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2019年03月13日

カルロスゴーン氏の保釈時の作業服変装について思うこと

日産元会長カルロスゴーン氏の拘置所からの釈放映像からの日本マスコミの報道を見て、ある種の偏見を感じました。なんで、弁護団は名声を極めた人物に、労働者階級、ブルーワーカーの象徴の作業着で変装させたのか、と。

私は、現場によっては、あの青い蛍光反射板のついた作業着を着用することがありました。
JR東日本の現場では、駅構内、危なくない、列車が通過しない場所でも、作業関係者は着用を義務つかれていました。
何故かと云うと、線路構内では、列車運行者の目に付きやすいと云う正当な理由と、工事作業者と一般通行人を識別する為なのですが・・・

sagyogi.jpg朝日新聞の天声人語によると、ゴーン氏の地元、フランスではナポレオン三世が5年間幽閉された牢獄から脱出するさい石工の作業服に身を包み、監視の目を欺いたと云う逸話があり、弁護団はこれを模倣したのではと云う記事がありました。
まさか、弁護団はこれを模倣した訳ではなく、拘置所前にたむろする記者団のカメラを誤魔化す意図だったのでしよう。
それにしても、わざわざ作業服を着せ、軽トラックまで用意するとは。

日本のエリート階級に属する弁護団は、普通の一般社会人はスーツ、労働者階級・ブルーワーカー・低所得者層は作業服と云う思い込み、偏見があったのではないかと推察されます。
私は、現役時代建設業界に属していました。
通勤は普通のスーツですが、現場では設計者・現場監督の立場ですが、当然一般作業員と同じ作業服です。汚れが目立たなく、作業し易いからです。当然ヘルメット、安全帯着用です。

都心の現場でお昼休みに外で食する際も、そのままの作業服です。
普通の定食屋や、ファストフードでは問題ないのですが、少し値のはるランチレストランでは、OLやホワイトカラーサラリーマンの目を意識します。なんで作業服を着た、ガテン系の人がこんな所で食事をしているのか、と云う視線です。
作業服を着た人間は、公園のベンチで、コンビニの弁当を食べるのが普通と云う日本人の意識があります。日本には、階級社会はない、と云われていますが、意識のなかでは、ホワイトカラーは高学歴、高収入、作業着を着ている人たちは社会の低下層、高校中退の低収入の人達と思っている人たちが多くいます。


テレビのコーヒーのCMで、「世界は誰かの仕事でできている」と云って、建設作業員らしき人物や、タクシー運転手が缶コーヒーを飲む姿があります。CMプランナーと云うクリエイティブな仕事をしている人が考え出したCMなんでしよう。
確かに、「俺たちは作業服を着て、社会インフラの下支えをしているけど、ものづくりのプライドがある」と云うメッセージは伝わってきます。
缶コーヒー、特にBOSSは、建設現場で一番好まれているコーヒー飲料なのは間違いありません。

作業服を着ている人たちは全て、ガテン系、下請け、低所得者層と云うのは違います。
東京オリンピックを控えて、関東首都圏の建設労働者の賃金は今、1日8時間労働で3万円に達しており、低所得者では絶対ありません。
今、一番低下層、低所得者は、中小大企業で働く、契約社員ホワイトカラーなんです。

もうじき、4月新入社員が入ってきます。
私は一時期、4月は新入社員教育を担当していました。
私の勤める会社は、一般の日本人は名前も知りませんが、建設業界では誰でもが知っている、日本の大型ビル・工場に必要な「自動制御機器」を造る世界の大メーカーの現場工事担当専門会社でした。
バブル前には、週刊誌で給与・ボーナスがトップの会社と紹介されたこともあり、大学・専門学校の電気・建築の学生の間では人気企業でした。彼らのイメージする、採用ポスターのイメージを打ち砕き、仕事とはどういうものかと、叩き込むのが私の役目でした。

彼らのイメージは、超一流大学を卒業し、日本のトップ企業に入ると、ポスターのイメージ、作業着の下はワイシャツ・ネクタイ、ヘルメットを被って、大型ビルの前で図面を広げ、見上げる姿。或いはずらった並んだ大型スクリーンと沢山のボタン、計器が並ぶコントロールパネルの前でパソコンを操作する姿なのです。それは、ウソではありません。将来何年後に経験・知識を積んでその部署へ行くとそうなります。
しかし、その前にやらなくてはならないこと、覚えなくてはならないことが山ほどあります。
例え、国立大学大学院の院卒でも経験しなくてはなりません。
実際の仕事、現場に入って三次下請けの職人さんと一緒働き、学ぶことなのです。

彼らの一番のショックは三か月の社内研修後に始まります。
ほとんどの内勤以外の新入社員は一番重要な工事部門を最低一年経験させます。
初日、集まった数人グルーブの若者に、作業着とヘルメットと安全靴を支給します。
会社を出る前に全員に着替えさせ、電車で現場に向かいます。
「エェーこの格好で電車に乗るのですか」と云う新入社員は必ずいます。
「当たり前だろ、これが俺たちのユニフォームだ」
作業服が低下層、低学歴、低所得者と云う概念を打ち砕くのが最初の仕事でした。

カルロスゴーン氏に作業服を着させ、カメラマンの目を誤魔化そうとした、日本のエリート層弁護団は間違っていました。
「世界は、誰かの仕事でできている」
「日産を立て直したのは、トップの貴方だけではなく、全従業員の努力、忍耐、我慢があったからこそ」なんです。

posted by 西沢 at 07:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会
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