国立劇場へのパブリックコメントが職員対応要領に反映されました!(他、情報あり!)
[2016年03月29日(Tue)]
TA-netでは、国立劇場等を総括する独立行政法人日本芸術文化振興会が「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号)第9条に基づいた職員対応要領(案)にたいするパブリックコメントを募集したのに合わせて意見を提出しました。
今回、日本芸術文化振興会の対応要領の改訂版が完成しました。
TA-netからの提言をいくつか反映させていただいており、より良いものにしてくださっています。
国立劇場をはじめとする、日本を代表する文化芸術の発信元となる劇場が、
観劇における情報アクセシビリティにおいて、日本の公共文化施設の先達となります事を
心から期待しております。
(TA-netからの提言は このブログの下部をご参照ください。)
障害者差別解消法に基づく対応要領案に関する意見募集の結果について
http://www.ntj.jac.go.jp/about/public_comment.html
なお、併せてお知らせです。
国立劇場では、4月1日より、インターネットで各館の障害者割引チケットがご購入できるようになりました!
正確には「ネットでは定価でご購入いただいて、チケット引き取り時やご鑑賞時に窓口で割引料金との差額を返金する」という方法なので、最初から割引料金で購入するわけではないことにご注意ください。まず定価で購入して、劇場で差額分の返金手続きをすることををお忘れなく。
国立劇場では、昨年お客様からいただいた「聴覚障害があるので電話ができず、遠方に住んでいるので事前にチケット売場に行くこともできない。ネットで購入できるようにしてほしい」というご要望がきっかけで検討し、今回実現したとのことです。
大変有意義な取り組みです!みなさま、ぜひお出かけください。
詳しくは下記のサイトをご参照ください。
インターネット購入での障害者割引について
http://www.ntj.jac.go.jp/topics/top/27/5242.html
***************************
独立行政法人日本芸術文化振興会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(案)について
NPO法人 シアター・アクセシビリティ・ネットワーク
まず、国立劇場を所管する法人として、全国の公立文化施設の今後の対応の指針となる対応要領を定めたことについて、評価します。
今後、公立文化施設のみならず民間の劇場においても、この法律に基づいた対応について、貴振興会の対応要領が指針となります。
貴重な日本文化の発信元として大きな役割を担っている貴振興会は今後我が国の劇場のバリアフリー化、インクルーシブ・ユニバーサルな劇場のあり方の方向性を示すものと考えます。
1.対応要領第1条について
「独立行政法人日本芸術文化振興会の職員」とありますが、これが所管する国立劇場のすべての職員を対象としていることを明記してください。
すべての人が障害を理由として芸術鑑賞の機会や楽しみを妨げられることのないよう、 この対応要領をもって、貴振興会のみならず所管するすべての国立劇場の職員に対しても、同様に適切な対応を求めることができるものとしてください。
2.対応要領第3条について
(1)「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」とありますが、このことについて、
アクセシビリティの向上は、障害当事者の社会参加、文化的生活の向上のために不可欠であり、障害当事者からの意思表示がなくとも、常時アクセス可能であることを前提としてください。
そのうえで、「意思の表明」にあたってそのはじめの一歩でくじけることのないよう、
ワンストップで必要なサポートへの相談窓口にたどり着けるよう、ホームページの目立つ位置やチラシ等に目立つ形で、一般にわかりやすくアナウンスしてください。
(2)合理的配慮の提供にあたって「職員は、別紙に定める留意事項に留意する」とありますが、相互に人格と個性を尊重しあいながら社会の実現を目指す法の目的のとおり、合理的配慮とは相互理解の上で成り立つものです。
相互理解については、「別紙」の中に記載されていますが、まず要領本文の中で触れるべきと考えます。
職員側の一方的な理解から生じる一方的な配慮となることないよう、当事者との対話が合理的な配慮には欠かせないことについて、十分な理解を求めてください。
そこで、当該箇所を、「職員はまず、障害のある当事者との対話の機会を持ち、相互理解を図りながら、別紙に定める留意事項に留意し、柔軟な対応に努めること」としてください。
3 別紙 留意事項について
(1)別紙 留意事項において、具体的な事例を通じて適切な対応を求めていることについては評価します。
しかし、(案)に記載の対応例については、端的に言えば国の基本方針に示されている「一般的に想定される場面」について述べているにすぎません。
