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日本政治に「哲学」が求められる。サンデルを読む [2012年03月17日(Sat)]
『民主政の不満 公共哲学を求めるアメリカ(上)』(マイケル・J・サンデル、勁草書房、226頁、2600円、2010年)

『民主政の不満 公共哲学を求めるアメリカ(下)』(マイケル・J・サンデル、勁草書房、326頁、3000円、2011年)
の2冊を読んだ。

 サンデルといえば「ハ−バード白熱教室」において名をはせた公共哲学者であるが、本書はきわめて学究的なものであり、憲法と現実政治をフォローしながら、公共哲学がどのようになっているのかを分精している。そして、結論としていえば、アメリカは「公共哲学」を求めている、ということだ。

 久しぶりに知的な刺激を受ける本だった。

 上巻は副題に「手続き的共和国の憲法」、下巻は「公共性の政治哲学」とあり、上巻では憲法を通じて公共哲学の変遷を見、下巻は現実の政治を見ながら、公共哲学がどのようになっているのかについて学究的にフォローしている。

 上巻では、奴隷制と賃金労働とどちらが人間的なのか、という議論がある。奴隷制は奴隷の生涯の生活を保障しているが、賃金労働者は、それが補償されていないではないか、という対立である。

 このことは、現実の日本を見るときに連日起こっている孤立死、電気と水道を着られ、餓死しているというような報道を見るときに、この対立は馬鹿馬鹿しいものではなく、「公共哲学」を考えるときの重要なポイントとなることを理解できる。

 下巻では、時代を画した大統領、あるいはその候補者の主張を丹念に分析している。たとえば、私たちはフランクリン・ルーズベルト大統領と言えば、ニューディール政策の推進者であり、ケインズ主義者そのものであったという認識をしている。

 ところが実像は頑固な「財政均衡論」者であった。実際に2人は一緒に会っているのだが、ルーズベルトのケインズ評価は「彼は数字ばかりを並べる」という低い評価であり、他方においてケインズの方は「大統領はもうすこし頭がよいと思っていたがそうではなかった」ともらしている。

 そして、政治家は哲学を簡単に変えるということだ。

 読みながら、日本こそ「公共哲学」を求めている、と感じた。

 小泉総理大臣は哲学を持っており、功利主義者であり、国家の個人生活への関与を排除し、自由な世界で個人を競争させようとした。その結果、国民の分断を実現した。200万円以下の低収入者を1000万人も生み出したのだ。

 その後の総理大臣は6人目だが、その「公共哲学」はどうなっていたのか。唯一、哲学らしいものを持っていたようなのは鳩山内閣だけであり「新しい公共」を提起している。

 他の総理大臣はどこに公共哲学があるのかわからない。その上残念なのは、せっかく自民党政権から民主党政権に変わったものの「公共哲学」に差がないということだ。


 現実の野田内閣を見る限り、自民党内閣と違う点を探すことさえ難しくなっている。

 日本の政治に「哲学」の登場が求められる。それがなければ羅針盤なき船のようなものであって一体どこにむかったらいいかわからないことになる。

 こういう作業を学者や政治家だけに求めずに市民が参画していかなければならないのではないか。サンデルのこの本の読書感である。
Posted by 田中尚輝 at 07:05
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