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■コラム

〜 公法協発行 月刊誌「公益法人」より

 

2009年11月号:

 「木を見て森を見ざる類は困る」

 

2009年9月号:

 「平成23年問題」

 

2009年7月号:

 「奨学財団に支援を」

 

2009年5月号:

 「羹に懲りて膾を吹くことなかれ」

 

2009年3月号:

 「李下に冠を正さず」

 

2009年1月号:

 「新年のご挨拶」

 

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最新記事
あれから4年 ―多様化が求められる民間の支援活動― [2015年03月16日(Mon)]
あの日から4年経ちました。もう4年というべきかまだ4年というべきなのでしょうか。

災害公営住宅など住宅再建は地域によっても異なりますが概ね10%台から30%までで、いまだ8万人以上の方が、狭隘で防音・防寒・防暑が不十分な仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされています。
被災地内外への避難生活を余儀なくされている方の数は、23万人にも上るといいます。
農地の復旧も宮城県では74%まで進んでいますが、福島では放射能汚染の問題もあり僅か23%程度にしか復旧していないということです。

一方で、このようないわばハード的な復興(たとえ遅々たるものではあっても)が進む中で、被災地、被災者の現状が多様化していることが指摘されています。個別化していると言い換えることができるかもしれません。

災害公益住宅に移った高齢者の方の中には、そのようなある種のマンション暮らしに溶け込めず、介護や見守りも行き届かず引きこもりがよりひどくなる方、一方で新生活にすぐ順応し新しい職場や新しい学校で元気に頑張る人たちといったいわば多様性が出てきているといわれています。

つまり4年経つと、被災者支援活動が初期の様に共通項で括れるものではなく、一人一人の事情が異なり得ることに配慮する必要があります。
行政の支援はもちろん画一的で、ある意味公平なものであるかもしれませんが、多様化したニーズへの個別対応が難しく、そこを埋めるのが現地の市民団体など非営利組織の役割です。
その意味で益々彼らの出番が求められる現状です。

県外からの非営利団体の支援活動や寄附は明らかに減少傾向にありますが、現地では多くの団体が、上に述べたように多様化し、複雑化し、個別化する被災者の支援を、不足する資金源にあえぎつつも黙々と続けています。
弊協会『公益法人』誌3月号掲載の座談会でもその様子がビビッドに語られています。

公益法人・一般法人、そして個人の方々それぞれのお立場から、それぞれ独自のそして専門的見地からの支援活動を今年も続けておられる方も多いとは思いますが、少額でも寄附により支援したいとお考えの方は、弊協会「東日本大震災 草の根支援組織応援基金」を利用されるのも一法かと思います。
この基金は、まさにこのような現地の草の根団体のお役に立つために設けられたものです。
ご自分のご寄附がどの団体のどのような活動に使われたのか「可視化」できる基金です。

