プラットフォーム [2016年12月05日(Mon)]
最近、経営戦略の用語で「プラットフォーム」という言葉をよく耳にします。しかし、この「プラットフォーム」という言葉、なんとなくイメージはわくのですが、「なにか具体的なわかりやすい事例はないものかな。」と常々思っていました。
そのような時、いつものように本屋で油を売っていると、瀧本哲史著「戦略がすべて」(新潮新書、2015年)という本に出会い、店主にはたきでたたかれながら立ち読みしていると、この「プラットフォーム」について書かれている部分がありました。読み進めていくうちに、思わず「なるへそ!へそなる!!」と膝を打つとともに、目は充血し耳が難聴になるだけではなく、鼻がつまり口呼吸せざるを得ないほどの衝撃を受けました。 この本では、「プラットフォーム」について「AKB48」を例にとり説明されています。以下、「戦略がすべて」に書かれている内容をまとめてみました。 「人」そのものを商品として販売し、その商品の個性や特異性で勝負するビジネス、いわゆる「タレントビジネス」には3つの特徴的な壁があり、それらは、「成功の不確実性」、「稼働率の限界」、「交渉主導権の逆転」とされています。 まず、「成功の不確実性」ですが、これは、高いレベルの才能を持つ人材をスカウトし、お金と時間をかけて育成したところで、そのタレントが売れる保証は全くないということです。 次に、「稼働率の限界」ですが、これは、タレントも生身の人間ですので、稼働できる時間、こなせる仕事量には限界があるということです。いくらニーズがあっても、起きている時間しか稼働させることはできないという物理的な限界があるのです。 最後に、「交渉主導権の逆転」ですが、これは、売れれば売れるほど契約の主導権や交渉力がタレント側に移るということです。いったん上がったギャラはそう簡単に下げることはできないということです。 以上の複数の問題を一挙に解決するのが、「AKB48」という「プラットフォーム」なのです。タレントを個別に作って売り出すのではなく、複数のタレントを包括する「プラットフォーム」をつくり、その「プラットフォーム」ごとまとめて売りだすことにより、問題を解決することができるのです。 つまり、複数のタレントで展開していけば、大数の法則(数を増やすとだいたい平均の成功率になっていく)に従い、そのうちの誰かが一定の確率に従い売れることになり、売れたタレントを使って、他の人材にかけた投資を含めた全費用を回収することができるのです。さらに、「AKB48」には、「総選挙」というスキームがあるため、わざわざ市場のニーズを分析して戦略を立てなくても、消費者が自ずから好みを示してくれるのです。(「成功の不確実性」解決) また、仕事のオファーは、個々のタレントではなく「AKB48」に来るものも少なくなく、個々のメンバーを問わない場合は、「セカンドクラス」のメンバーの稼働によって、「トップクラス」のタレントの稼働を抑え、より稼げる仕事に集中させることができるのです。(「稼働率の限界」解決) さらに、「AKB48」というグループのマーケティング能力に個々のタレントは依存しているため、人気が出た後も、タレントの独立や報酬のインフレーションリスクは大幅に削減されます。「AKB48」というグループの主導権は運営者側にあるからです。(「交渉主導権の逆転」解決) つまり、「プラットフォーム」戦略とは、あらゆる「事業者」にビジネスを行うプラットフォーム(=場)を提供することによりチャンスを与え、その場における取引量が増えると大数の法則により様々なリスクが軽減され、その場を提供する「運営者」に利益が落ちるとともに、「顧客」にも上質な「成果」を届けることが可能となるように設計されたものなのです。 「AKB48」の場合では、「事業者」はメンバーの所属事務所やレコード会社、「運営者」は秋元康氏ら、「顧客」はファン、「成果」はコンテンツとなり、「事業者」・「運営者」・「顧客」が共に利益をあげるWin・Win・Win(=Win3)関係となるのです。 さすが、秋元康氏、すばらしい仕組みですね。垂水区社協も「地域福祉のプラットフォーム」を標榜しておりますが、このように複数の分野にわたる課題を一挙に解決できる夢のような仕組みをどうすればつくることができるのか、今後、戦略を練っていきたいと考えておりますので、また、みなさまにはご支援のほどよろしくお願いいたします。 ところで、夢といえば、先日、久しぶりに妙な夢を見ましたので、その内容をお話することで、このブログも終わりとさせていただきたいと思います。長々とお付き合いいただきありがとうございました。 「おう、おう、おう!誰の許可で、がちゃがちゃやってんねん!」 「ここは天下の往来よ!あなたたちの許可をもらう必要はないわ!」 「このあま、生意気な!やろうども、たたんじまえ!」 「君たち、待ちたまえ。」 「あっ、部長!」 「このさんぴん!ひっこんでろ!かまわねえ、こいつも一緒にやっちまえ!」 「ビシッ、バシッ、ドバッ!」 「なっ、なかなかやるやないか!今日はこれぐらいにしといたろ!やろうども、ひけー!」 「お怪我はありませんか。」 「部長、あぶないところをありがとうございました。」 「礼にはおよびません。あたりまえのことをしたまでです。」 |