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NPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークからみなさまへ

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文化審議会「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)」[答申案]に関する意見を提出しました(4月3日付) [2015年04月13日(Mon)]
文化審議会「文化芸術の振興に関する基本的な方針(第4次基本方針)」[答申案]に関する意見をシアター・アクセシビリティ・ネットワークとして下記の通り提出しました。

−−−−
今回答申では、文化芸術の更なる振興に向けて、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを大きな転機と位置付け、更なる国内文化芸術の発展及び世界に向けた発信の機会にするべく、さまざまな具体的施策を掲げていることは評価できます。また、日本の誇る精密な技術面での発展が並行して創造活動の発展に寄与することに着目していることも、今後の文化芸術活動の展開に向けた施策の推進を円滑に進めるために期待できます。
 そして注目すべきは、文化芸術が広く社会への波及力を有していることを明示し、周辺領域への波及効果を視野に入れた施策の展開を求めていること及びさまざまな違いを越えて文化的多様性、相互理解を促進していくことを謳っていることです。

 ここまでの総合的目標を踏まえて、特に次の点に関し意見を述べたいと思います。

まず、第1 社会を挙げての文化芸術振興 2の(4)成果目標と成果指標についてです。
成果目標として鑑賞活動をする者の割合が約80%まで上昇していることを目指す、とあります。
前回調査の鑑賞活動をする国民の割合62.8%以外の37.8%の人々。ここに、「観たいと思っていても環境が整っていないために観ることができない人々」の存在があることを忘れてはなりません。
ともすれば、劇場のバリアフリー化というものは、通路を広くし、トイレをバリアフリー化し、スロープを付けるという施設面の整備のみに偏りがちです。施設整備は大切です。しかし、観たいと思っている人たちは、見える、聴こえる人たちだけではないことについて、今後の重点施策の中で明示し、位置づける必要があります。
ここに、私たち団体が2014年に聴覚障害の当事者297名を対象として行ったアンケートのデータがあります。10代から60代以上の回答者のうち、どの世代も6割以上が観劇に興味があると述べ、とくに30代は9割に上りました。一方で直近の1年間で観劇等の鑑賞活動をしていないと答えた人は全体で4割に上りました。 興味がありながら鑑賞活動をしていない理由は、次の通りです。1、劇の内容が分からず、思い通りに楽しめないと思うから。2、予約・購入の方法が分からないから。という答えが大勢をしめました。舞台を楽しみたいと思う気持ちがありながら、行きたくても行けない状況であることが浮き彫りになりました。
併せて観劇にあたって情報保障(手話通訳、字幕表示、台本貸出など)があれば行くか、と尋ねたところ、全体の7割が、情報保障があれば観に行きたい、と答えました。これらの人々が、必要なサポートさえ得られれば鑑賞活動に向かう意欲があるということは、鑑賞の機会を整えれば潜在的な鑑賞希望者の掘り起しにつながり、成果目標の達成に少なからず寄与するものと思われます。
また、グローバルな芸術文化の発信に向けては、国境を越えて人々にも楽しんでもらえるよう、舞台上での字幕表示やポータブル字幕機器の開発等も重要なポイントになってきますが、こうした文字情報の提供や台本の貸し出し、また磁気ループの整備等は、以前鑑賞活動を主な生活の一部とされており、今は年齢的な要素から劇場から遠さがっている高齢の方々を、もう一度劇場に呼び戻す大きなきっかけともなります。
先のアンケートでは30代の聴覚障害者の9割が鑑賞活動に興味がある、と答えました。この、行動力及び発信力を強く持っている世代に、日本の文化芸術を自ら体感できる機会が少ないということは、日本にとって大きな損失ともいえるでしょう
鑑賞活動の奨励のための具体的な施策として、障害、年齢、国籍を越えてあらゆる人々が必要とする情報保障を制度化すること、システム化することを明文化してください。