復興への道のりはまだまだ時間もかかります。
私たち非営利組織に身を置く人びとも記憶を新たにして、何ができるか考え続けてみたいものです。
Posted by t-ota at 14:43
新年のご挨拶 [2015年01月07日(Wed)]
皆さま、明けましておめでとうございます。
昨年は、世界では「イスラム国」の侵略、ウクライナ紛争、エボラ出血熱の伝染など、世界を震撼させる出来事が発生しました。また、年末には突然の衆議院解散・総選挙も行われました。ノーベル物理学賞受賞の日本人3人や、17歳の少女マララさんの平和賞受賞など明るいニュースもありました。
しかし、広島市北部の土砂災害、御嶽山噴火、長野県北部地震など自然災害も相次いで発生、そして4度目の厳しい冬を迎えられた東日本大震災の被災者の方々にも思いを馳せるとき、まだまだ私達非営利組織にとって、なさねばならないことの多いことを改めて痛感させられる2014年でした。
さて、2008年12月1日に施行されました新公益法人制度への移行期間は、一昨年11月30日をもって終了し、公益法人・一般法人の皆様も新しい制度の下、思いを新たにそれぞれの事業に取り組んでおられるものと思います。
また、新しく設立された一般法人も2万を超えていると推定され、その中から公益認定を取得された法人も360ほど誕生しています。民間の自発的な公益活動を担うこれらの団体が、地域社会の隅々や専門の分野で、どんどん増えることこそ、まさに新制度の目的であり、これから順調に普及定着への道を歩むことを期待したいと思います。
ただ、新制度が円滑に普及していくためには、二つのことが真剣に再検討されなければならないのではと考えております。
一つは、新制度における事業の実施が、あまりにも厳しい財務基準、明瞭でない変更認定の要件及び複雑な会計その他の事務手続きなどにより、多くの法人が困惑している事実です。昨年6月の公法協が実施したアンケートによると、新制度になって旧制度より事業が円滑にできるようになったと感じる割合は、公益法人は僅か3.9%、一般法人でも5.3%、逆にやりにくくなったと感じる割合は、公益法人で20.7%、一般法人で7.7%、残りは変わらないという結果でした。
制度改革の目的の一つは、旧主務官庁が本来法人の自治であるべき経営に過度に介入する弊害を除去することにありましたが、これでは何のために制度の抜本改革をしたのか、鼎の軽重を問われます。今、多くの法人が社会の変化するニーズや財務状況に応じて柔軟な事業展開を考えるとき、昔と同じようにあるいはそれ以上に行政庁にお伺いを立てなければという状況に落ち入っている事実です。収支相償により、じわじわと体力を消耗していると懸念する声もよく聞かれます。
二つには、急増する新規設立一般法人の問題です。特例民法法人から移行された一般法人はもともと、その出自が公益法人であり、かつ公益目的支出計画を実行中は公益法人同様の規律が課せられており、何の問題も基本的にはないのですが、新規設立一般法人の場合は、事業目的が公益、共益そして私益まで含めて何の制限もなく、所轄庁がないため、一般法人法による規律はあるものの、その履行を保証する手段がなく、社会から見てブラックボックス化しています。いわば究極に自由化され、全天候型の事業が可能で、かつ、講学上非営利法人とされるこの新規設立の一般法人がどのように社会に受容されていくのか、大きな課題を突き付けられていると思います。
公法協としては、この二つの大きな課題に新年も取組む所存です。前者については、収支相償の撤廃ないしは緩和と事業内容・種類の変更に係る申請・届出基準の明確化が当面の最大課題です。
後者については、新規設立一般法人の中で、公益を目指すもの、そしてたとえ共益を目的とするものであっても、社会の営みの中で必要なものをどのように見分けた上で、市民セクターや国、自治体がこれを支援できる仕組みを構築することです。
この二つはいずれも大変難しいことではありますが、公法協としては新年にあたり決意を新たにし、精力的に取り組んでまいりたいと考えています。
皆さまには、公益法人協会のこのような活動にご理解いただき、従来にもましてご指導とご支援をいただきますよう、新年に当たり改めてお願い申し上げる次第です。
終わりに、皆さまと皆さまの組織にとって、さらに飛躍を遂げることのできる2015年となりますよう心からお祈り申し上げます。
Posted by t-ota at 16:32
二つの尊厳(dignity) [2014年09月24日(Wed)]
英国の登録チャリティ団体で、"The Human Dignity Trust" (HDT)というチャリティがある。
HDTは、Lesbian, Gay, Bisexual, Transgendered, Intersex Identity(LGBTI)に対する法律上の差別撤廃を目指して、世界的に活動するチャリティであり、これは、世界人権宣言の目指す「個人の尊厳」を守るものとする。

ところが、HDTのチャリティ登録申請に対し、英国チャリティコミッションは、2013年10月否認の決定を下した。
否認の理由は、@公益目的としては曖昧で特定できない、A海外の法律改正を目的とする政治的活動は英国チャリティ法では認められていない、というものである。

HDTはこれを不服とし、First-tier Tribunal(Charity)(チャリティ不服審判所)に審査請求した結果、同審判所は2014年7月これを認め、チャリティコミッションにチャリティ登録するよう命じた。

