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「自由で開かれたインド太平洋戦略」に対する島嶼国の反応(外務省HPより) [2018年05月20日(Sun)]

外務省HPより、首脳会談における「自由で開かれたインド太平洋戦略」に対する太平洋島嶼国各国の回答を並べて見ます。http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page25_000943.html

「安倍総理大臣から,「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下,連携・協力していきたい」と述べたのに対する各国の回答(抜粋)は下記の通りです。(全体情報は上記外務省HPリンクからご覧ください)

1. 緊密に協力、緊密に連携、連携(5カ国)

フィジー バイニマラマ首相
地域の重要な議題について緊密に協力していくことで一致しました。

パラオ レメンゲサウ・Jr.大統領
(大統領より)全ての国は法の支配を重視すべきである旨述べ,双方は,同戦略の下で連携していくことで一致しました。

ミクロネシア連邦 クリスチャン大統領
(大統領より)引き続き緊密に連携していきたいとの意向が示されました。

マーシャル諸島 ハイネ大統領
双方は同戦略の下,連携していくことで一致しました。

パプアニューギニア オニール首相
双方は同戦略の下で連携していくことで一致しました。


2. 重要性への認識(1カ国)
サモア トゥイラエパ首相
同戦略の下でのパートナーシップの重要性への認識が示されました


3. 議論の継続(8カ国)

リック・ホウエニプウェラ・ソロモン諸島首相
双方は引き続き議論していくことで一致しました。

エネレ・ソシネ・ソポアンガ・ツバル首相
双方は引き続き議論していくことで一致しました。

シャーロット・サルワイ・タビマスマス・ バヌアツ共和国首相
双方は,引き続き議論していくことで一致しました。

バロン・ディバベシ・ワンガ・ナウル共和国大統領
引き続き議論していくことで一致しました。

ターネス・マーマウ・キリバス共和国大統領
双方は議論を継続していくことで一致しました。

トンガ シカ副首相兼社会基盤・観光大臣
双方は議論を継続していくことで一致しました。

ヘンリー・プナ・クック諸島首相
引き続き議論していくことで一致しました。プナ首相からは共感が示されました。

ニウエ シペリ首相代行兼インフラ大臣
双方は議論を継続していくことで一致しました。



このように見ると、
米国自由連合国のミクロネシア3国、経済規模の大きい地域の大国PNGとフィジーの5カ国が協力もしくは連携を明確に表明。

サモアはどっちつかず。むしろ人ごと?

その他の8カ国は議論の継続。8カ国のうち、台湾承認国はソロモン、キリバス、ナウル、ツバル。中国と国交のある国はトンガ、バヌアツ、ニウエ、クック。クックはプナ首相の人柄が見えます。

NZと関係の強い国が揃って慎重な姿勢なのは偶然でしょうか。

ちなみにNZはピーターズ副首相兼外務大臣が
「NZは法の支配に基づく秩序の恩恵を受けてきた,日本のパートナーとして,「自由で開かれたインド太平洋戦略」にも協力できる。」と述べたそうです。
ちょっと距離がある感じがします。

それぞれ、中国を見たり、経済を見たり、とにかく影響を慎重に見極めたかったりと、判断の背景がありそうです。


首脳宣言からは下記の通り。
「10 首脳は,太平洋において,法の支配に基づく自由で,開かれた,持続可能な海洋秩序の重要性を強調し,それが地域の平和,安定,強靱性及び繁栄に貢献することを認識した。」
「その観点から,太平洋諸島フォーラム加盟国の首脳は,太平洋における協力及び発展に対し日本が(a)法の支配及び航行の自由の普及及び定着,(b)連結性の強化を通じた経済的繁栄の追求,並びに(c)海上安全及び防災の分野における協力等の平和と安定に対するコミットメントの3本柱から成る「自由で開かれたインド太平洋戦略」やそうした新しいイニシアティブを通じる等により行う積極的かつ建設的な貢献を歓迎した。」

首脳全体としては「自由で開かれたインド太平洋戦略」そのものではなく、それ「ら」によりもたらされる「積極的かつ建設的な貢献」を「歓迎した」とあります。どこにも連携や理解や支持がありません。おそらく上記の首脳会談の結果から読み取れますが、地域として一致する段階ではないということなのでしょう。

このようなことは、丁寧に実績を積み上げることで、理解が進むはずです。仮にメリットがなければ、今、支持していない国はこれからも支持しないでしょう。
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