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中谷巌の転向 [2011年11月04日(Fri)]
 昨日(3日)は夕刻に盛岡に着き、市民協の岩手県対策会議。本日(4日)は東野市を視察し、午後5時に宮城県庁へ。本日のブログは本の感想。

 資本主義が苦悶している。ギリシャを発信源とするユーロ危機は遠いヨーロッパのことではなく、グローバル化した全世界の金融関係を揺るがしている。日本にも円高として波が押し寄せ、輸出産業の多くが赤字決算に追い込まれている。パナソニックもソニーも大赤字になっている。自動車産業も同じ結果になるだろう。

 こうした大企業の経営の悪化は中小企業を圧迫する。そして、6500万人の勤労者の労働条件の悪化につながっていく。こうして税収が減り、国民生活がますます圧迫されることになる。

 そもそも現在の危機のの直接的な契機はリーマンショックに端を発しているが、そのときに問題になった「サブプライムローン」は、そもそも住宅を所有できないレベルの人々に高い利子で融資をし、住宅を提供したことがポイントだ。いろいろと粉飾しても、最後は貸付資金を回収できなくなり、アメリカ系証券会社「リーマン・ブラザー」の倒産にいたった。

 この過程で本質的な問題は、お金をお金で売買するゲームが破綻したと言うことだ。サブプライムローンを細かく切り刻み、他の優良な金融商品に紛れ込ませ、売り続けたのだ。

 また、別の事項に思われるが、東日本大震災により、資本主義の苦悶がますます顕在化した。経済社会の根幹であるエネルギーを「トイレの無いマンション」である原子力に頼るのではなく、自然エネルギーをベースに転換せざるを得なくしている。つまり、人間と自然の共生こそが、人類の生きる道であり、したがってその範囲での経済や生活に再編・縮小していかなければならないということだ。

 こうして破壊しすぎ、また、放置していた自然にまともに向き合うことにならざるをえない。そして、この流れは農業の再生へと向かっていく。

 『資本主義はなぜ 自壊したのか 日本再生への提言』(中谷巌、集英社文庫、446頁、819円)は、中谷の自己批判、「転向」の書である。中谷はグローバル経済を推進し、構造改革を進める小泉路線の推進者であった。その結果、日本社会に起こした「格差」や矛盾の顕在化に驚き「転向」したのだ。もともとは2008年に発刊されたものであるが、この度文庫本として出版された。内容はきわめて経済の本質を突くものであり、一読をお勧めする。

 学者と官僚は自己批判しないものだが、良心的な中谷は率直に自己の不明をわびており、その理論的な欠陥について分析しているのが本書である。竹中平蔵のように今だ反省しない人間もいるのだが。

 中谷の反省の理論構成の骨格をしめているのが、経済人類学の創始者の1人であるカール・ポイントランニーの主張である。ポランニーは、「資本主義とは個人を孤立させ、社会を分断させる悪魔の碾き臼である」と説く。


 その理由は、「労働」「土地」「貨幣」という本来は市場経済で流通させてはならないものを流通させてしまったことにある、というのだ。

 リーマンショックになるのは、この貨幣の部分を「流通」させるという≪詐欺的行為≫がベースにあるのだ。

 資本主義を超えるものとして期待された社会主義が現実の社会主義国の失敗が現実的になったのが1980年代末からだが、それからグロ−バル主義が跋扈することになった。

 資本主義の暴走を許してはならない。そのためには、「新しい哲学」を樹立する必要がある。
今年はバタバタしていたので、来年は時間を作って本を書こうかな、と思っている。
Posted by 田中尚輝 at 18:07
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http://blog.canpan.info/tanaka-naoki/archive/659
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コメント
資本主義は人の持つ能力を無限に引き出す反面で
人の欲も際限なく刺激し続ける魔性の原理ですね
多国籍大企業のみを利するであろうTPPが円高の情勢である
にも関わらず推進されていっているのをみると
小泉構造改革と同じ弱者切捨ての新自由主義が
権力と結びついて猛威を振るっている感が禁じ得ません。
人の欲は際限がなく、国境をすら越えてしまう。
人間存在をすら含めてあらゆる価値を市場原理の下で
貨幣価値に変換してしまう資本主義の怪物の如き蠢き。
このような資本主義と新自由主義・徹底した個人主義の波に対して
社会民主主義に基づく共同体主義・自治の思想はどこまで抗えるのか。
「左」で片付けられてしまうようなインテリの言葉遊びではなく、
時には権力を利用してみせて取り込んでしまうくらいの
したたかさを持った強靭な実践知が必要です。
そしてNPOは有償性の論理にNOを突きつけ
市場原理の支配から、地域自治へ回帰する際の主体となりえます。
個人的には地域通貨にも一時期注目していたのですが
やはり地域自治はエネルギー等の生活圏全体を捉えて構想
されないと成り立たないのだろうと強く感じます。
既存の権力・資本の原理が入り込む隙間がある限り、そこから
切り崩されてしまう。確固たる哲学が無いと、気づかぬままに
回収されてしまう。現状のままでは敗北を約束された道でしょう。
それゆえに、新たな価値に根ざした新たな哲学・思想を構築し、共有し、
連帯して自立的生活圏を作っていかねばなりません。

御著作、楽しみにしています。
Posted by:Redwing  at 2011年11月05日(Sat) 01:12