ちょうどこのころ(2014年5月)、日本では、一般社団法人日本尊厳死協会(英文名Japan Society for Dying with Dignity)の公益認定申請に対し、内閣府は公益認定等委員会の答申に基づき、不認定の決定を下した。

この問題に対する公益法人協会の意見は、すでに公表しているが(『公益法人』14年8月号ほか)、
ここで私が言いたいことは、英国ではチャリティ専門の不服審判制度が完備していることだ。

その判事にあたるものも、多くはチャリティの役職員が任命されている。
英国チャリティ委員会は、理事の解任や一時管理者の選任など広範な監督権を有している反面、登録否認を含むこれらの処分に対して不服がある場合、費用や時間のかかる裁判を経ず簡便かつ迅速に不服審査を申し立てることができる制度が存在する。
年間6件から10件程度チャリティ関連の不服審査請求があるようだ。

偶然、Dignityと名のつく団体が、しかもほぼ同じ時期に日英双方で公益性が否定されたが、英国ではその結論が覆され、晴れて現在チャリティ登録されているという事実に、いろいろ考えさせられるものがある。
Posted by t-ota at 16:11
衝撃的な数字 ― 非営利団体への信頼度 [2014年07月17日(Thu)]
もう7年前になるが、公益法人協会(公法協)が招いた英国チャリティコミッションのスージー・レザー委員長(当時)が「英国で国民から最も信頼されているのは軍隊、2番目がチャリティ、政府よりずっと上」と語ったのを鮮明に覚えているが、ごく最近、関西学院大学の岡本仁宏教授よりいただいた資料でこれを確認することができた。

この資料は、World Values Survey(WVS)というスーエデンの研究組織が発表したものに基づく。
WBSは世界約100カ国で、経済発展や民主化の状況、宗教、ジェンダー問題、社会資本の充実度、そして幸福感などを5年ごとに市民からのアンケート回答により分析し研究し、世界の研究者に無料でデータを提供している組織である。

そのうち、我々非営利組織に関係するものにとって興味深い質問は、社会の各種組織に対する信頼度の国別比較である。
軍隊、裁判所、教会、政府、大学、大企業、プレス、テレビ、議会など19の組織種類の中に非営利団体(原文で、はCharitable or humanitarian organizations)が含まれている。

岡本教授が、このデータによりまとめた主要9カ国の、国別・セクター別の信頼度一覧(2005年度)によれば、非営利団体がトップ(信頼率70%台)にランクされるのは、英国、イタリア、韓国、2位(60%台)が米国、フランス、スウエーデン、3位(50%台)ドイツ、4位(40%台)ロシアと続く中で、なんと日本は9カ国中、最低の6位(20%台)にランクされている。
ちなみに軍隊、警察は日本も含めほぼどの国でも70%〜60%と高く、逆に、政府に対する信頼度は、どの国でも30%〜20%と低い。

衝撃的な数字である。
なぜ、日本の非営利団体はかくも市民から信頼されていないのであろうか。
原因はいろいろと推察されるが、ここでは論じない。
また、特定非営利活動法人の活躍や公益法人制度改革が反映される筈の、その後の経年変化も知りたいところだが、何はともあれ私たちはこれを謙虚に受け止めなければならないと思う。

信頼の回復(というよりは向上か)を図ることが、今後の非営利セクターに課せられた最重要課題と思う。
Posted by t-ota at 10:24
この罪深きもの − 収支相償 [2014年05月16日(Fri)]
ある決算理事会での事務局長からの報告
「おかげさまで多少赤字を出して、収支相償はクリアーできました」、
唖然とした企業出身の理事
「言葉の使い方が間違っていませんか、残念ながら赤字を出してしまいました、ではありませんか」。

