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一般管理費  2013年05月05日(Sun)
NPOの見積書の標準スタイル、などというようなものは、いまだ確立されていないわけですが、先日、とある方の話を聞いて、このことを考える機会をいただきました。

私がもともと勤めていた日本総研では、スタッフの工数単価に、そのスタッフが稼働する日数を掛け合わせ、そこに一般管理費として10〜15%ほどを計上して、最終的な見積額を算出する、という方法で、クライアントに対する見積書を作成していました。

ウェブ制作会社やデザイン会社などでも、この一般管理費15%前後、というラインは、比較的違和感のない、標準的なところである、という感じがしています。

過去に、ごくわずかですが、いくつかのNPOの見積書を見させていただいたことがありますが、もとの仕事の感覚からすると、まず、工数単価が極端に安価であることと、一般管理費など組織維持に充当するお金が計上されていないこと、この2点において、これでは、事業を回す人件費を出すことはできても、組織の維持・運営には厳しいのではないか、と思ったことがあります。

一方で、NPOを取り巻く市場環境は、前職の総研のようにはいきません。おそらく、私の前職の工数単価をもとに、企業の皆さんに見積もりを提出したら、おそらく、どれもお話が前に進まない、という状況になっていたでしょう。

そこで、もうしばらく前から、サービスグラントで採用しているのが、国土交通省の単価です。
国交省単価は、建設業や設計事務所などに適用される単価ということで、行政の方や都市計画などの関連の方にはなじみのある単価のようです。この単価は、以前に、ある行政の方から勧められて採用したのですが、前職のだいたい4分の1ぐらいの金額水準です。それでも、企業の方によっては「高い」と言われることもあります。しかし、「自分たちの給料の3倍は稼がないと、組織は維持できない」という総研の頃の感覚からすると、また、実際にNPOの運営をしていく中で、この金額はギリギリのところで、協働パートナー企業の皆さまには、その点ご理解をいただいています。

この国交省単価に工数を掛け合わせ、一般管理費として15%を上乗せさせていただき、見積書を作る。これで、なんとか、今までのところ、組織を運営してきました。

ところで、先日驚いたのが、通常、建設業などでは、国交省単価で人件費を算出した後に、一般管理費として90%〜100%程度の金額を上乗せして見積りを計上するのが業界の通例だ、という話を聞いたのです。

た、確かに、、、冷静に考えれば、建設会社とサービスグラントとが同じ単価を利用しているとしたら、サービスグラントでも立派なオフィス・ビルが建てられてもおかしくない?はずですものね!(笑) でも、現実にはそうなっていない理由が、そこにあったのか〜、と衝撃を受けました。

一般管理費が、人件費の積算の90%〜100%、というその根拠は、、、つまり、建設業界は、稼働率などを考え、建設工事などが行われていない時期も機器の保管・維持・管理なども必要でしょうし、技術者のトレーニングなども必要でしょうし、それらを考えると、実際に工事が行われている時期の人件費とほぼ同額の間接費を見積りに計上しないと、組織が維持できない、ということなのでしょうか、、、いずれにしても、こうした比率の間接費が、業界の慣例として十分浸透し、理解を得られている、ということなのだそうです。(※業界関係者の方、誤解を含んでいたら教えてください!)

それにしても、だからといって、我々NPOが、いきなり一般管理費を明日から90%にする、ということはできないと思うわけですが、それにしても、NPOにとって「一般管理費」に相当するものとは何なのか、ということは、真剣に検討するに値するテーマです。

というのも、ちょっと前のブログでも書きましたが、私たちサービスグラントのようなNPOの事業運営においては、協賛や委託などの形で収入が期待できる「収益事業」と、その基盤として社会的成果を生み出すために不可欠な「非収益事業」との両方があります。

「一般管理費」という表現そのものも、曖昧な響きがありますし、この際、一般管理費と呼ぶのではなく、「非収益事業」を維持するために必要なコストをどのように算出し、それをどのように見積りに反映していくのか、ということを表現する新しい経費の概念すらをも考えるべきなのではないか、と思うのです。

その名称はさておき、それが、やはり15%でよい、ということなのか、はたまた40%になるのか、その付近は、まだ細かく計算していないので分かりません。また組織によっても異なるのだと思います。ですが、スタッフの単価の設定と間接経費の計算根拠を、NPOらしい基準で定めることは、持続可能なNPOのビジネスモデルを考える、という点において、きわめて重要テーマなのです。

というわけで、このブログ、お金の話は、まだ当分続きそうです。
Posted by サービスグラント at 13:01 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
「スペース」と「レバレッジ」  2013年03月26日(Tue)
2月末に開かれたGlobal Pro Bono Summit 2013に参加して何を感じたか。
感覚的な表現ですが、米国のNPOに吹いている力強い風を感じました。

サミットには、プロボノに参加する企業人や専門家とNPOとのつながりをつくり、コーディネートする団体が多数集まりました。日本を含む世界12ヵ国から14団体、そして、米国内からは約30団体が集まりました。

プロボノのコーディネートとひとことで言っても、それぞれの取り組みのユニークさにワクワクさせられました。もちろん、ずっと以前からプロボノに取り組んでいる弁護士さんのグループなどもある一方で、若い世代によるユニークなプロボノのグループが次々と生まれてきているのです。

例えば、サンフランシスコを拠点とするPublic ArchitectureというNPOは、建築家や工務店がNPOなどの事務所やミーティングスペースの改装工事などを手伝うプロボノを仲介する団体で、全米各地で建築分野におけるプロボノ活動が広がりを見せています。ニューヨークにあるDataKindは、データ解析やデータマイニングを本業とする人たちによるプロボノに特化した団体です。NPOが処理しきれなくなったデータを整理したり統合したりして、対外的に発信できる情報、内部で活用できる情報へとまとめていくサポートをする団体です。その他、カソリックの団体が、行政やNPOの災害時等におけるBCP(危機管理対策)の作成を支援するプロボノのグループや、行政のシステムを支援するCode For Americaなど、その様子は、たとえて言うならば、品揃えが豊富で一つひとつに目移りしそうな専門店のようです。

サミットでは、いろいろなキーワードが飛び交いましたが、とりあえず、ここでは2つだけ、自分の心に残ったキーワードを紹介します。

ひとつが「スペース」という言葉です。
いろんなNPOがこぞって、自分たちの活動を話すときに、スペースという言葉を口にしていました。「自分たちは建築によるプロボノというスペースで活動している」といった具合です。
「スペース」とは、文字通り訳せば「空間」という意味です。日本語でも、「スペース」という言葉は、よく使う言葉だと思います。もう少し意訳すれば、「分野」とか「領域」といった訳が当てはまるでしょう。

