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IINAにPALM8分析記事掲載 [2018年08月01日(Wed)]

国際情報ネットワーク分析IINAに、5月に開催された第8回太平洋・島サミット(PALM8)に関する分析記事が掲載されました。自分の視点なので、他にはない内容かもしれません。
是非ご一読ください。

IINAサイト

IINAについて


新しいステージに向かう日本と太平洋島嶼関係(1)ー福島県いわき市での第8回太平洋・島サミットの意義

サミットから2カ月半経ちましたが、この期間のフォローアップで得た情報も踏まえたものとなっています。

フィジー韓国関連ニュース [2018年08月02日(Thu)]

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180802-00000032-jij_afp-int
昨年頃から、フィジーで急速に有名になったグループがあります。

韓国のグレース・ロードというグループで、現地で米作農業やレストランなどを展開し、質の良さと価格の安さから、フィジー政府内での評価もうなぎのぼり、根深く浸透しつつあり、海外からの投資の成功例としてよく取り上げられています。

一方、宗教関係のグループという話もあり、信者の方々が、非常に低い賃金もしくは奉仕活動のようなもので、労働力を提供しているとの話もありました。

詳細は分かりません。
ランブータン [2018年08月05日(Sun)]

パラオはランブータンの季節を迎えました。
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Collared Kingfisher, ナンヨウショウビンがいたり。

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昨日から今朝まで強い雨が降っていましたが、フィールドに出ると、次第に青空が広がって行きました。

パラオの伝統的建物バイの始まりの場所。

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LL

パラオの地域密着型エコツーリズム再始動。
PIFサミット事務レベル準備会合(アピア、サモア) [2018年08月07日(Tue)]

今日から、PIF(太平洋諸島フォーラム)議長国サモアの首都アピアで、9月3日からナウルで開催される第49回PIFサミットに向けた事務レベルの準備会合が開催されています。

この会合開催に際し、テイラーPIF事務局長のスピーチ内容が配信されました。

ポイントはいくつかありますが、特に2回、PALM8について触れられています。

1つ目は、非常にディマンディングな交渉ではあったが、PALM8に地域として貢献できたということ。そのためのメンバー国、CROP機関(PIFから派生した地域機関のグループ)が太平洋地域に意味のある成果を確保するために協働したことが、「ブルー・パシフィック」の精神の表れであること。

2つ目は、PALM8の交渉において、CROP機関と素晴らしい協力と連携ができ、フォーラムメンバーを助けたことが、フォーラム諸国と地域機関の連携の実践的事例であること。

あとは、新しい地域安全保障協力に関するビケタワ・プラス宣言の文言調整について、しっかりと島嶼国側の関心事項を反映させようとするもの。

もう一つは、CROP憲章の見直し。

昨年来、笹川平和財団ではPALM8の成功へ向けた対話を行ってきましたが、地域機関を重要視する姿勢は、現地の動向と一致しているように思います。
米中貿易戦争の狙い? [2018年08月09日(Thu)]

つい先日、パラオに米軍海兵隊、オスプレイやヘリが到着し、海上監視訓練のようなものが行われていました。
トランプ政権になり、動きが予測できないと言われていますが、パラオに限っては、スタックしていたコンパクト財政支援が8年を経てリリースされ、米国がパラオに海域と空域をカバーするレーダー施設設置の動きが順調に進んでいます。レーダー施設設置に合わせ、米国はコーストガードではなく、軍がプレゼンスを高めるような空気を感じます。

コンパクトの規定により、警察権による法執行はパラオ政府が担うものの、安全保障(防衛)については米国がほぼ米国の考えで展開できます。

パラオ側も、人口比で言えば無視できない割合の国民が米軍に参加しており、米国とともに自由と民主主義のために戦っているという意識があると、現地政府の高いレベルの人に何度か教えられたことがあります。

パラオでは、トランプ政権に代わってから、着々と米国のプレゼンスが改めて拡大しています。

2023年に終了するミクロネシア連邦とマーシャル諸島の改定コンパクトについても、自分としてはやきもきしていましたが、米国側はすでに改定交渉の準備を進めているようです。


