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国際捕鯨委員会のニュースを見ていると [2018年09月16日(Sun)]

国際捕鯨委員会(IWC)はもともと鯨資源の持続的利用が目的だったのだと思いますが、すでに生物保全、環境保護の文脈の、鯨類保護管理の国際枠組みになってしまっています。
日本は水産系として取り組んでいたものの、環境系の枠組みになってしまい、これでは議論が噛み合うわけありません。

以前、サモアやパラオで海洋保護区について事業を担当したことがありますが、各地であったのは、現地行政の環境系と水産系の温度差の違いでした。

自分のような40代以上の世代であれば、80年代、90年代の話をぼんやりと覚えていると思いますが、IWCの変化には西欧社会で鯨を神聖視するような、宗教的な雰囲気がきっかけにあったと思います。(環境NGOがという話もあるとは思いますが…。

太平洋島嶼国、特にフィジーにいた時には、今、環境保護(に限らずですが)分野で活躍しているのは、90年代生まれだったりするので、鯨に関してもおそらく過去の前提なしに、純粋に保護対象としているかもしれません。

2000年代には南米諸国もすでに環境系の視点で鯨類を見ていたし。

パラオではかつて特別な機会にジュゴン猟が行われていましたが、世代が代わり、保護対象となりました。ウミガメについても、解禁期間には今も食べますが、子供世代は食べなくなっているようです。

一方、商業目的ではない先住民の捕鯨については存続が認められています。これは国際社会での先住民の文化と権利を守る意識が高いことが背景にあるのかもしれません。これと日本の商業捕鯨は、まあ同じテーブルには乗らないでしょう。

引いて見ていると、IWCは、マグロ類の漁獲枠云々というような会議の雰囲気とは異なり、国連地球環境サミット、そこから派生した気候変動枠組み条約締約国会議、生物多様性条約締約国会議、に色が似ているように感じます。
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