この「スペース」という言葉は、最近、米国のビジネスパーソンが好んで使う専門用語となっているそうです。
ビジネスパーソンなら、市場(Market)と言いそうなところを、あえて「スペース」と言うところに、新鮮さがあります。市場というと、いろんな人がひしめき合って窮屈な感じもしてきます。でも、「スペース」というと、未開拓の領域が広がっていて、フロンティアを切り開いているというイメージを思い起こさせます。
まだ手が付けられていない社会課題という「スペース」を見つけ、自分たちの持ち味を活かす。自分たちが、その「スペース」の中で、どのような役割を果たすかを明確に意識している。そんな戦略性を意識しながら活動しているNPOの様子が、「スペース」という言葉に端的に表れているように感じました。

もう一つ、印象的だったことは、NPOが、いかに社会的インパクトを大きくするか、社会に創出する価値を大きくするか、という考えが当然のように共有されていることで、この発想を象徴するのが「レバレッジ」という言葉です。

NPOは、社会的効用を最大化するための「レバレッジ(梃子)」となる仕掛けである。そのレバレッジによって生み出される社会的効用の大きさを、NPOどうしが競争し合っている。・・・これが米国のNPOの活動スタイルでしょう。

レバレッジという言葉は、日本では、リスクの高い金融商品を象徴する言葉として知られている側面もあると思いますし、米国でも金融業界でよく使われる言葉です。
しかし、こうした文脈とは別のところで、資本を大きくするのではなく、社会の効用を大きくする、という形で、NPOのまわりには、アメリカンドリームが広がっているようなのです。

NPOとは、少ない資源を大きな社会的価値へと変えることができるレバレッジの仕掛けであり、非常にダイナミックな存在である・・・。

そう考えると、最近の米国の就職先人気ランキングの上位にTeach For AmericaなどのNPOが入るようになりつつある状況にも、合点が行くような気がします。優秀な学生が求めているものは、実は、社会で必要とされる価値の最大化に、自分自身がどれだけ寄与できるか、ということであって、これまでは、ITや金融がそのための場を提供してきましたが、これらに加えて、NPOが、社会に求められている価値を最大化できる存在として認識されるようになってきた、ということないか・・・と。

グローバル・プロボノサミットは、NPOのイベントですが、兎にも角にも、お金の話題が次々と出てきました。
「1ドルの投資をすることで、○○ドルの社会的価値を創出できる」
何でもお金で測るという発想には、私自身にも若干の抵抗感がないわけではないのです。それでも、NPOによって生み出される社会的価値を、お金という形で換算してでも、人に伝えていくということをしなければいけないのだ、ということが、このサミットに出たことの最大の学びだったように思います。

これを、日本人の、ちょっと庶民的な感覚に置き換えて言うならば、実は、NPOにとって大事なことは「お得感」なのではないか、と言えるでしょうか。

“わずかこれだけのお金で、こんなに社会にいいことができる組織なんて、NPOのほかにはない!”

そう世の中に認めてもらえるような組織としてNPOが自らの社会的価値を打ち出していくことができれば、NPOに対する社会の理解や、親しみも、ぐっと増していくのではないでしょうか。

というわけで、自分も米国でちょっと目の色を変えまして、お金についてもっとうるさくなってみようかなと思います。(笑)

ただ、それというのは、うちのNPOがいくら稼いだ、とか、予算規模がいくらだ、とか、そういう話ではありません。世の中にいくらの社会的価値を生み出した、ということを、殊更に言っていく、ということにこだわっていくべきだ、ということです。

150万団体ものNPOがひしめき合っている米国は、NPOにとって窮屈な場所であるどころか、開拓し甲斐のあるフロンティアであり続けています。NPOには、まだまだたくさんの仕事が広がっていて、埋めなければならないギャップがあり、社会的価値を創出することが求められている。

「スペース」と「レバレッジ」・・・日本にも、まだまだスペースがあって、社会的価値を大きく生み出せるチャンスは、たくさん存在している。そのことは間違いありません。
Posted by サービスグラント at 18:10 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
サービスグラントのビジネスモデルを考える  2013年03月04日(Mon)
ニューヨークで開かれたグローバルプロボノサミット2013
日本を含む世界12ヵ国からプロボノのコーディネート団体、さらに、米国内の中間支援団体30団体などが集まり、活気に満ちた5日間のプログラムとなりました。

会期中の様子はFacebookのタイムラインでも簡単にご紹介していますが、ここでは、12ヵ国のプロボノ・コーディネート団体が、それぞれのビジネスモデルについて共有するセッションの内容と、そこで得たインスピレーションについて、少し書いてみたいと思います。

各地のプロボノ・コーディネート団体のビジネスモデルについて、ここではいくつかご紹介しましょう。

AEDPongamole(コスタリカ)
AEDは、企業のCSRに関連するサービスを提供する会員組織。会費として2,000ドル〜15,000ドルを集める。会員企業数は110社程度。
Pongamoleは、AEDから最近スピンアウトしたプロボノ専門組織。この会員組織に所属する3社(インテル、Credomatic(金融)、Florida(飲料メーカー))がスポンサーとなっている。

Volunteering New Zealand(ニュージーランド)
ボランティア・CSRに関する中間支援組織。
40%が企業のCSRに関するコンサルティングサービス提供などの自主事業、35%が政府からの補助、残りが財団や企業からの寄付金、という構成。予算規模は36万ドル。

恵沢人ボランティアセンター(中国)
もともとは財団からの支援が60%、企業が40%だったが、その比率が逆転して、現在では企業との協働プロジェクトが増えている。
主な協働先はIBM、HPなど。昨年は14件のプロジェクトを実施。今年は年間30件を目標。1件のプロジェクトにかかるコストは約2,000ドル。

Endeavour(カナダ)
専従スタッフは0名。メンバーはフリーランスのコンサルタントが中心。
プロボノプロジェクトは企業との連携により実施。プロボノ・コーディネートに要する事務局業務については、担当したメンバーに発生した業務に見合うコストを企業に請求するため、組織としてのリスクがないというスリムな構造。プロジェクト実施件数は年間10件。

Catchafire(米国)
上記4団体と違い、NPOから対価を徴収するFee-for-serviceモデル。団体の規模に応じて2,500〜4,500ドルのサービス利用料をNPOから徴収。