8,000円の黒字が出たため、行政庁に対処策を尋ねに飛び込んだある公益法人。
ブラックユーモアではない。実話だ。

決算期を迎えて、黒字が出そうな公益法人は多かれ少なかれ、この問題に頭を悩ましている。
公法協への問い合わせも多い。

収支相償規制は、どう考えても実に問題が多い。
第1に、モラルハザードとの問題、黒字が出そうだから不要な公益資産の取得や事業費用の支出で帳尻を合わせる、官庁予算にみられる、期末の無駄遣い現象と同じだ。
第2に、経営努力が仇になる問題、血の滲み出るような努力を重ね赤字を出さないことが、およそ経営にあたるもの責務であるが、首尾よく黒字が出れば咎められるという世間の常識と反対の現象。
第3に、単年度で結果が問われること、過去の赤字体質を脱却して、ようやくある年度に黒字が出た場合でも、その黒字が出た年度だけを見て違反とされる。
第4に、公益法人の成長力、場合によっては生存力さえ奪ってしまうこと、公益法人もゴーイングコンサーンの法人だ、収支相償を文字通り続けるとじわじわと体力が衰えることは必定だ。

平成8年の与党行政改革プロジェクトチームの提言で加速した、公益法人が巨額の内部留保をため込んでいることに対する規制強化が、遊休財産保有規制にプラスされ収支相償規制として、新法でも引き継がれているのであるが、当時やり玉にあがったのは、補助金・委託金がつぎ込まれたり、独占的事業(検査、検定、資格付与など)が官庁に保証され、多額の利益を上げる行政委託型の公益法人や、何百万人という会員を抱える公益法人が、余ったお金を返還せず、公益事業の拡大にも使用せず内部にため込む、しかもそれが無税ということを指摘しているのであって、そのような問題と全く無縁である大多数の公益法人まで、お咎めを受けるべき筋合いの問題ではないはずだ。

内閣府は、法律の範囲内でできる限り柔軟な運用を心掛けている努力の跡がみられ、その限りでは私も評価はするものの、法律の壁はいかんともし難い。

公法協は、法案の段階から現在にいたるまで数回にわたり、政府に収支相償原則の撤廃ないし大幅緩和を求めてきているが、今後とも全公益法人の総意としてより強力に要望を続けていきたい。

社会の隅々や専門的分野における様々な課題に、自発的にそして真摯に取り組んでいる多くの公益法人をこんなことで萎縮させてはならない。
Posted by t-ota at 14:13
情報開示 [2014年01月17日(Fri)]
新春早々から恐縮だが、私が懸念していることが一つある。
それは公益法人の情報公開について官民両サイドとも、従前より制度的に後退していることである。

先ず、民サイド
旧制度時代は、定款、事業計画・報告、計算書類など社団法人で10種類(財団法人の場合9種類)の書類を、インターネットにより公開することを要請した通達(「インターネットによる公益法人のディスクロージャーについて」平成13年8月)があり、その開示率は、国所管の場合全体として70%、地方所管20%、と報告されている(各年次の概況調査による総務省年次報告)。

ところが、新制度では法令に規定されていないことを、行政指導で要請することは適切でないとの理由で、積極的なインターネット開示を要請していない。
法令では事務所備置きは規定されているが、事務所に出向き閲覧請求する人は通常ではほぼ皆無であろう。
確かに、法令上規定されていないことを指導することには当然私も反対であるが、この情報公開は、税制上優遇されている公益法人の存立基盤としての必須条件であり、従前同様の開示要請を続けても、誰も反対しないであろう。

次に、官サイド
旧制度時代では、毎年10月公益法人の「概況調査」が実施され、実に詳細なデータが集められ、これを「年次報告」として発表する外、個別法人名ごとの電子データが公表されていた。この調査も新制度ではなくなった。
代わって、新制度では公益法人からの定期提出書類のうち計算書類等幾つかの書類を、行政庁として電磁的に公開することが法律上義務付けられているが、この公開請求手続きが煩瑣で、実際上は使い勝手が大変悪いものである。
(公益法人協会の要請により昨年末多少手続きの簡便化が図られた(*)が、まだまだ一般市民が容易にアクセスできるというには程遠い)

一方、情報公開が旧公益法人よりかなり遅れていた特定非営利活動法人(特活法人)、中でもとくに認定特定非営利活動法人の情報公開は、昨年4月の特定非営利活動促進法の大改正以降、急速に官民両サイドにおいて進んできており、最近では関係者から、公益法人の情報公開は遅れていると指摘されるほどだ。

