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南太平洋大学? [2020年06月13日(Sat)]

南太平洋大学は、総長(Chancellor)がその年の担当国の首脳で、先日ナウルのエニミア大統領が就任しました。
実際に力を持つのは副総長(Vice Chancellor)になりますが、現地紙の報道を見ていると、何かおかしなことが起こっていた(いる)ようです。

自分の英語力では、記事を読んでいる途中で、意識が飛んでしまうので、関心がある方は、調べてみて下さい。
南太平洋大学(USP)マジュロキャンパス卒業式 [2012年07月18日(Wed)]

7月18日(水)

IWC, DNS, PNAなどの話を書いていましたが、先々週のマーシャルアイランズ・ジャーナル紙に気になる記事があったことを思い出しました。

南太平洋大学マジュロ・キャンパスの初めての卒業式が6月28日に開かれました。南太平洋大学はUniversity of the South Pacific, USPと呼ばれています。

もともとUSPは赤道以南の太平洋島嶼国、オーストラリアやニュージーランドと関係の深い国々のもので、教育の中身も、パラオ、マーシャル、ミクロネシア連邦の米国式のものとは少し違う感じだそうです。

ざっくりと、太平洋地域の高等教育は、赤道を境にして、北半球側のパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル、グアム、ハワイの米系のグループと、南半球側の豪州・NZ系のUSPのグループに分けられます。

米系グループの方は、中・高・短大・大学が米国西部地域私立学校大学協会:WASC(Western Association of Schools and Colleges)に認定されることで単位の互換性が生まれ、入学や編入を行いやすくなっています。

言い直せば、北半球がWASC、南半球がUSPという感じです。

個人的には、太平洋地域の教育では、WASCは自由で、USPが厳しくしっかりノルマが課されるという印象があります。

USPは上記のとおり米系の国を対象としていないのですが、1980年代、マーシャルの初代大統領である故アマタ・カブア大酋長が、優秀な人材を育てるには、マーシャルにもUSPが必要だということで、多くの反対にあいながらもUSP支部の設立を実現しました。

そのためミクロネシア地域の人々にとって、マーシャルが唯一のUSPとの接点となります。

しかし、米国式の教育を受けている生徒がUSPに入ることは容易ではありません。古い話ですが、2008年にUSPの調査団がマーシャル短大の学生の学力調査を行ったところ、500人程度いる学生の中の上位20名でさえ、USPの入学基準には達していませんでした。

このことはアマタ・カブア大統領時代から認識されていたようで、マーシャルでは高校を卒業した生徒がUSPの教育にフィットできるように1年間の準備教育施設が設立されています。それがRMI-USP Joint Education Programです(RMIはマーシャル諸島共和国の略称)。

もう一つ、アマタ・カブア大統領時代からずっと言われていることに、国内で学位をとれるようにしたいということがあります。ミクロネシア地域には短大しかないため、学士以上を取る場合には、グアム、ハワイ、米国本土に留学しなければなりません。そのため、人材の流出ばかりではなく、留学費用を捻出できないことや家庭の事情でマーシャルを離れられない優秀な生徒には、学位を取得するチャンスがない状況にもあります。その点も踏まえてUSPが必要だといわれていました。

そこで、今回の冒頭の話です。現地の情報によれば、52人がマーシャルで卒業し、うち19人が修士だそうです。正確な人数が把握できていませんが、少なくとも10名のマーシャル人の学生がMBAを取得しました(全卒業生52人中30人程度がマーシャル人とのこと)。

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先日、マーシャル人の友人に、マーシャルは経済状況は改善していないが、人々が考えるようになり、賢くなったといっていたことを思い出します。


長くなりましたが、今回のニュースで注目したのが、このUSPが2016年のWASC認定を目指しているという点です。もしこれが実現すれば、赤道を境とした北と南が繋がることになり、より柔軟に人材が育つ環境ができるようになると思います。

ついでに安定的な人材育成のためにも、USP北部キャンパス計画も何とか実現してほしい。