洋研究開発機構 革新的深海資源調査技術管理調整PTの森本浩一プロジェクト長(特任参事)、同企画調整ユニットの宇野真規子氏来訪、SIP第2期「革新的深海資源調査技術」のピアレビューについて打合せ

1月22日(火)
〇神戸で開催された(公社)瀬戸内海環境保全協会の特別講演会「瀬戸内海を取り巻く海洋政策の動向〜海洋基本計画と里海づくり〜」に出席、「海洋基本法と海洋基本計画の進展」というテーマで基調講演(本ブログ1月23日、27日参照)

1月23日(水)
〇東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターの窪川かおる特任教授来訪

1月24日(木)
○「第219回オーシャン・ニューズレター編集会議」出席
〇「虎ノ門OB会」出席
〇一般公開シンポジウム「沖合域を中心とした生物多様性と海洋保護区」(環境省、(公財)笹川平和財団海洋政策研究所主催)参加

1月25日(金)
〇日本経済調査協議会「第2次水産業改革委員会 第16回会合」参加
議事: 地方と銀行から見た水産業/科学調査・資源評価の在り方

1月28日(月)
○備前市産業部都市住宅課移住定住推進担当の濱山一泰課長来訪
○「第84回神戸大学経営協議会」出席(於神戸大学東京オフィス)
○内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」第2期課題評価WG出席、「革新的深海資源調査技術」ピアレビューについて報告

1月29日(火)
○笹川平和財団海洋政策研究所「第158回海洋フォーラム」参加
講演:「バケツ一杯の水で棲んでいる魚がわかる技術:環境DNAメタバーコーディング法の概要と実際」
講師:宮 正樹氏(千葉県立中央博物館 生態・環境研究部長)

1月30日(水)
○宇宙航空研究開発機構(JAXA)の松井快氏、(一財)リモート・センシング技術センターの方々とともに来訪、海洋・宇宙連携委員会の活動について
Posted by 寺島紘士 at 23:11
瀬戸内協の特別講演会で海洋政策について講演(2) [2019年01月27日(Sun)]
(公社)瀬戸内海環境保全協会から賛助会員研修会での海洋基本法と海洋基本計画についての基調講演の打診があったのは昨年10月ごろだった。

依頼された「海洋基本法と海洋基本計画の変遷(仮)」という基調講演のテーマを見て、海洋基本法制定時に期待を込めて定めた12の海洋に関する基本的施策の中のいくつかはこれまでは思うように進んでこなかったが、昨年5月に策定された第3期海洋基本計画でようやくそれらも含めて期待していた海洋施策が具体化しようとしていると感じていたところだったので、講演テーマを「海洋基本法と海洋基本計画の進展」と微修正して喜んで講演をお引き受けした。

その後、この賛助会員向けの研修会の企画は、兵庫県が平成30年に成立150周年を迎えることからそれを記念する特別講演会に発展し、特別講演会「瀬戸内海を取り巻く海洋政策の動向〜海洋基本計画と里海づくり〜」として協会の賛助会員、正会員、さらに一般の人たちをも対象として開催された。

このような講演会で海洋基本法と海洋基本計画の進展について講演することは願ってもないことだったので、喜んで神戸に出かけた。
190122富士山IMG_1585.JPG

   <新幹線の車窓から見た富士山>

神戸市のラッセホールで開催された特別講演会には瀬戸内海の環境保全に関係する行政機関、団体、漁協、企業、NPOその他70名ほどの人々が集まっていて一般の人が多い講演会とは一味違う雰囲気だった。

当日のプログラムは、次の通り(敬称略)で、基調講演の後には、瀬戸内海環境保全協会の活動と関係の深い海洋産業、海洋環境、海洋人材育成と国民の理解の3つの海洋基本計画の項目について、さらに3人の専門家により講演が行われたが、皆さん互いによく知っている人たちだったので、講演相互のコンビネーションもよくいい講演会になった、と思う。

○開会あいさつ (公社)瀬戸内海環境保全協会 常務理事 神田泰浩
○基調講演 
「海洋基本法と海洋基本計画の進展」(公社)笹川平和財団参与 寺島紘士
○講演1
「海洋基本計画と海洋産業について」
(一社)海洋産業研究会 常務理事 中原裕幸
○講演2
「海洋環境の維持・保全と具体的施策について」
広島大学名誉教授(海洋環境PT有識者)松田治
○講演3
「海洋人材の育成と国民の理解 〜学校教育を中心に〜」
(公財)笹川平和財団海洋政策研究所事業企画部長 酒井英次
○閉会あいさつ
(公社)瀬戸内海環境保全協会 賛助会員部会長 泉伸司(いであ(株)大阪支社執行役員)

