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スゴイ学者「松下圭一」論を読む [2014年12月30日(Tue)]
元 岩波書店社長の大塚信一が編集者として交友のあった見事な松下圭一論を出版してくれた。題して『松下圭一 日本を変える 市民自治と分権の思想』(株式会社トランスビュー、2014年)。

松下はあらゆる意味で革新的な学者で、1950年代末の彼がミルの研究家として20歳代から日本の政治学の場へ踊りだす。

私は直接の面識はないのだが、彼が江田三郎と深い関係があり、60年代全般の構造改革論の理論的ブレーンだった。私は当時、大学に入ったばかりでマルクスボーイとして成長しつつあったから、その著作に親しむことはなかった。

彼は当時法政大学に辞表をだし、江田三郎の勧めで日本社会党機関紙の「社会新報」編集長に就任しようとしていた。単なる学究の徒ではない。したがって、彼は最後まで大学の中に独自の研究室を持たずあちこちを飛び回っていたのだ。そうした社会が彼の研究室であった。

理論的には、旧来左翼の「国家、統治、階級」概念から「市民、自治、都市」を改革概念として対置した。そして、「ナショナル・ミニマム」に対して「シビル・ミニマム」を対置した。

彼は自治体の新しい時代における役割に着目した。それは都市化とともに社会変革の醸成を促す場であり、変革のための砦であった。その理念が彼の造語シビル・ミニマムである。彼の主張によれば、憲法でさえ、自治体は国家のガバナンスの一部をしめるにすぎないが、松下は国家と自治体を対等の立場として位置づけた。松下理論で自治体の改革はずいぶんと進んだ。

自治体改革の三原則五課題として彼があげるのは次の点である。
・自治体改革の三原則
(1)自治体における直接民主主義の実現
(2)市民による自治体管理
(3)中央政府の民主的改造
・自治体改革の5課題
(1)市民の政治的自発性の喚起
(2)市民生活の保障
(3)地域開発の実現
(4)自治権の拡充
(5)自治体機構の民主的能率化

彼は憲法についても憲法学者以上に本格的な視点から問題提起をしている。革新派としての彼の立場は既存の学問体系や学会自体が保守の砦に見えたことだろう。

彼の憲法論は、「官僚内閣制」から「国会内閣制」というものであり、日本国憲法に内在する官僚による統治が「事務次官会議」(民主党政権で一時廃止されたが復活)において実態化されている、と指摘する。閣議は花押を押すだけの儀式の場になっており、官僚がすべて用意している点を指摘している。

私は松下の著作にはなじまなかったが(政治学では篠原一に帰依している)、年末に良い本に出合わせてくれた。著者の大塚には『世界』編集次長時代に、彼の前の社長であった安江良介に引き合わせてもらいある企画を持ち込んだことがあった。

松下圭一という学会からは一匹狼扱いされ、現実政治からは参入を拒まれた巨人に敬服する。

私は、これに併せて全く偶然に宮本太郎の『地域包括ケアシステム』(明石書店)を読んだのだ。私がいま取り組んでいる改正介護保険への対応は自治体と日本社会改造の動きであり、そのことをしっかりとらえていることが成功にむけての立場だと分かった。年末に良い本を読ませてもらった。
Posted by 田中尚輝 at 07:46
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