これに関連して第3 文化芸術振興に関する基本的施策についてです。基本的施策はすべて重点施策の推進と密接なかかわりがあるにも関わらず、今回の第4次答申においては一部を除き見直しがされていません。特に、 8の国民の文化芸術活動の充実について意見を述べたいと思います。
(2)高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実の中に、対象者のニーズに応じた様々な工夫や配慮等を促進する、とありますが、「字幕や音声サービス」について、ほとんどの劇場、劇団が具体的なサポートのイメージすらできない状況です。私たち団体で2014年に行った全国の劇場・劇団向け調査でも169か所から回答を得ましたが、情報保障という言葉を初めて聞いた、詳しくは知らないとした回答者は9割でした。劇場のバリアフリーは、ともすれば施設面の整備のみに偏りがちですが、これまでの答申の効果もあり、ハード面でのバリアフリー体制の構築はほぼなされたと考えられます。
今後は、サポートの質の強化と向上に取り組むべきです。上記調査では「情報保障のある舞台は良いと思う」と回答した劇場・劇団は9割近くに上りました。文化芸術の振興を支えるデジタル技術の開発、活用が、並行して鑑賞活動にかかる支援体制の充実にまぎれもなく寄与していることは、音声認識ソフトの目覚ましい発展及びウェアラブル機器の発展等からも明らかです。また、上記調査では人員不足のため支援ができないという声も多くみられました。そのため、サポートを専門的に担える人材育成を行うことが必要です。それによって、あらたな雇用創出の機会となるでしょう。この第4次答申において、ソフト面での支援体制の構築と推進に言及し、時代の流れを取り込んだ答申としてください。

2020年にむけて、海外からも障害を持った方が多く来日されることが想定されますが、国内外を問わず、そうした方々が必要とするサポートについて、より具体的な工夫や配慮の例を組み込んでください。例えば、聴覚障害者に対しては字幕表示、通訳者の配置、台本貸出、磁気ループなどの聴覚補償機器の設置、視覚障害者に対しては舞台模型の設置、副音声の配置などを明示してください。
海外には多くの著名な障害を持ったアーティストが存在します。そうした方々に誇りを持って日本の文化芸術を紹介することができるよう、文化芸術の分野におけるインクルーシブな取組を進めるべきです。
一方で、劇場側においても方法が分からず、またコスト面においても負担が大きく、支援の体制が整えられないことから、サポートを断らざるを得ないという苦悶の決断をしている現状があります。これについては、特に劇場・劇団への負担が大きくならぬよう、他の支援団体との連携を強化することで可能となる支援策が多々あることから、サポート体制の構築に向けて、国内の各団体の広域連携の取り組みを推進することで、持続可能な支援体制につながっていくものと確信しています。同時に、日本国内の障害を持つアーティストの発掘、育成のために必要な支援体制を強化してください。たとえば聴覚障害を持つアーティストはコミュニケーション保障として手話通訳が必要ですが、公的派遣の対象となりにくい現状があります。その結果、さまざまな立場とのコラボレーション活動を行いにくく、また自己負担で通訳を雇用するために資金面で困難を感じている実態があります。これらを解決することは最終的に重点戦略1の文化芸術活動に対する効果的な支援の中で述べられる「障害者の芸術活動の振興」の推進にむけた大きな原動力になります。

今後、日本においては、子どものころから文化芸術に親しむ機会をさらに創出し、かつ、文化芸術を創造する人材の育成充実を図る取り組みを進めることで、日本の文化芸術について胸を張って語れる多くの子どもたちが育っていくでしょう。文化芸術は広い視野を養い、豊かな感性を育て、確実な地域の振興と文化の継承につながっていきます。ぜひ、障害や国籍によって区別をすることなく、すべての子どもたちを対象として、文化芸術に触れる機会を平等に与えられる基盤の醸成に結びつくよう、障害者の文化芸術の発展と支援に関して、さらに具体的に踏み込んだ内容の答申としてください。
よろしくお願いいたします。
2015年4月3日
特定非営利活動法人シアター・アクセシビリティ・ネットワーク
理事長 廣川麻子

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