Taproot Foundation(米国)
60〜70%が財団、30%程度が企業。サービスグラントの運営経費として、数多くの財団から、1件当たり約7,500ドルの支援を受けている。現在全米5都市で年間300件、1地域につき年間で60〜80件のサービスグラントを提供。企業については、コンサルティングサービスの提供による収入。

・・・世界のどこを見渡しても、NPOの収入源は、個人、財団、企業、行政という区分は、変わりありません。こうした中で、世界各地のプロボノ・コーディネート団体は、それぞれの市場環境に応じたビジネスモデルを形成し、事業を運営しているわけです。

さて、こうした世界各地の動向を聞いていると、我々日本のサービスグラントのビジネスモデルの特殊性のようなものを、改めて自覚してしまった、、、というのが、この日の率直な感触でした。

サービスグラントのビジネスモデルは、70%が企業、30%が行政です。
ここまで聞けば、上記とそれほど変わらない感じがすると思いますが、重要な点は、年間に提供しているサービスグラントが約30件程度あるとしたら、そのうち、このビジネスモデルが成立しているものは10件あるかないかというところで、それ以外のプロボノプロジェクトについては、ビジネスモデルが成立していない「にもかかわらず」運営しているのです。

同時に、組織を維持運営していくために、企業や行政との連携プロジェクト等を運営しています。ここには「サービスグラント」というプログラムとは別に運営されているものもあります。大阪市の「大阪ホームタウンプロボノ」や、NECさんとの協働事業「NEC社会起業塾ビジネスサポーター」などがそれに該当します。こうしたプロジェクトの場合、支援先の選定を通常のサービスグラントとは別の基準やプロセスで行ったり、参加するプロボノワーカーが当該企業の社員に限定したりなど、通常のサービスグラントと異なるプロセスで運営しています。こうした形で運営されるプロボノプロジェクトが年間で15〜20件ほどあり、これらを合わせると、サービスグラントという組織は年間で実に50件ほどのプロボノプロジェクトを動かしていることになります。

前回のブログにも書きましたが、経済合理主義的な判断で行けば、収益を生まないサービスグラントの件数を極力抑えて、収益事業に注力するという判断もあり得るでしょう。しかし、私はその道は選ばないようにしたいと思っています。もしそのような近視眼的視点で収益事業に特化してしまったら、サービスグラントは、NPOの多様なニーズに触れる機会から一気に遠ざかり、活動はたちまちのうちに活力を失い、行き詰まってしまうと思うからです。

ただ、そんな中にも、財務上の健全性は必要です。
過度に無理をしすぎると、どこかに歪みが生じるのも、道理というもの・・・。

サービスグラントの2013年度のチャレンジは、米国のように、10万を超えると言われる助成財団がひしめきあう市場環境にない日本において、サービスグラントを低コストかつ高品質に運営できる体制を築きながら、企業および行政との連携によるプロボノプロジェクトを確実に運営できるような体制を構築する、ということなのだと思います。

それにしても、5日間の米国でのプログラムでは、いろいろ盛り沢山でしたが、本当にたくさんお金の話もしたような気がします。それがまた、いまの私たちにはちょうどタイムリーだったような気がします。
Posted by サービスグラント at 17:16 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
サービスグラントの運営と経済合理性  2013年03月01日(Fri)
ホームページにも掲載を始めましたが、この春スタートする2013年度第1期のサービスグラントについて、東京エリア限定ですが、NPOのみなさんからのエントリーを追加募集することにしました。

追加募集をする背景には、年明けから、プロボノワーカー希望者の皆さんを対象とした説明会を頻繁に開催したことが奏功し、1〜2月は通常よりも多くの方からスキル登録をいただいたのに対して、NPOからのエントリーが想定よりも少なく、アンバランスが生じたから、です。

せっかくこの春からプロボノに取り組んでみたい、と思う人が増えている中で、プロジェクトの数が少ない、というのは、もったいない話。プロボノのマッチングは、スキルを提供する側と、支援を希望する側の需給関係によって成立するので、どちらか一方だけが多すぎる、というアンバランスはなるべく避けなければなりません。

それにしても、こうしたNPOの追加募集をしながら、私の中では、自主的な判断でこうした動きが取れるということの価値を、感じています。

何を言っているのかというと、今回の追加募集は、行政や企業からの委託や協賛などが前提となって、どこかと契約上コミットした件数を満たさなくてはならないから追加で募集をかけた、といった経緯ではなく、純粋に、プロボノワーカーの皆さんが多数登録していただいたので、もっとプロジェクトを動かし、ひとつでも多くのNPOをサポートできれば、というところから出発しているのです。

冷静に考えると、プロジェクトの実施件数を増やすことによる経済的な面での直接的なメリットは、ないに等しいと思います。
何しろ、サービスグラントをどれだけ動かしても、NPOからも、プロボノワーカーからも、私たちに何か収入が発生する、ということは、現時点の仕組みでは、ないのです。プロジェクトを動かす件数を増やせば、それだけ、事務局のリソースは使われるでしょう。経済合理性を考えれば、全く合理的でない判断、ともいえるかもしれません。

でも、NPOが経済合理性だけで動いてしまっていいのかな、という思いが、私の中には、根強くあるのです。

今回の追加募集に至る経緯では、リクルーティングを担当するスタッフから、1〜2月にたくさんのプロボノワーカーを集めたのだからもっとたくさんのプロジェクトをやらなくては説明会でお会いした人たちに示しがつかない、という声が聞かれ、プロジェクト運営を担当するスタッフからも、もっとNPOを集めなければ、という声が出てきました。一方で、NPOの追加募集に対して「やる意味がない」とか「ほどほどでいいのでは」という気配のようなものは、誰からも感じられませんでした。

過去のブログでも、企業プロボノの重要性については触れましたし、企業や行政との間での契約に基づくお仕事としてのプロボノ・コーディネートは、私たちの持続可能な運営にとって不可欠です。

しかし、サービスグラントが、はつらつとしたNPOであるためには、お金が回る事業だけに囚われない、自律的なスタンスが求められるように思います。

100プロジェクト達成を記念して行った「プロボノシェアター」を機に、サービスグラントは、もう一段、新しいステージへと進んでいくべきときに来ているのだと思います。2005年は年間に3件、09年度は年間に10件を超え、12年度は年間に27件に。サービスグラントのキャパシティは、着実に、実施件数という形で表れています。もう一段、新しいステージへと進んだことの証拠は、実施件数という明快な数値となって、いずれ衆目の評価にさらされることになるでしょう。

