日本のNPOをめぐる環境ということに関して、2012年の一つの重要トピックスとなるのが、認定NPO法人制度の改正です。
少なくとも、NPOにとっては気になる、というか、気にかけずにはいられない制度変更なのですが、一般の人たちの認知や関心は、実際にはどれぐらいなのでしょう。昨年夏ごろから新聞等でも報道されていたので、知っている人も少なくないとは思うのですが。
認定NPO法人とは、NPO法人の中で、そのNPO法人に寄付をすると、寄付をした人が税制面でメリットを受けられるNPO法人のことです。現在、日本には約4万団体のNPO法人があるが、そのうち「認定」はわずかに250団体ほど。そのネックとなっているのが、これまでの認定の基準でした。
細かいことは省略しますが、2012年4月から、その認定の基準が新しくなります。ひとことでいえば、3,000円以上の寄付をする人が100人以上いる、という条件を満たせれば、「認定」が取れるようになるわけです。しかも、これまでに100人の寄付者を集めているという実績がなくても、当初2年間は「仮認定」という制度が適用され、「認定」と同じようなメリットが与えられる、というので、なにはともあれ「認定」を取るべし、そのあとでなんとか100人集めよう!という雰囲気になっているNPOも少なくないはずです。
さて、なんでこんな話題になったかというと、、、、
おそらく今年度で最後になると思いますが、小さい組織にありがちな話で、いまのところ、スタッフの給与計算などの雑務も、実は私が手元で行っているのです。最初から誰かに頼んでしまえばそれまでのことなのでしょうが、苦労性というか、自分自身でひと通りやれるところまでやってみたいという思いもあり、ちょっと時間は取られるものの、それはそれで勉強だと思って作業してきました。
そして、年末に、追われるようにして「年末調整」というのを行い、スタッフのみなさんの年間の源泉所得税額を計算し、税額を計算するための所得はどうやって割り出して、控除はいくらで、年間の税額は結局のところいくらで、その人にはいくら還付するのか、という流れを、税務署から送られてくる「手引き」通りに進めていっていたわけです。あれこれ難解な見た目をしているところもあるが、複雑系ではない、つまり社会課題のようにこんがらがった課題ではなく、整理された体系の中での課題解決という、問題解決の淡白さの中での作業も、たまにはいいものだ、などと言い聞かせながら。
それにしても、こういう作業をしていると、認定NPO法人制度でいう「税額控除」というのが、いかにスゴイことか、というのが実感として分かってきたのは、ちょっとした発見というか、収穫でした。
認定NPO法人への寄付金から2,000円を差し引いた額の40%を「税額から控除」する、ということなのですが、これだと・・・
5,000円寄付した人は、(5,000−2,000)×40%=1,200円
10,000円寄付した人は、(10,000−2,000)×40%=3,200円
50,000円寄付した人は、(50,000−2,000)×40%=19,200円
が、税額から控除される、ということになります。
税金計算をしていると、所得控除と税額控除では、ものすごい大きな差があるという実感を、リアルに感じられます。
例えば、生命保険。
50,000円以上生命保険料を払っていると、50,000円が所得控除される制度があります。ただ、50,000円が所得控除の上限。人によっては、年間でもっと多くの生命保険料を払っている人もいると思いますが、どれだけ生命保険に入っていても、50,000円の所得控除があるだけです。
50,000円の所得控除によって税額が下がるインパクトは、単純計算はできませんが、税額計算のための所得が195万円以下の人なら所得税は5%、195〜330万円の人なら所得税は10%なので、前者では50,000×5%=2,500円、後者では50,000×10%=5,000円程度、ということになります。
個人事業者の経費についても、同じようなことが言えるのかな、と思います。税額計算のための所得が195万円以下の個人事業者(←私も堂々、コチラのカテゴリに含まれますけど。)が、仮に、10,000円を認定NPO法人に寄付したとして得られる税額控除の額(3,200円)と同じぐらいの「節税」を、事務所の備品などを買うことで実現しようと思えば、逆算で、3,200÷5%=64,000円(おそらくそれ以上)の備品を買うべし、ということになるわけです。
年末にちょっと税金対策をしよう、と思ってお金を使う使い道として、64,000円以上の備品を買うか、10,000円の寄付をするか・・・。ちょっと考えてみたくなる人は、いてもおかしくないかも、と思えてきました。
備品の購入か寄付か。この似ても似つかないものを、そもそも天秤にかけるのはどうなの!というツッコミを受けそうな気もしますが・・・、それにしても、ちょっとそういうことを考えてみたくなるような算盤勘定の中に、「NPO法人への寄付」という選択肢がようやく乗ってきた、ということなのかもしれません。
同時に、こうなってくると、NPOを運営していくうえで今後も資金調達をしっかりやっていくためには、認定NPO法人を取っておいたほうが有利だ・・・、という気持ちにもますますなってくるわけです。サービスグラントは、サービスグラント自身が認定NPO法人にならなければ、ということと、認定NPO法人になるための実務サポートを必要としているNPOをプロボノでサポートする機会があるはずだ、ということとの両面で、このトピックは、やはり重要です。
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