同じ内閣府でも特活法人制度を所管する部署のポータルサイトでは、誰でも簡単に都道府県別、事業種類別に検索でき、公開書類を閲覧・プリントできるもので、公益法人の情報公開とは比較にならないくらい使い勝手が良い。しかもこれをさらに改善する作業が進められているという。

この際、所管対象法人が異なるとは言え同じ内閣府の中であるから、両制度を含めた検索と公開システムを統一的に構築するよう求めたい。
両法人の法制度は異なっても、寄附者、ボランティア、研究者、さらには多くの納税者・市民が正確な比較情報が得られることこそ国益に合致するものと思う。

(*)公益法人協会ホームページ政策提言欄2013年12月25日付「【情報開示システム改善】
   内閣府 法人情報へのアクセス、提供機能を改善(12/24)」参照
   (http://www.kohokyo.or.jp/kohokyo-weblog/non-profit/2013/12/post_188.html
Posted by t-ota at 17:27
民間公益活動のさらなる発展を目指す! [2013年12月04日(Wed)]
先月末に公益法人協会HPにステートメントを掲載したのでご紹介します。

『とうとう5年間の移行期間が終了しました。
旧制度の公益法人にとっては激動の時代であり、膨大な資源をかけて、それぞれの前途を選択した5年間でした。一つの法人類型が存続に向けて、これだけのエネルギーを消耗しなければならなかった法人制度の変更は、かって、例を見なかったもので、後々我が国の法人史に語り継がれるものと思います。13年間、民間の立場から改革の現場で取り組んできた私としても、感無量のものがあります。

「公益とは何か」「事業の在り方は」「しっかりしたガバナンスとは」「健全な財務構造は」、そして「透明性と説明責任とは」など公益法人に求められるこのような経営の基本理念を、それぞれの法人がそれぞれに真摯に考えた5年であったと思います。

その意味で、私は2万4,000の公益法人のこの経験は前向きにとらえたいと思います。新制度の公益法人・一般法人に対する行政庁の監督は、法令上の基準の遵守や公益目的支出計画の履行を確保するために必要最小限度の範囲にとどめられることとなっており、基本は法人自治と自己責任による経営が根底に据えられています。

この法人制度の改革とそれぞれの法人の個別の改革を経験された100万人を超す方々に、そのご苦労に心より敬意を表すると共に、「初心忘るべからず」の精神で社会に一層貢献されることを強く期待したいところです。

また、新制度により、新たに3万近くもの一般社団・財団法人が誕生し、その中には公益認定を取得した法人も、まだ300足らずではありますが少しずつ増えてきています。これらの新しい一般法人・公益法人は、旧制度では法人化がほぼ困難であった小規模な地域の組織が大半ですが、これからもどんどん増えることが期待されます。非営利セクターの厚みと質が向上するものとして大いに歓迎されるべきものです。

しかし、行政庁の一部には残念ながらいまだに旧主務官庁意識から脱却できず、裁量行政の残滓が残る面も否定できません。他方、公益法人や移行一般法人側にも、依然行政庁に経営判断を仰ぐことが無難と考える慣習も残っているように見受けられます。民間非営利法人にとって最も優れた特性である「柔軟で機敏な先見的な事業展開」を委縮させてしまうことを懸念します。

公益法人制度改革はこれで終わったのではなく、むしろこれから新しいスタートを切ったものと言えましょう。特定非営利活動法人制度も昨年4月大改正があり、地方行政庁にすべての認証・認定権限が委譲され、認定取得も容易になりました。市民が様々な民間公益活動を実施できる法人格として今後公益法人、認定特定非営利活動法人、一般法人、特定非営利活動法人の4類型が当分併存していくこととなりますが、良い意味での制度間競争により、より大きな「公益」が社会にもたらされることとなるでしょう。