「すべての国民が文化芸術に親しみ、自らの手で新しい文化を創造すること、芸術その他の文化の向上に寄与すること」を目的とする貴振興会の目的から鑑みて、貴振興会及び管轄する劇場すべてにおいて想定される特有の対応について、特に記載する必要があるのではないでしょうか。
劇場の現場、観劇を受け入れるにあたっての対応の具体例、各部門の芸術鑑賞の機会、実演の機会における対応の具体例について述べるべきと考えます。
具体的には、別紙第6の具体例について、物理的環境や意思疎通といった「対応別」に記載されていますが、これを場面ごとにわかりやすく記載することで、職員の皆さんの対応すべき内容がより明確になると考えます。
〇基本的なコミュニケーションにあたっての対応
〇窓口、受付等での障害者の対応
〇鑑賞活動を行う障害者への対応
〇会議・イベント・講座等に参加する障害者への対応
〇災害時の対応
これに続いて国の基本方針に示された「物理的環境への配慮」、「ルール・慣行の柔軟な対応」が位置付けられると考えます。
(2)「観劇環境の改善を求める障害者への対応の合理的配慮の例」を追記してください。障害者から、舞台、演劇、芸能の鑑賞にあたって、サポートを求められた場合には、可能な限り対応できるように、また現時点での即時対応が難しくとも、将来的には対応できるように努めてください。併せて研修で周知された内容の理解に努めること、特に、対応の範囲を一律に定めるなど、一方的な配慮を行うことのないよう、留意するよう求めてください。
すでにメディアでもたびたび取り上げられている通り、
聴覚障害のサポートに関しては、字幕等、基本的に視覚を通じたサポートや聴覚補助のサポートが有効です。台本貸し出しや、字幕による詞章等の供与、手話による事前説明や舞台通訳、磁気ループの準備、受付における手話対応、筆談等、主に 視覚を通じたサポートを充実させること。
視覚障害のサポートに関しては、舞台模型の展示、事前の説明会、音声ガイドの準備、座席への案内等、主に聴覚、触覚、誘導等を通じたサポートを充実させること。
肢体的障害のサポートに関しては、個別に求められる状況に応じて、障害のある人の立場に立ち、劇場の環境において可能な限りサポートを行うこと。
〇サポートの問い合わせに関しては、メール、FAX、ホームページからのお問い合わせフォームなど電話以外の方法も対応可能とすること。
我が国の誇る国立劇場が、すべての人が文化芸術に親しむ機会を持ち、同じ空間の中で同じ時間に感動を味わうことのできる劇場となっていただけることが私たちの願いです。子どもたちが障害のあるなしに関わらず、豊かな未来をはぐくむための種として、生きた文化に出会うことが、新たな文化芸術の創造、共に生きる力、絆の継承につながっていきます。
以上についてご検討くださいますようお願いいたします。
今回、日本芸術文化振興会の対応要領の改訂版が完成しました。
TA-netからの提言をいくつか反映させていただいており、より良いものにしてくださっています。
国立劇場をはじめとする、日本を代表する文化芸術の発信元となる劇場が、
観劇における情報アクセシビリティにおいて、日本の公共文化施設の先達となります事を
心から期待しております。
(TA-netからの提言は このブログの下部をご参照ください。)
障害者差別解消法に基づく対応要領案に関する意見募集の結果について
http://www.ntj.jac.go.jp/about/public_comment.html
なお、併せてお知らせです。
国立劇場では、4月1日より、インターネットで各館の障害者割引チケットがご購入できるようになりました!
正確には「ネットでは定価でご購入いただいて、チケット引き取り時やご鑑賞時に窓口で割引料金との差額を返金する」という方法なので、最初から割引料金で購入するわけではないことにご注意ください。まず定価で購入して、劇場で差額分の返金手続きをすることををお忘れなく。
国立劇場では、昨年お客様からいただいた「聴覚障害があるので電話ができず、遠方に住んでいるので事前にチケット売場に行くこともできない。ネットで購入できるようにしてほしい」というご要望がきっかけで検討し、今回実現したとのことです。
大変有意義な取り組みです!みなさま、ぜひお出かけください。
詳しくは下記のサイトをご参照ください。
インターネット購入での障害者割引について
http://www.ntj.jac.go.jp/topics/top/27/5242.html
***************************
独立行政法人日本芸術文化振興会における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領(案)について
NPO法人 シアター・アクセシビリティ・ネットワーク
まず、国立劇場を所管する法人として、全国の公立文化施設の今後の対応の指針となる対応要領を定めたことについて、評価します。
今後、公立文化施設のみならず民間の劇場においても、この法律に基づいた対応について、貴振興会の対応要領が指針となります。
