驚いた渡辺淳一作品『孤舟』 [2010年11月02日(Tue)]
団塊の世代よ、『孤舟』を読もう!!
濃厚な性描写で有名な渡辺淳一が最新作『孤舟』を発表している。読んで驚いたが、この小説の中には一度のセックス場面も出てこない。主人公がデートクラブの女性と何回もデートするが、そこで数回の握手をするだけで終わっている。 主人公は60歳で大手宣伝会社の上席取締役を退任し、退職して、家に居ることになる。そこでの妻と子どもとの軋轢をこれでもか、これでもかというように書いてある。 私のように高齢者問題に取り組んでいるものは、現場を知っており、すこしばかり退屈な本だ。私の関心は、何故、渡辺淳一がこうした小説を書かなければならなかったのか、ということである。 いよいよ大量の団塊世代が企業とはなれる。その後の生活の予測がこの小説には書かれている。家に閉じこもるほど不幸なことはない。また、企業で評価されていた自分という人間も企業を離れると只の人である。 渡辺は、この解決策を書いていない。私はNPOに参加していく以外にないと思うのだが、団塊世代の皆さんはこの本を読んでどう思うだろう。 |
Posted by
田中尚輝
at 08:17