▼NPOエントリー追加募集(東京エリア)について、詳しくはこちらのページをご覧ください
Posted by サービスグラント at 13:50 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
「シェアター」に至った経緯  2013年02月12日(Tue)
2月2日(土)、サービスグラントとしては、久々に規模の大きいイベント「プロボノシェアター」を開催しました。
登壇者まで含めると210名が参加し、座席数が246名の会場としてはほぼ席が埋まった感じの盛況となりました。

2009年12月に開催した「プロボノフォーラム」は、ラフォーレミュージアム原宿という会場で、ファッションジャーナリストでサービスグラント理事の生駒芳子さんの総合司会のもと、ゲストに知花くららさん、ソトコト編集長の小黒一三さんをお招きし、「プロボノ」という言葉のお披露目ともいうような昂揚感の中でイベントが催されたのを覚えています。「プロボノ」という言葉がまだあまり知られていないあの時期に、370名の来場者を集めるということは、今から考えても、2010年の「プロボノ元年」の幕開けを予感させるイベントとなりました。

そして、その後、「プロボノフォーラム」というイベントは、大阪で、佐賀で、広島で、各地でプロボノの動きが立ち上がろうとする場として、あるいは、プロボノワーカーやNPOが集う場として、ある一定のフォーマットを提供してきました。それは、NPOの立場からのプレゼンテーション、プロボノワーカーの立場からのプレゼンテーション、その合間に、来場者どうしの交流タイムやワークショップを織り交ぜる、というものでした。

それから3年余。サービスグラントとして取り組むプロジェクトの数が100件を超えてきたことを記念して、何らかのイベントを行いたい。その思いは、どちらかというと、私よりも、スタッフのみんなから湧き上ってきた声でした。スタッフ同士で集まったりして、「100プロ」という略称を使いながら、どんなイベントをやろうか、ということを、あれこれ話し合ってくれたようです。本を出す、特設ウェブを作る、そして、プロボノフォーラムを開く、あるいは、もっと別のイベントにする・・・、いろいろなアイデアが出てきましたが、そこには、やや推進力に欠くものがありました。「これだ!」という確信のようなものが、おそらく足りなかったのだと思います。そうした、モヤモヤした状態が、この「100プロ」をめぐっては、おそらく数ヵ月は続いたのではないかと思います。

とはいえ、プロジェクトの件数は着実に積み上がり、100件を超えてくる中で、「100プロ」を実施して意味を持つのは今年度中です。また、年度末はどう考えても忙しくなるということであれば、2月までに、何かをやるならやらなければならない。だんだんお尻に火がついてきました。

スタッフはどう感じているか分かりませんが、「シェアター」の内容は、スタッフが考えていることを吸い上げながら、昇華させた結果の企画です。ですので、その構成要素の基本は、スタッフの「あーでもない、こーでもない」に由来しています。ただ、その仕上げ方には、特別なインスピレーションを取り入れました。

そこには、プロボノフォーラムに限らず、最近のイベントのパターンのようなものがあり、それに少し食傷気味の自分がいました。オーソドックスな基調講演やパネルディスカッションのようなスタイルだと、どうしても話が冗長になる。頭で理解することはできるが、心には響いてこない。プレゼンテーション資料の作り方もだんだん似通ってきて、新味に欠ける。ワークショップも、以前ほどの目新しい感じはしない。何か新しい表現方法があってもいいのではないか。そんな気がしたのです。

インスピレーションのもとになったのは、たまたま昨年冬に香港で開かれたMaD – Make a Differenceというイベントでした。社会起業家の様々な取り組みを紹介するイベントが、1,200人の若者を集め、演劇の劇場で開かれていたのです。全編を通じてテーマ曲があり、まずその旋律が心に刻まれます。司会者はエンターテイナーの風格たっぷりに話し、メディアアーティストがパフォーマンスを繰り広げ、まさに劇場的な雰囲気の中でイベントが展開していきました。残念だったのは、プレゼンテーションの内容については、あまりコントロールされておらず、果たして面白いプレゼンテーションがどれぐらいあったのかは、今一つ印象に残っていません。ですが、この仕掛け、演出には、刺激を受けました。

シェアターでは、こうしたインスピレーションをもとにしながら、まず、会場を真っ暗にし、話者だけにスポットライトを当て、朗読劇のようなスタイルを取り入れました。冗長になりがちなプレゼンテーションを捨て去り、あらかじめ、スタッフが取材を行い、何度も練り上げた台本に従って、台本に忠実に読み上げる、というスタイルを取り入れました。

1時間半ほどの限られた時間の中で、5つのテーマが次々と続きますので、1つのテーマは15分前後です。その中で、テーマの解説役となるナレーター、社会課題の当事者の役割を読み上げるキャスト、そして、NPO、プロボノワーカーのゲストが、次々と登場し、スポットライトの中で、ゆっくりと、無駄のない台本を読み上げます。真っ暗でメモが取れないというお叱りは受けましたが、その代わり、来場者の多くは、舞台の上で綴られる一つひとつの言葉に耳を傾け、心で感じ取り、暗い空間の中で想像を豊かにしていきます。

来場者の交流の時間は、その後会場を移しての懇親会にすべて譲り、集中した時間の中で、コンパクトに社会的課題を伝える。その凝縮された時間を生み出すことが、シェアターの目指すところでした。

以上が、シェアターという企画が実現に至った一連の経緯ですが、こうした新しい表現スタイルを通じて、もう一つ目指していたのが、事務局スタッフのトレーニングという側面でした。

中間支援型NPO、分かりやすく言えば、NPOを支援するNPOという立場にあるサービスグラントのスタッフは、NPOとプロボノワーカー、あるいは、プロボノワーカーどうし、など、いろいろな組織や人の間に立つことが多い役割です。NPOもプロボノワーカーも、それぞれ専門性を持つプロフェッショナルですが、その間に立つ我々のプロフェッショナリズムは何でしょうか。それは、社会課題を的確にとらえ、様々なステークホルダーが参加できる共通の土俵をつくることにあるはずです。そうした間に立つ役割の人には、器用な人が多いですし、事務局スタッフも、ある種のネットワーク感覚というか、コミュニケーション力は高いメンバーが多いようには思います。ですが、本当のコミュニケーション力には、きちんとした背骨が必要であって、社会課題をしっかりとした構造の中で捉えたり、NPOやプロボノワーカーの課題をきちんとした枠組みに整理する力が必要です。日頃、サービスグラントのスタッフは、上手にプレゼンテーションをするなあ、と思う時もありますが、一つひとつ言葉を選び、正確性を高め、最適な表現を考え抜くというトレーニングは、あまり積んでいないのです。シェアターの台本を練り上げるという作業を通じて、そうしたトレーニングをすることは、こんなブログで大っぴらに書いてしまっておきながら変ですが、シェアターの密かな目的だったのだ、と思います。