このように私の基調講演の後にはそれぞれそれの施策項目に的を絞った講演が組まれていたので、私の基調講演では、海洋基本法がなぜ制定されたのか、海洋基本法は何を定めているか、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために概ね5年ごとに定められる海洋基本計画の第3期計画には何が定められているかに重点を置いて講演した。

その冒頭では、
人間社会は海洋への依存を強めており、地球表面の7割を占める国際的な空間である海洋において、新たな秩序形成と持続可能な開発利用の取組みが、グローバル、リージョナル、ナショナル、ローカルなスケールで相互に密接に連携しつつ進行していること、

そして、海洋の問題は沿岸から大洋の真ん中まで相互に密接に関係しているから、世界的な視野を持って沿岸域の問題に取り組む必要があり、いまThink Global, Act Localという言葉が海洋政策に取り組むときのモットーとして広く世界で共有されるようになっていること、を強調した。

瀬戸内海では、1970年代にきれいな海を目指して制定された瀬戸内海環境保全特別措置法が2015年に改正されて、湾・灘ごとや季節ごとの課題に対応し、多面的価値・機能が最大限に発揮された「豊かな瀬戸内海」を目指している。

一方、第3期海洋基本計画でもこのような瀬戸内海の取組みに資する施策があちこちに定められており、特に第2部具体的施策、3.海洋環境の維持保全(2)沿岸域の総合的管理では、ずばり「瀬戸内海の更なる環境保全・再生のため、瀬戸内海環境保全特別措置法の改正及び瀬戸内海環境保全基本計画の変更に基づき、…「きれいで豊かな海」の観点から、…、藻場・干潟の保全・再生や底質改善等を組み合わせ、地域の多様な主体が連携した総合的な取組みとなるよう必要な検討・施策の推進を図る。…。(農林水産省、国土交通省、環境省)」と定めている。

「豊かな瀬戸内海」を実現するためにはこのように、海洋基本法・海洋基本計画の枠組みや施策、さらには持続可能な開発目標などの国際的な枠組みや取り組みを視野に入れてこれを活用して取り組んでいくとより大きな成果が期待できる。即ち、Think Global, Act Localである。

特別講演会が終わった後、数人の参加者の方とお話をした。その中で兵庫県漁連の方が水産資源の最近の状況を心配していたのがちょっと気になった。まさに「豊かな瀬戸内海」をどうしたら実現できるかの問題である。

瀬戸内海環境保全協会及び関係者の皆さんの今後のご健闘を祈りつつ神戸を後にした。
Posted by 寺島紘士 at 01:00
瀬戸内協の特別講演会で海洋政策について講演 [2019年01月23日(Wed)]
新しい年の1月上中旬は、大きな会議・出張もなく比較的穏やかに過ごした。

もっとも、その間もこれまで20余年間の海洋ガバナンスの取組みについての執筆や、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の課題「革新的深海資源調査技術」のピアレビューなどがあって、あまりのんびりはできなかったが。

そして下旬にはいろいろ会議が入ってきている。その始めが1月22日(火)に神戸で開催された(公社)瀬戸内海環境保全協会の特別講演会「瀬戸内海を取り巻く海洋政策の動向〜海洋基本計画と里海づくり〜」だった。

この特別講演会で、私は、「海洋基本法と海洋基本計画の進展」というテーマで基調講演をした。

中々いい企画でいろいろ感じるところもあったので、取り急ぎ海洋基本法及び海洋基本計画をテーマとする特別講演会があったことを紹介し、その内容等については次回詳しく取り上げることとしたい。
Posted by 寺島紘士 at 23:40
栗林忠男慶応義塾大学名誉教授逝去 [2019年01月18日(Fri)]
先日、慶応義塾大学名誉教授の栗林忠男先生が13日にご逝去されたという訃報が届いた。

栗林先生には、海洋政策の研究と取組みを始めたときいろいろお世話になった。

国連海洋法条約の発効やリオの地球サミットによる持続可能な開発宣言により世界各国が海洋と沿岸域の総合的管理に熱心に取り組み始めた中で、わが国がこれにはかばかしく対応していなかったとき、日本財団ではこれを憂慮して、わが国の海洋政策のあるべき姿を研究するため海洋各分野の有識者に委員をお願いして「海洋管理研究会」を2000年に設置した。
 