貴重な日本文化の発信元として大きな役割を担っている貴振興会は今後我が国の劇場のバリアフリー化、インクルーシブ・ユニバーサルな劇場のあり方の方向性を示すものと考えます。
1.対応要領第1条について
「独立行政法人日本芸術文化振興会の職員」とありますが、これが所管する国立劇場のすべての職員を対象としていることを明記してください。
すべての人が障害を理由として芸術鑑賞の機会や楽しみを妨げられることのないよう、 この対応要領をもって、貴振興会のみならず所管するすべての国立劇場の職員に対しても、同様に適切な対応を求めることができるものとしてください。
2.対応要領第3条について
(1)「障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において」とありますが、このことについて、
アクセシビリティの向上は、障害当事者の社会参加、文化的生活の向上のために不可欠であり、障害当事者からの意思表示がなくとも、常時アクセス可能であることを前提としてください。
そのうえで、「意思の表明」にあたってそのはじめの一歩でくじけることのないよう、
ワンストップで必要なサポートへの相談窓口にたどり着けるよう、ホームページの目立つ位置やチラシ等に目立つ形で、一般にわかりやすくアナウンスしてください。
(2)合理的配慮の提供にあたって「職員は、別紙に定める留意事項に留意する」とありますが、相互に人格と個性を尊重しあいながら社会の実現を目指す法の目的のとおり、合理的配慮とは相互理解の上で成り立つものです。
相互理解については、「別紙」の中に記載されていますが、まず要領本文の中で触れるべきと考えます。
職員側の一方的な理解から生じる一方的な配慮となることないよう、当事者との対話が合理的な配慮には欠かせないことについて、十分な理解を求めてください。
そこで、当該箇所を、「職員はまず、障害のある当事者との対話の機会を持ち、相互理解を図りながら、別紙に定める留意事項に留意し、柔軟な対応に努めること」としてください。
3 別紙 留意事項について
(1)別紙 留意事項において、具体的な事例を通じて適切な対応を求めていることについては評価します。
しかし、(案)に記載の対応例については、端的に言えば国の基本方針に示されている「一般的に想定される場面」について述べているにすぎません。
「すべての国民が文化芸術に親しみ、自らの手で新しい文化を創造すること、芸術その他の文化の向上に寄与すること」を目的とする貴振興会の目的から鑑みて、貴振興会及び管轄する劇場すべてにおいて想定される特有の対応について、特に記載する必要があるのではないでしょうか。
劇場の現場、観劇を受け入れるにあたっての対応の具体例、各部門の芸術鑑賞の機会、実演の機会における対応の具体例について述べるべきと考えます。
具体的には、別紙第6の具体例について、物理的環境や意思疎通といった「対応別」に記載されていますが、これを場面ごとにわかりやすく記載することで、職員の皆さんの対応すべき内容がより明確になると考えます。
〇基本的なコミュニケーションにあたっての対応
〇窓口、受付等での障害者の対応
〇鑑賞活動を行う障害者への対応
〇会議・イベント・講座等に参加する障害者への対応
〇災害時の対応
これに続いて国の基本方針に示された「物理的環境への配慮」、「ルール・慣行の柔軟な対応」が位置付けられると考えます。
(2)「観劇環境の改善を求める障害者への対応の合理的配慮の例」を追記してください。障害者から、舞台、演劇、芸能の鑑賞にあたって、サポートを求められた場合には、可能な限り対応できるように、また現時点での即時対応が難しくとも、将来的には対応できるように努めてください。併せて研修で周知された内容の理解に努めること、特に、対応の範囲を一律に定めるなど、一方的な配慮を行うことのないよう、留意するよう求めてください。
すでにメディアでもたびたび取り上げられている通り、
聴覚障害のサポートに関しては、字幕等、基本的に視覚を通じたサポートや聴覚補助のサポートが有効です。台本貸し出しや、字幕による詞章等の供与、手話による事前説明や舞台通訳、磁気ループの準備、受付における手話対応、筆談等、主に 視覚を通じたサポートを充実させること。
視覚障害のサポートに関しては、舞台模型の展示、事前の説明会、音声ガイドの準備、座席への案内等、主に聴覚、触覚、誘導等を通じたサポートを充実させること。
肢体的障害のサポートに関しては、個別に求められる状況に応じて、障害のある人の立場に立ち、劇場の環境において可能な限りサポートを行うこと。
〇サポートの問い合わせに関しては、メール、FAX、ホームページからのお問い合わせフォームなど電話以外の方法も対応可能とすること。
我が国の誇る国立劇場が、すべての人が文化芸術に親しむ機会を持ち、同じ空間の中で同じ時間に感動を味わうことのできる劇場となっていただけることが私たちの願いです。子どもたちが障害のあるなしに関わらず、豊かな未来をはぐくむための種として、生きた文化に出会うことが、新たな文化芸術の創造、共に生きる力、絆の継承につながっていきます。
以上についてご検討くださいますようお願いいたします。