標題に戻りますが、自分は米国についても中国についても専門性はなく、一般の方々と同じような理解だと思いますが、太平洋島嶼地域の視点から気づくこともあります。

太平洋島嶼地域の開発途上国は、常に開発パートナーを必要としています。かつては先進国が先進国のルールで開発協力を行ってきました。それは先進国と途上国間の経済力の差が根底にあったと思います。

ところが途上国であるはずの中国が強大な経済力を持ち、大規模で、先進国が築いてきた開発協力のルールだとか秩序に従う必要がない開発協力を進めるようになりました。

民間のアプローチも含め、中国の地域への協力は、大きい視点では従来の秩序への影響を及ぼしますが、それが違法だとか言える類のものではなく、我々が批判できる根拠を見つけることが容易ではありません。特に表を見ている限りでは。

単純化すれば、(1)中国は経済力がある、(2)中国は途上国であるため先進国のルールに従う必要はなく違法性もない、(3)故に地域への代替的協力枠組みを構築しつつあり、(4)地域への影響が拡大している。

という状況にあり、止めたいとすれば、どうすればいいのか?となるわけです。

そこで、標題に戻ると、トランプ大統領が米国から見た中国との貿易による不利益を是正しようとして仕掛けた中国との貿易戦争ですが、仮にこれが中国の経済成長を鈍化させ、経済力が弱まれば、、、。

太平洋島嶼地域の視点から見ると、いろいろなものが関連しているように見え、かなり興味深い状況にあるように思います。
夏季休暇 [2018年08月13日(Mon)]

財団は先週土曜から19までの夏季休暇に入りました。いくつになっても自由時間ができるのは嬉しい。(独り身で気楽な奴が何言ってんだという声が聞こえてきそう)
この機会に遅れている資料分析を進めなきゃと思いつつ、休みはスポンジを絞るように仕事から離れて、吸収力を高めるべき、と思ったりしているうちに時間が過ぎてしまうので、中間点を取って(?)、部屋の大掃除を進めています。

考えてみると、2003年から同じ住居に3年以上住んだことがないのですが、今の部屋はもうすぐ3年になります。

この町に未だに馴染んでいませんが、先日はじめて近所の歩いて3分のところで髪を切りました。EXILEのお店(?)の近く、おしゃれなところで、初老に入るかというおっさんでもいいのかと内心ビビってましたが、いい感じ。雑誌のPopeyeがまだ出ていることには驚きました。

ちょうどダイエットの中間安定期(?)で、腹も減っ込み、顔も少しだけ貧相になってきたので、近所で髪を切るには良いタイミングかもしれません。

あとはだらだらとネットで映画を見つつポテチとコーラをやりたいのですが、ピザとコーラもいいなあと思ったりしつつ、実際には水や杜仲茶と、大根と鳥羽産のワカメの三杯酢で。

外務省の任期付職員でフィジーで書記官をしていた時もそうでしたが、普段は通常の業務で情報を読み込んで分析する時間の確保が難しく、土日や休日が重要な機会になります。加えて体調管理として、体を動かすにはうってつけです。疲労回復が遅れても寝ていられるし。

この休みも雲の予想と気温を見ながら、走り出し、フィジーにいたときと同じような時間の使い方をしています。今は葉巻も家飲みもしていないし、干物を作ったりチョコレートを作っていないのが大きな違い。音楽も忘れてしまったか。

ともかく、だいぶ部屋の掃除も進んだし、明日には書棚が届くので、少しずつ頭の整理も進んでいくことでしょう。

ああ、あとは、欲望に負けてリバウンドする可能性もありますが、体のサイズが変わってしまったので、服を作り直さないといけない。こんなのも連休だからこそ、動いてみようと思えます。


さて。休み期間ではありますが、職場のメールは読めますので、御用のある方は、いつもどおりご連絡ください。一瞬実家に帰りますが、基本的に都内にいます。
夏季休暇2 [2018年08月14日(Tue)]