今回、シェアターというイベントに取り組んで、社会的課題の伝え方には、まだまだいろいろなスタイルがあるとも感じました。伝え方によって、そのリアクションや効果が違ってくることも実感しました。なかなか、こうしたイベントを実現するのは、気力体力の必要なことですが、また何かの節目の時に、新しい表現にもチャレンジしたいと思います。

それから、もしこのようなシェアタースタイルを取り入れたいNPOの方などがいたら、遠慮なく参考にしていただければと思います。

よろしければ、当日のダイジェストレポートもご覧ください。
http://servicegrant.or.jp/event/index.php?id=65
Posted by サービスグラント at 09:21 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
2013年の滑り出し  2013年01月13日(Sun)
2013年が明けて、サービスグラント事務局の1週間がほぼ終わりました。
今年の抱負として事務局スタッフに言ったことは2つありました。

ひとつは、サービスグラントのさらなる生産性向上。
ひと昔前は、プロボノという発想そのものが新しく、その分経験しないことも多く、いろいろな課題を乗り越えるプロセスそのものを楽しむというような雰囲気がありました。それが、プロボノという概念が少しだけ社会に馴染んで、いろいろな場面でプロボノが力を発揮するようになってきました。もちろん、このことは何よりも歓迎すべきことです。
とはいえ、プロボノによるサポートが必要とされる場面や状況は、まだまだ無数に残されているでしょう。サービスグラントと企業プロボノ、両方を加えて年間50件近いプロボノプロジェクトを運営しているサービスグラントですが、その数に満足せず、もっと上を目指そう、というのが最初のメッセージです。
企業っぽい響きですが、文字通り「より良いものを、より安く」を目指すべきステージに、サービスグラントは差し掛かっているという認識を示しました。
多くのプロジェクトを運営することによって、個別のプロジェクトに十分なケアが行き届かなくなり、そこから課題が発生することもあった2012年。数が増えて質が下がっていくようなことはあってはならず、事務局がプロボノ・コーディネートのプロとしての働きを高め続けていくことが、2013年を迎えた今、求められているのだと思います。

もう一つは、事業基盤の継続的な刷新。
ポイントとなることはいくつもありますが、ここでは2つご紹介します。
一つは組織体制の刷新です。これまで、代表と各担当という二層に分かれていた組織構造を、代表−中間管理職−担当者という三層の組織構造へと切り替えていくことを年始から実施しました。
こうした体制変更は、なんということはない、他の組織でもやっていることですが、そんな一つひとつの変化が、私にとっては、常に新しいチャレンジです。それがこのNPOにとって、さらなるアントレプレナーシップにつながり、キャパシティを高めることへと向かわせるのかどうか。やれることはどんどんやっていきたいと思います。
二つめは人事制度です。NPOにおけるスタッフの評価制度の確立は、意外と多くの他のNPOでも悩みなのではないか、と思うぐらい、けっこう難しいテーマのように感じます。営業でたくさん稼いだらその分給料を上げる、という単純なシステムでないことだけは確かですが、かといって、毎年まったく給与が変わらない、というのでは活力が生まれないでしょう。給与を上げることがあるなら、下げるという可能性もあるわけで、その判断にはきちんとしたロジックが必要にもなるでしょう。
もちろん、人事制度は、このNPOが何を目指していて、どんな成果を生み出したいか、ということの裏返しであることは言うまでもなく、結果的に代表のリーダーシップが問われている、ということを意味するのだという自戒も込めた自分自身への抱負でもあります。

こうした年頭の挨拶で始まった1週間。
今週、いろいろな人に会う中で、どういうわけか、ポジティブなことが多かったなあ、と感じました。
クロスフィールズの小沼大地さんとの話では、NPOの人事や人材育成にもかなりプラスになりそうな新しいビジネスプランへと発展。理事の生駒さんたちと伝統工芸再生プロジェクトWAOについての打ち合わせでも、伝統工芸をサポートする事業の新しいスタイルにその場にいる人たちのアイデアが「創発」するエキサイティングな打ち合わせになりました。ドイツのBMW財団との電話ミーティングでは、2月末に予定されているニューヨークでのプロボノサミットの概要が示され、大掛かりなイベントの仕掛けにワクワクが募りました。NEC社会起業塾ビジネスサポーターの中間報告会に参加し、その後の懇親会では、隣席で飲んでいたオジサンたちに、あまりに楽しそうな飲み会であることを褒められるという妙な絡まれ方もしました。そういえば、しばらく懸案だった打ち合わせも霧が晴れたように着地点がクリアになり、成人の日の夜に放送されるNHKの時論公論の取材では、解説委員の方ととある話題で意気投合し・・・。

実は、上記のような年頭の抱負を語っておきながらも、自分自身はスッキリしている、というほどではなく、いろいろこれからやらなければなあ、ということが常に頭をもたげてもいます。必ずしもそれほど明るくもなかったように感じているのですが、周囲がポジティブすぎて、自分を暗くはさせてくれない、そんな不思議な軽やかさのある1週間でした。

平凡ですが、年賀状には「大らかに、のびのびと 常に新しい気持ちで」と書きました。
前を向いて進んでいきたいものだと思います。

nenga.jpg
Posted by サービスグラント at 22:56 | 代表ブログ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)
型をつくり、型を破る  2012年11月26日(Mon)
10月下旬に大阪で「地域コミュニティ自治」をテーマとするイベントを開催しました。
これは、大阪でこれから始まろうとする地域づくりの取り組みと、その取り組みを応援する新しいプロボノプログラム「大阪ホームタウンプロボノ」などをお披露目する場として開いたものです。

現在、橋下市長の市政改革の一環として、大阪市では、町内会の再編、新しい地域コミュニティ自治の仕組みづくりが掲げられています。現在の町内会に対する評価には様々な意見があるように思われますが、私の感触では、どうやら問題は町内会よりもむしろ、従来の大阪市の縦割り行政に多くの原因がありそうです。様々な部署が、ひも付きの補助金を町内会に落としていったことが、結果的にいま、草の根の地域コミュニティにさまざまな無駄や矛盾を生み出してきているようなのです。こうした、大阪市行政と町内会や地域コミュニティとの関係性を再定義しよう、というのが、市の方針であると理解しています。

