パラオがコソボの国家承認取り消し、セルビア支持。 [2019年02月01日(Fri)]
1月21日(月)、パラオのレメンゲサウ大統領がセルビア共和国の首都ベオグラードで、ヴチッチ大統領と首脳会談を行い、2009年に行ったコソボの国家承認を取り消したとの報道がありました。
Radio NZ https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/380646/palau-drops-kosovo-recognition-in-favour-of-serbia 豪州ABC https://www.abc.net.au/radio-australia/programs/pacificbeat/palau-third-pacific-nation-to-withdraw-kosovo-recognition/10761630 セルビア テレグラフ https://www.telegraf.rs/english/3025576-paradise-country-palau-is-the-last-one-which-withdrew-the-recognition-of-kosovo-incredible-sights-from-this-country-will-take-your-breath-away-photo ちなみに下記が2009年に米国ワシントンでパラオのトリビオン大統領(当時)が、コソボを国家承認したという当時のニュース バルカン インサイト http://www.balkaninsight.com/en/article/palau-is-56th-state-to-recognise-kosovo/1615/15 「パラオが56番目のコソボ承認国となった」とあります。 外務省 コソボ基礎データ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kosovo/data.html#section1 バルカン半島を巡る国際情勢について全くの素人なのですが、外務省の基礎データと報道から気になることがいくつかあるので、書いてみます。 下記は外務省のコソボ基礎データから。 ・2018年1月現在、コソボの独立承認国は107カ国以上。 ・コソボは2008年2月に独立宣言を行った。 ・日本は2008年3月、コソボを国家承認し,2009年2月25日に外交関係樹立。 ・2009年にコソボは世銀、IMFに加盟。他の国際機関加盟を目指す。 ・2015年10月、EU・コソボ安定化・連合協定署名、2016年4月発効。 下記は報道から。 ・国連加盟国の中では、過半数の100カ国以上がコソボを国家承認している。 ・米国、主な欧米諸国はコソボを国家承認。 ・国連安全保障常任理事国のロシアと中国はコソボを国家承認しない。 ・コソボは国連に加盟できていない。 ・これまで太平洋島嶼国は、一致してコソボを国家承認していた。 ・過去6カ月の間に、パプアニューギニア、ソロモン諸島、そしてパラオが承認を取り消した。 ・コソボ首相は、セルビアが財政支援で小島嶼国を寝返らせたと指摘。 ・パラオが、気候変動に関して、国連での支持を求めたことが背景にある。 自分としては下記が気になるところです。 ・コソボ対セルビアとした場合、日米欧豪NZはコソボ側、中露はセルビア側。 ・セルビアが国連加盟国であり、コソボは未加盟国。 ・気候変動問題に対する米豪中露のスタンスの違い。 ・観光関連? 特に、セルビアが国連加盟国でコソボが未加盟国というところに、ひっかかるところがありました。 トンガが1998年に台湾の国家承認を取り消し断交、中国と外交関係を結んだ時のこと。当時の報道からですが、その動きには複数の理由があり、その一つが、当時トンガが国連加盟を目指していたことにあります。トンガが国連加盟を目指し、さまざまな支援を求めていた時、台湾は国連加盟国ではない一方で、中国は国連加盟国でしかも安全保障理事会常任理事国。そして1999年9月、トンガは国連加盟を実現しました。 パラオに関しては、民間部門で、東欧周辺国と何らかの繋がりがあるような報道が時々出されることがあります。今回のコソボ承認取り消しの背景が、単純で薄いものなのか、あるいはもっと深い何かがあるのか、気になります。 |