今日は書棚が届き、組み立てに苦戦しつつも、中途半端なスペースを有効活用できるようになりました。これでクローゼットに隠れていた本を表に出せるようになりました。
また楽しみにしていたアルバムを聴きながら走りました。45分以上走るのはきついので、目黒川沿いと代官山コース。目黒川沿いの道は、スバのマングローブ沿いの道と同じ匂いがしました。

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少しずつ削いでいって、今、体重67キロ前後。ここからは筋肉を維持しつつ、体のバランスを調整して、いずれもう1、2キロ落としたいところ。そう思うと、久しぶりに飲みに行こうと外に出ても、野菜を買って帰ってきてしまう。

そういえば、昨日の記事を読んだわけではないでしょうが、先ほど島嶼国ではない海外の友人から、連絡がありました。真剣にいろいろ議論した仲間でした。元気でなによりです。
トンガ首相がダイエット競争呼びかけというニュース [2018年08月16日(Thu)]

ヤフーで面白いニュースが紹介されていました。詳細はリンク先で。


ね?自分もダイエットしてるけど、感覚がシンクロしてるでしょ?

自分の関心が、島嶼国のみんなと近いのかもしれない。
トンガの債務関係 [2018年08月16日(Thu)]

友人から日経の記事を教えていただきました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34180030V10C18A8910M00/


トンガの債務関係についてここに書いた気がするのですが、ちょうどいい機会だと思いますので改めて書いてみます。

2006年、中国政府は温家宝首相(当時)がフィジーを訪問し、第1回島サミットを開催し、その場で2005年以前のローン取り消しを表明し、トンガ政府などはこのことで利益を得ました。

2006年11月、トンガでは民主化運動が暴動に繋がり、首都トンガタプの商業地区(CBD)が焼け野原となり、その復旧に200億円以上かかると報じられました。対象は民間企業などとなるため、豪州とNZが民間銀行を通じた低利融資10億円程度の資金を提供しましたが、他のドナーが手を挙げることはなく、2008年10月に中国が約60億円のローンを提供しました。

2006年の暴動では在留中国人が多く被害を被り、また民主化運動家である現在のポヒバ首相が、結果的に暴動の扇動者のようになってしまった背景があります(議会前でポヒバ氏らが演説をしていたところ、その後、暴動に発展したと当時の記事にある)。

その後、2009年、中国はトンガに対し、道路改善計画で50億円程度のローンを提供しています。

トンガのVuna埠頭整備(設計はNZ企業、施工は中国企業)や政府庁舎(旧名称St George Palace)はCBDローンの資金が使われています。

CBDローンの返済猶予期間5年であり、2013年9月から返済開始でしたが、交渉の末、2014年6月に返済開始5年延長が合意され、今年9月に改めて返済開始となります。この期間、トンガ政府は何度か債務取り消しを中国政府に求めていましたが、中国輸出入銀行との取り決めとして、中国政府はこれを認めないい姿勢を続けています。

道路ローンについては、返済猶予期間10年なので、2019年から返済開始となります。

しかしいずれも利子2%+管理費等で毎年4%程度(4億円超)の支払いを中国輸出入銀行に行っている状況にあります。

ここで改めて、トンガの経済情勢を確認します。(トンガ財務省資料、IMF4条協議資料から)
・GDP約 470億円(大きなソースは、海外からの送金、ドナーの支援など)
・政府予算約210億円 

債務については、下記のとおり。
・全体 230億円(GDP比48%)
・対外債務200億円(同42%)
・対中債務120億円(GDP比25%、政府予算比57%)(対外債務に含まれています)
 *利子・管理費支払い合計年5億円程度

