オランダの社会福祉 [2012年11月23日(Fri)]
一昨年、オランダでお目にかかった後藤猛さんが『認知症の人が安楽死する国 オランダの医療・介護・福祉に学ぶ』(雲母書店、246頁、1800円、2012年)を発刊した。
後藤さんは40年間オランダにいる。本書の「おわりに」で、きびしい日本への問いを発している。これに日本人はどのようにこたえるか? ◎日本に対する評価:政治は、行政は、メディアは、国民は、みんなどこに行ったのだろうか。まるで他人事のように扱われている東日本大震災と福島第一原発の事故。福祉行政・環境行政・教育行政・外交、どこでもインフォームド・コンセントが謳われているが謳い文句に終わっている。 ◎医療・介護・福祉の改革には、行政改革もそうだが、日本人一人ひとりの意識改革が必要だ。 日本社会に哲学はあるのか? オランダの哲学は簡単なことで「人間を大切にする」ということだ。日本で大切にされているものは何か? 官僚の権限であり、国会議員の権力か? 以下、本書より。 オランダ人の文明:キリスト教の新教カルビンの思想やオランダの生んだエラスムスやスピノザの思想が、こ母体となっているともいう。難しいことを抜きにしていうと、大国に囲まれた小国の人々が必要とする徹底した合理主義・現実主義・具体主義・思いやり・助け合い・連帯感・団結力・管理主義が、この国の医療や福祉をも大人にしているようだ。 「社会支援法」(2007年制定):特別介護保険法の介護の範囲にあった家事支援の機能を市民の役割としてこれから外し、社会支援の範囲を明確化した。地域の事情などを考察しながら、市民参加による市民のための支援法をつくった。そこには市民の個人的責任を助成する社会保障が明記された。 どうも、厚生労働省のめざしている「生活支援戦略」はオランダの「社会支援法」をモデルにしているようだ。 著者の後藤さんを招いての講演会を企画した。 日時:12月21日 18時〜 場所:港区福祉会館JR(田町駅、都営地下鉄三田駅すぐ) 会費:1000円 終了後・忘年会:会費3000円 私に参加の方はメールをください |
Posted by
田中尚輝
at 18:53