私ども公益法人協会は今後とも、公益法人制度と一般法人制度の基本理念を追求し、残された制度的問題点と課題の解決に向けて従来同様の努力を傾注します。また真に自律した経営基盤を構築されるために必要な支援を今後とも続けていきたいと考えています。』
Posted by t-ota at 18:48
他山の石―不祥事件に揺れる米国NPOセクター― [2013年11月19日(Tue)]
10月26日、ワシントンポスト誌(以下、WP)が報じた「NPOに発生する横領、詐欺、架空発注の隠された世界」と題して大きく報道された記事が大きな波紋を呼んでいる。

簡単に内容を紹介すると、反煙草運動を全米で展開し、年間支出5,000万ドル、資産10億ドルという巨大NPOのAmerican Legacy Foundation(以下、ALF)が、IT担当上級職員の不正支出で総額約340万ドルの損失を蒙ったという事件をメインストーリーとして、その他の10数例を実名入りでルポルタージュ風に報道したものである。

WPは、全国120万を超えるIRS501C(3)公益団体(NPO)の、2008年から2012年までの間の定期提出書類を分析し、目的外支出が25万ドル以上あった1,000以上の団体をリスト化して公表、上位10法人だけで損害額(losses)は5億ドルに上るとしている。

目的外支出の手口は多岐にわたり、架空発注、電子決済不正使用、小切手偽造、カード不正使用、監査証明偽造、中には怪しげな投資スキームによる損害も含まれている。
そしてCEO自らが悪事に手を染める例もあるが、多くは担当スタッフが引き起こしたもの。
ALFの事例では、発注と検収が同一人物であったこと及びCFOが内部告発を握りつぶしたことが発覚を遅らせた原因という。

このショッキングな報道に、NPOの全国組織Independent Sector(IS)は11月1日、理事長Diana Aviv名による『報道された事案はいささかも許されるべきものではないが、WP記事により公正かつ透明性の高い大部分のNPOを含むNPOセクター全体の信用を失墜させかねない重大な問題であり、今こそ全NPOは最高度の倫理と説明責任・透明性に基づいていることを確認する必要がある、2007年にISが制定した「ガバナンス・倫理要綱(The Principles for Good Governance and Ethical Practice)」も、場合によってはその後の現象も加味して追加する可能性もありうる』とのステートメント(概要)を発表、全会員宛てに発信した。

もともと、2007年の「ガバナンス・倫理要綱」は、当時とくに助成財団の一部のガバナンスに疑問を持った議会が規制強化を図ろうとしたことに危機感を持ったIS及びその有力メンバーが、ガバナンスは団体自治により構築されるべきものであるとし、自主規制綱領として策定したものであるが、今回もISは同様の危機感を持ったものと思われる。

翻ってわが国、、、報じられる米国と必ずしも同種の事件ばかりではないが、問題とされる事案が、公益法人の世界にも多発している。新聞報道されるものだけでなく、内閣府が問題視する法人への報告要請(公益認定法第27条に基づくもの)の件数もかなりの数に上っているという。

公益法人協会としては、ISのAviv理事長同様、これらの問題は自浄作用として解決されるべき問題であり、行政庁による監督強化で解決するべき問題ではないと考えている。
監督強化は、自由闊達にそして柔軟に活動すべき非営利法人を萎縮させるだけで、「角を矯めて牛を殺す」結果となりかねない。
「因習」は改めるべきだが、「良き伝統」まで破壊してはならない。

このような思いから、年内にも公益法人を始めとする非営利組織の方々を対象に一連の問題を考える集会を今企画しているところである。
Posted by t-ota at 17:14
それぞれの7年後 [2013年09月20日(Fri)]
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まった。7年後だ。

街頭の喜びを伝えるテレビで、若い女性がマイクに語った「7年後にはもしかしたら結婚して、子供と一緒にテレビを見ているかもしれませんね」という弾んだ声が妙に心に残った。
おそらく、ほとんどの日本国民は、老若男女を問わず7年後の自分を思い浮かべたのではなかろうか。

7年後の自分というのはなんとなく予測もできるが、さりとてどのような変化が起きるかもしれないという意味では微妙な年数間隔だ。

政治経済や社会環境となると、もっと予測は難しい。
過去の7年を振り返ると、あまりにも多くの予期せざる出来事があったことに改めて気づく。

まず政治はどうか。2006年9月、小泉内閣から安倍内閣に代わった。
爾来この7年間で総理大臣は安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田、そして再び安倍内閣に変わった。
自民党の没落、民主党の政権奪取、しかし僅か3年間で、今度は民主党が党の存亡さえ問われる危機に、その浮沈はあまりにも激しい。

