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中国の台湾承認国への圧力(台湾の報道) [2017年11月26日(Sun)]

11/23Taiwan Newsが「中国が台湾を孤立化させるためにバチカンとパラオへのグループ旅行を禁じる」と報じました。
元々はRadio Free Asiaの報道を引用したもののようです。

主な内容は、下記のとおり。

「11/16、中国政府が国内の旅行代理店に対し、バチカンを旅行先リストから外す命令を出した。旅行先リストにない国へのグループ旅行を広告したり販促資料に載せた場合、最大30万元(約500万円)の罰金を科す。」

この命令については、文書など公式にトレース出来るような形では行われていないそうです。

バチカン市国については、欧州で唯一の台湾承認国であること、中国にいる1200のカソリック教徒の影響力を匂わせています。

また、11/21に台湾の蔡総統が現地で面会したパラオのアナスタシオ下院議長に対し、パラオへの台湾からの直行便増便を約束した件についても触れています。

さらに「この観光禁止は、北京(中国政府)によるパラオに対する台湾との関係の変更させるための懲罰の試みであり、中国に切り替えるインセンティブになりうる。」「今年7月、レメンゲサウ大統領が、中国の太平洋島嶼国に対して示した地球温暖化への戦いを支援するとの約束を歓迎し、中国との関係改善にオープンであると述べた」と書かれています。

台湾側の危機感が強く感じられる記事でした。

もう少し内容を理解するために、Global Timesの記事も読んでみました。「中国の旅行代理店がパラオとバチカンへの旅行パッケージに対し罰金を科された」という記事。

最初の記事を捕捉する部分は次のとおりかと思います。

中国のNational Tourism Administration(中国国家観光行政局とでも訳すのでしょうか)によるグループ旅行先リストに、2014年の段階で、パラオもバチカンも他の125の国・地域とともに載っていない。

そのリストに載っていない国であるパラオとバチカンへのパッケージ旅行を売りに出していた旅行代理店2社が国から罰金30万元(約500万円)を科された。

2016年(7月)には、Beijing Municipal Commission for Tourism(北京地方政府の観光委員会)がパラオ旅行の販売を禁止した。


今回の最初の記事は、パラオについては、旅行禁止取り締まりが、実質的に地方レベルから国レベルに挙げられたと読めるかもしれません。


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パラオの世帯収支統計2015を見ると、国内経済の民間部門の1つの姿が見えてきます。

パラオの人口約2万のうち、パラオ人13000、フィリピン人5000、バングラデシュ人2000、その他が合計で数百人。

コロールの人口は約13000人、アイライ州3000人、その他の州の合計4000人、バベルダオブ島のアイライ州を除く9州の合計が3000人。

フィリピン人5000人の多くがコロール在住、アイライにも。バングラデシュ人は地方で農作業を手伝っている人もいますが、中心はやはりコロール、アイライ。

アイライ州の3000人のうち、1000人がコロールで仕事をしている。

さらにパラオ人の収入がある労働者約8000人のうち6000人超が国や州の政府職員。反対にフィリピン人、バングラデシュ人の多くは民間部門の労働者。

パラオの民間部門は、単純に言えばパラオ人2000人、フィリピン人5000人、バングラデシュ人2000人(農業含む)が従事しており、直接の観光部門に絞れば、パラオ人の数はさらに減ります。

ただし、その民間部門には国内の有力者が含まれます。

昨年7月の北京地方政府によるパラオ旅行販売禁止の話が出たとき、中国人観光客急増で社会、経済、環境面で問題が多数生じ、国内は混乱していたことから、自分の友人は総じて「ホッとした」というものでした。(詳細は省きます)

そういえば、昨年7月というと大統領選(昨年11月)のキャンペーンがすでに始まっていた時期でしたね。


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