木村さんは僕をこの仕事に導いてくれたきっかけの人であった。
森永ヒ素ミルク事件被害者。
重度の脳性麻痺。自立生活。役者。
赤が似合う、眼光鋭いメチャクチャカッコいい人であった。
そして笑顔がとんでもなくチャーミングな人であった。
その魅力に魅かれて、いろいろいろ!な人が、木村さんの周りに集っていた。
多くの人々が、木村さんとの間に、木村さんとでないとあり得ない、
特別な何かを感じていたに違いない。
稀有な人であったと思う。
10年前、僕は木村さんと出会い、心地よく何かを捻じ曲げられてしまった。
木村さんと出会わなければ恐らく今の僕も、今のスウィングもない。
…出棺の際、ふと気づけば厳かに流れていた「なんてったってアイドル」。
木村さんにピッタリだと、隣の人と顔を見合わせて笑った。
本当にお疲れ様でした。
安らかに。
木ノ戸