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仁義なき戦い(チューク対パラオ) [2017年03月07日(Tue)]

数年前、自分がキリバスで仕事をしていたとき、現地の友人から「飲み屋に行ったら気をつけろ。キリバスでは酔っぱらうと『誰かケンカする奴はいないか?』と声が上がり、ケンカが始まる。」と注意されたことがあります。そんな話をあるパラオの友人にしたときのこと。

それは1970年代〜80年代、パラオに日本の記憶がまだ色濃く残っていた時代。マルキョクとかギワルとか、バベルダオブ島の集落でのできごと。

夜、「ツカレナオス」と称して皆で酒を飲み始め、酔いが回ってくると誰かが浜辺に出て輪を描くんだそうです。

そして、おもむろに一人の男が「だれかやるやついないか〜?」と声を上げると、「俺がやる!」と応じる者があらわれ、相撲が始まる。

輪に一歩踏み入れると、それは闘うという意味があり、人の草履を奪って輪の中に投げ入れ、ふらふらっと草履を取りに行った人が、いつのまにか相撲を取ることになっていた、なんということもあったそうです。

この話を聞いて、日本の60年代から70年代の映画の世界のような、昭和50年代のような、人間臭さの一端を見たような気がしました。


さて今日のタイトルの話になります。

先日来、ミクロネシア3国(米国自由連合国、FAS: Freely Associated Statesともいう)の国民の米国自由連合盟約(コンパクト)で認められているビザフリーで米国に入国できる権利に対して、何らかの制約が課される可能性についてこのブログに書いてきました。ある日曜の午後、パラオでパラオの友人とこの件や米国トランプ政権に関する雑談をしていた時の話です。

友人宅の庭にあるBiib(フルーツダブ)が来ることもあるという木。名前は忘れました。

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少し離れた海からの気持ちのいい東風が吹いていました。

その友人の話。

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トランプ大統領がFAS国民の米国入国に関わる大統領令を出すかもしれないというニュースを知っている。パラオ人の多くは、社会福祉を求めて米国に行く人は非常に少ないので、それほど心配していない。

ミクロネシア連邦、特にチュークの人々がターゲットになるのではないかと思う。

実はパラオ人とチューク人の間には、過去に多くの闘争があった。

時は1980年代〜90年代。ミクロネシア連邦が独立し(1986年)、パラオ人はまだ米国国民であった時代。グアムではチューク人グループとパラオ人グループがしばしば衝突した。自分が巻き込まれたことも何度かある。

当時グアムでミクロネシア・オリンピック(ミクロネシア・ゲーム)が開催され、自分を含むパラオ人チームがあるレストランで食事をしていた。するとバールのようなものを持ったチューク人グループがピックアップで乗り付けるのが見えた。そこで自分は血の気がはやるパラオ人チームメンバーを抑え、「ドアに鍵をかけろ」叫んだ。仲間は「戦わないのか?」と言い、「一旦、態勢を整えるのだ」と答えた。

そして、レストランのオーナーに断りを入れ、メンバーは両手とポケットに栓の空いていないビール瓶を持ち、態勢を整え、ドアを開けた。自分は多少ケガをしたが、チームでチューク人グループを撃退した。やがてグアム警察が来て自分を含めしょっ引こうとしたが、レストランのオーナーの証言でチューク人グループだけが連行された。


あるとき、あれは確かコロンブス記念日に合わせ、グアムのパラオ人コミュニティとパラオの独立記念日を祝う式典の時だった。この式典はグアム政府とパラオ政府が共催したものだったと思う。

一連の式典が終わり、会食に移ったころ、バールのような物を持ったチューク人グループがピックアップで会場に乗り付けてきた。

パラオ人側にはチューク人女性の仲間がいた。彼女がチューク人グループを止めに行き、一旦落ち着いたように見えたが、やがて彼女が、態勢を整えたパラオ人グループに対し「みんな、やっちまいな」(キルビル1のようなイメージ)と叫び、パラオ人グループが一斉に攻撃を始め、双方にケガ人が出た。

やがてグアム警察が到着し、グアム政府の証言もあったが、そのチューク人女性が「あいつらをしょっ引いでちょうだい」と言い、チューク人だけが警察に連行された。


20年くらいが経ち、パラオ人とチューク人の間にこのような緊張関係はほとんどなくなったと言っていい。懐かしい思い出だ。


しかし、グアムでは今もチューク人が問題を起こすことがある。グアムでは小さなアパートに10人を超える家族で生活し、ほとんどが成人なのに、職に就いているのは1人しかおらず、無職の家族はフードスタンプを受けている、それが目的でグアムに滞在している場合がある。

最近も、グアム在住のチューク人が現地で問題を起こし、確か12名程度がチュークに強制送還されるということがあった。グアム知事も苦労してるし、ミクロネシア連邦のクリスチャン大統領も苦心しているようだ。

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また、数か月前、別の友人からは「ハワイでマーシャル人からフードスタンプを半額で買わないかと言い寄られたことがある。フードスタンプ目的で渡航し、現金化し、酒におぼれるという人々が一定数いるのも事実だと思う」との話を聞きました。

FAS国民の権利と権利の濫用。チュークが発展すれば、このような問題は減少していくのでしょうが、独立後の30年でどう変わったのか。。時間はかなりかかるでしょう。


さて米国トランプ政権について、正直パラオは安全保障という観点からいえば、グアム〜パラオ・ラインは前線ではないものの、重要性が高まる可能性があるのではないかという声もパラオにはあるそうです。一方で、気候変動分野についてはパラオをはじめとする太平洋島嶼国の危機感とトランプ政権は全く乖離しており、パラオを含む太平洋島嶼国では不安感が増している状況にあり、GCF(緑の気候基金)についてもすべての約束が果たされるのは難しいと考えているようです。

日本は必ずしも太平洋島嶼国の意見に全面的に賛同しているわけではないですが、太平洋島嶼国の声をよく聞いてくれると認識されているようです。今後、太平洋島嶼国は日本に対し、米国と太平洋島嶼国を繋ぐ役割を期待するようになるかもしれません。
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