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制度はできた瞬間から古くなる [2010年08月14日(Sat)]
 一般的に法律に基づく制度や普通の制度は作った瞬間から古くなり、その制度の本来の趣旨と異なった方向へ引っ張ってしまうことになる。だから、われわれは、たとえいくら良い制度を作っても、その制度を絶えず手直しする努力を放棄してはならないのだ。

たとえば、NPO法である。われわれは法律を作ってすぐに「NPO/NGO税制制度改革全国連絡会」をつくり、その手直しに入った。毎年少しずつだが改正させてきている。

 ところで介護保険制度だ。この法律は「歩きながら考えよう」ということでスタートとし、その法律に5年に1回の改定ルールを組み込んである。

わたしたちはその改定に向けて2年前から「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」を設立(2008年12月21日)し、よりよい介護保険制度にするための意見交換を行ってきた。
そして、その結果を「提言」として2010年3月31日に発表し、厚生労働省などに提出した。
http://1000man-wa.net

介護保険法の改定スケジュールは、本年中に改定案をつくり、来年の通常国会には提出し、法制度化させるスケジュールであり、改定案づくりの大詰めを迎えてきている。

この時期に奇妙な動きが出てきた。「介護の社会化を進める1万人委員会2010」という団体で、何と介護保険制度の改定は駄目だ、ことに7段階の介護認定には指一本触れさせない、という古色蒼然とした主張をしている。

それも、どうも「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」の活発な動きに対抗しようとしてでてきたようで、厚生労働省の官僚の支援が見え隠れしている。また、呼びかけ人の多くは厚生労働省の何らかの「お世話」になっている人物たちだ。


まず、要支援1,2、要介護1,2,3,4,5という複雑な介護認定基準を誰が喜んでいるというのだろうか。もっとも大切にしなければならない当事者はもとより、その家族やしっかりしたサービスを提供しなければならないケアマネージャーなどの介護事業者からも総スカンである。

他方、この仕組みを喜んでいるのは誰だろう。複雑化すればするほどコンピュータ会社は仕事が増えるだろう。また、認定委員会の権限は医者に集中しており、医者も嬉しいかもしれない。そして、もっともこの制度を維持したいのは厚生労働省の役人たちであろう。なぜなら、この制度を維持することによって、実質的に介護報酬の支払いをコントロールできるからだ。09年4月からの認定調査員のマニュアルの大改悪はその象徴だ(ずっと寝たきりの人は介護の必要なし、頭髪のない人には頭を清潔に保つサービスはなしなど)。

 この認定制度の改悪に対して強硬な申し入れをし、変えさせたのは「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」だった。

 介護認定制度に対して「介護保険を持続・発展させる1000万人の輪」は三段階程度に簡略化し、誰にでも分かりやすい制度に改定すべきだと主張している。サービス提供の一定の幅は将来はケアマネジャーを中心とした関係者の協議で決定していけばよい。(たしかに現状のケアマネジャーの中には質の悪いものがいることは事実であるが、これをチェックする手段はある。)

 何はともあれ、介護保険制度をよりよくするためには不断の改定が必要である。そのことを「問答無用」とする市民団体があるとすれば官僚以上の官僚主義であろう。このような態度で市民団体と思しき体裁をとるのは止めた方がいいだろう。
Posted by 田中尚輝 at 13:43
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