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パラオで第1回SIS首脳会議開幕 [2016年06月24日(Fri)]

昨年PNGで開催されたPIF総会でのSIS(Small Island States)設立合意に基づき、昨日23日、パラオでSIS首脳会議が開幕しました。

「Small Island States Leaders gather In Palau for Inaugural Meeting」
http://www.pina.com.fj/index.php?p=pacnews&m=read&o=1766931175576c60f1eb33b4f783a3
(6月23日付)

SISメンバーは、太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟国(14島嶼国+豪・NZ)のうちパラオ、マーシャル、キリバス、ナウル、ツバル、クック、ニウエの7か国で、より小さな国の共通課題を協議・集約し、PIFおよび国際社会につなげることを目的としているようです(ミクロネシア連邦が入っていないのは、人口が10万人を超えているからだという人もいますが、キリバスも超えているし、おそらく土地面積や人口両方が関係しているものと考えられます)。

首脳レベルの参加は、マーシャルのヒルダ・ハイネ大統領、キリバスのタネシ・ママウ大統領で、そのほかPIF事務局からデイム・メグ・テイラー事務局長、オブザーバーとして、今年のPIF総会開催国であるミクロネシア連邦のピーター・クリスチャン大統領が参加しているそうです。

今回はSIS設立のための会議と銘打っているようですが、太平洋地域の枠組みを考えると興味深いものだと思います。

長い間、自分の感覚では2008年頃まで、大洋州は赤道を境に北部ミクロネシア地域(米系)と南半球側(南部ミクロネシア、メラネシア、ポリネシア)(英系)にギャップがありました。それが世界経済の影響、気候変動、米系ミクロネシア諸国のコンパクト2への移行、フィジーのクーデタを端緒とする島主導の動き等が影響し、地域間のつながり、特に北部と南部のつながりが強まってきているようです(それぞれの国に温度差はあります)。

また、先進国が使い続けているミクロネシア、メラネシア、ポリネシアという地域分けは、たとえばミクロネシアではミクロネシア3国とナウル・キリバスに線引きがあったりしますが、課題によってはそれらの地域分けによるサブリージョナルグループでは対応できないものになります。そのため、このSISの枠組みというのは、今後どのように発言力をつけていくのか注目されます。

パラオの視点からいえば、今年、MCES(ミクロネシア行政首長サミット)がMIF(ミクロネシア諸島フォーラム)に発展しました。MIFの特徴は、ミクロネシア連邦のヤップ、チューク、ポンペイ、コスラエの4州政府もパラオ、ミクロネシア連邦、マーシャルの国家政府、北マリアナとグアムの自治政府と同じステータスを持つことにあると思います。

中国やロシアによって作られたとレッテルが張られがちなPIDFは、太平洋共同体(SPC)のように未独立地域も独立国も同じステータスを持っています(SPCと異なるのは太平洋島嶼国・地域のみがメンバーであること)。

以前フランス外交団の方や、ニューカレドニア外務省の方と話した時に、「独立していなくとも、自治権は強くあり、現地で生活している人々には太平洋島嶼地域共通の課題がある。それらの課題を共有し、住民の生活改善や安全保障のために取り組む枠組みがあることが望ましい。PIDFはその可能性があるため、期待を込めて、好意的に見ている」と言われたことがあります。

MIFもPIDFも(パラオ国務省の人は、MIFはPIDFのミクロネシア版だと言っていました)SISも、住民の現実的視点に立つ枠組みになるように思われます。

地域では、環境、政治、経済、安全保障、漁業などなど様々な切り口があり、それぞれに適した枠組みがあります。いずれこれらを整理し、効率化する必要が出てくるかもしれません。


(記事ではSmall Island Statesとありますが、パラオ政府の友人もマーシャル政府の友人も、PNG以外の太平洋島嶼国はSmall Island Statesなので、SISはSmaller Island Statesだと言っています。)
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