当時は日本ではまだ海洋管理とは何かも明確に理解されていなかった中で研究会の検討が始まったが、その時に委員長を引き受けていただいたのが栗林先生である。そしてその研究がある程度進展してきたとき、そろそろその研究成果を基に政策提言をすることを考えてはどうかと言ったのも栗林先生である。

この「海洋管理研究会」での検討成果をもとにして日本財団が2002年に発表したのが「海洋と日本 21世紀におけるわが国の海洋政策に関する提言」である。栗林先生には、さらに上記日本財団提言を深度化、具体化、総合化して海洋政策研究財団が2005年に発表した「海洋と日本 21世紀の海洋政策への提言」を検討した「海洋・沿岸域研究委員会」の委員長も務めていただいた。

その上、2005年の海洋政策提言がきっかけとなって自民・民主・公明の3党の国会議員と海洋各分野の有識者等により「海洋基本法研究会」(代表世話人:武見敬三参議院議員、座長:石破茂衆議院議員、事務局:海洋政策研究財団)が設置されてわが国の海洋政策と海洋基本法の制定が検討された時にも、栗林先生には学識経験者を代表して共同座長を務めていただいた。

このように、栗林先生には海洋基本法制定に至るプロセスで大変お世話になったのである。

なお、栗林先生は海洋基本法制定を契機として2008年に設立された日本海洋政策学会においても初代副会長を務めておられる。

ここに栗林忠男先生の生前のわが国の海洋政策及び海洋基本法制定へのご貢献に感謝し、謹んでご冥福をお祈り申し上げたい。
Posted by 寺島紘士 at 11:11
今年の「目標」と「モットー」 [2019年01月16日(Wed)]
毎年、年頭には「今年のモットー」を考えてきた。(本ブログ2018年1月7日等参照)

私は、2019年にはいよいよ6月末に笹川平和財団参与を退任し、1965年から運輸省、日本財団、海洋政策研究財団、笹川平和財団(海洋政策研究所)と続けてきた社会第一線の勤務に区切りをつける。

振り返って見ると、日本財団時代から現在まで20余年にわたって集中して取り組んできた海洋のガバナンスの取組は、そこからいろいろなことを学びつつ新しいものを創造するやりがいのあるワークだった。海洋のため、そして国際社会やわが国のためにもそれなりに貢献できたのではないかと思う。

そのプロセスを振り返ってみるといろいろなことを思い出す。
そのうち特に強く心に残っているものをの3つ挙げると次のとおり。

@ Global Ocean Forum(GOF、世界海洋フォーラム)の結成
海洋ガバナンスの政策基盤である「アジェンダ21第17章」(1992年)に定められた海洋の行動計画を2002年のWSSDにおいても継続発展させるために2001年12月に世界からパリに集まった海洋に関する志を同じくする人々とGlobal Ocean Forum(GOF)を結成し、以後このGOFを協働の基盤として海洋や持続可能な開発に関する国際会議等において海洋に関する取り組みを積極的にリードして活動することができた、

A 国連経済社会理事会のNGO協議資格の取得
地球表面の7割をカバーする海洋の問題は、国連海洋法条約、持続可能な開発のための行動計画等の採択に見られるように、国際的な取り組みが各国の取り組みをリードしており、国連の果たす役割が大きい。国連が海洋に関して主催又は、企画する会議は多く、それらへの積極的参画とそのフォローアップは、海洋シンクタンク活動には欠かせない。そこで海洋政策研究財団(当時)は2008年に国連経済社会理事会のNGO協議資格を取得(本ブログ2008年6月30日参照)し、国際的な場で海洋ガバナンスに関する様々な検討に参画してきた、

B 海洋基本法の制定
国連海洋法条約批准(1996年)後も縦割り機能別の取組みから抜け出せないでいた我が国の状況を憂慮し、「21世紀の海洋政策への提言」(2002,2005)により総合的な海洋政策の取組みを提言し、政治家・有識者等と協働して議員立法で海洋基本法を制定し、制定後もそれを活かして海洋のガバナンスの推進に取り組んできた。

そこで目下、これらの日本財団時代から現在に至るまでの海洋のガバナンスに関する取組について6月末の退職時までに整理して、一冊の本にまとめて出版することを目標にして懸命に取り組んでいるところである。

