人類700万年の歴史と傲慢な人間 [2014年05月05日(Mon)]
『人類進化700万年の物語』(チップ・ウォルター、青土社、2014年)
人類進化の700年史が分かるのかと思って読んだら、がっかりだ。 本書は、700万年間の歴史を人類はもつが、わからないところがほとんどだ、ということを 書いている。 既刊の本は、どこそこで〇〇〇万年前の人類の遺骨が発見された。この分析によれば、脳の容量は どれくらい、どのような生活をしていたとみられる、という記述になる。 ところが鳥瞰してみれば、我々に判っていることは人類の歴史を甲子園の広さとすれば、そこに針が10本ほど突き刺さっており、針の周辺10センチメートルくらいに芝が生えている、土がある、虫がいるという程度しかわかっていないのだ。 人類は700万年前に登場して順調に発展してきたのではない。何種類ものホモ・サピエンスと違う人類が登場しては消えて行っている。これらの人類とホモ・サピエンスとの関係性は全く分かっていない。 著者は人類の歴史を12か月に凝縮して示しているが、その1月に登場したサへラントロプス・チヤデンシスやオロリン・トゥゲネンシスは、どこにいってしまったかわからない。 進化、あるいは突然変異して別の人類になったのかもしれないし、自然に適合せずになくなってしまい、別のルートで新人類ができたのかもしれない。 私の小中学生の時の歴史の教科書は北京原人(ホモ・ペキネンンシス)が発見され、それは50万年前のものであって、人類の初期のものだというようなことを教えられた。当時は人類は世界多発型であるとみられていた。しかし、現在の人類(ホモ・サピエンス・サピュンシ)は肌の色は違うがそのDNAは一緒でアフリカの南で発生した、ということまではわかってきた。 3万年前までは生存していたホモ・ネアンデルターレンシスはホモ・サピエンスよりも、背も高く脳の容量も大きかった。そのごく一部がホモ・サピエンスと混ざっているが種としては消えてしまっている。 このように現在の人類は、自らの出生についても知らないのに傲慢になりすぎているのではないか? |
Posted by
田中尚輝
at 10:27