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「正義」を実現する下部構造とは? [2012年02月12日(Sun)]
 『正義論』の著者ジョン・ロールズが、正義、公正、共同善などの人間社会の基本的な構成について迫った政治哲学者の論議を丁寧に追った講義を本にまとめている。

 T巻に登場したのは、ホッブス、ロック、ヒューム、ルソー、U巻にはミル、マルクスが登場する。

 『政治哲学史講義 U』(ジョン・ロールズ、岩波書店、3600円、852頁〈TU巻連続頁数〉、2011年)を読み終えた。


 本書は、政治哲学の視線から社会契約論、功利主義に基づく歴史的な理論家の主張を分析している。マルクスだけが、そうした理論家への批判者として登場する。

 マルクスの場合には、正義、公正、共同善などは社会の「上部構造」であって、それを決定付けているのは「下部構造」=経済的諸関係=階級関係にあるとするからだ。

 資本主義は資本家が労働者を搾取する機構であり、「不正義」「不公正」を基礎としているのか?マルクスはそうはいっていない。資本主義はマルクスが目標とした「生産者の自由な連合」としての共産主義を実現するための過渡期として必要だった。

 資本主義は他方において上部構造としての政治体制に「民主主義」を実現する。市場と自由な商品流通が民主主義を呼び込むのである。

 私は、若い頃にマルクスボーイであったが、当時のマルクス主義の理解は下部構造決定論の要素が極めて強かった。だから、私の反省は上部構造と下部構造の相互関係を重視することに向けられる。

 このような観点からジョン・ロールズの理論的整理は刺激になる。
Posted by 田中尚輝 at 23:22
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