本のタイトルは、まだ確定していないが、『海に魅せられて〜「人類の共同財産」海洋のガバナンスに取り組んで20余年〜』(仮題)はどうかと思っている。

このように今年は「モットー」より先に「海洋ガバナンスの取組みを整理して本を出版」という「目標」が先に出てきてしまった。

一方、今年の「モットー」については、2019年も2018年に「モットー」を考えた時と状況は基本的に変わっていない。即ち、今年の前半は、上に述べたようにこれまでの海洋ガバナンスの取組みを整理して本にとりまとめることに集中し、後半には、家内が望んでいるように、人生の残された時間を二人で楽しく過ごす生活に足を踏み入れる。

そう考えて、今年も2018年と同じく、「成果をまとめる」と「ゆったり楽しむ」を「モットー」とすることとした。
Posted by 寺島紘士 at 21:06
COP 24、「パリ協定」実施のため全ての国を対象とした統一的なルール採択 [2019年01月14日(Mon)]
昨年12月にポーランドのカトヴィツェで開かれた気候変動枠組み条約第24回締約国会議(UNFCCC-COP24)が、「パリ協定」の実施ルールを採択して閉幕したことは年末の本ブログ(2018年12月29日)で簡単に取り上げたが、そこで何が決まったかをもう少し調べてみた。

「パリ協定」は、温室効果ガス排出量の「削減」、温暖化の影響への「適応」、途上国への「資金・技術の支援」等の総合的なの温暖化対策に関する国際協定であり、その実施のために必要なルールも多岐にわたる。

「パリ協定」の2020年からの本格運用に向けてマラケシュのCOP 22からその実施ルールについて議論してきたが、先進国と途上国の対立などで交渉は難航していた。それが今回会期を1日延長して実施ルールの採択にこぎつけたのは中々の成果である。

COP24で採択されたルールブックは、140頁にも及ぶ膨大なものだが、そのごくあらあらの概要は下の環境省地球環境局「COP24の結果について」に掲載されているので関心のある方はそちらもご覧いただきたい。
https://www.env.go.jp/council/06earth/cp05_mat04.pdf#search=%27cop24+%E7%B5%90%E6%9E%9C%27 参照

なお、COP24に関する日本政府代表団の「概要と評価」文書(下記参照)及び環境省の上記文書は、「実施ルール(the rules for implementation)」を「実施指針」と訳しているが、国際的には「ルール」として採択されたものの邦訳が「指針」であることに注意喚起をしておきたい。
https://www.env.go.jp/press/106279.html 参照

COP24でのもう一つの論点は、各国が提出している現状の削減目標では、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑え、1.5℃に抑える努力を追求する」を達成できないので、「タラノア対話」の成果に呼応して各国が削減目標の強化に取り組むことをCOP24の決定にどのように盛り込むかだった。

COP24直前には、世界は3℃の平均気温上昇に向かっており、1.5℃に抑えるためにはさらなる対策の強化が必要というIPCCの1.5℃特別報告書が発表されており、COP24でも「高い野心同盟」諸国や島嶼国、後発開発途上国のグループが声明を発表して対策強化を訴え、これをNGOグループも後押ししたが、他方では先進国の一部や中国・インドなどを含むグループが削減目標強化につながる文言に反対したので、交渉は難航した。

最終的に、COP24決定には、「タラノア対話の成果を考慮して、各国は国別目標(NDC)を準備する」ことが盛り込まれた。

なお、COP24決定ではこれに加えて、IPCCの1.5℃特別報告書の内容を今後の議論に活かすこと、並びに2019年9月の国連事務総長主催の気候サミットで各国は取り組みの強化を提示することも呼びかけており、さらに、2020年までに2030年に向けた国別目標を再提出することが既に2015年に決定されていることも併せて考えれば、各国は2020年に国別目標を再提出する際には、削減目標の強化が求められている、ということになるだろう。

COP24の結果及び成果については、いろいろな見方があるが、次の資料は参考になると思われるので関心のある方には一読をお奨めしたい。

(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)の「カトヴィチェ気候変動会議のサマリー」
https://www.iges.or.jp/files/research/climate-energy/PDF/cop24/enb/enb12747j.pdf

WWFジャパンの「【動画あり】COP24「パリ協定のルール作り」に成功!」
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/3830.html 
Posted by 寺島紘士 at 02:17
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