こうした中、大阪市にある約330の連合振興町会(ほぼ小学校区と同じぐらいの大きさのエリア)において、「地域活動協議会」という組織を立ち上げることを、わずか1年半の間に市内全地域で実現しよう、という、これまたかなり性急な施策方針が打ち出されました。ドラスティックな目標設定ですが、この大方針に沿って、大阪の地域コミュニティは、短期間に大きな変革を迎えることになります。

こうした大方針の中で、反発する地域もあるかもしれませんが、これを機会にまちづくりを見つめなおそうとする地域も表れています。プロボノでは、これまでの地域の良さを生かしながらも、新しい住民や若い世代などが参加したり、これまで満たされなかった住民ニーズに応えることができるような地域づくりに取り組もうとする地域コミュニティを応援していけたら、と考えているのです。果たしてプロボノが大阪の地域コミュニティの中でワークするのか、前向きに捉えれば、それは新しいチャレンジです。

ところで、こうした新しい大きな流れの中で開いたこのイベント自体も、個人的にかなり画期的な取り組みだと思いながら、実施を提案したのでした。大阪のパートナーである大阪市コミュニティ協会の皆さんの器量ゆえに、二つ返事で「やりましょう!」という運びになったことにも、感謝したいと思います。

何が画期的だったかというと、行政事業の受託者が、仕様書に書かれているわけでもないのに、「私たちはこんなことを目指しています」ということを発信する、というお披露目的なイベントを開催したことになるわけですが、少なくとも、自分がコンサルタントだった経験を振り返ってみる限り、そんな面倒なことをする受託者は前代未聞のような気がしているからなのです。

ただ、実際にこうしたイベントを開いてみて感じたことは、受託者側が、この事業にどのような可能性を見出しているかを事業に着手したばかりの初期の段階で発信しておくことは、事業の今後の推進力に大きな力を与え得るものなのではないか、という予感です。特に、我々のようなまだ知られていない組織が、地域において新しい取り組みを始める際に、我々が何者であるかをイベントという公開の場において発信する、ということには、様々な意味があると感じます。もちろん、事業は1年半続くものであり、その最終的な評価は、事業の終了後になされるものであることは、重々承知の上ですが。

これは一つの小さなエピソードですが、大小さまざまな型破りもまた、必要だなと感じます。
特に最近思うことですが、サービスグラントという活動は、プロボノという領域において、かなり枠組みのしっかりした「型」を示すことによって、多くのNPOとプロボノワーカーとをつなげることを実現する仕組みだと思います。往々にして混沌とした状況となることも珍しくないボランティアという世界の中に、整然とした流れを持ちこんで、高い確度で成果物を生み出すという手法は、サービスグラントの持ち味でもあり、今後もそのやり方を維持し、改良し続けていくことはあっても、捨て去ることはないでしょう。
ですが、同時に感じることは、一度作った「型」は、少しずつ陳腐化し、あるいは、当たり前のことになり、ときに安っぽくなっていくことも確かです。場合によっては、「型」を意識するあまり、活動のなかに本来は宿っていた生命力のようなものが減退し、ただそこに「型」だけが残ってしまうようなことにもなりかねない、そんな微妙な感覚を覚えることもあります。ちょっと前に作った進行ガイドは、時折古びて見えるもので、だから常に改定していかなければならないし、以前成功していたプロセスでも硬直化しすぎるようであれば流れを変えなければならないでしょう。場合によっては、以前は何らかの理由があってやらないと言っていたことを、このタイミングにおいて改めてやってみる、ということもあり得ると思います。(この付近については、また改めてどこかのタイミングで書きたいと思います。)

いずれにせよ、私たちは、「型」を作る活動でありながら、「型」を常に疑い、時に「型」を破っていかなければならないのでしょう。

NPOという組織が大変なのは、立ち上げもさることながら、日々の活動を動かしながら自らを変革していくことにあると思います。しかし、それをしていかなければ、活動は停滞してしまうのでしょう。

●大阪ホームタウンプロボノについてはこちらをご覧ください

●緊急開催「まちづくりの未来を考えるシンポジウム」Ustream中継録画はこちらをご覧ください
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「企業プロボノ」から何を学ぶか  2012年10月22日(Mon)
「プロボノプロジェクトの65%は重大な危機に直面し、50%は成果を生み出さずに失敗する」とは、米国のタップルートファウンデーションが、プロボノの運営リスクについて語るときに使うフレーズです。

プロボノのリスクを事前に把握し、そうしたリスクを回避するための策を講じることによって、プロジェクトの成功確率を95%以上に引き上げることができる、そうすれば、NPOも、プロボノワーカーも、お互いハッピーになれる…。このことが、サービスグラントにたくさんの人からスキル登録をいただいたり、NPOの方からエントリーを頂戴したり、そして、そこに関わる私たちサービスグラントの事務局スタッフを支えるモチベーションともなる原動力なのです。

昔話をすれば、日本では、2005年に、お試し的にスタートさせた3件のプロジェクト以後、2008年までは、サービスグラントの事務局運営はほぼすべて私の個人的活動というレベルにとどまっており、スキル登録してくださる方も年30人程度、月にしたら2〜3人、という水準でした。

それが2009年以後、NPO法人化を機に、日本財団の支援を受けて、いくつかの基盤整備を図ったことが奏功し、現在では、スキル登録者の数も、プロジェクトの数も、2008年以前と比較するとほぼ10倍ぐらいの規模にまで育ってきました。スタッフもパートタイム・インターンまで含めると10名。これまた隔世の感がある話です。

さて、そんなサービスグラントの運営を支えている大きな割合を担う事業が「企業プロボノ」と言われるものです。

サービスグラントのホームページのフッタ上にも、協働パートナー企業のバナーを掲出させていただいていますが、まさにこの「企業プロボノ」があることによって、サービスグラントの運営は支えられています。

ただ、この企業プロボノの運営は、ただでさえ様々なリスクがあるプロボノプロジェクトの運営に、さらにランクアップした難易度を加えたものとなることも事実です。

プロボノワーカーに関するリスクとしては、メンバーがお仕事等の都合で続けられなくなったり、メールでのコミュニケーションがとりづらくなりスケジュールがズルズルと遅延したり、メンバー内のいわゆる“相性”に問題を抱えることも過去に数件ありましたし、プロジェクトチームが当初のスコープから逸脱するといったこともあります。NPOに関するリスクとしては、内部の意思決定が遅れたり、ヒアリング先のアポイントがなかなか取れなかったり、情報提供が遅れるといったこともあります。一つひとつは、小さなことばかりなのですが、小さなことを放置しておくとどんどん大きなズレに発展していき、プロジェクトは深刻な場面を迎えることもあります。

