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民主主義の原点 [2012年05月03日(Thu)]
 『社会契約論』(ルソー、岩波文庫、239頁、720円、1954年)を読んだ。

 この有名なこの本は、イギリス労働党の学者キングスレイ・マーチンによれば「人間の精神に最も大きな影響を与えた本」の三冊のうちの一冊にあげられている。他の2冊は『聖書』『資本論』(本書の「はしがき」)である。


 本書は、フランス革命の理論的な基礎になっていたと評価されるものであり、「革命的民主主義の国家理論」(河野健二、「解説」)の本であり、その理論構成は主権論としての「一般意志」と、国家構成としての「社会契約」論によって成りたっている。なお、本書は、日本においても明治時代に中江兆民によって紹介されており、日本人にも大きな精神的影響力を与えた。

 社会契約の本質をルソー自身はつぎのように規定する。「われわれ各々は、身体とすべての力を共同のものとして一般意志の最高の指導の下におく。そしてわれわれは各構成員を全体の不可分の一部として、ひとまとめとして受け取るのだ。」

 この「ひとまとめ」についてルソーはつぎの解説をする。「この結合行為は、直ちに、各契約者の特殊な自己に代わって、一つの精神的で集合的な団体をつくり出す。その団体は集会における投票者と同数の構成員からなる。それは、この同じ行為から、その統一、その共同の自我、その生命および意志を受け取る。このように、すべての人々の結合によって形成されるこの公的な人格は、かつては都市国家という名前をもっていたが、今では共和国または政治体という名前をもっている。それは、受動的には、構成員から国家と呼ばれ、能動的には主権者、同種のものと比べるときは国とよばれる。構成員についていえば集合的には人民という名を持つが、個々には、主権に参加するものとしては市民、国家に服従するものとしては臣民とよばれる。」

 この市民にこそ国家権力形成の原理である「一般意志」の根源があるとする「革命的民主主義論」が何と1700年代半ばに書かれたのだ。日本では江戸時代の半ばの時期であり、当然にも当時のフランスでも受け入れられるものではなかった。

 当時のパリ高等法院からは逮捕状がだされ、その本はジュネーヴ市会によって焚書されている。

 だが、歴史はルソーを支持する。彼の死後11年後にフランス革命が起き、1790年12月革命議会は「『エミール』と『社会契約論』の著者」を記念して、彼の銅像を建てることを決議し、さらに1794年4月の国民公会はルソーの遺骸を「偉人の殿堂」のパンテオンに移葬する決定をするのだ。

 さて、このルソーの「社会契約論」はホッボスの「功利論」と並んだ政治哲学の2大源流をなしている。サンデルの政治哲学においても、そのベースに扱われている。

 私たちは、現在の日本政治を見るときに、この「一般意志」がいかなるものかという確認作業からしなければならないのではないか。私たちは、あまりに政治技術や政局におぼれており、民主主義の根本を忘れ去っているのではないだろうか。考えさせられる古典である。
Posted by 田中尚輝 at 04:53
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