ちょっとの気遣いで、よりよい講座・イベント・活動を [2018年08月21日(Tue)]
こんばんは。スタッフの小橋です。
毎週火曜日は市民活動のお役立ち情報をご紹介しています。 今回は講座やイベント、あるいは活動するときに考えたいことをご紹介します。 2016(平成28)年4月1日から「障害者差別解消法(※)」が施行されています。 ※正式名称「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」 これは、正当な理由なく「障がいがあるから」という理由だけで差別することを禁止するものです。また、障がいがある人から配慮の申し出があったときに、対応側が無理のない範囲で合理的な配慮を行うことも求められています。 この法律の対象は以下の通りです。 「不当な差別」 ・行政機関……してはいけない(義務) ・事業者………してはいけない(義務) 「合理的配慮」 ・行政機関……しなければならない(義務) ・事業者………するように努めなければならない(努力義務) ※対象となる障がい者は、手帳を持っている人に限らず、身体障がい・知的障がい・精神障がい(発達障がいや高次機能障がいを含む)によって、日常的・社会的な生活の中で相当な制限を受けている人のことをいいます。 「不当な差別の禁止」については、役所などの行政機関だけでなく、事業者も対象となります。ここにある「事業者」とは、お店や民間の施設、会社などを指しますが、実は趣味のサークルといった非営利の団体も含まれています。なので、「不当な差別の禁止」はもちろん、「合理的配慮」にもなるべく対応することが求められます。 「なにか難しい対応が必要なのか?」と思う方もいるかもしれません。でも、難しいことは何もいらないんですよ。 例えば、足が不自由で車いすで生活している人が手芸サークルに入りたいと考えていて、見学を希望しているとき、「足に障害があるから」という理由だけで見学を拒否することが「不当な差別」にあたります。足が不自由なことと、手芸をやりたいことには何も関係がありません。 サークル活動を行う場所に段差があるなどがあって難しい場合は、ヘルパーと一緒に来れる時に活動に参加するなど、調整することができます。 また「合理的配慮」について、配慮する側の負担になりすぎない程度というのは、障がいのある人の希望を叶えるために多額のお金が必要だったり、あるいは準備するのにたくさんの時間が必要なときなどです。こうした場合は、別の方法で解決ができないか障がいのある人も交えて一緒に考えることで、合理的な配慮がなされます。 例えば、聴覚障がいがある人から講座を受講したいと申し出があったとします。「聴覚障がいがあるから」という理由で受講を拒否することは「不当な差別」となり、いけないことです。 ではこの場合、主催者側は負担になりすぎない程度にどのような合理的な配慮が求められるのでしょうか? 手話通訳や要約筆記をつけることができればいいかもしれません。ただ、通訳者や要約筆記をお願いするとなると依頼料が必要になりますよね。規模が大きくない団体だと用意するのが難しい場合もあると思います。そういったときは、申し出があった聴覚障がいがある人と話をしながら、どんな配慮があるといいか話をして決めましょう。講座の資料を紙で用意することやノートテイクはできるかもしれませんし、紙とペンがあれば筆談具として準備しておくこともできます。 配慮を考えるときは、その人の障がい特性に合った配慮をしていくことが大切です。配慮する側だけで決めるのではなく、その障がいがある人と話し合いながら決めていけるといいですね。 ちょっとした気遣いから講座やイベント、活動がより充実したものになるかもしれません。 <参考> ○内閣府『障害者差別解消法リーフレット(わかりやすい版)』http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_wakariyasui.html ○内閣府『リーフレット「合理的配慮を知っていますか?」』http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet.html |