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「準市場」と「バウチャー」  [2011年02月12日(Sat)]
「準市場」という概念をご存知だろうか。私は時々これを話題にするのだが、意外に知っている人は少ない。医療や介護保険は準市場だから、日常生活では接点があるのだが、社会学的な概念として頭に入っていない人が多いのだ。

 だが、この概念は、今後の日本社会を改革するに当たって重大な役割を果たすことになるだろう。だから、政治家や行政マン、NPO等の市民活動リーダーは理解を深めておくことが必要だ。

 さて、名古屋大学大学院教授の後房雄さんから、『準市場 もう一つの見えざる手』(ジュリアン・ルグラン著、後房雄訳法律文化社、2500円=今回から本の値段を入れる)をいただいた。

 著者のルグランは公共政策の学者であるだけではなく、2003年〜05年までブレア首相の上席政策顧問として官邸に入っていたり実践家でもある。

 まず、彼は準市場の概念規定を次のようにする。「準市場は、顧客を獲得するために競争する独立した複数の供給者が存在するという意味で市場と同じである。しかし、準市場は、少なくとも一つの決定的に重要な点で通常の市場とは異なる。それは通常の市場のように、利用者はモノやサービスを買うために自分自身の資源を持って準市場にくるのではないということである。そうではなく、サービスは国家によって支払われるのであり、しかもバウチャーや、使途が特定された予算や資金提供方式などの形式を通じて、利用者の選択に従って動く資金によって支払われる。」(後教授は準市場=バウチャーという理解でよいとしている。)

 つまり、介護保険という準市場では、要介護度に応じて最高月額36万円程度のバウチャーを与えられ、本人が1割負担でサービスを買うことができるのである。

 つまり、社会主義経済が生産量のコントロールで人間の生活を維持しようとしたが、準市場経済論は消費者である国民に市場論理の中で選択させようというシステムである。

 このシステムは「良い公共サービス」を消費者である国民が育てていくという観点から有効な手段である。
 ルグランは、よい公共サービスを作り上げるには、@サービスの質が高い、Aサービスが効率的、Bアカウンンタビリティ(説明責任)の確保、C利用者のニーズに応答的、D公平に提供という課題を挙げ、準市場がどのように対応できるかについて論じている。


 面白いのは、本書の最終章(第6章)に「政治の選択」と置き、以下のように述べて居ることである。さすが、首相の上席政策顧問であっただけある。

「多くの社会民主主義者は、公共サービスにおける選択と競争モデルに対して本能的に敵意を持っている。そのことの一つの理由は、選択と競争は市場と結びついており、彼らにとっては市場はほとんど専ら否定的な連想を伴っているということである。」そして、また「多くの社会民主主義者が実際に公共セクターで働いているということである。」

 ルグランは、学校教育と医療において具体的に準市場を検証している。日本でも医療・介護の導入されている分野以外に、学校教育と子育ての各種サービス、福祉などの分野において準市場=バウチャーの積極的な導入が検討されるべきだろう。また、これはすでに杉並区が実験したように地方自治体でも導入が可能である。

 行政やNPO等が「新しい公共」を推進しようとするならば、準市場=バウチャーの県とは避けて通れないだろう。絶好のタイミングで本書が出版されたといえる。
Posted by 田中尚輝 at 12:09
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