• もっと見る

«トンガのニュース−総選挙関連続報 | Main | トンガ新首相選出に向けた動き»
日本海洋政策研究会 [2010年12月07日(Tue)]

先週の土曜、12月4日、東京海洋大学で開かれた、日本海洋政策研究会第2回年次大会〜海洋の総合的管理を目指して〜に出席しました。



特に衝撃を受けたのが東京大学大学院理学系研究科の山形俊男教授の基調講演と、パネルディスカッション(テーマ:海洋国家日本の機軸)における東京大学大学院新領域創成科学研究科の高木健教授の話でした。


まず山形先生ですが、研究分野は気候力学、大気海洋力学で、研究テーマは大規模な待機海洋結合現象と気候変動現象のモデルおよび解析研究とのことでした。

先生のお話では、大気と海洋の循環モデルにより、Ocean Forecast、すなわち天気予報のような海洋予報ができるということで、実際に実用化され始めているとのことでした。

お話を聞いていて考えていたのは、我々太平洋島嶼国基金が対象としている太平洋島嶼国地域で、海洋予報が使えれば、人々の暮らしに大きな影響があるのではないかということでした。

太平洋島嶼国の国々は、陸地よりも海洋がべらぼうに広く、それ故に海難救助や不法漁船取締りに困難があります。また、住民の生活では、島から島への移動にはアウトリガー・カヌーや小型船からフェリーまでさまざまなサイズの船を使いますが、(地元の人々が経験的に知っているとはいえ)海洋予報により海流や危険な波が立つ海域が事前に予測されるのであれば、燃料の節約や事故の予防に繋がると思います。

ミクロネシア地域にはスティックチャートと呼ばれる海図があり、マーシャルの物では貝殻が各環礁、スティックが海流を示しており、例えば近隣の環礁に移動する場合でも、スティックに沿ってV字型に移動する方が安全で早いといわれています。しかし、それらの海流が気候変動が進んでいるといわれている現在も利用可能なものかは不明で、過去の記憶に従って船を出したところ遭難してしまうということがあるかもしれません。

素人ではありますが、これからも山形先生の研究に注目させていただきたいと思います。


続いて高木先生です。先生は、主に海洋を利用した再生可能エネルギーに関する話をされていました。浮体式風力発電、潮位差発電などで、海外ではメガワット級の施設がすでに応用から実用の段階に入っているそうです。発電コストが1kwあたり30万円程度であり70万円といわれる太陽光発電よりも良い点があります。

お話の中で、日本における取組みが遅れをとっていて、実証実験海域が必要というようなことを発言されていたように記憶しています。

太平洋島嶼国は人口が少なく、海域は広く、例えばマーシャルの首都マジュロには人口約3万人が生活し、発電所に必要な発電力は10メガワットといわれています。マーシャルに限らず、太平洋島嶼国で、土地が少なく海域が広い国々では、ディーゼルエンジンを使った大型ジェネレーターによる発電を行っていますが、燃料費が高く、ジェネレーターも故障しがちで、住民の生活に少なからず影響があります。

また太平洋島嶼国の多くは対外的に環境を意識した国であるとのアピールをしていますし、その国に環境に良い取組みを行えば、そのドナー国、研究機関、企業なども対外的にアピールができるかもしれません。

素人ながら、太平洋島嶼国に実証実験地域を提供してもらい、ODA(は先進的な技術による支援はできないと思いますが。。。)などにより、研究推進と住民の生活向上の両方を行うことができるのではないものでしょうか。地域における日本のプレゼンスも上がりますし。

では。
コメントする
コメント