企業プロボノは、こうしたプロジェクト運営の細々した対応に加えて、企業のCSR担当部署の方などとの対応が加わります。そこでは、企業に所属する社員の方に対するフォロー、広報に関すること、コミュニケーションの手法、企業のCSR方針や企業文化に見合うプロジェクト運営、各企業向けの報告書の作成や打ち合わせへの対応などが必要であり、そこにはまた細かい確認、承認、報告、連絡等の対応が欠かせません。

サービスグラントのスタッフは、担当企業を1〜3社程度定め、その企業プロボノの担当を行うとともに、通常のサービスグラントの運営にも関わり、常時プロジェクト件数にして5〜10件のプロジェクトを1名でサポートして何とか活動を維持しています。

このように、企業プロボノの運営という形で、サービスグラントの運営を維持するのは、日本の市場環境における必然的な形だとも言えます。米国のタップルートファウンデーションのような収入構造は、日本では真似ができないのです。

というのも、タップルートを支えるお金の大半は「財団」が担っています。米国には、およそ10万団体と言われる助成財団が存在しており、NPOのファンドレイジングにとって重要な役割を果たしています。タップルートが企業と協働する事例はここ2〜3年で増えてきているそうですが、それでも、助成財団に比べると、その存在はマイナーです。ちなみに、寄付文化が発展しているという米国においてですら、タップルートへの個人寄付は収入の1〜2%にとどまっています。

日本の場合、有力な助成財団の数が少なく、米国の環境とは全く異なっています。こうした中でプロボノの活動を、“私・嵯峨の個人的活動というレベル”で留まらせないためには、企業プロボノは必然的な答えであり、スタッフが「食べていく」ためには、企業プロボノを避けて通るわけにはいかないのです。

企業プロボノは、スタッフに、ただでさえ細かい対応が必要なプロボノプロジェクトに、さらに輪をかけて負荷をかける取り組みです。しかしながら、ここを避けて通ることができないのであれば、ちゃんとやるしかない。それが、サービスグラントの代表としての自分の考えです。

実際、企業とサービスグラントとの間には、お金のやり取りが発生します。このお金のやり取り、という経済原理が発生するところ、そして、そこには当然ながら、一定の緊張感が伴うところをどう捉えるか。ここでは、「企業のためにやっている」ということではなく、「企業の胸を借りて、プロボノのレベルを高めさせていただいているのだ」というように、目線を高く持つしかないのだ、と、思います。

企業のためにやる、だとしたら、CSR活動の請負会社のような感じですが、そうしたスタンスは、私たちの組織には向かないだろうと思います。そうではなく、経済原理が発生する緊張感あるプロボノプロジェクトの運営を通じて、プロボノそのもののレベルを高めていくのだ、と考えることのほうが、よほど健全でしょうし、サービスグラントらしい姿勢だと思います。

実際、企業プロボノを通じて発生する課題の多くは、実は、サービスグラントの通常のプロジェクトでも抱えている課題が、そのまま反映されているものだと言えるのです。ただ、サービスグラントの場合、NPOやプロボノワーカーの皆さんの好意に甘えてしまい、課題が表面化してこないだけなのかもしれません。そこが、企業プロボノになると、違ってきます。

いま、サービスグラント最大の課題の一つは、スケジュール管理です。
「週5時間」×「6ヵ月程度」という目標を打ち出してはいますが、諸般の事情からプロジェクト期間が延長することが時折発生しており、そのことは、ずっと課題でありつつけています。私たちも、何も策を講じていないわけではありませんが、事務局として、どこまでプロボノワーカーの皆さんに詰め寄っていいのか、どういった形でスケジュール通りの進行を実現するのか、といったことで決め手に欠き、いまだに課題を抱えています。また、事務局スタッフの一人ひとりが、課題に気付く力、課題解決策を考える力、そして、課題を打開するために人を動かす力、それぞれにおいて、まだまだ成長の途上にあります。

企業プロボノを通じて先鋭化したプロボノ運営の課題は、まずは、クライアントとなる企業との信頼関係を再構築して、課題を抱えたプロジェクトを立て直すことからスタートしますが、その根本的なところにある、プロボノ運営そのものの課題解決を図って、サービスグラントの運営全体を一歩一歩レベルアップしていかなければならないのだと思います。

そこには、スタッフ一人ひとりが自覚を高め、力をつけていくこと、と同時に、組織としてそうした運営を可能にする仕組みを開発すること、その両方が求められているのだと思います。
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NPOの成熟とプロボノの果たす役割  2012年10月01日(Mon)
先日同席させていただいた、NPOカタリバとゴールドマン・サックスのプロボノチームとの最終ミーティングは、これまたちょっとした驚きというか、発見のある機会となりました。

ゴールドマン・サックスの皆さんによるプロボノは、被災地の学習支援活動を機にさらに大きく広がったカタリバさんが、どのようにファンドレイジングをしていくか、に関する提案を中心とするものでした。

詳細はあまりここでは書けないのですが、非常に大雑把に書いてしまえば、きちんと寄付者ニーズを把握し、寄付者が参加しやすい枠組みを用意し、寄付者に対してこまめな報告を行う、という内容です。

ん? この書き方では、あまりに”当たり前のこと”を言っているように見えて、その”味わい”のようなものが伝わりませんね…。

今回の提案のポイントは、、、チームが出した提案が、いかにも”上から…”な感じの表面的な意見と一線を画すもので、組織的に急成長し変化の時を迎えているカタリバさんのニーズに見合うように、提案内容に優先順位を付け、体系的に整理することによって、カタリバさんという組織にとって、取り組みやすいような道筋を示しながらの提案となっていた点ではないかと思われます。

こうしたチームの提案がカタリバさんにしっかりと受け止められた背景のなかには、ゴールドマンの社員の皆さんたちが、毎週のように社内で打ち合わせを重ね、議論を深めていったこと、(カタリバさんのウェブなども、しょっちゅうチェックしていたそうです)、あるいは、チームが女川や大槌などの現地に週末に自腹で足を運び、現地の子どもたちとの会話などもしたり、都内で寄付者や支援企業へのヒアリングやアンケート調査などを実施するなど、カタリバさんに対する理解をするために、限られた時間の中でも動かれた、ということも大きかったと思います。それと、見事だと思ったのは、そうした提案をしっかり受け止めて、不器用さすら感じさせるほどの真面目さをもって、受けた提案を具体化させようと、カタリバのスタッフの皆さんが汗をかいて手を動かしたということがもう一つ。この双方の力が相乗効果を生むように機能したことが、最終ミーティングにおけるお互いの満足な表情につながっているのだと感じました。