対中債務内訳  
@首都ビジネス地区(CBD)(約60億円)約120百万トンガドル
 2008年に契約、猶予期間5年から10年に延期、返済20年

A道路整備計画(約45億円)約90百万トンガドル
 2010年に契約、猶予期間10年、返済20年

IMFはトンガの債務健全性(2017)を中リスクとしています。2013年ごろは高リスクでした。

その後、中国はトンガの2019パシフィック・ゲーム主催に合わせ、スポーツ施設建設約30億円を約束し、当初ローンと考えられていましたが、ポヒバ政権の下でグラントとなりました(トンガはパシフィックゲームス開催断念)。

これが今年3月ごろまでの話。

その後、今年の2月にサイクロンGITAが直撃したことで、現地経済は一時的に厳しい状況に陥っている可能性があります。(他方、バヌアツやフィジーを見ると災害発生年はGDPが落ちるが、翌年には資金流入や建設業活況により大きく回復する傾向にある)


トンガ政府は、サイクロン被害からの復興という財政支出増がある中で、来月にCBDローンの返済が開始されることになります。そのため、猶予期間の再延期か帳消しを中国に求めたい状況が続きます。これが中国にとっては重要なカードとなります。

昨年の朝日グローブ記事(自分のコメントが出ています)
https://globe.asahi.com/article/11530004


中国のローンの内容は闇金のようなものではなく、帳消しを求めるトンガの方にも問題があるようにも思えますが(これが日本の借款で、トンガが取り消しを求めたらどう思うかという。。)、フィジーの例を見るとトンガとしては帳消し以外にいくつか選択肢があるように思えます。

1. GDPを上げる。GDPが上がれば債務のGDP比は下がる。政府財政も”おそらく”改善するので、真っ当な財政政策が取れる。フィジーは内需拡大政策とインフラ建設拡大政策などにより、2013年以降これに成功しました。

2. 公債を発行する。フィジーは利率7%とも9%ともいわれる公債を発行したことがあります。例えば低利の公債を発行し、日本や先進国、ADBなどに買わせ、中国のローン分を返済してしまう。


乱暴なやり方だと、日本政府などが低利で貸し替えするとか。


それ以外だと、中国政府との交渉になり、おそらくポートモレスビーAPEC直前の中国・島サミットで、中国政府が債務免除声明を出すことを期待するということでしょうか。その場合、見返りは何になるのかを注視しなければなりません。
個と個の集合体 [2018年08月17日(Fri)]

つい忘れがちなのですが、昨年、情報収集などを目的として、フィジー、トンガ、サモアに出張した時には、現地の日本大使館の大使、公使、参事官、書記官の皆さんに温かく支えていただきました。あらためて感謝いたします。

自分の動きには、日本側の考え方が多様性を持つための役割もあるように思っていますが、相手側も日本のさまざまな立場の人にメッセージが伝わるように、あえて自分に話してくれることもあります。

演繹的に言えば、このような積み重ねが、日本に多様性を持たせ、官民を通じた日本のプレゼンス向上に繋がり、(ここは何段階か飛躍があると思いますが)日本の安全保障確保につながるのではと思っています。


ざっと振り返ってみると、少なくとも3年前よりは、いろいろなところでいろいろな人が、より深い話をしているように思います。それは日本と太平洋島嶼国の話であったり、現地の安全保障の見方や、伝統的秩序や、警察権と伝統的安全保障の境目だとか、ミクロネシア3国の米国コンパクトだとか。

10年前であれば、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島は兄弟国だから、1国を支援すれば他の2国も喜ぶとか、ミクロネシア地域を知ってるから大洋州全体を知っているだとか、そのような話が通用していました。

それを考えるとだいぶ進んだよな、と思います。

今日はオーストラリアの友人にランチに誘われ、話をしていて思いましたが、日本側でも概ね同じ方向を向いている方々と、集合知というと意味が違うのでしょうか、いろいろな立場の人との知恵や知識の集合体のようなものを作れれば面白くなるように思います。各自の主観も大事ですが、客観性を常に担保できることが重要だと思います。そうすれば、例えば、政府が情報を必要とする時に、役に立つかと。

現地は多様性があり変化が速く、時間がどれだけあっても足りません。
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