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クエスチョンズ、クエスチョンズ [2019年07月10日(Wed)]

今回の出張中、日本について良く聞かれることが2つあります。


1つは、日本の「自由で開かれたインド太平洋」戦略改め、構想とかビジョンとか。

もう1つは、捕鯨再開。

1つ目については、昨年2月の開発協力白書に明記され、昨年5月の第8回太平洋・島サミットに記載されているにもかかわらず、皆が頭にクエスチョンマーク「?」を掲げています。もう、1年以上経っているのに、まったく理解が進んでいないとの印象です。

日本側があえて触れないようにしている?無かったことにしようとしている?


そんな訳はないでしょうが、別に中国の取り組み一帯一路構想とぶつかるような二者択一のものではないし(グッドガバナンス、法令遵守、透明性の確保などが担保される限りにおいては)、太平洋島嶼国首脳が合意しているブルー・パシフィック・アイデンティティを支える内容でもあるし、持続可能な開発目標の実現に貢献できる内容だし、堂々と丁寧に説明していけば良いと思います。

詳細は書けないですが、第8回太平洋・島サミットの数年前、日本がかつて、数カ月にわたり事務レベルで太平洋島嶼国側に水面下で協力を求めて、いくつかの国の首脳が日本の意思を汲み取って、地域機関にも根回しをし、正式に支持するという話になったことがありました。しかし、その動きの前後に、日本側がすっと手を引いて、なかったことにしてしまった事象がありました。(聞かれても「何のこと?」という感じです)

それらの国々では、「日本が望んでいるのだから、助けよう!」と、首脳レベルまで真剣に国内で調整をしていたので、「失望感」が生じたり、「日本は…。」などと呆れたかもしれません。

彼らは外交をわきまえているので(自分が外交といっても素人に毛が生えた程度ですが)、直接言いません。事情も汲み取ってくれたのでしょう。ただ、事務レベルで話をすると、表情や態度、言葉の端々にいろいろ現れるし、支持云々に関してもハードルが高くなったり影響が出ました。日本が相手を軽視しているように捉えられたかもしれません。

首脳は交代していきますが、事務方は結構残っていたりしてるので、当時の印象が残っている国もあるでしょう。

情勢が変化すれば、変化するのは必要な場合もありますが、無かったことにせず、しっかりと丁寧に説明することが大切だと思います。

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2つ目は捕鯨。これはパラオでも聞かれました。

「なんで日本は今になって捕鯨を再開したの?」

一般人としては、「もともと日本人にとって鯨は食料だし、IWCももともとは持続可能な捕鯨を目的としていたでしょ?」「自分が小さい頃は、肉なんて家では週に2回くらいしか食べられないし、牛肉は高いし、そのかわり時々硬い鯨が食卓に出てきたりした。」「今では、自分もそうだし、若い世代の人も、日常的に食べるものではなくなっているけれど、食料であることには変わらない。自分も食べるときは食べる。」「パラオでは若い世代は、ウミガメは友達という教育を受けて来たから、その世代はウミガメを食べなくなってるし、日本も世代が代われば変わるかも。でも、伝統的に捕鯨をしている地域は残ると思う。」「日本は自国のEEZで操業するので、これで南氷洋の鯨は、調査捕鯨であれ捕られなくなったので、サンクチュアリはより良く維持されるんじゃない?」
などと話したりしています。

驚いたのは、日本国内で感じるよりも、太平洋島嶼国では、「捕鯨再開」という言葉に強いインパクトがあるということです。

太平洋島嶼国では、この20年で、環境意識が一般市民まで浸透し、環境保護と鯨が強くリンクされているようです。それ故にインパクトがあるのかもしれません。

*パラオやマーシャルでは、50代より上の世代に、今でも鯨の大和煮を食べたいという人がいます。
*島嶼国では小型の歯鯨はともかく、伝統的に大型の鯨を取ることは難しかったのではないかと思います。ただ何かの理由で座礁した鯨は、大切なタンパク源として、消費されていた国もあると思います。マーシャルとか。
観光とか投資とか。中国とか韓国とか。 [2019年07月10日(Wed)]

フィジー観光については、グアム、ハワイ、ニューカレドニア、タヒチ、と並べた場合、フィジーは良い意味で洗練されておらず、本来の南太平洋の島を体験できる土地なのかもしれません。

これまで週3往復あった韓国・仁川〜ナンディの大韓航空直行便が採算が合わないために、ストップするとの話があるそうです。(フィジー語の発音ではDとQ(鼻にかかったG)の前に、Nが入るので、NADIと書いてナンディと読みます。ナディではありません。)

自分が現地の大使館にいた頃は、最も渡航時間が短く、安いため、休暇や出張の時にはこの路線を使っていました。CAさんは、気取りもなく丁寧過ぎずに、それでいて気がきくし、機内食のビビンバ(ビピンパ?)も美味しいという印象がありました。混ぜるのに苦労していると、CAさんが「こうやるのよ!」と言わんばかりに、上手く混ぜてくれたりします。

