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紹介『人間と国家』(坂本義和) [2011年07月31日(Sun)]
 『人間と国家 ある政治学者の回想(上・下)』(坂本義和、岩波新書、いずれも800円、220頁と234頁,2011年 7月発刊)を読んだ。

 坂本は高名な国際政治学者だが、国際平和の推進、核をなくす、日本の戦争責任とアジアでの役割、沖縄からの米軍撤退などについて、その折々に積極的な発言をし、かつ、知識人のまとめ役になって政府や市民に広くアピールを続けた人物である。その提言は単なる「反対論」ではなく、オールタナティブ(もう一つの選択)の観点から理想論を踏まえた現実的政策としての特徴を持っていた。

坂本は、本書の結論部分(第16章 冷戦終焉と二一世紀)の中で「市民社会が歴史を動かす」という項において次のように述べている。

 「三〇年間、東西冷戦についての私の研究と政治的関心の中心は、米ソという超大国間の権力政治と、自由民主主義とマルクス・レーニン主義という公式イデオロギーとの二重の対立の根拠が何であり、それが途上国を含む世界の政治や政治思想史にとってどういう意味をもつかでした。しかし、冷戦終結の過程で私に明確になってきたことは、この二つの他に、あるいはそれ以上の力をもって、歴史を形成・変革する主体として、国境を超えて形成される『市民社会』があるということでした。」

 私は国際政治には疎いのだが、日本政治の分野で言うとこの「市民社会」の台頭がNPOによってなされてきているのである。民主党にしろ自民党にしろこの「市民社会」を代表する勢力との連携を行わない限り、政権の維持や運営はできないのだ。そういう時代になってきたのだ。

 私は本書を読んで、日本は防衛費を5兆円つかっているが、そのうち1兆円程度を坂本が提唱している「平和研究所」につぎ込んだらいいと思う。そのほうが余程日本と世界の平和の安定を追及することができる。
 坂本の世界を駆け巡り、世界の研究者を中心とした影響力のある人物との広い交流歴を見ると、こうしたことを通じて平和への道が切り開かれことを理解できる。
 朝鮮の平和的な統一や対中国政策などについては直接に政治が乗り出すよりも、研究者やオピニオンリーダーが前に出たほうが良い。そうしない限り、沖縄からのアメリカ軍の撤退はありえないのだ。この問題は日本政府とアメリカ政府の関係だけは一切解決の道はないのだ。

 日本が果たした第二次大戦での侵略の反省、また、2度の被爆(ヒロシマ、ナガサキ)と三度目の被爆(福島の原子力発電所)をした国の責任だろう。
 菅首相もこうしたことにお金をつかえば人気がでるだけではなく、国際政治に責任を持った首相として歴史に残るだろう。

 なんとも残念なのは、日本の理解を得るために研究者の論文を英訳して岩波書店のホームページに掲載していたのだが、それがボランティアの英訳者が続かなくなり、廃止したというのだ。この程度のことは少ないお金でできるのだから、ナントカして欲しいものだ。

 さて、私の個人的な観点から。

 本書で登場してくる岩波書店の安江良介さん(『世界』編集長を経て、社長)はすでに故人だが、私は個人的に学生時代から存じており、大変にお世話になった人物だ。その彼が度々登場してくる(朝鮮問題、沖縄問題など)ので楽しく読ませてもらった。

 安江さんが社長をしていたおかげで、私の実名の単書の処女出版は岩波書店から出版された(『高齢化時代のボランティア』1994年)。

 その後、岩波書店から2冊出版する(『ボランティアの時代 NPOが社会を変える』(1998)、『高齢者NPOが社会を変える』安立清史との共著、2000)が、この編集を担当してくれたのが坂本純子さんで、坂本のご令嬢だ。本書にも数度小さな頃の純子さんが登場してくる。


 日本の今後のあり方を兼ねる人にとって、政治学者として真剣に国家に向かい合ってきた坂本の生き方と理論は参考になる。ご一読されたらどうだろう。
Posted by 田中尚輝 at 15:41
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