紹介『原発のウソ』(小出裕章) [2011年08月13日(Sat)]
4月20日に菅直人首相に会ったときに、福島原子力発電所の第3号炉に使用済み核燃料が無造作に200本もおいているのをみて、驚くと共に怒っていた。
原発を推進する経済産業省、電力会社とそれにつながる大企業が密接な関係を持っているが、これをつなげている人間が東大工学部の教授とその卒業生だ。彼らが、経済産業省にも東電にも大企業にも配置されているのだ。 これに対抗しているのが、京都大学工学部・原子炉実験所。その助教の小出裕章が『原発のウソ』(扶桑社新書、740円、182頁、2011年6月)を発行した。どんどん売れているようなので、これまで冷や飯を食わされてきた小出に印税がたくさん入ると私もうれしい。 人生はどこで逆転劇が用意されているか分からない。今後東大の原発推進派だった教授連は地獄を見ることになるだろう。それだけのことをしてきたのだから仕方がない。 私は本書を読んで謎が解けたのは、電力会社がなぜ原発にこれだけこだわるのかがわかったことだ。独占企業である電力会社の利益は「レートベース」(資産)に何パーセントかの利益率をかけて料金設定をすればよいという制度になっているのだ。 だから、電力会社は一般の企業のように商品やサービスをたくさん売ればもうかるのではなく、「資産」を増やせば増やすほど利益が上がるのだ。それに寄与しているのが原発だ。原発は一基あたり、5000億円から6000億円もする。だから1基って利益率を3%とすれば150億円が儲かるということになるのだ。 われわれ市民の政策論としては、発電と送電を切り離して別会社にし、こんな無駄なことをさせないことだ。 こんなことだったのか!!。このカラクリから来る有り余る利益によって、電力会社はマスコミには膨大な広告出稿をし、担当記者を飲ませ食わせし、東大工学部には寄付をしてきたのだ。 まるで、トイレのないマンションをつくるのと同じような原発からは一切手を引いた方が良い。 あと原発の恐ろしさについては、ぜひ本書を手にとってお読みいただきたい。本代の1割が著者の手元にはいるから、これまでの冷や飯にも関わらず、原発に警鐘を鳴らし続けた小出に対して本を買って感謝の気持を表そう。 |
Posted by
田中尚輝
at 14:06