今は日程を調整しやすいオークランド経由でNZ便を利用することが多く、最近は全く大韓航空を使っていません。招聘者もそうでした。

成田直行便の就航が影響しているのか、韓国経済の影響なのか。


しかし、この1年でいくつかの太平洋島嶼国をまわっていますが、ところどころに韓国の影響が見えて、民間部門では中国ほどではありませんが、日本よりは目立つように思います。

ちょうど、ほどほどの質で高価ではないものに対する需要が高い国々が多いので、仕方がないのかもしれませんが、いろいろ現地の人に話を聞いてみると良いかもしれません。

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概して、太平洋島嶼国では、人口が少なく、経済規模が小さいこと、資源を見ても継続して大量に輸出できないことから(漁業資源や一部の鉱物資源を除く)、利益率が高いとしても実際の収益規模をみると日本の企業、特に中規模から大企業には魅力的ではないのだろうと思います。

*日本など外部の視点ではなく現地の人々から見た経済で見ることも必要で、例えば人口10万人未満の国では、仮に可能性があっても、現状では、数百億円規模の産業は適さないと思います。

それらの日本の企業では、収益目的ではなく、パイロット的に何かを試してみたり、気候変動や環境配慮などに関心を有し、実際に持続可能な社会づくりに貢献するCSRのモデルのように関与することは可能でしょうか。


一方、中国人や韓国人による現地の投資や経済活動を見てみると、目的は利益を上げるだけではなく、その土地に住み、定着することにあるように思えてきます。

島嶼国への投資は、良くも悪くも、その土地に定住して、一生を捧げる覚悟が必要なのかもしれません。

また覚悟がある場合でも、投資にはリスクが伴うため、当然ながら、法制度や規制など、投資の際には、事前にしっかりと調べる必要があると思います。(例えば、ある国では、親日国というイメージが先行していることもあり、油断した日本人投資家が、騙されたという話もあるようです)

観光についてですが、何と!これまで大量のグループツアー観光客を送ることを推進していたと見られる中国ですが、現地の声を聞き、「ニッチ・ツーリズム」という言葉を使い始めたそうです。

もし本当に、ニッチ・ツーリズム(価格は決して安くない)に中国がシフトするのであれば、我々と同じ土俵に上がることになります。現地にとっては、バランスが取れるというメリットもあるでしょう。

一方、やはり中国ですが、年間50数回、クルーズシップによる太平洋島嶼地域観光を進めたいという話があるそうです。

例えば、いろいろ話題になっていたバヌアツのルーガンビルですが、もともと自分がこちらの大使館にいた時にも、バヌアツ政府として観光促進用のインフラ整備を進めており、国際空港と地方空港の改善、バヌアツ観光の多くの割合を占めるクルーズシップ観光(豪州、NZ、ニューカレドニアからの観光客、年100回以上)を促進するための首都ポートビラと第2の都市ルーガンビルの港湾整備案がありました。

日本の90億円規模の円借款でポートビラの港を整備することになったため、ルーガンビルは中国の援助となったのでしょう。国際空港・地方空港は世銀、貨物港は豪州とADB。バヌアツは、中国だけでなくこれだけのソースからそれぞれ数十億円規模の資金を調達しています。

ルーガンビルの中国による軍事利用云々は、観光促進に逆行するので、そもそもの目的として国がもたない気もしますが、深さとか、さまざまなデータなどは、その気になれば確保できるでしょう。ただ対象は大型クルーズシップの寄港なので、深さなど大規模な工事をしても理由にはなるのだと思います。本当に軍事利用するならば、観光客があまり来ない島に港を作るのも1つの案かと思います。地元も潤うでしょうし。


さて、中国海軍の船ですが、病院船も含め、過去20年、何度か南太平洋をまわっています。

例えば、北太平洋をハワイのあたりまで行き、タヒチ、トンガ、フィジー、オーストラリア、パプア・ニューギニアと寄港していったという記事も何年も前にありました。

クルーズシップが50数回来るとなると、バヌアツ、トンガは当然含まれるし、フィジー、サモアも寄港するでしょう。クルーズシップ客はホテルを必要としないので、日本が整備した港があるキリバスも含まれるかもしれません。

前にニウエの友人は、クルーズシップはクルーズシップで、ゴミや燃料や食料の面で、小さな土地では現地に負荷がかかると言っていました。数百人から千人を超える観光客が一度に上陸するためで、そのための食材を海外から輸入しなければならないし、ゴミは持ち帰って貰わなければならないということでした。

そうすると、ニッチ・ツーリズムと言いつつ、矛盾があるようで、また別の配慮が必要になりそうです。


前に、米国の知り合いが言っていましたが、軍事利用云々に関わらず、今の段階で、太平洋島嶼地域に、船に食料、水、燃料を補給できる拠点を複数整備しておくことは、遠くのビジョンにおいて大変重要とのことでした。

船が頻繁に行き来すれば、航路や海底情報も蓄積できるのでしょう。
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