帰り際、カタリバさんに現在のスタッフ数を伺ったところ、正職員だけで34名、学生の長期インターンを含めるとスタッフ数が57名に上るということです。言うまでもなく、日本のNPOとしては随分と大きい部類に入るのですが、こうした組織が、確かに登場してきているのです。

カタリバさんの今回の対応の特徴は、一つは、代表の今村さんがほぼ大半の時間を東北の現場での活動に割いており、東京事務所には代表がいない、ということ。そうした中、事務局長や、各部門のリーダーが中心となって、プロボノチームに対応したことです。

事業の創業者本人ではなく、事業が発展する中でNPOに合流してきたメンバーたちが、次第に組織運営上の責任を持つようになり、そうした責任者たちが主たる受け手となるプロボノプロジェクトとなったわけです。

この規模のNPOになると、しかも、カタリバさんのように東京と被災地のそれぞれに拠点を構えるNPOとなると、組織の代表者が職員一人ひとりに直接接して話しかけることがきわめて少なくなり、中間的な管理職の重要度が高まっていくのでしょう。

と同時に、ボランティアの活力、学生の活力を生かした勢いある運営はそのままで、日々いろいろなことに追われて、組織の方向性や、取り組みの優先順位づけなどを落ち着いて考える余裕がない、という状況なのでしょう。

でも、数人単位の小規模のNPOと違って、カタリバさんには、スタッフの体制があり、それに伴って物事を実行できる行動力があります。そのスタッフの皆さんに、組織の方向性をクリアに示すことができ、優先順位を伝え、意識を整えることができれば、手を動かせる力はある、という状況が存在する、ということなのです。

これまで、サービスグラントは、「明日からでも活用できるような具体的なツール」を提供することに主眼を置いてきました。このことは、これからも、主力スタッフが数人程度の小規模なNPOに対しては効果的であり続けるでしょう。

と同時に、私の中で、「NPOにコンサルティングを提供しても、提案を実行できる体制がない」という想定は、今回のカタリバさんの動きを見ても、塗り替えられるべきだ、ということが一層明らかになってきました。

少しずつ、個々のNPOが体力をつけてきた中で、その体力を効果的に生かすための戦略的なコンサルティングが、NPOにもいよいよ求められるようになってきた、そのことを確信する機会となりました。

打ち合わせの最後に、ゴールドマン・サックスの方がこう言っていました。
「カタリバさんは、私たちにはできないことをやってくださっていますから・・・。」

実行力を備えたNPOが、外部に開かれた姿勢を保ち、提案を真摯に受け止めて行動に移す。NPOとプロボノとの、さらに成熟した協働の姿を、この打ち合わせで見たような気がしました。

※参考
ゴールドマン・サックス プロボノプロジェクトについてはこちらもご覧ください
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支援の文法  2012年09月24日(Mon)
NPOの「審査」の時期は、サービスグラント事務局が最もあわただしくなる時期でもあります。
今期も、数多くのNPOの方とお話をさせていただきながら、サービスグラントによってどのような応援ができるのか、こちらも考える機会をいただきました。

審査という、一見冷徹なように思われるプロセスでありながら、そして、こちらが採択の可否を判断させていただく立場でありながら、応募いただいたNPOの方たちから、いろんなことを引き出していただいて有難い、といった類のコメントをいただく光栄なケースもあり、そのひと言は、一服の清涼剤のようでもあります。

しかしながら、一方では、そううまくはいかないこともあります。
今期の審査を通じて改めて感じたのは、私たちサービスグラントができる支援の形というのは、一定の思考様式に則ったものであり、支援できるものとできないものとの区別が明確にある、ということでした。

先日のあるNPOの方とのやり取りが印象に残っています。
そのNPOの方に、事業の目標をお伺いしました。するとその方からは「求めがあったものはすべて応えます。目標などは立てません。全部やります」という答えが返ってきました。

「でも、限られたスタッフの皆さんで、どんな要望にでも応えることが本当にできるのですか?」と聞くと、「NPOって、目標を立てなければいけないのですか? それじゃ企業と同じじゃないですか」というお返事が返ってきました。

「そうはいっても、どういう人を中心に、活動を行っていきたい、という方向性などはないのですか?」という問いには「私たちの活動の対象は、社会的弱者すべてです」という答えでした。

活動そのものは、いい取り組みだと思って、一次審査を通過し、二次審査にお越しいただいたのですが、あいにく、中長期的な目標設定をお伺いすることはできず、むしろ、議論は平行線をたどり、事務局の審査会場は、厳しい空気となりました。

このNPOの方のお話を通じて明確に感じたのは、この団体がいけない、ということではなくて、こうした団体に対してはサービスグラントという支援の仕組みは向いていない、ということです。

サービスグラントの支援というのは、狭き門、と、そのNPOの方には映ったのかもしれません。あるいは、その人に言わせれば、NPOのことが分かっているのか、ぐらいに思われたかもしれません。

確かに、支援の中にも、いろいろな支援があって、どんな人にでも、どんな悩みにでも応えるという支援があってもよいのでしょう。ただ、何らかの目標を立てて、その目標を達成するために具体的な施策を打っていく、という、ある意味、ものすごくオーソドックスな支援をサービスグラントは提供しているのであって、それ以上のもの、その枠組みを大幅に超えたようなものは、サービスグラントでは困難だと考えています。

個人的には、すべてのNPOが、きっちり目標を立てて、その目標のために戦略を立て、施策を講じる、というようなビジネスライクな組織だけになっては、ちょっと興醒めだな、と思うところもあります。NPOの魅力的な側面は、目標など定めず、無計画と言われようが、どんなニーズも拾い上げて応えていく、ということの中にも、あるのかもしれません。

ただ、そうしたNPOに、外部の人が入り込んで、支援を行うのは、きわめて難しいでしょう。
もし外部に支援を求めるのであれば、NPOの側が、外部に開かれた姿勢を持ち、組織の重要な方向性については何らかの具体的な基準や価値観を明確にするようにするべきだと思います。そうでなければ、悟りの境地を開いたような人が、ものすごい度量をもってNPOと接するような機会が訪れるのを待つ、というのがよさそうです。

蛇足ですが、時々、私のことを“菩薩のような人”と呼ぶ人がいて驚くのですが、実際には、私は、まだ全然、菩薩などにはなれていないですし、今のところ、そうなりたいとも思っていないようです。
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