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理論と実践のつなぎ目 [2017年05月24日(Wed)]

と、少しだけ良さげなタイトルにしましたが、要は、ある手法で整理した情報を活用して、いかに実社会につなげるかという話です。

昨日は日本の歴史や神話があり、日本のエコツアーがあるという話でした。今日のワークショップでは、昨日の話を参考に、月までに一応の形を作ったフェノロジーカレンダー、月相チャート、レイヤーオブタイム表を元に、そこに整理された情報からいくつか抽出し、それらを繋げてエコツアー案を作ってみることにしました。

フェノロジーカレンダーの例

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今回は参考ということで4つのツアー案の素案がパラオの参加者により作られました。

2つは面白そうでしたが、2つは、単に建物や遺構をパッパッパッパと回るだけのもので、我々が目指すのはこれじゃないと議論の連続となりました。

例えば、戦前戦中の日本を追うというテーマにし関連する遺構や戦跡、残されている逸話などを繋いで1つのツアーにしたり、神話の世界のメディべラオが関連する遺構を民話とともに繋いだりすれば、多少はお金を取れるツアーになる可能性もあるのかもしれませんが、2つは、商品にはならないでしょう。

一歩進んで二歩下がって、方向を間違えて、また戻ってくるような状態です。

簡単じゃないですね…
地域密着型エコツーリズムの肝とは? [2017年05月24日(Wed)]

日曜の夜から、久しぶりにパラオに来ています。目的は今年のエコツーリズム日本研修の準備のためのワークショップで、まったく外に出ていません。
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自分は観光が専門というわけではありませんが、専門の先生や日本各地で実際に取り組んでいる友人の皆さんに経験や理論を教えていただき、自分が持つパラオとパラオの人々に対する理解が混ざり合い、現地でワークショップや村落での対話を続ける中で、パラオの参加者とともに「地域密着型エコツーリズム」に対する理解が進んでいます。

昨年10月、約4週間の日本研修を実施しました。結果的に良い成果が得られたと思いますが、一点反省点がありました。それは外部機関に協力していただいたものの、多忙であったことや英語資料の作成に困難があり、パラオからの参加者が訪問先の基本情報(地図も含め)を事前に知ることなく実施されてしまったという点です。

彼らは、帰国後、日本各地の訪問先で彼らの実際の活動に繋がる情報や経験を得たと話していましたが、訪問地の情報が欠けていることがわかり、理解の深さに違いが出てしまいました。

例えば、熊野古道。少しだけ歩きました。しかし、事前に十分な情報が共有されていなかったため、かつて人々が歩いた石の道程度の理解となっていました。

今回の日本研修は2週間とコンパクトにし、自分が直接各地の友人に協力を得て準備を進めています。訪問先には、彼らの訪問目的、帰国後の活動などについて説明し、大変興味深い日程が組まれつつあります。

一昨日からここパラオで実施しているワークショップでは、ここまでまとめた日程案を元に、地図や基本的な社会指標、位置などを示しながら、さわりだけですが、すでに3回日本研修を終えた感覚です。やりすぎるとトラブルに対応できなくなるので、ほどほどにしています。

昨年に続き、今年も熊野古道などを訪問しますが、自分としてはパラオのみんなに興味を持ってもらいたいので、まずは日本の歴史の概要を旧石器時代から現在までだっと駆け抜けました。

自分は一応理系といいつつ、高校時代の得意科目は、体育、美術、日本史、現国、化学で、錆びついた頭が刺激を受けた感じもします。

ついで、日本神話。古事記やマンガの古事記を読んで、概要を10数枚にまとめ、天地創造、イザナギノミコト、イザナミノミコトからカムヤマトイワレヒコノミコトまで、順を追って話をしました。

日本神話について、小さい頃にかじった記憶がありますが、ちゃんと読んだのは今回が初めてかもしれません。自然現象を思わせる記述があったり、今だからフラットに理解できるように思います。

しかし、全体を通して話して行くうちに、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメのところまでは、本当に面白いのですが、海幸彦と山幸彦のあたりから、作者が変わったのか、人間臭くなって来たからなのか、急に面白さがなくなってしまった、そう感じられました。

一方、アメノウズメに会いたいなあと思ったり(会えるわけありませんが)。


そういった個人的な感想もありますが、パラオのみんなもよく話を聞いてくれて、ある程度興味を持ってもらえたと思います。

日本研修ではいくつか神社に行く機会も予定していますが、おそらく感じることが増えるだろうし、テレビで相撲を見て、横綱を見ても何か感じることでしょう。

裏の目的としては、彼らがパラオの歴史を観光客に伝えるときの参考にしてもらうことと、日本神話とパラオ神話の類似点を探ることがありましたが、例えばパラオは大きな人が倒れて島が作られたという伝説がありますが、そんな話もちゃんと話していいいんだ(からかわれるので、これまであまり話していない様子)という雰囲気ができたように思います。


おっと、今日は地域密着型エコツーリズムの肝についてでした。自分が考える肝は「人の好奇心」です。好奇心を刺激できるか。知りたいと思ってくれれば、たとえそこに豪華な観光施設や景勝地がなくとも、地域の人々の暮らしとともに、エコツーリズムが成立する、そう思います。好奇心がある人には、地域の人々も自信と誇りを持っていろいろな話をしてくれるでしょう。

そしてエコツーリズムの要素。

エコツーリズムと言われると、普通は自然環境を楽しむものだと思うと思います。しかし地域密着型エコツーリズムというのは、要素の6〜7割がその土地の歴史や文化にある、そう思えます。