経済はどうか。2008年9月、いわゆるリーマンショックにより世界経済は深刻な影響を受けた。
日本では日経平均が一時7,500円割れまで下がり、円ドル為替レートも70円割れ寸前まで急上昇。
そして現在、日経平均株価は1万4,000円台に、円ドルは100円近くまで回復。

公益法人に関係の深い出来事はどうか。
2006年6月公益法人制度改革3法が成立、2008年12月から施行、そして今年11月には移行期間も満了する。
多くの公益法人が悪戦苦闘した7年間だった。

そして、2007年7月に新潟県中越沖地震が発生、2011年3月には1000年に一度とも言われる東日本大震災と福島第一原発の事故が発生、その復旧・復興の足取りは遅々たる状況だ。
放射能汚染問題は何時解決することか。
 
このように過去7年を振り返ると、実に様々な出来事が起こったということを改めて実感する。
今後の7年も今予測できない様々な事象が起こるだろう。
しかし、一つ言えることは、7年後のオリンピックは、人それぞれに様々な目標を与えるきっかけになることだ。
個人にとっては人生の目標であり、組織にとっては組織の目標である。

公益を追求する非営利組織に身を置く私たちも、それぞれ7年後においても、いかに設立の理念を具現化し、社会に役立つ存在としてその存在意義を高めることができるのか、改めて計画を立て、しっかりした目標を持つ機会にしたいものだ。
Posted by t-ota at 11:26
急増する一般社団・財団法人と在来型非営利法人の課題 [2013年07月26日(Fri)]
一般社団法人と一般財団法人(以下、総称して一般法人)の設立が急増している。

公益法人協会調査部が、法務省開示資料その他の統計資料を総合して計算したところ、2008年12月の一般法人に関する新制度施行以来、2013年4月末までの53ヵ月間における新規設立一般法人(特例民法法人および中間法人からの移行法人を除く)は、23,550件となっている。

これは、特定非営利活動法人(以下、特活法人)制度発足(1998年12月)後、53ヵ月間における設立件数(11,030)のほぼ3倍強に当たる。最近1年間を取ってみても、特活法人の設立件数2,114件に対し、一般法人は6,933件と3.3倍に上る。

また、新規設立一般法人は、73%が社団法人であることも判明している。
もっとも、2008年12月以降の解散件数も異常に多く、制度発足後すでに4,081法人が解散している。

(公社)日本サードセクター経営者協会(略称JACEVO)が、内閣府より受託した平成24年度復興型地域雇用創造事業で起業に成功した63件の組織形態は、一般社団法人の21件がトップで、特活法人の16件、個人事業主の15件、株式会社8件、合同会社2件、
LLP1件という興味深い事例もある。

東京都では、すでに一般法人の件数が特活法人の件数を上回っているが、全国的にも一般法人制度が、社会に浸透しつつあるようだ。社団法人では社員2人以上、財団法人では純資産300万円以上で、登記だけで簡単に設立でき、設立後も官庁の監督というものが一切ない、大変使い勝手の良い法人類型としての認識が広く共有されてきていると考えて良い。

一般法人は、法律的には非営利法人の一種であるが、他の非営利法人と違って、株式会社同様所轄庁というものがないため、属性情報が統計的に不明であり、これらの新設一般法人がどのような目的で、どのような事業を実施しているかは、一切不明である。

推定の域を出ないが、公益目的事業を志すもの、構成員の共益を目的とするもの、そして設立者の私益を追求するものが混在しているものと思われるが、公益法人、特活法人、社会福祉法人など在来型非営利法人にとっては、共に地域や専門の分野で社会に貢献する組織として連携・連帯できる一般法人をいかに見つけ出し、支援し、行政の理解を求めていくことができるかが、今後の大きな課題となろう。
Posted by t-ota at 14:02
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